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シューベルト/「春の信仰」D686を聴く

Frühlingsglaube, D686
 春の信仰

Die linden Lüfte sind erwacht,
Sie säuseln und weben Tag und Nacht,
Sie schaffen an allen Enden.
O frischer Duft, o neuer Klang!
Nun, armes Herze, sei nicht bang!
Nun muß sich alles, alles wenden.
 穏やかな風が目を覚まし、
 昼夜を問わず、そよぎ、息づいている。
 それはいたるところで活動している。
 おお新鮮な香り、おお新しい響き!
 さあ、あわれな心よ、心配するな!
 今やすべてのことが変わるにちがいない。

Die Welt wird schöner mit jedem Tag,
Man weiß nicht, was noch werden mag,
Das Blühen will nicht enden;
Es blüht das fernste, tiefste Tal:
Nun, armes Herz, vergiß der Qual!
Nun muß sich alles, alles wenden.
 世の中は日ごとに美しくなっていく。
 さらにどうなりたがっているのか誰も知らない。
 花は咲くことをやめようとしない。
 最も遠く深い谷まで花が咲いている。
 さあ、あわれな心よ、苦しみを忘れるのだ!
 今やすべてのことが変わるにちがいない。

詩:Johann Ludwig Uhland (1787-1862)
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828)

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真子さんと、Zu-Simolinさんのリクエストにより、シューベルトの「春の信仰」を取り上げます。
もう季節は夏に向かっているようですが、この曲を聴いて、さわやかな春を思い出してみるのもいいのではないでしょうか。
春の到来とともに事態が好転するのだから悩むのはやめるのだと歌われます。
シューベルトの音楽はこれ以上ありえないほどに春の息吹を描き出しています。

歌詞の朗読(Susanna Proskura)

テキストをまず味わってみて下さい。

アンネリーゼ・ローテンベルガー(S)&ジェラルド・ムーア(P)

ローテンベルガーの爽やかな美声で聴くのは気持ち良いですね。ムーアの縁取りのはっきりした演奏も彩を添えています。

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(BR)&ジェラルド・ムーア(P)

なんと柔らかく爽やかな美声でしょう!彼の表現力の素晴らしさに脱帽です。ムーアのピアノがなんとも温かく優しいです!

クリスティアン・ゲアハーアー(BR)&ゲロルト・フーバー(P)

ゲアハーアーの力の抜けた柔らかい美声と語り口に魅了されない人はいないのでは?フーバーが柔らかくそよぐ風のような演奏を聴かせてくれます。

フリッツ・ヴンダーリヒ(T)&ピアノ伴奏(フーベルト・ギーゼン?)

ヴンダーリヒは美声を聴かせながらも、歌いこみ過ぎず抑制が効いています。ピアノも味があります。

ヘルマン・プライ(BR)&レナード・ホカンソン(P)

プライが描き出したのは成熟した大人による春の歌に感じられます。ホカンソンはプライの解釈を徹底して再現しているかのようです。

クリスタ・ルートヴィヒ(MS)&アーウィン・ゲイジ(P)

ルートヴィヒの低めの声は落ち着いた包容力を感じさせます。ゲイジは流れるように演奏しています。

エリーザベト・シューマン(S)&ジョージ・リーヴズ(P)

シューマンの歌はポルタメントが独特の味わいを醸し出しています。リーヴズは内声を浮かび上がらせた演奏を聴かせます。

ピアノ伴奏のみ(演奏者不明)

一部弾かれるべき和音が弾かれていない箇所もありますが、演奏自体はいいと思いますので、伴奏に耳を傾けて、さらに歌ってみて下さい。

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コメント

フランツさん、こんにちは。

お忙しい中、「春の信仰」をありがとうございます(*^^*)
さわやかな五月の風が吹いていて、花々も咲き乱れていますので、今の季節にぴったりですね。

詩を読んでいますと、ドイツ人にとって「春」は、とても生命力を感じる季節なんですね。
そして、「夕映えの中で」と同様に、自然を賛美するだけでなく、そこに自分の心をも読み込むあたりは、日本人と違う感覚があるんだなあと思います。

ローテンベルガーは本当に爽やかですね。ずっと聴いていたいと思わせる美声で、私も好きな歌手です。
彼女の声を聴いていると、アメリングやオジェーを思い出します。

ゲアハーアーは初めて聴きましたが、とても柔らかな響きですね。声の雰囲気や歌い口が少しディースカウさんに似ているように感じました。
そのディースカウさんの歌唱は細やかで、やはり少し哲学の香りもしました。
その対極にあるのが、ヴンダーリヒでしょうか。
伸びやかな歌から、春の喜びがまっすぐに伝わって来ました。

