エリー・アーメリング/マスタークラス(2015年11月22日 兵庫県・アマックホール)
エリー・アーメリング マスタークラス
Elly Ameling Masterclass
2015年11月22日(日)
午前の部 10:00〜12:00
午後の部 18:00〜20:00
会場:アマックホール(兵庫県芦屋市)
受講生:
新見準平(Jumpei NIIMI)(Bariton)
津田佳子(Keiko TSUDA)(Soprano)
乃村八千代(Yachiyo NOMURA)(Soprano)
川野貴之(Takayuki KAWANO)(Tenor)
ピアノ(Piano):出光世利子、辰村千花、加藤哲子
11月22日(日)
●10:00〜新見準平(Br)・出光世利子(P)
シューベルト(Schubert) / ハデスへの旅(Fahrt zum Hades) D526
シューベルト(Schubert) / ドナウ川の上で(Auf der Donau) D553
~アンコール~
シューベルト(Schubert) / 舟人(Der Schiffer) D536
●11:00〜津田佳子(S)・辰村千花(P)
ベルリオーズ(Berlioz) /『夏の夜 (Les nuits d'été)』op.7 H81~
1.ヴィラネル(Villanelle)
2.バラの精(Le Spectre de la Rose)
------
●18:00〜乃村八千代(S)・加藤哲子(P)
R.シュトラウス(R.Strauss) / 何も(Nichts) Op.10-2
R.シュトラウス(R.Strauss) / 『四つの最後の歌(Vier letzte Lieder)』~九月 (September)
●19:00〜川野貴之(T)・加藤哲子(P)
シューマン(Schumann) / 『詩人の恋(Dichterliebe)』op.48~
1.素晴らしく美しい五月に(Im wunderschönen Monat Mai)
2.僕の涙から生まれ出る(Aus meinen Tränen sprießen)
3.バラ、ユリ、鳩、太陽(Der Rose, die Lilie, die Taube, die Sonne)
4.君の瞳を見つめると(Wenn ich in deine Augen seh')
5.僕の魂をひたしたい(Ich will meine Seele tauchen)
※マスタークラスの公式サイトは
こちら
上記のサイトの最新の記事に修了演奏会の時の写真が掲載されていますね。
私はもちろん行けなかったのですが、シックな衣裳で微笑んで佇んでおられるアーメリングはやはりチャーミングですよね!
-------------
エリー・アーメリングの公開レッスンの第1日目を聴きに、兵庫県芦屋にあるアマックホールに行ってきた。
アーメリングは10年ぶりの来日だそうだが、私が最後に彼女のフェアウェルコンサートを聴いてからはすでに18年が経過している。
その後もマスタークラスの為に来日を重ねていたようだが、京都など関西での開催が多かったようで、私は以後彼女の姿を見る機会を得られなかった。
ちなみにアーメリングはこのアマックホールというところに25年ぶりに来たそうだ。
私は関東の人間なので、芦屋に降り立ったのはこの日がはじめてで、当然土地勘は一切なく、ただでさえ相当な方向音痴の為、地図を頼りに行こうとしたのだが、反対側の出口に出てしまったようだ。
時間がなかったので、タクシーに乗って、運転手さんに住所を伝えたのだが、運転手さんもアマックホールというのは知らないようで、カーナビを使ってもよく分からないらしい。
とにかくこの付近らしいという所で降ろしてもらい、あちらこちら住宅の立ち並ぶ道を歩き回り、番地も注意してみたのだが、どうにも同じところを行ったり来たりして、一向に目的地に着かない。
そうこうするうちに開始時間の10時が過ぎ、絶望的な気持ちで、焦りながらとにかく歩き回ると、大きな通りのある家の前に女性が立っている。
案の定、そこが目的地で、女性が声をかけてくださり、中に案内してもらうと、すでに5分ぐらい経っていた為、最初の受講生がシューベルトの「ハデスへの旅」を演奏しているところだった。
おそらく個人宅の一室なのだろう、サロン風のこじんまりとしたしゃれた空間はリートの演奏にうってつけだろう。
空いている席をようやく見つけ、腰掛けると、私の2列前(つまり最前列)に、あのアーメリング様が座っていらっしゃる!!
こんなに近距離に大ファンのあの方が(笑)!
