新国立劇場/池辺晋一郎作曲 オペラ「鹿鳴館」(2014年6月21日 新国立劇場 中劇場)
新国立劇場
2013/2014シーズン
オペラ「鹿鳴館」/池辺晋一郎
Rokumeikan/Ikebe Shinichiro
全4幕〈日本語上演/字幕付〉
2014年6月21日(土)14:00 新国立劇場 中劇場
上演時間:約3時間15分(第Ⅰ・Ⅱ幕90分 休憩30分 第Ⅲ・Ⅳ幕75分)
【影山悠敏伯爵】黒田 博
【同夫人 朝子】大倉由紀枝
【大徳寺侯爵夫人 季子】手嶋眞佐子
【その娘 顕子】高橋薫子
【清原永之輔】星野 淳
【その息子 久雄】鈴木准
【女中頭 草乃】山下牧子
【宮村陸軍大将夫人 則子】鵜木絵里
【坂崎男爵夫人 定子】池田香織
【飛田天骨】早坂直家
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【指揮】飯森範親
【原作】三島由紀夫
【上演台本】鵜山 仁
【演出】鵜山 仁
【作曲】池辺晋一郎
【美術】島 次郎
【衣裳】前田文子
【照明】沢田祐二
【振付】上田 遙
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池辺晋一郎のオペラ「鹿鳴館」をはじめて見た。
日本に多くの優れたオペラがあることは承知していたが、生で日本のオペラを見るのは今回がはじめて。
新国立劇場の委嘱作品で、2010年6月に初演されたとのこと。
三島由紀夫の原作を演出の鵜山仁が台本にして池辺晋一郎がオペラ化した。
なかなか長大などっしりとした手ごたえのある作品だった。
政治絡みの抗争に人間同士の愛憎を織り交ぜた内容で、あたかも芝居を見ているかのような緊迫感があった。
池辺氏の音楽は親しみやすい。
決して分かりやすいメロディーが出てくるわけではないのだが、映画やドラマでの音楽づくりに近いものがあるのではないか。
それぞれの場面の雰囲気を決定づける音楽が自然にドラマを展開していくのである。
日本語の扱いは比較的言葉の抑揚に沿ったものと言えるだろう。
時には字幕を見てはじめて分かる言葉もあったが、ある程度はオペラの宿命で仕方ないのだろう。
だが、若干日本語の抑揚との違いに違和感を感じた個所がないわけではなかった。
まぁ一度聴いただけなので即断は避けたい。
歌手はみな適材適所。
いい日本人歌手が沢山いるものだなぁとあらためて感じる。
主役級から脇役まで見事に揃っていた。
だが、群を抜いて素晴らしかったのが影山伯爵の黒田博だった。
こ憎たらしい役作りを役者顔負けの演技と歌唱で伝えきる。
名優を目の前にしているかのような充実した表現だった。
そして夫人 朝子の大倉由紀枝は伯爵夫人としての威厳と包容力をあわせもち、声は清澄で表現力豊か、彼女もまた名女優をまのあたりにしているかのような充実ぶりだった。
重要な役柄の久雄役は本来経種廉彦が予定されていたが、体調不良のため、別キャスト組の鈴木准が代役。
つまり彼は4日連続でこの出番の多い役柄を歌うことになる。
声は若々しく美しく、こちらも役柄に合っていた。
その恋人、顕子の高橋薫子は可憐だが芯のある声質がこれまたぴったり。
その他、清原永之輔役の星野淳の存在感、女中草乃の山下牧子の安定感など、キャストはみな素晴らしかった。
セットも衣装も鹿鳴館時代の洋装が視覚的にも楽しませた。
飯森範親指揮の東京フィルもドラマチックに演奏した。
一つ気になったのがダンサーたちの珍妙な踊りである。
あえて社交ダンスにしなかったのはおそらく演出家の意図なのだろう。
社交場でのダンスに滑稽さを意味づけようとしたのかもしれないが、私的にはあまり好きになれなかった。
そこだけが別空間になり、本質とずれたままのような感じがしたのだ。
