椎名雄一郎/J.S.バッハ オルガン全曲演奏会第11回(2014年5月18日 東京芸術劇場コンサートホール)
《椎名雄一郎 J.S.バッハ オルガン全曲演奏会》
第11回「ライプツィヒ・コラール集」
~様々な手法による18のライプツィヒ・コラール集
2014年5月18日(日)14:30 東京芸術劇場コンサートホール
椎名雄一郎(Yuichiro Shiina)(ORG)
石川洋人(Hiroto Ishikawa)(テノール:コラール唱)
淡野太郎(Taro Tanno)(バリトン:コラール唱)
ファンタジア「来たれ、聖霊、主なる神よ」BWV651
「来たれ、聖霊、主なる神よ」BWV652
「バビロンの流れのほとりにて」BWV653
「身を飾れ、おお愛する魂よ」BWV654
トリオ「主イエス・キリストよ、われらに目を向けたまえ」BWV655
「おお、罪のない神の子羊」BWV656
「いざ、もろびと、神に感謝せよ」BWV657
「わたしは神から離れまい」BWV658
〜休憩〜
「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV659
「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV660
「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」BWV661
「いと高きところの神にのみ栄光あれ」BWV662
「いと高きところの神にのみ栄光あれ」BWV663
「いと高きところの神にのみ栄光あれ」BWV664
「イエス・キリスト、われらの救い主は」BWV665
「イエス・キリスト、われらの救い主は」BWV666
「来たれ、創り主にして聖霊なる神よ」BWV667
「われら苦しみの極みにあるとき」BWV668a
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椎名雄一郎のJ.S.バッハ オルガン全曲演奏会の第11回に出かけた。
来年の第12回が最終回とのことで、長く地道な計画を継続されてきたことに敬意を表したい。
以前彼の演奏を聴いたのは今は一般使用されていない御茶ノ水のカザルスホールだった。
あの後、カザルスホールの一般使用を求める活動が有志でされていたと記憶するが、どうなったのだろうか。
まあそれはともかく、椎名氏のバッハ全曲シリーズは池袋の東京芸術劇場に場所を移して継続されている。
普段オーケストラの定期公演に行く習慣のない私は、この東京芸術劇場に来るのもおそらく20年ぶりぐらいである。
前回何のコンサートで来たのかも全く思い出せないほどの無沙汰である。
今住んでいる場所から決して遠いわけではないのだが、来る機会がなく(池袋へはしばしば来るのだが)、今回が本当に久しぶりの訪問となった。
以前は東京芸術劇場のコンサートホールのフロアまで長~いエスカレーターが続いていたと記憶するのだが、現在は改装されて途中に一度踊り場が出来ていた(いまさらだが)。
そういえばこのホールでオルガンを聴いたのもはじめてかもしれない。
確かバロック用と現代用の2種類のオルガンが設置されていたと思うが、今回はもちろんバロックオルガンによる。
今回演奏された「ライプツィヒ・コラール集」は、この為にバッハが新たに作ったのではなく、以前に作ったものからの選集で、椎名氏曰く「バッハの自信作」となっているようだ。
今回はテノールの石川洋人とバリトンの淡野太郎によるユニゾンで、それぞれのオルガン曲に使用された元のコラールが歌われてからオルガンが演奏された。
2人の歌手はオルガン演奏中はオルガンのホール奥の暗い場所に待機して、歌唱の時のみ登場して歌うという形をとっていた。
東京芸術劇場のオルガンはホール2階に設置されていて、椅子は演奏者の足が見えるようになっている為、椎名氏の忙しそうに動くペダルさばきも見ることが出来た。
歌手たちによってア・カペラで素朴で美しいコラールが歌われる時はあたかも時が止まったかのような荘厳な雰囲気がホールを満たし、教会の中にさまよいこんだような錯覚を覚える。
そしてオルガン演奏になると、コンサートホールの適度な残響を伴いながら、バッハの音がクリアに伝わってくるのである。
私は残念ながら各コラールをよく知らない為、バッハが曲の中にどう織り込んだのか判別するのは難しかった。
そのままコラールがむきだしで出てくる曲はあまりなかったように感じたのだが、どうなのだろう。
同じコラールで複数の曲が全く異なる趣で演奏されたりもするので、コラールをテーマにしたバッハの様々な創意工夫といったところなのだろうか。
椎名氏の演奏は安定したテクニックと適切なテンポ感で心地よく聴くことが出来て、心が癒された時間だった。
オリジナルのコラールが歌えるぐらいになれば、バッハがどういうことをしたのかが分かって楽しいかもしれない。
来年の最終回もぜひともうかがって、椎名氏の偉業のひとつの完結を見届けたいと思う。
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コメント
フランツさん、こんにちは。
バッハのオルガン全曲演奏とは、本当に偉業ですね。
声楽も入っているとのこと、とても贅沢なコンサートだったようですね。
コラールのメロディはドイツに伝わる民謡などを転用したものも多いですので、とても素朴ですよね。
中世の独特の雰囲気を伝えていて、私も大好きです。
もう20年位昔のことですが、アルヒーフ盤、リヒター指揮の教会カンターター全27巻(合唱と独唱 バリトンの多くをディースカウさんが歌っています)を揃えたんです。
よく行っていたCD屋さんのご主人が、27枚を一括してメーカーから購入してくださって、2年くらいかけて毎月2枚づつ分割購入でどうですかと言ってくださったのです。
言葉に尽くせないご厚意でした。
演奏の方ですが、私はバッハは信仰心で聞いてしまいますので、バッハがどう曲を構築したかという知識が欠けています(^^;)
調べてみようとは思うのですが、どこから手をつけていいのかかわらない状況です。
音楽作りの面もわかるともっと深くバッハを理解できるのでしょうけれど(らららクラシックのように)。
投稿: 真子 | 2014年5月26日 (月曜日) 14時29分
真子さん、こんばんは。
美しいユニゾンでコラールが歌われた後でオルガンが響き渡るというのは確かに贅沢なコンサートだったなぁと思います
バッハのオルガン曲を10回以上かけて全曲演奏するなんて、オルガニストの誰もが出来ることではないと思います。素晴らしい仕事ですね。
コラールは民謡起源のものも多いのですね。確かに純朴で親しみやすい曲が多いように感じました。
クリスチャンの真子さんにとって、コラールはきっと重要な意味をもつものなのでしょうね。
カール・リヒターの教会カンタータ全集をお持ちなのですね。CDショップの店主さんの粋な計らいがあって良かったですね。確かに一括で購入するのは大変ですよね。ディースカウも多数参加しているそうで、彼の歌うバッハもリートの時とはちょっと違っていていいですよね。
バッハの音楽の構築については私も慣れるところから始めようと思います。繰り返し聴くことで気付くこともあるかもしれませんからね。「ららら〜」で何か取り上げられたら見てみたいと思います。
投稿: フランツ | 2014年5月27日 (火曜日) 00時18分