ドーナト夫妻、ローレンツ&ガルベン/ヴォルフ「イタリア歌曲集」映像(1988年シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭)
フーゴ・ヴォルフ(Hugo Wolf)/「イタリア歌曲集(Italienisches Liederbuch)」全46曲(79分25秒)
録画:1988年、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン音楽祭(Schleswig Holstein Musikfestival)
ヘレン・ドーナト(Helen Donath)(S)
ジークフリート・ローレンツ(Siegfried Lorenz)(Br)
クラウス・ドーナト(Klaus Donath)(P)
コルト・ガルベン(Cord Garben)(P)
珍しい動画を見つけたのでご紹介します。
ヴォルフの全46曲からなる「イタリア歌曲集」のライヴ映像です。
歌手はソプラノのヘレン・ドーナトとバリトンのジークフリート・ローレンツ。
ピアノはそれぞれクラウス・ドーナト(ヘレンの夫)、コルト・ガルベンです。
この4人いずれも歌曲を演奏している動画は珍しいのではないかと思います。
特にジークフリート・ローレンツはF=ディースカウ、プライ後のドイツを担うリート歌手として取り上げられていた時期もあり、歌曲演奏の実績もしっかりある名歌手なので、こうして歌唱姿を見ることが出来るのはとても貴重です。
ドーナト夫妻は数多くの歌曲の録音を残していて、歌曲演奏者としての実力は広く知られていますので、彼らの演奏動画もまた嬉しいです。
そしてDGのプロデューサーとして、ディースカウやミケランジェリと組みながら、歌曲ピアニストとしても第一線で活躍していたガルベンの演奏もまた、注目されます。
ガルベンは若かりしボニーやオッター、シュミットらを世に出すきっかけとなった録音を企画したり、レーヴェの全歌曲を録音したりと、歌曲演奏史において決して忘れることの出来ない存在です。
ここで演奏されているヴォルフの「イタリア歌曲集」はイタリア起源の詩にドイツ人のパウル・ハイゼが独訳した歌詞によるもので、男女の恋愛の駆け引きが絶妙な音楽で描かれています。
ここでの演奏のように男女の歌手がそれぞれ異なるピアニストと演奏することで、よりドラマティックな効果が期待できそうです。
ヘレン・ドーナトのオペラで培った表現力は映像で見るとより楽しみを増します。
持ち前の美声による巧みな語りかけは、これらのささやかな歌曲を歌ううえでとても魅力的です。
ご主人のピアノは、例えば普段大音量で盛り上げるような曲の最後の和音をあえて軽めに弾くことによって、これらが庶民のささやかなドラマであることを思い出させてくれます。
ローレンツは見た目もいかにも真面目なドイツ人という感じですが、その歌声の柔らかさと伸縮自在な表現の幅で、歌曲歌手としての非凡さをあらためて認識させてくれます。
そして、同じくドイツ人的なガルベンの堅実なピアノもテキストの機微を見事に描いています。
ぜひお楽しみ下さい!
| 固定リンク
« エリー・アーメリングの1988年スペインでのインタビュー(スペインのラジオ局のインターネット放送「Grandes ciclos」) | トップページ | エリー・アーメリング、ロッテ・レーマン財団の「ワールド・オヴ・ソング・アワード」受賞 »
「音楽」カテゴリの記事
- ヘルマン・プライ初来日時のプログラム(1961年4月29日東京文化会館)を疑似体験してみる(2026.07.11)
- エリー・アーメリングYouTube公式チャンネルに最近投稿された音源(トスティ:セレナータ(Tosti: La serenata))(2026.07.12)
- 「解消 D 807」- ロベルト・ホルのシューベルト歌曲解説動画シリーズ(Schubert: Auflösung | Robert Holl in Schubert's poetischer Welt - "Mein Vermächtnis")(2026.06.28)
- ピアニストのユストゥス・ツァイエン(Justus Zeyen)逝去(2026.06.21)
- エリー・アーメリングYouTube公式チャンネルに最近投稿された音源(ハイドン:人生は夢(Haydn: Das Leben ist ein Traum))(2026.06.21)
「ソプラノ歌手 soprano」カテゴリの記事
- 東京春祭 歌曲シリーズ vol.44:アドリアナ・ゴンサレス(ソプラノ)&イニャキ・エンシーナ・オヨン(ピアノ)(2025年4月8日 東京文化会館 小ホール(ネット席))(2025.05.10)
- ヴォルフ:『イタリア歌曲集』全曲の映像 (ルイーズ・オルダー、マウロ・ペーター、ジョーゼフ・ミドルトン)(2025年2月21日, ウィグモアホール)(2025.02.28)
- レナータ・スコット逝去(2023.08.19)
- レオンティン・プライス&デイヴィッド・ガーヴィー/ホワイトハウス・リサイタル(2022.02.11)
- マーラー:私はこの世からいなくなった (Mahler - Ich bin der Welt abhanden)(2021.02.05)
「バリトン歌手 baritone」カテゴリの記事
- 【没後100年記念】フォレ「レクイエム」(アーメリング、クライセン、ジュリーニ:1963年)(2024.11.09)
- クリスマスファンタジー(Kerstfantasie):エリー・アーメリング&ベルナルト・クラウセン(2023.12.08)
- エリー・アーメリング初期のヴォルフ「イタリア歌曲集」全曲(ハンス・ヴィルブリンク&フェーリクス・ドゥ・ノーベル)(1962年12月)(2022.10.10)
- エリー・アーメリング&マックス・ファン・エフモント他(Elly Ameling, Max van Egmond & others)/コンスタンテイン・ハウヘンス(Constantijn Huygens)作曲『聖と俗のパトディア(Pathodia Sacra et Profana)』(2021.05.21)
- F=ディースカウ、シュライアー、アーダム&ドゥンケルのライヴ録音(2019.10.25)
「ピアニスト pianist」カテゴリの記事
「ヴォルフ Hugo Wolf」カテゴリの記事
- ヴォルフ:太陽が輝くのが真実であるように(Wolf: So wahr die Sonne scheinet)(2026.07.04)
- ヴォルフ:悲しい道 (Wolf: Traurige Wege)(2026.06.07)
- ヴォルフ:慎ましい恋(Bescheidene Liebe)(2026.03.20)

コメント