滑稽なダンスにするにしても、もう少しやりようがあったような気がするのだが。
カーテンコールでは池辺先生も登場。
だが、拍手にこたえるだけで得意のダジャレが聞けないのはちょっと寂しい(しょうがないけれど)。
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(2014年7月20日追記)
テノールの経種廉彦(いだね・やすひこ)さんが2014年7月17日、膵臓(すいぞう)がんのため、お亡くなりになったそうです。
この日はじめて聴くはずだったのに、聴く機会を永遠に逸してしまいました。
ご冥福をお祈りいたします。
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コメント
フランツさん、こんにちは。
なかなかいい日本オペラだったようですね。
ちょっとご質問したいこともあるのですが、主人が骨折し、入院、手術することになりましたので、落ち着いたらまたコメントさせて頂きますね。
ここ数日バタバタして疲れ気味ですが、復刻DECCAのプライさんCDに力と癒しをもらっています(改めて、購入して頂いていて良かったです(*^^*))
投稿: 真子 | 2014年6月25日 (水曜日) 09時15分
真子さん、こんばんは。
ご主人様が大変な目にあわれたそうですね。くれぐれもお大事になさってください。
真子さんもいろいろ大変かとお察しいたしますが、ご無理のないようにしてくださいね。プライさんのCDを聴いて、疲れを癒してくださいね。
ご主人様の一日も早い回復を陰ながら祈っております。
投稿: フランツ | 2014年6月25日 (水曜日) 20時06分
フランツさん、こんにちは。
温かいお言葉をありがとうございました。
まだしばらくは通院・リハビリが続きますが、やっと少しづつ日常が帰ってきました。
大倉由紀枝さんは息の長いソプラノですね。
ますますのご活躍が楽しみです。
高橋薫子さんは、ヤマサキのクリスマスケーキでも有名ですね。あのCMではメゾかなと思っていたのですが、友人に借りたCDでは声が全然違い、びっくりしたことがありました。
さて、オペラにおける日本語の事についてですが
>時には字幕を見てはじめて分かる言葉もあったが、ある程度はオペラの宿命で仕方ないのだろう。
というご感想を興味深く拝見しました。
と言いますのも、プライさんの古い記事を求めて60年代、70年代の音楽雑誌を購入して読んでいて、興味深い記事を見つけたのです。
それは「外国オペラは原語上演がいいか、翻訳上演がいいか」という投稿記事です。
日本語訳で外国オペラを観たが、何を言っているのかわからない箇所が度々あったと投稿している読者がいました。
今は、外国のオペラは、字幕を出すことが定着しているようですから、時代を感じさせる面白い記事として読みました。
が、ベルカント唱法と日本語の融合という問題は未だ決着していないようですので、かつて声楽を習っていた者としても非常に関心にある問題です。
ドイツでは、ドイツリート、ジングシュピールという形でクラシック唱法とドイツ語を見事に融合させましたね。
日本語を優先させると浅い音になり、響きを優先させると日本語らしく聞こえないジレンマから、早くいい折り合いが付けばと願っています。
個人的には、少々浅い響きになっても、日本語の持つ繊細な美しさを生かして欲しいなあと思っています。
投稿: 真子 | 2014年7月 8日 (火曜日) 14時15分
真子さん、こんばんは。
少しずつ日常が帰ってきたとのこと、本当に良かったですね。
しばらく大変かと思いますが、一日も早いご回復をお祈りしております。
真子さんもお疲れのところ、コメントくださり、本当に有難うございます。
