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ペーター・レーゼル/ドイツ・ロマン派 ピアノ音楽の諸相2014(2014年11月6日&8日 紀尾井ホール)

ペーター・レーゼル
ドイツ・ロマン派 ピアノ音楽の諸相2014

【室内楽3】
ブラームスのピアノ五重奏曲

2014年11月6日(木)19:00 紀尾井ホール

ペーター・レーゼル(Peter Rösel)(piano)*
ゲヴァントハウス弦楽四重奏団(Gewandhaus Quartett)
 フランク=ミヒャエル・エルベン(Frank-Michael Erben)(1st Violin)
 コンラート・ズスケ(Conrad Suske)(2nd Violin)
 オラフ・ハルマン(Olaf Hallmann)(Viola)
 ユルンヤーコブ・ティム(Jürnjakob Timm)(Cello)

メンデルスゾーン(Mendelssohn)/弦楽四重奏曲第6番ヘ短調Op.80
 I. Allegro vivace assai
 II. Allegro assai
 III. Adagio
 IV. Finale: Allegro molto

シューベルト(Schubert)/弦楽四重奏曲第12番ハ短調「四重奏断章」D703
 Allego assai

~休憩~

ブラームス(Brahms)/ピアノ五重奏曲ヘ短調Op.34*
 I. Allegro non troppo
 II. Andante, un poco adagio
 III. Scherzo: Allegro
 IV. Finale: Poco sostenuto — Allegro non troppo

~アンコール~
ブラームス/ピアノ五重奏曲ヘ短調Op.34より 第3楽章*

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【リサイタル3】
涙の微笑み

2014年11月8日(土)15:00 紀尾井ホール

ペーター・レーゼル(Peter Rösel)(piano)

ブラームス(Brahms)/3つの間奏曲Op.117
 No. 1 in E-flat major
 No. 2 in B-flat minor
 No. 3 in C-sharp minor

シューマン(Schumann)/フモレスケ変ロ長調Op.20
 I. Einfach - Sehr rasch und leicht
 II. Hastig
 III. Einfach und zart - Intermezzo
 IV. Innig
 V. Sehr lebhaft - Mit einigem Pomp - Zum Beschluss - Allegro

~休憩~

シューベルト(Schubert)/ピアノ・ソナタ第20番イ長調D959
 I. Allegro
 II. Andantino
 III. Scherzo: Allegro vivace
 IV. Rondo: Allegretto

~アンコール~
シューベルト/即興曲Op.90, D899より 第3番 変ト長調
ブラームス/ワルツ イ長調Op.39-15
シューマン/トロイメライOp.15-7

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ドイツのピアニスト、ペーター・レーゼルによる3年にわたる「ドイツ・ロマン派 ピアノ音楽の諸相2014」シリーズもいよいよ最終回を迎えた。
このシリーズは室内楽とリサイタルの2回がセットになっていたのだが、実は室内楽は去年、一昨年と聴くことが出来ず、最終年の今年になってようやく聴くことが出来たのである。
しかも伝統あるゲヴァントハウス弦楽四重奏団との共演なので、いやがうえでも期待は高まる。
レーゼルが登場したのは後半のブラームスのピアノ五重奏曲。
今回私の席は結構かぶりつきの良席で、ゲヴァントハウスの面々の表情は楽しめたのだが、肝心のレーゼルの姿はコンラート・ズスケさん(カールさんの御子息とのこと)の体と譜面台とピアノの蓋で完全に隠れてしまった。
つまり、レーゼルの姿が全く見えない中、音だけが響いてくるというある意味貴重な体験だった。
レーゼルは今年69歳とのこと。
若かりし頃のようなキレの良さやスマートさとは異なる、味のある温かい響きが会場を包む。
それは楽譜を誠実に再現するという段階を超えた、血肉となって初めて可能な境地に達したのではないかという印象を受けたのだ。
カルテットと意識的に一体になろうという肩肘張ったものではなく、もっと自然に寄り添いつつも、自分の見せ場では血の通った音楽を堂々と披露する。
そうした円熟の境地に達したレーゼルの演奏を聴けて、室内楽もいいものだなぁとあらためて思った。
ゲヴァントハウス弦楽四重奏団も各メンバーの掛け合いのやりとりが間近で見られて、聴けて、室内楽の醍醐味を味あわせてくれた。
前半のメンデルスゾーンもシューベルトも4つの弦楽器の対話が味わい深く、聴き入ってしまった。
アンコールではブラームスの五重奏曲の第3楽章をもう一度演奏してくれた。
温かい気持ちに包まれた一夜だった。

その2日後にはレーゼルのピアノ・リサイタル。
ブラームス、シューマン、シューベルトといった垂涎もののプログラミング!
特にブラームスは彼の若かりし頃の録音を愛聴していたので楽しみだったが、ここでもかつてよりも味わいの増したブラームスの心の独白が語られたかのようだった。
レーゼルは基本的に比較的テンポを早めに設定することが多いようだが、それが機械的にならず、人間的な血の通った響きが終始感じられたのが素晴らしかった。
シューマンの「フモレスケ」も殊更にシューマネスクな響きを強調しない自然体な演奏がレーゼルらしくて心地よかった。
そして後半のシューベルトのソナタイ長調D959。
多分レーゼルはこの曲を録音していないのではないか。
ここでもシューベルトの移ろいゆく感情の機微をレーゼルらしい自然さの中で、さりげなく響かせていた。
だが、第1楽章や最終楽章のダイナミズムにも欠けず、出るべきところでは、どっしりした重厚さも響かせる。
第2楽章もエキセントリックな慟哭を強調するというよりは自然に感情の起伏を追いながら、いつしか曲の中に聴き手を惹き込んでしまうような魅力があった。

アンコールは正規のプログラムの3人の作曲家の作品から1曲づつ。
この辺にもレーゼルのさりげないこだわりが感じられる。
いずれも歌にあふれた感動的な演奏だったが、私はブラームスのワルツが胸に迫ってきた。
こういう小品で一瞬のうちに聴き手を惹き込むレーゼルの凄さをあらためて感じることが出来た。

残りは次週のブラームスのピアノ協奏曲第1番のみである。

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