アーメリング女史はオレンジのブラウスに茶系のベストを身につけ、白いパンツで腰掛けておられる。
会場はほぼ満席で、熱心な聴衆が集まっていた。
◆
最初の受講者、新見準平さんは重みのある朗々とした響きのバリトンで、シューベルトの低声歌手のレパートリーを披露した。
最初は珍しい「ハデスへの旅」。
演奏が終わり、アーメリングが開口一番「ハデス(Hades)とは何ですか?」と新見氏に質問。
「黄泉の国」と答えると、アーメリングは「ドイツ語で」答えるように要求。
今回のマスタークラスの主催者でもある廣澤敦子氏が通訳をしたのだが、廣澤氏自身が歌手である為、やりとりを聞いていると、受講生がアーメリングと廣澤氏の二人から指導されているような雰囲気になることもしばしば。
新見氏はトップバッターということもあってか重圧は大きかったと思うが、言葉に詰まりながらも懸命に彼女らの質問に答えていた。
アーメリングはハデスという死者の世界にボートで向かう歌であって、決して快適な喜びの歌ではないということを説明して、受講者の響きを改善させようとする。
他にも「ダナイスたち(Danaiden)」とは何ですかと新見氏に質問したが、これに新見氏が「水汲みをさせられる罪を背負った50人ほどの娘たち」と日本語で説明し、廣澤氏が通訳すると、これにはアーメリングも納得したようだ。
詩の意味するところを徹底的に突き詰める為に、歌唱以外の面での受講者の理解を確認するのは、作品に対するアーメリングの妥協のない姿勢が感じられるものだった。
1行目に「Zypressen(糸杉)」という単語が出てくるが、アーメリングはこの第2音節以降の歌い方をかなり何度もやり直させていた。
第2音節の"e"には2つの音があてられているのだが、その後半の音以降を抑えて歌うように指示。
これはアーメリングの録音や実演でもよく聞かれた歌い方だと思ったが、若い歌手がそれをやるのはなかなか大変そうだ。
高音に上昇しながら抑えた響きにするのはやはり難しいのだろう。
今回、このアーメリングがおそらく実演で一度も歌わなかったであろう「ハデスへの旅」のレッスン中、アーメリングはかなり頻繁に(しかも地声ではなく、ソプラノの歌い方で)歌ってみせてくれた。
これはファンにとっては最高のプレゼントであり、また受講者にとっても最高のお手本を聞かせてもらえるわけだから貴重だろう。
また、第2節に出てくる歌とピアノの三連符と付点を合わすか、ずらすかという、「冬の旅」の「あふれる涙」などでよく話題になる問題を新見氏がアーメリングに直に質問していたが、彼女はここではずらすのが私はいいと思うが、それは常にそうするというわけではなく、ピアーズやブリテンがしていたように、曲によって、ケースによって、使い分けるべきだとのこと。
アーメリングは過去の他人の録音を沢山聴いているのだろう。
そういう姿勢も受講者に伝えようとしているのではないか。
今回のこの歌に対して「頭声」が必要ということをよく言っていたが、その際にロベルト・ホルの録音を聴いて勉強して下さいとも言っていた。
そして、第2節の第2行で急にテンポを速めた受講者たちに対して、「楽譜にはどこにもテンポを速めるという指示がありませんよ」と、楽譜をよく読むことを忠告していた。
また、どこをレガートで、どこをスタッカートで歌うかということを見極めることが歌手にとって大事な作業だとも。
そして、アーメリングはピアニストに対しても歌手同様の出来栄えを求める。
この曲のピアノの前奏は粒が聞こえないようにレガートに均等に弾いてほしいとピアニストに何度も繰り返させる。
管楽器でプップッと吹くように音をつなげてほしいと。
もちろん音が減衰するピアノでそれをやるのは簡単ではなく、出光さんもかなり苦労していたようだが、ピアノの前奏に対するアーメリングの明確なイメージが伝えられたのは、彼女がピアノをよく聞いている証拠であろう。
参考までにマティアス・ゲルネとレオンスカヤによる録音を貼っておきます(アーメリングの理想とする演奏とは異なる部分もありそうですが)。
次も低声歌手のレパートリー「ドナウ川の上で」。
ここで前奏を弾くピアニストに対して「いいテンポですね(schönes Tempo!)」とお褒めの言葉があった。
そして、ピアノの前奏について、右手がたずねて、左手が答えるように、寄せては返すように弾いて下さいとの言葉。