さすが真子さん、大倉由紀枝さんや高橋薫子さんもご存知なのですね。
お二人とも名唱、名演技で素晴らしかったです。日本人女声歌手の層の厚さを感じました。
「外国オペラは原語上演がいいか、翻訳上演がいいか」ということが論じられていた時期があったというのも懐かしい気がします。真子さんは声楽をやっていらっしゃったのでお詳しいと思いますが、日本語の響きとベルカントは両立は難しそうですね。でも、言葉がはっきり聞き取れるように歌うことは、やりかた次第で可能ではないかなぁという気がします。私も真子さんの「少々浅い響きになっても、日本語の持つ繊細な美しさを生かして欲しいなあ」というご意見に大賛成です。例えば鮫島有美子さんの歌う日本歌曲は本当に日本語が美しく明瞭に響いていました。オペラでも日本語らしさを維持しながら美しく響かせることが出来るのではないかなと思っています。
投稿: フランツ | 2014年7月 9日 (水曜日) 03時00分
フランツさん、こんにちは。
私は放送の仕事をちょっとしていたこともあり、言葉(日本語)にとても興味があります。
日本語は基本的に母音で終わる言葉なので(「母音の無声化」はありますが、本来の日本語に無声音はないと言われています)、ベルカントになじみやすい気がするのですが、実際に歌ってみると、複子音が多く、また子音で終わることが多いドイツ語の方が歌いやすいんです。
日本語は伝統的に言葉を響かせることがなかったからと言われています。
石造りの建物、教会などで、響きを重視した音楽が生まれたイタリア始めヨーロッパと、紙と木でできた建物に住んでいた日本人。
大きな声を出すときは、民謡のような発声で声を通るようにしたというのも、必然だったのでしょうね。そこから、やはり深い声より平たい響きが生まれたのも必然だったのだと思います。
それで、日本語には響きがないと言われます。
しかし、「ささの葉さらさら のきばにゆれる・・」というような極めて叙情的な歌をきくと、決して日本語が響きのない言葉だと思えないのです。
また、朗読をしていても、日本語特有のリズムやひびきに酔うことさえあります。
藍川由美さんというソプラノをご存知でしょうか?
ずいぶん昔に「これでいいのか、にっぽんのうた」という本を読みましたが、確かこの本の中で「日本語の母音は5つしかないと言われているが、本当にそうか?」ということを書いておられました。
例えば「うみ(海)」の「う」と「とうふ(豆腐)」の「う」は違うのではないか、と。
確かに「うみ(海)」の「う」は、ドイツ語などに近い口形ですよね。
発音以外にも興味深い記述がたくさんありました。
鮫島有美子さんの日本語の歌は美しいですね。
鮫島さんは何度か演奏会に行ったことがありますが、本当に素敵な方ですね、美人ですし。
菅三英子さんというソプラノの方の日本語も大変美しいです。
残念ながら、何枚かの「讃美歌21」というCDでしか、聴くことができないので(「讃美歌21 み栄告げる歌は」の中の”球根の中には”は逸品です)、もっと一般の人が菅さんの歌を聞けるように、日本歌曲のCDを出して欲しいと思っています。
一度、コンサートで「夜の女王」なども聞いたことがありますが、私はむしろ、中音域で歌われる日本語の美しさに惹きつけられました。
ドイツリートは大好きですが、唱歌・童謡、日本歌曲(合唱曲も含め)も素晴らしい曲がたくさんありますし、日本人として大切にしたいと思っています。
とても興味のある題材なもので長々と書いてしまいました事、お許しください。
投稿: 真子 | 2014年7月10日 (木曜日) 11時53分
真子さん、こんばんは。
真子さんは放送のお仕事をされていたことから、日本語への関心が強まったのですね。
言葉の響きについて、とても勉強になりました。有難うございます!
