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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014(2014年5月3日&4日 東京国際フォーラム、よみうり大手町ホール)

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014

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2014年5月3日(土・祝) 東京国際フォーラム
2014年5月4日(日・祝) よみうり大手町ホール

[2014年5月3日]

●公演番号175 19:30-20:15 よみうりホール
ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)

ラヴェル/夜のガスパール
 第1曲 オンディーヌ(水の妖精)
 第2曲 絞首台
 第3曲 スカルボ

ラフマニノフ/13の前奏曲 op.32より 第2、3、4、5、9、13番
(第4番が演奏されず、代わりに第10番、12番が演奏された?)

~アンコール~
ラフマニノフ/前奏曲 (op.23-6?)

●公演番号117 22:15-23:10(実際には23:35ぐらいに終演) 東京国際フォーラム ホールA
特別追加公演「祝祭の夜」

マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)※
酒井茜(ピアノ)※
ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
堀米ゆず子(ヴァイオリン)
川本嘉子(ヴィオラ)
ギードゥレ・ディルバナウスカイテ(チェロ)
吉田秀(コントラバス)
ジュリエット・ユレル(フルート)
ラファエル・セヴェール(クラリネット)
安江佐和子(パーカッション)

ストラヴィンスキー/春の祭典(2台ピアノ)※
 第1部:大地の礼賛
 第2部:生贄の儀式

サン=サーンス/動物の謝肉祭
 第1曲 序奏と獅子王の行進曲
 第2曲 雌鶏と雄鶏
 第3曲 騾馬(らば)
 第4曲 亀
 第5曲 象
 第6曲 カンガルー
 第7曲 水族館
 第8曲 耳の長い登場人物
 第9曲 森の奥のカッコウ
 第10曲 大きな鳥籠
 第11曲 ピアニスト
 第12曲 化石
 第13曲 白鳥
 第14曲 フィナーレ

〜アンコール〜
サン=サーンス/動物の謝肉祭〜フィナーレ

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[2014年5月4日]

●公演番号284 16:15-17:00 よみうり大手町ホール
「音楽の捧げもの<最期の音楽>」
フィリップ・カサール(ピアノ)

シューベルト/ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960(遺作)
 第1楽章 モルト・モデラート
 第2楽章 アンダンテ・ソステヌート
 第3楽章 スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ・コン・デリカテッツァ
 第4楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ

〜アンコール〜
シューベルト/即興曲変ト長調 D899-3

●公演番号285 18:00-19:10 よみうり大手町ホール
「音楽の捧げもの<最期の音楽>」
アブデル・ラーマン・エル=バシャ(ピアノ)

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 op.109
 第1楽章 ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ
 第2楽章 プレスティッシモ
 第3楽章 歌うように、心の底から感動をもって:アンダンテ・モルト・カンタービレ・エド・エスプレッシーヴォ

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 op.106「ハンマークラヴィーア」
 第1楽章 アレグロ
 第2楽章 スケルツォ:アッサイ・ヴィヴァーチェ-プレスト-テンポ・プリモ
 第3楽章 アダージョ・ソステヌート、アパッショナート・エ・コン・モルト・センチメント
 第4楽章 ラルゴ-アレグロ・リゾルート

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今年もラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンを聴いた。
初日に2公演、2日目に2公演を聴いたのだが、2日目は今年出来たばかりのよみうり大手町ホールという会場で聴いた(有楽町の国際フォーラムとは離れた大手町駅C3出口近くの読売新聞本社内にあり、無料のシャトルバスで行き来できるようになっている)。
東京春祭と同様、ラ・フォル・ジュルネも今回10周年とのことで、今年のテーマは「Jours de Fêtes 10回記念 祝祭の日」。これまでにテーマになった作曲家や音楽が再度登場して記念年を盛り上げるというものだった。

第1日目は夜の公演に間に合うように遅く家を出たせいか、到着した夕方の国際フォーラムの人手は例年のように立錐の余地もないほどというわけではなかった印象だった。
まずイカスミパエリアで腹ごなしをしてから地下の広場でムジカーシュというハンガリーの民俗音楽アンサンブルを聴いた(無料公演)が、これが思った以上に盛り上がって楽しかった。メンバーもノリがよく、きさくな感じ。巧みな技術で聴衆を楽しませてくれた。

