ペーター・レーゼルほか/紀尾井シンフォニエッタ東京 第97回定期演奏会(2014年11月15日 紀尾井ホール)
紀尾井シンフォニエッタ東京 第97回定期演奏会
2014年11月15日(土)14:00 紀尾井ホール
ペーター・レーゼル(Peter Rösel)(piano)
紀尾井シンフォニエッタ東京(Kioi Sinfonietta Tokyo)
オラフ・ヘンツォルト(Olaf Henzold)(指揮)
ブラームス(Brahms)/ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
Chorale St. Antoni: Andante
Variation 1: Poco più animato
Variation 2: Più vivace
Variation 3: Con moto
Variation 4: Andante con moto
Variation 5: Vivace
Variation 6: Vivace
Variation 7: Grazioso
Variation 8: Presto non troppo
Finale: Andante
ブラームス/セレナード第2番イ長調 Op.16
I. Allegro moderato
II. Scherzo: Vivace - Trio
III. Adagio non troppo
IV. Quasi menuetto - Trio
V. Rondo: Allegro
~休憩~
ブラームス/ピアノ協奏曲第1番ニ短調 Op.15
I. Maestoso
II. Adagio
III. Rondo: Allegro non troppo
~アンコール~
モーツァルト(Mozart)/ピアノ協奏曲第27番K.595より第2楽章
--------------
ペーター・レーゼルと紀尾井シンフォニエッタ東京の共演は、2005年ドレスデンで始まった。
それがこうして日本での共演につながり、ベートーヴェンの全ピアノ協奏曲演奏、そして3年に渡るロマン派のピアノ協奏曲の演奏と続き、今年最後の年となった。
今年の演目はブラームスのピアノ協奏曲第1番。
言わずとしれた名曲である。
ブラームスのピアノソロ曲を全曲録音したレーゼルだが、この協奏曲第1番に関しては正規の録音が存在せず、海外でCD-Rでライヴ収録されたものが販売されているのみである。
そういう意味でも注目の公演であり、チケットは完売したようだ(空席もあったが)。
レーゼルは室内楽やソロで聴かせてくれたよりも明らかに重厚感やキレの良さを前面に出して、この大作のオケの響きと立派に対峙していた。
紀尾井シンフォニエッタ東京の響きが力のこもったもので素晴らしく、レーゼルもオケのどっしりとした演奏に触発されたかのようながっちりした力強さを感じさせてくれた。
このピアノ協奏曲の特殊性を感じさせてくれた演奏とも言えるだろう。
レーゼルは全力でこの大作を表現し尽くし、しかし彼特有の味わい深い響きも感じさせてくれた。
素晴らしい演奏であり、いつか正規の録音を残してほしいと思わずにはいられない。
そしてアンコールでのモーツァルトが絶品!
この透徹した響きの素晴らしさは、私にとって彼からの最高のプレゼントになった。
これぞ天上の音楽!
思えばレーゼルを最初に生で聴いた2007年のリサイタルから、彼は2014年まで8年連続で(2011年も含めて)来日してくれたのだ。
毎年秋にレーゼルを聴くのが恒例になっていたので、来年以降聴けないのは寂しい。
また、しばらくしたら日本に戻ってきてほしいものである。
ありがとう、レーゼルさん!
なお、前半の2曲もブラームス。
なかなか聴けないセレナード第2番も含めて、ヘンツォルトの誠実な指揮がいい演奏を導き出していた。
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コメント
こんにちは。
レーゼルの来日公演も今秋で最終回というのは残念ですね。
レーゼルが日本のクラシック音楽界で注目されるようになったのは、このシリー
ズの功績でした。
モーツァルトのコンチェルトは、海外のコンサートプログラムでよく弾いている
ようなので、日本でもシリーズ化されるのではないかと思うのですが..。
ブラームスの第1番のCD-R盤は持ってますが、20年前の録音ですし、音質も良くないですね。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の再録音と合わせて、スタジオ録音するか、来日公演のライブ録音集を出して欲しいと思ってます。
投稿: yoshimi | 2014年11月27日 (木曜日) 09時36分
yoshimiさん、こんばんは。
コメント有難うございました!
レーゼルのシリーズ、来年以降も何かあるのではと期待して出かけたのですが、結局それらしき案内がなかったので、今年でいったん区切りを付けるのかなと思います。
ただ、モーツァルトのコンチェルトの新録音が続々とリリースされているので、いつか買って聴いてみようと思っています。
再来日してモーツァルトでシリーズ化されたら嬉しいですね。
ブラームスのソロ曲を全部録音しているだけでなく、シュライアーと組んで歌曲集と、「マゲローネのロマンス」も録音しているレーゼルがコンチェルトのスタジオ録音を残していないのは不思議です。今後に期待したいですね!
投稿: フランツ | 2014年11月27日 (木曜日) 21時35分