日本語でも語尾などの母音が無声化することがありますよね。そういう響きも再現して歌っているのを聴くと自然に感じられます。
日本語の「う」に異なる響きがあるというのは確かにそうですね。「とうふ」の「う」は「お」に近く感じられます。でも日本語の「う」は欧米語の多くのように口を前に出したりせず、深みのない発音がされると思うので、歌う時はそれらしく響かせるのが難しそうに感じます。
言葉の響きにも国ごとの背景が影響しているのですね。とても興味深く拝見しました。
藍川由美さんは日本語の歌に独自のアプローチをされる学究肌のソプラノ歌手という印象をもっています。CDは持っていますが一度生でも聴いてみたいと思います。
菅三英子さんはまだ聴いたことがありません。素敵な日本語で歌うそうですね。いつか聴いてみたいです。
「ささの葉さらさら のきばにゆれる・・」は懐かしい歌ですが、あらためて詩に注目すると確かにとても美しい響きですね。詩人は朗読されることを念頭に置くのでしょうから、どう響くかというところまで考えているのでしょうね。
私は日本語の歌は恥ずかしいほど無知なので、もっと聴いていきたいと思っています。
いろいろご教示くださり、有難うございました。
また教えてくださいね。
投稿: フランツ | 2014年7月11日 (金曜日) 03時52分
フランツさん、こんにちは。
菅さんの日本語の歌は、子音がしっかり立っていながらエレガントで、母音の響きの粒が揃っているからか自然な日本語で、言葉が美しく浮き出るんです(CD情報に誤りがありました。「球根の中には」は「讃美歌21 十字架と復活」に収録されていました。また、菅さん単独の讃美歌集も出ていますが、讃美歌だけにおすすめしにくいです)。
手前味噌ですが、プライさんも母音の響きの粒が揃っていて、フレージングのなめらかさと共にこの母音が彼の歌を自然なものにしている気もします。ことに「エ(E)」音が美しいと感じています。
一例ですが、「君こそ憩い」における後半の盛り上がるところでの「erhellt」の「e」音。
輝かしい高音も耳を引きますが、「E]音の美しさにいつも、は~とため息が出ます。
潰れやすい音なのに縦長で、奥行のある響きを保ちながら前に響くと言いましょうか。
歌において「エ」の発音が、一番むつかしいと感じています(私がど素人だからでしょうが、音域によっては泣きたくなります)。
「笹の葉さらさら・・・」は(まだ、笹飾りを家に飾っています(笑))、何気なく歌ってきた唱歌ですが、本当に美しいですよね。
日本語のサ行は、世界でも類を見ない美しさだと私は思っています。
さやかに、ささめゆき、さゆり・・。
サ行とヤ行、ナ行、マ行が結びつくと、えも言われぬ響きが生まれると思います。
唱歌・童謡には、さりげな~く美しい詩・曲が多いです。
小五の時「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」という短歌を国語の時間に習った時に、日本語の美しさにやられてしまいました。
文語の表現は本当に言い得て妙です。
だから、歌を習い始めても、必須のイタリア古典は別として、日本歌曲を教えてもらっていました。
プライさんに出会ってドイツリートに惹かれ、世界はグンと広がりましたけど♪
ドイツリートをあんなに素敵に訳されるフランツさんなら、きっとお気に入りの日本の歌をお見つけになると思います(残念ながら、数としては、ドイツリートの方が優れたものが多いですが、素敵な曲も色々ありますので。日本の歌は合唱曲に優れたものが多いです(*^^*))。
投稿: 真子 | 2014年7月11日 (金曜日) 11時04分
追伸
長い文を投稿した上に、すみません(^^;)
>日本語でも語尾などの母音が無声化することがありますよね。そういう響きも再現して歌っているのを聴くと自然に感じられます。
高田三郎さんが、「無声化」する言葉(単語なども)を楽譜に書くときは、音符ではなく「××」と表示して作曲しておられました。
非常に日本語のイントネーションを大切にする方で、有節曲で、言葉の発音が変わる時は、メロディも変えておられました。
大変なこだわりですね。
ちなみに関西では、語尾をほとんど無声化しないんです。
「おはようございますう」「・・ですう」と言いますね(笑)
狭い日本なのに面白いですね。
投稿: 真子 | 2014年7月11日 (金曜日) 11時15分
真子さん、おはようございます。
>高田三郎さんが、「無声化」する言葉(単語なども)を楽譜に書くときは、音符ではなく「××」と表示して作曲しておられました。
それは興味深いですね。貴重な情報を有難うございます。動画サイトに高田さんの作品が投稿されていたので後で聴いてみますね。
有節形式の曲で言葉によってメロディーを変えて作曲するというのは、それだけ言葉を重視しているということでしょうね。言葉をいかに伝わりやすく作曲するかということは声楽曲をつくる作曲家の永遠のテーマのような気がします。
>ちなみに関西では、語尾をほとんど無声化しないんです。
面白いですね!