オーストリアは現在原生林がないという話になり、当時はオーストリアに産業革命がまだ来ていなかったので、それほど原生林は伐採されていなかったのだという。
ここで歌われているのは、自分より大きな存在へのおそれ、また大自然の中のちっぽけな人間の存在であり、これはロマン派芸術の大切な要素でもあるとのこと。
第1節第2行で急いで演奏した受講生に対して、「ここは古城がそびえ立つ」と歌われるのだからテンポを速める必要はないと言う。
つまり、テンポの鍵はすべて詩と楽譜に書かれているということですね。
この2曲で時間になってしまったが、最後にアンコールとして、受講生が用意していたシューベルトの「舟人」D536が演奏された。
こちらは元気みなぎる曲だからアンコールとして気楽に聴けたのが良かったが、この演奏に対してアーメリングが指導するとしたらどんなことを言っただろうかなどと思ったりもしながら聴いていた。
新見さんの朗々と響く歌は魅力的で今後が楽しみなバリトン歌手であった。
◆
続いて休憩もとらずに次の受講者のレッスンに入った。
フランス歌曲を披露したソプラノの津田佳子さん。
配布された歌詞対訳にはフランク、フォーレ、ドビュッシーの歌曲が掲載されていたが、今回歌われたのはベルリオーズの歌曲集「夏の夜」から最初の2曲。
まあマスタークラスではこういう変更はよくあるのかもしれない。
津田さんはノンビブラート基調の独自の響きをもったソプラノだった。
アーメリングはまず、彼女の両耳の前に両手をあてがい壁を作り、もう一度歌って下さいとうながした。
もちろんこれは本番用ではなく、練習用の方法なのだが、こうすると実際の自分の声が聞こえるのだと言う。
なぜこの練習をさせたのか津田さんは分からなかったようだが、アーメリング曰く、4拍伸ばす箇所の3拍目までノンビブラートだったので、それに気付かせる為にこの練習をしてもらったとのこと。
アーメリングによると、バロック音楽ではなく、歌曲を聴く人はビブラートが付いた歌を聴きたいのだという。
彼女の忠告を受け、その後津田さんも意識して歌っていたが、急に改善されるというものでもなく、さらに練習が必要だろう。
また、彼女は詩を朗読させ、発音を矯正していった。
アーメリング曰く、フランス語の母音は明るいのだとか。
特に"é"(狭いe)や鼻母音の発音などを矯正していた。
またリエゾンはしっかりリエゾンする箇所と、かすかにリエゾンする箇所があるとのこと。
そういう情報を直々に教わり、受講者にとって有意義な時間だったのではないか。
津田さんの歌に対して、声を体を使って響かせて下さいと忠告していた。
これで、午前の部は終了。
アーメリングはそそくさと引っ込んでしまわれた(何か挨拶があるかと期待していたが)。
◆
夜の部はアーメリングの挨拶で始まった。
アーメリングがまた?というような反応をしたところを見ると、午前の部でも挨拶が最初にあったのだろう。
遅刻したことが残念だ。
ここでは何年ぶりにアマックホールに来て、日本の人たちの前でレッスンが出来てうれしいというようなことを言っていたように記憶している。
ちなみに夜のお召し物は、基本は朝と一緒だが、スカーフを肩に巻き、シャツもオレンジから白に変わっていた。
夜の部前半はソプラノの乃村さん。
シュトラウスの『四つの最後の歌』から2曲歌う予定で、最初の「春」を歌い終えたところで、アーメリングより「風邪ですか」と質問。
すでに一か月風邪を引いていると乃村さんが答えると、風邪をひいているのによく歌えていたけれど、これからのレッスンのことも考えて、負担のないような曲に変更するという選択肢も提示された。
つまり、アーメリングは体が資本の歌手は自分の体の状態を常に把握した行動をすべきだと言いたかったのではないか。
散々迷ったあげく「春」のレッスンは辞めて「何も」Op.10-2に変更。
ここではドイツ語の発音について"weiß ich"は「ヴァイスィヒ」ではなく「ヴァイス・イヒ」と分けて発音すべきであり、同様に"Soll ich"も「ゾリヒ」ではなく「ゾル・イヒ」と発音して下さいとのこと。
レガートに歌う部分と語るように歌う部分を区別するようにとも。
また、ピアニストには前奏を全部同じ大きさで弾くのではなく、もっと表情をつけてエレガントに弾いて下さいとのこと。
この曲のレッスンを終えて、声の調子が思ったより良かったようで、次は代わりに歌おうとした「万霊節」ではなく、当初の予定通り『四つの最後の歌』から「九月」を歌った。