シューマンとルートヴィヒも可憐なソプラノと深いメゾの違いもあるでしょうけれど、同じ曲がこんなにも違って聞こえるんだと思いました。

そして、プライさん(笑)
彼が44歳の時にフィリップスにいれたこの曲は、結構速いテンポが取られていて、生命力にあふれた「春の信仰」でした。
今回上げてくださった動画は、50代でしょうか、かなりゆっくりしていて、過ぎ行く春を惜しむかのようですね。
時間を経て、どのような心の変化があったのかなと思うと、こういう聴き比べは本当に興味がつきませんね♪

今回もたくさんの歌手を取り上げてくださってありがとうございました。

投稿: 真子 | 2015年5月11日 (月曜日) 14時01分

真子さん、おはようございます。
今回も素敵なご感想を有難うございました(^^)

ドイツの春は五月に始まるそうですから、今がまさにこの歌の時期なのでしょうね。
そして、自然と自分を照らし合わせる感覚は確かにお国柄が出ているのかもしれませんね。

ローテンベルガーはリリックな美声でストレートに聴かせてくれるので、作品のありのままの姿がよく分かる歌唱だと思います。
ドイツではテレビにも出て人気者だったようです。

ゲアハーアー(日本ではゲルハーヘルという表記が一般的ですが、ゲアハーアーが原音に近く感じられます)はまさに真子さんがおっしゃるように柔らかい美声が心地よい歌手です。ドイツ語の語り口も非常に素晴らしく、ディースカウをよりまろやかにした感じですね。

ディースカウの歌唱から真子さんは哲学を感じられたのですね。確かに彼の歌唱には奥にひそむ深遠なものまで表現しているように感じます。

プライは80年代の録画のようですが、このころのプライは噛んで含めるような落ち着いた表現を聴かせてくれることが多かったように感じます。この曲から哀愁まで引き出してしまう境地に達したのでしょうか。どんな心境の変化があったのか思いを馳せてみるのも一興ですね。

投稿: フランツ | 2015年5月12日 (火曜日) 06時56分

すみませ~ん。
これもじっくり聴かせていただいて、コメントを差し上げます。
ごめんなさい。

投稿: Zu-Simolin | 2015年5月18日 (月曜日) 19時56分

Zu-Simolinさん、おはようございます。
気付くのが遅れてけしからーんなどとはこれっぽっちも思っていませんので(笑)、じっくり楽しんで下さいね。

投稿: フランツ | 2015年5月19日 (火曜日) 07時08分

コメントが遅くなりました。
と言ってたいしたコメントを差し上げることができるわけでもありませんが。

同じ曲を歌手が違えば、伴奏が異なれば、こんなふうになるんやなあ、とあらためて感じ入りました。
はつらつとした春を歌うか、香り漂う春を歌うか、これほど表現に差があるんやなあ、と。

ゲアハーアーはバリトンとありますが、いわゆるハイバリトンなのでしょうか?伴奏のピアノも含めてけっこう気に入りました。

さて、次のリクエストをしちゃっていいですか?言っちゃいますね。
シューベルトの劇付随音楽<ロザムンデ>の第7曲、「羊飼いの合唱<この草原で>(Hier auf den Fluren)」という曲です。4分あまりの曲なんですが。大好きな合唱曲なんです。

もうお気楽なリクエストは止めてくれ、ということにならないことを祈ります。

プライさんもよかった!

投稿: Zu-Simolin | 2015年6月 8日 (月曜日) 21時06分

Zu-Simolinさん、おはようございます。
コメント有難うございます(^^)

「春の信仰」は解釈によって雰囲気ががらりと変わりますよね。
ヴァーグナー歌手のフラグスタートがムーアと録音した演奏を聴いた時、その濃厚さに驚いた記憶があります。

ゲアハーアーはハイバリトンで間違いないと思います。私は彼の声を聴くと子門真人を思い出してしまいます。
爽やか、かつ明瞭で、耳に心地よい歌を聴かせてくれるので私も大好きです。ピアノのフーバーとは幼馴染みらしいです。

ロザムンデと言えば女声歌手の「満月は輝き」ばかり聞いていましたが、ご紹介いただいた合唱曲も調べてみますね。
いつになるかは分かりませんが、気長にお待ちいただけたら幸いです。

投稿: フランツ | 2015年6月10日 (水曜日) 08時53分

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