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シューベルト「笑ったり泣いたり(Lachen und Weinen) D 777」を聴く

Lachen und Weinen, D 777
 笑ったり泣いたり(笑いと涙)

Lachen und Weinen zu jeglicher Stunde
Ruht bei der Lieb auf so mancherlei Grunde.
Morgens lacht ich vor Lust,
Und warum ich nun weine
Bei des Abendes Scheine,
Ist mir selb’ nicht bewußt.
 恋をしている時にいつでも笑ったり泣いたりするのは
 さまざまな理由があるものだ。
 朝には喜んで笑っていたのに、
 夕日の射す今になって
 どうしてぼくは泣いているのか、
 自分でも分からないのだ。

Weinen und Lachen zu jeglicher Stunde
Ruht bei der Lieb auf so mancherlei Grunde.
Abends weint ich vor Schmerz,
Und warum du erwachen
Kannst am Morgen mit Lachen,
Muß ich dich fragen, o Herz?
 恋をしている時にいつでも泣いたり笑ったりするのは
 さまざまな理由があるものだ。
 夕方にぼくは苦しくて泣いていたのに
 朝になってきみは
 どうして笑って目覚めることが出来るんだい、
 きみに聞かずにはいられないよ、おおぼくの心よ。

詩:Friedrich Rückert (1788-1866)
音楽:Franz Schubert (1797-1828)

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リュッケルトの詩に1823年に作曲されたこの「笑ったり泣いたり(通称:笑いと涙)」は、恋をしている時の感情の移り変わりを自問するという内容です。
第2節で「きみ(du)」といっているのは、恋する相手のことではなく、自分の心に呼び掛けていることが詩の最後で分かります。
シューベルトは和音の長短を巧みに使い分けて、感情の制御し難い様を絶妙に表現しています。
簡素な小品の中に盛り込まれた感情の機微はさすがシューベルトと脱帽するのみですね。

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ズザンナ・プロスクラ(speaker)
Susanna Proskura(speaker)

リュッケルトのテキストの朗読が聞けます。まずは詩の響きを味わってみて下さい。

エリー・アーメリング(S) & イェルク・デームス(P)
Elly Ameling(S) & Jörg Demus(P)

1970年録音。細やかなアーメリングの美声と、よく歌うデームスのピアノ。なんともチャーミングです。

エリーザベト・シュヴァルツコプフ(S) & ジェラルド・ムーア(P)
Elisabeth Schwarzkopf(S) & Gerald Moore(P)

1961年録音。シュヴァルツコプフの言葉に込められた想いが伝わってくる名演です。ムーアは温かい演奏です。

アーリーン・オジェー(S) & ランバート・オーキス(Fortepiano)
Arleen Augér(S) & Lambert Orkis(Fortepiano)

1991録音。オジェーの澄み切った美声に酔いしれます。オーキスのフォルテピアノの音色も味わい深いです。

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR) & ジェラルド・ムーア(P)
Dietrich Fischer-Dieskau(BR) & Gerald Moore(P)

フィッシャー=ディースカウとムーアの演奏はこの小品にドラマを盛り込んでいます。

キャスリーン・バトル(S) & ジェイムズ・レヴァイン(P)
Kathleen Battle(S) & James Levine(P)

1987年録音。バトルが明暗の色合いを見事に使い分けています。

エディト・ヴィーンス(S) & ルドルフ・ヤンセン(P)
Edith Wiens(S) & Rudolf Jansen(P)

ヴィーンスの素直な発声と陰影のこもった歌声が素晴らしいです。ヤンセンはいつもながら上手いです。

マティアス・ゲルネ(BR) & エリク・シュナイダー(P)
Matthias Goerne(BR) & Eric Schneider(P)

2014年録音。ゲルネは深みのある声で心地よい響きを聞かせています。シュナイダーも歌と息がぴったりです。

ピアノ伴奏のみ
Accompaniment only

演奏に合わせて楽譜が映されているので、歌ってみてくださいね。演奏は素直で好感が持てます。

【おまけ】30秒のみ:ヘルマン・プライ(BR) & レナード・ホカンソン(P)
下記のリンク先のサイトのジャケット写真下にあるプレイヤー左端の▶マークをクリックすると、30秒だけ試聴出来ます。動画サイトにはアップされていなかったので、こちらでご勘弁を!プライのみずみずしく溌剌とした歌唱が聞けます。
 こちら

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コメント

こんばんは、フランツさん。
朗読、アメリングから順に聴きだしました。で、やはりというか、何というか、ディースカウ&ムーアを聴いて、余りのすごさに、それ以上聴くことができませんでした。確かディースカウは、この曲の詩について、どうってことない軽いもの、とか言っていたはずです。ところが彼の歌唱はどこが軽いか?!とつっこみを入れてしまいました。
ディースカウ以降の歌手の演奏は日をあらためて聴きます!

投稿: Zu-Simolin | 2018年5月27日 (日曜日) 02時29分

Zu-Simolinさん、こんばんは。
ご感想を有難うございます!

F=ディースカウ&ムーアの演奏はあらためてじっくり聴くと、おっしゃるように本当に素晴らしいですね。言葉の表情が徹底的に突き詰められていて、ただただ凄いですね!
彼の歌はドラマがぎゅっと凝縮されていて、その読み込みの深さは驚くほどです。
この「軽い」テキストからこれほどの表情を演じてみせるのは、やはり不世出の歌手と言われるだけのことはあると思います。
そしてディースカウの表情と完全に同化出来るムーアもまた凄いです!