ここでもアーメリングは"Der Garten"の"Der"は強く歌わず、"Garten"の"r"の後に母音を入れないなど、日本人が陥りやすい発音上の間違いを指摘していた。
また、ブレスを入れる位置などもアーメリングの指示があり、長いフレーズの時はピアニストの助けが必要とのこと。
乃村さんはかなり完成された歌手という印象で、私も十分魅了されたので、今後の活躍が楽しみである。
◆
夜の部後半はテノールの川野さん。
ピアノは前半と同じ加藤さんで、この方はドイツ語がかなり堪能らしく、通訳の廣澤さんがたびたび加藤さんに訳の助けを求めていた。
最初に第1曲から第4曲まで続けて演奏されたが、この歌手の方、かなりの美声で発音も美しく、アーメリングも褒めていた。
でも男性の方が子音が響きやすいので、女性は不利ですが、指摘はしますよと会場を笑わせる。
ただ、他の受講生と違うのは、この受講生に対して指摘する時、アーメリングは「ささいなこと(Kleinigkeit)」ですがと言ってから指摘していたところからも、アーメリングもかなり満足していたであろうことが伺われる。
第1曲各節最後の単語はやや硬いので、ちょっとファルセットをミックスしてみて下さいと指摘し、川野さんがそれにチャレンジしたことに対してもよく挑戦したと褒めていた。
高音の「イー」という響きがざらつくということは何度か指摘していたが、受講生もどうしてよいかよく分からない様子。
ここでも先ほどの乃村さんの時同様"Wenn ich"は「ヴェンニヒ」ではなく「ヴェン・イヒ」と分けるように指摘していた。
また、アメリカでのマスタークラスの動画でも指摘していたことをここでもしていた。
つまり、目的を意識して、そこに向けて歌うということを第4曲の1行目で指摘していた("Wenn ich in deinen Augen seh'"は"Augen"に向けて意識する)。
本来は第4曲までのようだったが、時間があった為か、「次の曲」と言われ、第5曲も指導された。
ここでは"h"と"ch"を明確に区別することを求め、例えば"hinein"は「イナイン」に近いぐらいでいいとのこと。
強すぎると"ch"に近く聞こえるようだ。
こういうコツも惜しみなく教えてもらえ、受講生にとってはやはり大きな収穫だったのではないだろうか。
なお、この曲のレッスンの時はフリッツ・ヴンダーリヒのCDを実際にホールのプレーヤーで流して聴くということも行った。
他人の手本を聴くということをアーメリングは有効な手段と感じているのだろう。
「この伴奏者は誰ですか」とスタッフに聴くなど、ピアノにももちろん関心のあるアーメリングだった(この録音ではフーベルト・ギーセン)。
また、ここでピアノを弾いた加藤さんが実にシューマンの美しい響きを再現した演奏をしていて素晴らしかったと私も感じた。
◆
アーメリングはお茶目な人で、突然「ヨクナリマシタ」「ビボイン(鼻母音)」などの日本語を織り込んで会場をなごませる。
サービス精神旺盛な方なのだなぁとあらためて嬉しくなった。
それにしてもリートをじっくり勉強しながらも、たっぷり同じ曲を繰り返し聴ける幸せ、これは歌曲ファンのみに与えられた幸せだろう。
叩き台にされた受講生たちも、聴衆の前で駄目だしを受けたことが後々糧になることは間違いないだろうし、今後の活躍に大いに期待したい。
なお、アーメリングはこの日の指導は殆どドイツ語で行い、「夏の夜」のピアニスト、辰村さんにだけフランス語で語っていた。
アーメリングは今回3日間アマックホールでレッスンを行い(私は初日しか聞けませんでしたが)、その夜に修了演奏会を行って、今回のマスタークラスの日程を終えました。
廣澤さんより、写真や録音はしてもいいけれど、公の場には出さないで下さいとのことだったので、私の撮った1枚もここに掲載することは控えます。
本当にお元気でバイタリティにあふれていて、真剣だけれどユーモアもあり、何よりも歌曲の世界を本当に愛しておられるのが感じられて、アーメリング女史との4時間は夢のように過ぎていきました。
招聘にあたって尽力された方々に心から感謝したいと思います。
◆
ちなみに今後アマックホールに行かれる方の為に、私の失敗を繰り返さないように行き方を記しておきますね。
阪神電車の芦屋駅の「西出口」から降りて下さい(決して東出口からは降りないで下さい!)。
