アルド・チッコリーニ/ピアノ・リサイタル(2014年6月18日 東京芸術劇場 コンサートホール)
アルド・チッコリーニ ピアノ・リサイタル
2014年6月18日(水)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール
アルド・チッコリーニ(Aldo Ciccolini)(Piano)
ブラームス/4つのバラード 作品10
Johannes BRAHMS / 4 Ballades Op.10
第1曲 ニ短調 アンダンテ
第2曲 ニ長調 アンダンテ
第3曲 間奏曲 ロ短調 アレグロ
第4曲 ロ長調 アンダンテ・コン・モート
グリーグ/ピアノ・ソナタ ホ短調 作品7
Edvard GRIEG / Piano Sonata in e-minor Op.7
第1楽章 アレグロ・モデラート
第2楽章 アンダンテ・モルト・カンタービレ
第3楽章 アラ・メヌエット、マ・ポコ・ピウ・レント
第4楽章 フィナーレ:モルト・アレグロ
~休憩~
ボロディン/小組曲
Alexandre BORODINE / Petite Suite
第1曲 尼僧院にて
第2曲 間奏曲
第3曲 マズルカ
第4曲 マズルカ
第5曲 夢
第6曲 セレナード
第7曲 夜想曲
カステルヌオーヴォ=テデスコ/ピェディグロッタ 1924 ナポリ狂詩曲
Mario CASTELNUOVO-TEDESCO / Piedigrotta 1924, Rapsodia napoletana
第1曲 タランテッラ スクーラ
第2曲 ノッテ エ ルーナ
第3曲 カラシュナテ
第4曲 ヴォーチェ・ルンタナ
第5曲 ラリウラ
~アンコール~
D.スカルラッティ/ソナタ ホ長調 K380
ドビュッシー/前奏曲集第1巻~ミンストレル
ファリャ/「恋は魔術師」~火祭りの踊り
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現在88歳のピアニスト、アルド・チッコリーニを聴いた。
2年前に聴いた時は感銘を受けつつも、これで聴きおさめなのかもしれないと思っていたが、再び来日してくれて感激である。
ご本人と招聘者に感謝あるのみだ。
チッコリーニは杖をついて猫背気味にゆっくりとした足取りでステージ中央まで歩き、一見ちょっと大丈夫かなと思わせる。
しかし、ピアノに向かった彼はまだまだ一流のピアニストであった。
「この年齢のわりには」という前置きが一切必要なく、テクニックは驚くほど安定していて、テンポも崩れず、美しいタッチを聴かせる。
88歳まで健在でいることだけでもすごいことなのに、ピアニストとしての技能を維持しているその姿勢が素晴らしい。
それからプログラミングが守りに入らず、広範な彼のレパートリーから知られざる作品をこうして紹介してくれるのもうれしい。
ブラームス以外は生ではじめて聴く作品ばかりであり、グリーグにピアノソナタがあったということさえ初めて知った。
コンサート前に音源でどういう作品なのかは確認したが、生で聴ける機会の少ない作品だけに楽しみだった。
チッコリーニの演奏を聴いて感じたのが、いい具合に脱力していることだ。
決して気の抜けた音ではなく、音にまるみがあって優しいのだ。
テンポはだれずにさくさく進むが、機械的にはならず、ちょうど快適なテンポ感である。
テクニックはほぼ万全といっていいのではないだろうか。
目立った傷はほとんど感じられなかった。
小品の連続とはいえ、かなりのスタミナが要求される内容にも感じられ、ゆっくりと歩いていた足取りからは信じられないほどである。
アンコールの最後で激しい「火祭りの踊り」まで見事に披露できるぐらいだから、最後まで余力はあったのだろう。
ドビュッシーのミンストレルの洒落たリズムさばきも良かった。
作品としては、グリーグのソナタの第3楽章、ボロディンの第1曲とセレナード、終曲、カステルヌオーヴォ=テデスコの第2曲、終曲などは特に気に入った。
チッコリーニの美しい響きに包まれ、珍しい作品とも出会い、またとない貴重な時間だった。
もし可能ならばまたいずれ聴けたらどんなにいいだろう。
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