投稿: フランツ | 2018年5月27日 (日曜日) 21時03分

フランツさん、こんばんは。。

Zu-Simolinさんの投稿を拝見して、まずディースカウさんを聴きました。
この曲は軽やかなので、歌い飛ばされてしまいそうですが、詩に深く切り込んで行くところなどさすがディースカウさんですね。
歯切れの良さ、テンポ感、これぞディースカウ!と言う感じで聴きました

私も他の歌手の方々はまた後日に(*^^*)
プライさん、うまく表示できなかったので(私がどんくさいので(^^;)、CDを出してきて改めてじっくり聞きます♪

投稿: 真子 | 2018年6月 6日 (水曜日) 21時43分

真子さん、こんばんは。

F=ディースカウは本当に軽やかな小品にも起伏をつけてドラマティックに表現するのがうまいと思います。

>歯切れの良さ、テンポ感、これぞディースカウ!と言う感じで

まさにディースカウの特質をあらわしたご感想で同感です。
彼は背がかなり高かったので、その大きな体躯から出る声のボリュームはとても豊かでした。
その豊かさゆえにダイナミクスの幅の広さは特にコンサートでは際立っていました。
雄弁に詩の展開を描き尽くすのは彼ならではと思います。

プライのサイトは例のPHILIPS全集の録音なので、うまく開かないようでしたら、お手数ですがお持ちのCDを聞いていただければと思います。
プライの歌は本当に温かいです。彼の歌はディースカウとは全く個性が異なるので、そもそもどちらが上かという論争は不毛だとあらためて思いました。やはり両者がいてくれたことに感謝ですね(^^)

投稿: フランツ | 2018年6月 7日 (木曜日) 21時01分

フランツさん、こんにちは。

梅雨に入ってからあまり調子がよくなくご無沙汰してしまいました。

さて、感想の続きです。
まずアメリング。チャーミングですが、詩に合わせた歌い分けの見事さ!ただ声が美しいだけではない雨リングをここでも聴く事が出来ました。

誰かを好きになったときの心は、天国と地獄を行ったり来たりで・・・。そう言う思いをシュワルツコップは実にうまく歌いますね!

オジェーの声はいつ聴いても5月のそよ風を思わせますね。こういううっとしい湿気を感じる時に聴くと、心が爽やかになります。
あまり言葉にとらわれていないかのような、素直な歌もまた別の魅力があると思います。

ヴィーンズは、メロディと言葉をとても丁寧に歌いこんでいる。自問している心が浮かび上がりました。

ゲルネの深い声は聞いているだけで癒されますね。
ひと頃、声にもゆらぎがあると癒しボイスになると言われていましたが、ゲル値の声にもゆらぎがあるのかもしれません。

そしてプライさんは私には別格なので、感想が偏るかもしれませんが(笑)
彼のこういう歌を聴いていると、ちょっとしたサロンでミニコンサートを聴いているような気持ちになります。
ことさら言葉に踏み込んだ歌いぶりではありませんが、全盛期のツヤツヤで滴るような甘い声は、詩を語る部分がたとえ弱かったとしても、許せてしまいます(笑)

おっしゃる通り、ディースカウさんとプライさん、性質も声質も違う二人の歌手がいてくれたことに感謝したいです(*^^*)


投稿: 真子 | 2018年6月26日 (火曜日) 17時33分

アメリングが雨リングになっていましたね(^^;
すみません。。

記事や音源もたくさん増えていて、楽しみながらまた拝見(聴)しますね(*^^*)

投稿: 真子 | 2018年6月26日 (火曜日) 17時36分

真子さん、こんばんは。
梅雨に入り、じめじめと不安定な天気が続きますね。どうかお大事になさって下さいね。

体調の優れない中、ご感想を有難うございます!

アーメリングの表情の歌い分けは若い頃から優れていたことがよく分かりますよね。3行目最後のLustの一語で明るさから悲しさへと移り行く声の変化にはただ脱帽です!

「天国と地獄を行ったり来たりで」確かにそういう感じですよね。シュヴァルツコプフが歌うとその心情が奥行きをもって伝わってきますね。

オジェーの爽快な美声は有無を言わせぬ魅力がありますね。言葉にこだわり過ぎない分、メロディーラインの美しさが際立ちます。

ヴィーンスの歌いぶりは本当に「丁寧」ですね。ソプラノには珍しい深みをある声で陰影のある表現が魅力的です。

ゲルネの声の包み込むような響きは本当に癒されます。おっしゃるようにゆらぎ効果はあると思います!

プライは本当に作品を自分のものにして歌っているなぁと感じます。彼の歌に作為がなく、自然な表情なのが、多くのファンをとらえているのでしょうね。私はプライはそれほど踏み込み不足ではないような気がします。むしろディースカウが濃淡をあまりにも明確に付けているので、プライが素朴に感じられるだけで、彼も必要充分なだけ詩を読み込んで表現していると思います。

蒸し暑い天候でお体へのダメージが強いかと思いますので、くれぐれも無理なさらないようにして下さいね。素敵なコメントを有難うございました(^^)

投稿: フランツ | 2018年6月27日 (水曜日) 21時10分

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