改札を出て、ちょっと左に進むと、比較的大きな通りに出るので、右へ進み(左にはすぐに踏み切りがあるので、その逆側です)、直進すると、3~4分ぐらいで目的地が左側にあります。
ただし、立派なお宅という感じなので、表札や案内をよく見て探してみて下さい。
改札の出口さえ間違えなければ驚くほど簡単に着きます。
アマックホール
阪神電車芦屋駅西口より約5分、
JR芦屋駅・阪急電車芦屋川駅より約12分
〒659-0072
兵庫県芦屋市川西町2-12
TEL:0797-34-3451 FAX:0797-34-3452
| 固定リンク | 0
「音楽」カテゴリの記事
- ブラームス:リートとゲザングOp.32(Brahms: Lieder und Gesänge, Op. 32)全曲(2023.12.08)
- クリスマスファンタジー(Kerstfantasie):エリー・アーメリング&ベルナルト・クラウセン(2023.12.08)
- エリー・アーメリングの歌うモーツァルトのコンサートアリア2曲のライヴ音源(1968年1月23日, アムステルダム)(2023.11.05)
- ブラームス/「なんとあなたは、僕の女王よ(Wie bist du, meine Königin, Op. 32, No. 9)」を聞く(2023.12.02)
- ブラームス/「こうして僕らは立っている、僕と僕の喜びである彼女は(So stehn wir, ich und meine Weide, Op. 32, No. 8)」を聞く(2023.11.25)
「エリー・アーメリング」カテゴリの記事
- クリスマスファンタジー(Kerstfantasie):エリー・アーメリング&ベルナルト・クラウセン(2023.12.08)
- エリー・アーメリングの歌うモーツァルトのコンサートアリア2曲のライヴ音源(1968年1月23日, アムステルダム)(2023.11.05)
- エリー・アーメリング、フランク・マルタンを語る(2023.10.07)
- エリー・アーメリングの参加したブリテン「春の交響曲」Promsライヴ音源(2023.09.16)
- エリー・アーメリング他の『マタイ受難曲 BWV 244』第2部の映像(1966年)(2023.04.08)
コメント
ご報告お待ちしておりました。
詳細な解説ありがとうございます。
私は、場所が分からず 三度も歩き回ったのですが、初心者でもあり諦めました。
23日午後と24日、1日券だったのですが修了演奏会だけ参加出来ました。
みなさん良かったです。気に留めたのは男声ふたり、バリトン伴奏のピアノ。
アーメリング様の挨拶、お姿を見ることが出来てよしです。
投稿: tada | 2015年11月29日 (日曜日) 20時43分
フランツさん、こんにちは。
アメリングとの素敵な時間を過ごされたようですね。
大変細やかな指導をなさっていたようで、受講生の方のみならず、聴講された方にも有意義な時間だったことでしょう。
また、生徒さんに必要な部分では厳しくもされる素敵な先生で、お人柄が出ていますね(*^^*)
発音については、ドイツ人歌手が歌うリートでも、単語をリエゾンにしているところと、きっちり区切るところがあって、歌い分けの理由が分からずにいました。
また、ビブラートについても、大変興味深く拝見しました。
ひところ、ビブラートはないほどいい、といようなことが言われたこともありましたね。
確かに、ノンビブラートの声は清澄ですが、ロマン派の歌を歌うには、澄みすぎるかもしれません。
ディースカウさんだったと思うのですが、日本人はビブラートをつけすぎるとおっしゃっていたのを読んだことがあります。
アメリングと反対のことを言っているのではなく、確かに、外国人が歌うリートを聴いたあと日本歌曲を聴くと、母音が多いせいかビブラート過多に聞こえます。
ビブラートは多くても、皆無でも歌の表情が全く変わってしまうと思います。
高音は、fで歌うほうが楽で、抑えて歌うのは本当にむつかしいです。
世界的な歌手たちを聴いていたら難なく歌っていますが、完全に体が共鳴箱になっていなかったらできない高度な技術だと思います。
改めて、心地いい歌を聴かせてくれている歌手の方々の日々の努力を思いますね。
会場にお着きになるのが大変だったみたいですね。
私も聞いたことのないホールです。
でも、小さいホールゆえの親密な雰囲気で、列ひとつ置いて憧れの方のそばに座られたなんて、良かったですね!!