関西のイントネーションを生かした作品などもありそうですね。
菅さんは調べてみるとドイツものやイタリアものもこなす歌手のようですね。そういう国際的な歌手が日本語を美しく響かせて聴かせてくれるというのは嬉しいですね。いつか聴いてみたいと思います。
プライさんの「君こそ憩い」のerhelltは輝かしく響いていますが、あのeの音は難しいのですね。声楽をやっておられた真子さんならではのお話、とても興味深いです!同じerhelltを繰り返す時にディミヌエンドするところのプライさんも素晴らしいですね。
>日本語の美しさにやられてしまいました。
文語の表現は本当に言い得て妙です。
真子さんが日本語の歌を愛されるルーツはそこにあったのですね。私ももっと日本語の歌に触れていきたいと思います。
体験談をまじえた貴重なお話、とても興味深く拝見しました。有難うございました(^^)
投稿: フランツ | 2014年7月12日 (土曜日) 09時24分
フランツさん、こんにちは。
菅さんの下のお名前、「三英子」でなく「英三子」でしたね。すみません、相変わらずそそっかしくて(^^;)
以前は出身校の京都芸大で教鞭をとっておられましたが、今は東京芸大で准教授をされているようです。
さて、日本語のアクセントを生かして作曲した代表的な曲は山田耕筰の「からたちの花」ですね。
単にアクセント通りに作っただけではレチタテーヴになりますから、曲としても美しいメロディにするのは至難の技だと改めて思います。
高田三郎さんの曲でアクセントに合わせて作曲された曲、ぱっと思いつくのは(賛美歌で申し訳ないのですが)「呼ばれています」という曲です(高田さんはカトリック信徒で、新しい日本語の賛美歌をたくさん作られました)。
カトリックの「典礼聖歌」409番、日本基督教団出版局の讃美歌第二篇83番に収録されています。
①・・はるかな遠い「声」だから、良い「耳」を持たなければ
②・・はるかな大きい「問い」だから、良い「口」を持たなけけば
③・・はるかなけわしい「道」だから、良い「足」を持たなければ
のように、「」のところが日本語のアクセントに対応させて「声」と「問い」「道」は音形を変えて、「耳」「足」と「口」も音形を変えて、楽譜内にその旨、指示されています。
高田さんは独唱曲も書いておられますがやはり、合唱曲が美しく、「水のいのち」「心の四季」が私は好きです。
最後に、関西弁での曲、ありますよ!
「はせがわくんきらいや」という合唱曲です。
これは姫路市出身の長谷川集平さんという絵本作家の方が、書かれた「はせがわくんきらいや」という絵本が元です。
長谷川さんはヒ素ミルクの被害者で、この絵本も、それをテーマに子供の目線から書かれている作品です。
いきなり、「ぼくは、はせがわくんがきらいです」と始まります。
子供の無邪気ゆえの残酷なことばとと暖かさが同居した魅力的な(と言ってしまうのもはばかられますが)曲です。
姫路混声合唱団が外山雄三先生に委嘱した作品なのですが、初演は大阪の合唱団で、その演奏(男声三部)がYouTubeにあがっています。
私も独身の頃、姫混に入っていまして、定演で歌いました。
私は人生の殆どは兵庫で暮らしていますが、大阪育ちですので(2歳から13歳という言葉を習得する年齢)今も言葉は大阪弁です。
大阪弁(も実は地域で色々なんですが)と姫路弁では単語自体とアクセントも違うものが結構あるんです。引っ越してみてわからない言葉も色々あって、びっくりしました。
近畿圏の方以外は判別しにくいと思いますが、近畿民には言葉で大体どこの県かわかります。
この「はせがわくんきらいや」は姫路弁と姫路のアクセントで作られています。
関西弁の曲などちょっと珍しいですし、考えさせられる曲ですので、ぜひ聞いてみてください。
投稿: 真子 | 2014年7月15日 (火曜日) 10時44分
真子さん、こんばんは。
