石崎秀和&石川裕司/石崎秀和バリトンリサイタル(2014年6月29日 JTアートホール アフィニス)
石崎秀和バリトンリサイタル
後期ロマン派のドイツ歌曲を中心として
2014年6月29日(日)14:00 JTアートホール アフィニス
石崎秀和(Hidekazu Ishizaki)(バリトン)
石川裕司(Yuji Ishikawa)(ピアノ)
マーラー(G.Mahler)作曲
いたずらっ子をおとなしくさせるために(Um schlimme Kinder artig zu machen)
自己感情(Selbstgefühl)
ラインの伝説(Rheinlegendchen)
追憶(Erinnerung)
高度な知性を讃えて(Lob des hohen Verstands)
プフィッツナー(H.Pfitzner)作曲
彼らは今晩パーティーを催している(Sie haben heut' Abend Gesellschaft)
春の空がそんなにも青いのは(Ist der Himmel darum im Lenz so blau?)
人里離れた深い森の中(In tiefen Wald)
君は漁師の子供たちの昔話を聞いたことがあるか(Hast du von den Fischerkindern das alte Märchen vernommen)
不実さと慰め(Untreu und Trost)
~休憩~
シュトラウス(R.Strauss)作曲
僕の思いの全ては(All mein' Gedanken)
何も(Nichts)
密やかな誘い(Heimliche Aufforderung)
ああ、俺はなんて不幸な男なんだ(Ach weh, mir unglückhaftem Mann)
君を愛す(Ich liebe dich)
コルンゴルト(E.W.Korngold)作曲
夏(Sommer)
5つの歌曲集(Fünf Lieder) 作品38
Ⅰ 祝いの言葉(Glückwunsch)
Ⅱ 病人(Kranke)
Ⅲ 古いスペインの歌(Alt spanisch)
Ⅳ 古いイギリスの歌(Alt englisch)
Ⅴ 太陽のような輝きはないが(Kein Sonnenglanz)
~アンコール~
コルンゴルト/ドゥシュニッツ家のフォアグラ~結婚40周年を祝って~(Die Gansleber im Hause Duschnitz - Eine festliche Würdigung anlässlich des vierzigsten Hochzeitstages)
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歌曲のリサイタルを聴きにJTアートホール アフィニスへ出かけた。
このホールははじめて。
地下鉄溜池山王駅(私は南北線を利用した)から徒歩5分前後のJTのビルの中にある。
バリトンの石崎秀和とピアノの石川裕司を聴くのもはじめてだった。
プログラムはマーラー、プフィッツナー、シュトラウス、コルンゴルトといった後期ロマン派の歌曲が並んだ。
特にプフィッツナーやコルンゴルトの歌曲は実演ではなかなか聴くことが出来ないので、貴重な機会を楽しんだ。
コルンゴルトの歌曲はシュトラウスを素直にしたような感じで、とろとろな甘美さと親しみやすさが同居している。
いずれシュトラウスの歌曲と同様の人気を得るといいのだが。
石崎秀和はコミカルな持ち味をもったバリトンであった。
そういう意味で、マーラーの「いたずらっ子をおとなしくさせるために」「自己感情」「高度な知性を讃えて」、シュトラウスの「ああ、俺はなんて不幸な男なんだ」はその自然な身振りも含めてユーモラスな表情が楽しめた歌唱だった。
一方でマーラーの「追憶」などでは特に弱声につやや豊かさがあればさらに良かったと思われた。
しかし声を張った時の豊かな響きは素晴らしかった。
珍しい歌曲も含め、工夫されたプログラミングと真摯な歌唱は充分楽しめるものだった。
ピアノの石川裕司は安定したテクニックとさりげない表情づけのうまさがあり、好感をもって聴いた。
アンコールのコルンゴルトの歌曲はとても珍しい作品と思われるが、終演後のロビーに歌詞対訳が掲示されるという心遣いが有難かった。
詩の内容は、結婚40周年の祝辞を述べる中で、「またフォアグラが見たい」とユーモラスに催促するというもの。
こういう作品を掘り起こしてきた石崎氏の熱意が伝わる楽しい歌唱だった。
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