録音OKがわかっていたら、カセットでも持って行けましたのにね。
でも、心のレコーダーにしっかり録音するのも素敵なことですものね。
お話を伺っていたら私も受講したかったな、と思いましたが、詳しいレポートのおかげで、いい勉強をさせていただきました(*^^*)
投稿: 真子 | 2015年11月30日 (月曜日) 11時09分
アメリング先生マスタークラス主催、また急遽通訳をつとめさせていただきました(予定の方が体調を崩されたのです)廣澤敦子です。
ご参加ありがとうございました。私自身かつて京都で毎年のように開催されていたマスタークラスに育てて頂いた、という気持ちからこのマスタークラスの開催を決意致しました。
素晴らしいレッスンの連続に、心が震えっぱなしでした。日本にお呼びしてよかったです。
投稿: 廣澤敦子 | 2015年11月30日 (月曜日) 12時28分
tadaさん、こんばんは。
tadaさんはアマックホールにたどり着けなかったのですか。残念でしたね。
私も迷っていた時は、このまま分からずに関東に戻ることになるのではないかと焦りました。
芦屋の西出口から出ると、直進でたどり着く場所にあると後で知り、あの苦労はなんだったのだろうかと思いました。
でも修了演奏会を聴けたとのこと、素晴らしい体験をされたのではないでしょうか。
アーメリングさん、本当にお元気ですよね。
プロの歌手としての生き方を今でも貫いておられるという印象でした。
ところで、受講生さんたちは何を歌ったのでしょうか。
差し支えなければ教えていただけると嬉しいです^^
投稿: フランツ | 2015年11月30日 (月曜日) 20時30分
真子さん、こんばんは。
本当に忘れられない時間となりました。
20年弱ぶりのアーメリングは相変わらずお元気でした。
彼女は指導する時に本当に言葉が泉のように湧き出てくるのですが、決して高圧的ではなく、快活な雰囲気を交えながら、熱いパッションのようなものが伝わってくるのです。真子さんのおっしゃるようにまさにお人柄がそのまま指導にも現れていたのだと思います。
真子さんは歌をやっておられたので、私よりもアーメリングの実践的な指摘が身をもってお分かりになるのではないでしょうか。
ドイツ語のリエゾンはおそらく個人差があるのだと思いますが、アーメリングはドイツ語の歌ではリエゾンはしないという考え方のようです。
それが正しいかどうかということよりも、どういう信念で言葉を扱っていくかということを明確にしておくことが大事なのかもしれませんね。
ビブラートについても、歌手によって、また曲の部分によって、ケースバイケースということはあると思います。でも基本的にはビブラートを付けた歌が聴きたいというのは同感です。
先日アーメリングの録音を聴いていたら、どの曲かは忘れてしまったのですが、ビブラートを付けないことで効果を挙げている箇所がありました。
これも、たまに必要性があってノンビブラートにするからこそ生きるのでしょうね。
ディースカウがそういうことを言っていたというのは知りませんでした。でも、私も昔の日本人歌手のビブラートは太くて歌詞が聞き取りにくいと感じたことはあります。聴いて心地よいビブラートというのは難しいのかもしれませんね。
そういえば、今回のマスタークラスで「ドナウ川の上で」のレッスンをしていた時に、アーメリングがある箇所の歌い方について「偉大な巨匠フィッシャー=ディースカウはそのように歌っていたけれど、私はそうしない方がいいと思う」というようなことをおっしゃっていました。偉大な先達のやることを何でも受け入れるだけではいけませんよと言われているようで、やはり自分の表現を見つけることが大事なのでしょうね。
高音をフォルテで歌う方が抑えて歌うより楽というのは、素人の私も何となく想像つきます。
アーメリングはその難しいことをこともなげにやってしまうので、一見簡単そうに思えますが、そうではないのでしょうね。
真子さんのお言葉は実践された方ならではのご感想で、とても勉強になります。
私もICレコーダーを持っていけば良かったなと後悔していますが、その代わり、学生時代ぶりに、一生懸命メモを取りました。あんなに真剣にメモを取ったことはここ最近全くなかったです。
「心のレコーダーに録音する」って素敵なたとえですね(^^)
あんな間近に憧れの歌手がいるというのに、私は緊張するどころか、まったり寛いで聞いていました。
アーメリングは決して緊張を強いる歌手ではなく、情熱のかたまりのような人でした。これまでの彼女の蓄積を惜しげもなく後進に伝えたいという思いがビシビシ伝わってきて、それはそれは濃密な時間でした。
アマックホールは最初分からなくて本当に焦りました(^-^;
西出口からアマックホールまで数分なのですが、途中に幼稚園があったと思うので、真子さんが行かれる機会がありましたら途中に幼稚園があれば正しい道だと確信できると思います。
私のように東出口から出てしまわなければ、問題なく到着できると思いますよ。
投稿: フランツ | 2015年11月30日 (月曜日) 21時10分
廣澤敦子さん、わざわざコメントいただきまして、有難うございます。
そして、このような素晴らしい機会を作っていただき、本当にファンの一人として感謝しております!