菅英三子さんは東京芸大で准教授をされているのですね。いつか聴く機会があるといいなと思います。
「からたちの花」は美しい作品ですよね。実はアーメリングも「からたちの花」を録音しているんですよ。アカペラですが、いつもの彼女らしく胸に響く歌でした。
高田三郎の「呼ばれています」という曲は日本語のアクセントを反映した作曲をしているのですね。興味深いですね。動画サイトでは「くちなし」という独唱曲と「雨」という合唱曲を聴いてみました。どちらも美しい作品ですね。
関西弁の曲のご紹介、有難うございました。
「はせがわくんきらいや」という曲、真子さんも歌われた思い出の曲なのですね。動画サイトで聴いてみました。外山さんの曲は字幕を見なくても言葉がはっきり伝わってくるように作られていますね。重い内容を軽快な曲調にのせているのが、一層胸に刺さってきます。
私は関西弁は失礼ながらみな同じように聞こえてしまうので(すみませんm(_ _)m)、大阪弁と姫路弁の違いは分かりませんが、関西の方はイントネーションや使う言葉でどこの地域か分かるんですね。
お国柄が言葉に刻まれているというのは関東の人間にとってはうらやましいところです。
投稿: フランツ | 2014年7月16日 (水曜日) 18時46分
フランツさん、こんにちは。
アメリングの「からたちの花」は、昔友人がCDを貸してくれてダビングしよく聴きました(*^^*)
アメリングらしく、しっとりとして清澄で、胸にしみたのを覚えています。
アメリングの歌いぶりと声は日本歌曲と合っていると思いますので、もっとたくさん録音して欲しかったですね。
ちなみに、バトルが5曲程録れた日本歌曲のCDを持っていますが、こちらもしっとりとしていて良かったです。
「初恋」などとても素晴らしかったですが、曲への踏み込みという点で、やはりアメリングは素晴らしいと思います。
投稿: 真子 | 2014年7月21日 (月曜日) 17時17分
真子さん、こんばんは。
さすが真子さん、すでにアーメリングの「からたちの花」をお聴きだったのですね。おっしゃるように清澄でいながら、彼女なりに日本語を大切に歌っているのが伝わってきて、うれしい録音でした。彼女は他に中田喜直の「おやすみなさい」や「髪」を録音していて、実演ではアンコールで「たぁんき ぽーんき」も歌ってくれました。表情の細やかさがいつもの彼女らしくてもっと日本歌曲を聴きたかったなぁと思いました。
そういえばバトルの実演を聴いた時もアンコールで日本歌曲が歌われました。何の曲だったか思い出せないのが残念です(手帳を探し出せばメモしてあるはずなのですが)。
投稿: フランツ | 2014年7月21日 (月曜日) 21時20分
フランツさん、こんにちは。
アンコールで「たぁんき ぽーんき」をお聴きになったとのこと、羨ましいです。
チャーミングな表情であの曲を歌うアメリングの姿が思い浮かぶようです。
また、他にも中田作品を録音していたのですね。
バーバラ・ボニーもアンコールで日本の歌を歌ってくれました。
山田耕筰の「赤とんぼ」で、この時は、我々が思い起こす赤とんぼよりかなりパワフルで(笑)、やはりなかなか日本抒情を歌いだすのはむつかしいのかなと思ったものです。
しかし、さすがはボニー、翌年にアンコールで歌ってくれた武満徹さんの「小さな空」は実にしみじみしていて、本当に引き込まれました。
投稿: 真子 | 2014年7月22日 (火曜日) 16時42分
真子さん、こんばんは。
バーバラ・ボニーも日本語の歌を歌ってくれたのですね。「赤とんぼ」はパワフルだったそうですね。日本人の郷愁を呼び起こすこの曲も、外国人からみたら、ひとつのリートとして西洋風に歌ってしまうのかもしれませんね。
武満徹の「小さな空」は良かったそうですね。曲との相性があるのかもしれませんね。
ボニーも日本歌曲を録音してくれたらいいですね。
投稿: フランツ | 2014年7月24日 (木曜日) 04時10分