ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ&イェルク・デームス/1980年アムステルダム・シューベルト・リサイタル(Radio 4 期間限定配信)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウがイェルク・デームスと1980年に行ったオランダでのライヴ演奏が、オランダのネットラジオRadio 4で2014年8月23日現在配信されています(期間限定です)。
「Luister concert」をクリックすると通して演奏が流れますが、1曲ごとに再生マークが付いているので、好きな曲だけ聴くことも出来ます。
このプログラムを見ると、私がはじめてフィッシャー=ディースカウを生で聴いた時の選曲とよく似ていて懐かしくなります。
ディースカウは膨大なレパートリーの中におそらく好みの曲というものがあって、それらを多少入れ替えながら繰り返しステージで歌っていたのではないでしょうか。
このプログラムのほとんどの曲は、はじめてフィッシャー=ディースカウの歌で聴いて好きになったものです。
1980年代になるとディースカウの声にも徐々に陰りが見え始める頃ですが、このリサイタルではまだまだみずみずしさを保っていて、さすがの語り口の多彩さ、ニュアンスの付け方の絶妙さを味わえます。
デームスは歌との緊密なアンサンブルという点では他の歴代の共演者たちと全く遜色はないですが、タッチの色合いよりもリズムの間合いやテンポの揺らし方などに特徴が感じられ、ディースカウがデームスを好んだのもそのような所ではないかななどと想像したりもします。
私の個人的なおすすめは「タルタロスの群れ」「夜曲」「墓掘人の郷愁」「ドナウ川の上で」「ヴィルデマンの丘を越えて」などですが、全部が聴きどころと言ってもいいぐらいです。
アンコール最後の「別れ」の冒頭でディースカウが"Ade(さらば)"と歌い始めると、聴衆から笑いが起こるところなど、ライヴならではの雰囲気が味わえます。
興味のある方は配信終了になる前にぜひお聴きになってください。
ライヴ録音:1980年12月9日, Concertgebouw Grote Zaal Amsterdam(アムステルダム・コンセルトヘボウ大ホール)
Dietrich Fischer-Dieskau(ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ) (bariton)
Jörg Demus(イェルク・デームス) (piano)
1.Prometheus(プロメテウス) D.674
2.Meeresstille(海の静けさ) D.216
3.An die Leier(竪琴に寄せて) D.737
4.Memnon(メムノン) D.541
5.Freiwilliges Versinken(自ら沈み行く) D.700
6.Der Tod und das Mädchen(死と乙女) D.531
7.Gruppe aus dem Tartarus(タルタロスの群れ) D.583
8.Nachtstück(夜曲) D.672
9.Totengräbers Heimweh(墓掘人の郷愁) D.842
10.Der Wanderer an den Mond(さすらい人が月に寄せて) D.870
11.Abendstern(夕星) D.806
12.Selige Welt(幸福の世界) D.743
13.Auf der Donau(ドナウ川の上で) D.553
14.Über Wildemann(ヴィルデマンの丘を越えて) D.884
15.Wanderers Nachtlied(さすらい人の夜の歌Ⅱ) D.768
16.Des Fischers Liebesglück(漁師の恋の幸福) D.933
17.An die Laute(リュートに寄せて) D.905
18.Der Musensohn(ムーサの息子) D.764
19.Nachtviolen(はなだいこん) D.752
20.Geheimes(秘めごと) D.719
21.An Sylvia(シルヴィアに) D.891
22.Abschied(別れ) D.957 nr.7
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