招聘するにはおそらく細かいご苦労が多々おありだったことと思いますが、廣澤さんの熱い思いが今回のマスタークラスの成功につながったのだと思います。
心が震える経験を単なる一ファンの私も共有させていただき、本当に素晴らしい時間でした。
アーメリングさんの愛弟子でおられる廣澤さんの歌もいつか聞かせていただけたら嬉しいです。
今回は本当に有難うございました。
そしてお疲れ様でした。廣澤さんの通訳のお仕事は突然決まったのですね。でも廣澤さんのパッションもアーメリングさんに負けていませんでしたよ。
投稿: フランツ | 2015年11月30日 (月曜日) 21時18分
フランツさん、詳しいレポートありがとうございます。本当に素晴らしい時間でしたね。
私も火曜日迷って会場になかなかたどり着けませんでした。会場の西のあたりをうろうろして時間ぎりぎりに到着した次第です。
アーメリンクさんは25年前このホールのオープンの時にR・ヤンセンのピアノでコンサートを行ったそうですね。
私のお気に入りは新見さんと乃村さんでした。これから活躍してくれると期待しています。
アーメリンクさんは今日、武庫川女子でのマスタークラスが最後のお仕事だそうです。
廣澤さんは関西で毎年コンサートを開いています。2012年の「冬の旅」は素晴らしかったです。
投稿: Liederkreis | 2015年12月 1日 (火曜日) 09時26分
ぼおっと聴くだけの私にはプログラムどおりか分かりませんが。
下記BOX、プログラムです。
http://yahoo.jp/box/_L6dsp
歌われた順は 津田 乃村 川野 新見さんです。
投稿: tada | 2015年12月 1日 (火曜日) 20時36分
Liederkreisさん、こんばんは。
Liederkreisさんは24日に参加されたのですね。
やはり会場、迷われましたか。
普通のお宅(とはいえ素晴らしいお家でしたが)の中にサロンがあるという感じなので、初めて行く人は迷いますよね。
私だけじゃなくてよかった(笑)
25年前というと、1990年ということになりますね。コンサートの記録だとこの前年に来日しているのですが、お忍び旅行で内輪だけのサロンコンサートという感じだったのかなぁと想像しています。
新見さんと乃村さん、確かにレッスンでも素晴らしい素材の持ち主だと感じました。
武庫川女子でのマスタークラスというのが女史の最後のお仕事なのですね。相変わらず精力的に駆けずり回っておられるのですね。
廣澤さんは関西でコンサートを開かれているのですね。今回の歌詞対訳にはさまれていたちらしにもコンサートの宣伝がありました。
一度関東でもコンサートやってくださるといいなと思います。
Liederkreisさんが情報を下さったおかげで、私もこのマスタークラスのことを知り、参加することが出来ました。
本当に有難うございました!
お互いアーメリングへの愛情を持ち続けていけたらいいですね。
投稿: フランツ | 2015年12月 1日 (火曜日) 21時21分
tadaさん、こんばんは。
プログラム、本当に有難うございます!
参加できなかった私にはどういう選曲をしたのかとても気になっていたので、tadaさんに感謝です!
新見さん以外の方は、レッスンの曲が含まれていますが、新見さんは初日のレッスンはシューベルトだったので、ブラームスの「四つの厳粛な歌」をどのように歌ったのか、そしてアーメリング女史がどのような指導を行ったのか、興味は尽きません。
いろいろなことを感じさせてくれるプログラム、有難うございました。
最初のページのアーメリング直筆のご挨拶も素敵ですね!
投稿: フランツ | 2015年12月 1日 (火曜日) 21時26分
フランツさん
Sandmanです.
私は, 11月23日に聴講しました.
私の拙い報告を, 私のブログ(http://abendrot.at.webry.info/201512/article_1.html)に記載しました.
なお, マスタークラスを企画された廣澤さんと,情報を頂いた, LiederKerisさんにこの場を借りて感謝致します.
投稿: Sandman | 2015年12月 9日 (水曜日) 14時54分
Sandmanさん、こんばんは。
Sandmanさんのマスタークラス2日目の記録、楽しみにしておりました。
Sandmanさんのブログにうかがいますね。
有難うございました!
投稿: フランツ | 2015年12月 9日 (水曜日) 19時01分
フランツさん、こんにちは。
全然関係のない話で申し訳ないのですが、ディースカウさんの10枚組BOXを買いました。
レーベル名は「THE INTENSE]でしょうか。
Amazonから「お薦めされ」(笑)、1948年の「冬の旅」の声が若々しくて素晴らしいと絶賛されていましたので。
第1曲の「おやすみ」がとてもゆっくりしたテンポでした。
私はディースカウさんの年代別の声を聞き分けることはできませんが、EMIno11真央BOXとも聴き比べてみたいと思います。
投稿: 真子 | 2015年12月22日 (火曜日) 11時58分
真子さん、こんばんは。
ディースカウのBOXを入手されたのですね^^
おそらくこれのことですよね。
http://tower.jp/item/4131713/Dietrich-Fischer-Dieskau---Milestones-of-the-Singer-of-the-Century
私も先日CDショップで見かけたのですが、まだ買っていません。
ただオリジナルの形で収録されているようですし、廉価盤なのでお買い得だと思います。
ディースカウの「冬の旅」はこのBOXでは1962年のムーア伴奏盤が収録されているようですが、実はムーアと共演する前の1940年代後半の録音というのがあって、それがまた、よく知るディースカウよりもずっと甘美でとろっとろの思い入れたっぷりの歌い方で驚かされます。クラウス・ビリングというピアニストとのその録音ももし機会があれば聴いてみて下さいね。
Amazonさんはよく関連商品をお薦めしてくださいますよね(笑)
これをきっかけに真子さんもディースカウの様々な歌唱に親しんでいただければ嬉しいです^^
プライの歌の変遷との比較も面白いかもしれませんね。
投稿: フランツ | 2015年12月23日 (水曜日) 18時26分
フランツさん、こんにちは。
まず、訂正を
EMIno11真央BOX→EMIの11枚BOX です。
すみません(^^;
今回購入したのは、こちらです(*^^*)
↓
www.amazon.co.jp/dp/B002PDB9LO/ref=pe_1807052_198774502_tnp_email_dp_i1
クラウス・ビリングとの「冬の旅」が入っていました。
ジャケット写真は、軽く微笑んだ若きディースカウさんがお茶目な感じです(*^^*)
ホント、申し訳ない位お安かったです。
「よく知るディースカウよりもずっと甘美でとろっとろの思い入れたっぷりの歌い方」を堪能してみます♪
別の歌手を色々聴き比べるのも楽しいですが、一人の歌手を年代を追って聴いていくのもいいですよね。
その歌手とちょっとだけ人生を一緒に歩いた気分になれます。
投稿: 真子 | 2015年12月24日 (木曜日) 12時51分
真子さん、こんばんは。
すみません。ディースカウのボックスは複数あるので勘違いしていました^_^;
クラウス・ビリング盤をお聴きになったのですね。
あの「おやすみ」の思い入れたっぷりの歌唱を初めて聴いた時は驚きました。
ディースカウにもこんな時代があったのかと衝撃的だったのを覚えています。
「ちょっとだけ人生を一緒に歩いた気分」とはまたまた素敵な表現ですね^^
演奏には人としての蓄積も込められているでしょうから、変遷を辿るのは確かに伝記のページをめくるようなものでしょうね。
CDをじっくり楽しんで下さいね!
投稿: フランツ | 2015年12月26日 (土曜日) 17時11分
フランツさん、こんにちは。
ディースカウさんの1948年の「冬の旅」聴きました。
このような歌を歌った時期があったのですね。
本当に思い入れたっぷりで、ディースカウさんはこのように「愛」を語られるのですね(*^^*)
その後、「知性派」と呼ばれる歌手になるわけですが、どのような心境の変化があったのか聞いてみたいです。
ディースカウさんは、たくさんCDが復刻されていて羨ましいです。
プライさんのも、どーんと出して欲しいです(;_;)
投稿: 真子 | 2015年12月29日 (火曜日) 10時34分
真子さん、こんばんは。
ディースカウの1948年の「冬の旅」、おっしゃるようになんらかのきっかけがあって、変遷していったのでしょうから、スタート地点の録音は本当に貴重ですよね。
メリハリのある語り口は最初期からすでに聞かれるのも興味深かったです。
ディーースカウの録音でまだ完全な形でCD化されていないのは、デームスとのベートーヴェン歌曲集でしょう(抜粋では出ていますが)。ブラームスの「マゲローネのロマンス」も朗読の部分がカットされた形でしか復活していないので、いずれ期待したいところです。
プライの録音は確かに随分お預けをくらっていますよね(アーメリングもなのです)。
それでも昨年はDECCAのヴォルフやシュトラウスが復活されたので、この勢いで過去の名盤の復活や、眠っているはずの膨大なライヴ音源を大放出してほしいところですね。
首を長くして待つことにしましょう^^
投稿: フランツ | 2015年12月30日 (水曜日) 18時54分