その後、よみうりホールで常連のボリス・ベレゾフスキーの公演を聴いた。
ラヴェルの「夜のガスパール」は精巧な織物のような繊細さもある一方でグロテスクさも併せ持つ作品だが、それをロシアの大男ベレゾフスキーがどう演奏するのか聴きものだったが、結果は予想以上に合っていたと思う。
さらりとさくさく演奏するベレゾフスキーのある種の冷静さが、ラヴェルの音楽のひんやりとした感触とマッチしていたように感じられた。重量級の豪快なタッチで小悪魔「スカルボ」の飛び跳ねる様を彼が演奏すると、巨大モンスターのようにも感じられはしたが、それはそれで面白い。
だが、ベレゾフスキーの良さがさらにあらわれていたのはラフマニノフの前奏曲集抜粋だった。
こちらは甘美なロマンとテクニシャンとしての豪快さが見事に決まって、前奏曲の様々な色合いが万華鏡のように変化をもって輝いていた。

第1日目に聴いたもう1公演は、急に実現したアルゲリッチの初参加が話題になったもので、クレーメルほか、超豪華なメンバーがそろった。
アルゲリッチは大昔に藤沢でラビノヴィッチとのデュオを聴いたことがあったが、他のメンバーはクレーメルも含めて生で聴くのははじめての人たちばかり。
だが、日本人奏者たちはいずれもよく名の知られた人たちばかりで一度にまとめてこれら名手たちが聴けるとはうれしい公演であった。
最初にピアノ2台で「春の祭典」が演奏されたが、ホールAは巨大(5000席)なのでカメラ映像が同時に左右のスクリーンに映し出されるのだが、ピアニストたちの手元や表情がよく見えるのが有難い。アルゲリッチの強靭なタッチは健在で、余裕をもってキレのある音を響かせる。
最初のうち、やはり「春の祭典」はオーケストラの方が面白いなぁなどと思いながら聴いていたら、いつのまにか彼女たちの気迫に引き込まれて、ピアノ2台だけから繰り出される豊かな世界に魅了されていた。
さすがアルゲリッチ!
パートナーの酒井茜もアルゲリッチと互角に渡り合い見事だった。
続いて全員が登場しての「動物の謝肉祭」は名手たちの楽しいお祭りだった。
意外と2台ピアノが活躍する場面が多いこの作品でもアルゲリッチが全員を見事に引っ張り、酒井さんもよいアンサンブルを築いていた。
クレーメルや堀米さん、川本さんらベテラン勢は弦で楽しい情景をつくりあげていたし、パーカッションの安江さんも素敵なアクセントを与えていた。
若手の注目株セヴェールのクラリネットは、「森の奥のカッコウ」でピアノの後ろに隠れ、姿が全く客席から見えないところで演奏し、森の奥から聞こえるカッコウの効果をうまく出していた。
「ピアニスト」ではアルゲリッチと酒井さんが思い切り遊んで、下手なピアノ初心者の様子を見事に模してみせた。
ディルバナウスカイテの演奏する有名な「白鳥」も美しかった。
ちなみに2台のピアノのうち、左側のピアノ(プリモ?)は「春の祭典」が酒井さん、「動物の謝肉祭」がアルゲリッチだった。
メンバー全員が心から楽しんで演奏しているのが伝わってくるような本当に素晴らしい時間で、アンコールでフィナーレだけもう一度演奏されたが、時間が許すならば全曲をもう1度聴いてもいいと思えるほどだった。

2日目は今年3月に開館したばかりというよみうり大手町ホールで2つの公演を聴いた。
某新聞社に対抗したのか、ようやくこちらの新聞社もホールをもつことになったわけである。
500席というから室内楽向けの中ホールといったところだろうが、木の落ち着いた雰囲気をもち、なかなかいい響きに感じられた(まだちょっと硬い感じはあるが、徐々に馴染んでくるのだろう)。

フィリップ・カッサールは先月ドゥセの共演者として聴いたばかりだが、そちらがあまりに素晴らしかったので、今回ソロのチケットをとってみた。
演奏するのはシューベルトの最後のソナタ第21番。
カッサールがどのようにシューベルトを演奏するのか期待して聴いたが、彼はソフトな音を本当に美しく演奏した。
やわらかくデリケートなタッチで丁寧に音を紡いでいくのが実に素晴らしかった。
だが、一方で強い音は若干きつめに感じた。
もう少し強い音のタッチもデリカシーのある音を求めたくなる。
確かに作品に没入しているのは感じられ、この作品の世界観をしっかり表現しているのは伝わってきたのだが、惜しいかな、今回若干ミスが多かった。
数回ならまだしも、結構目立つミスも多く、この音楽祭での過密スケジュールでお疲れなのかもしれない。
また別の機会に聴いてみたいと思わせる良さは確かにもったピアニストだった。
アンコールの「即興曲D899-3」は実に美しく、素敵な贈り物だった。

同じ会場で、次にアブデル・ラーマン・エル=バシャを聴いた。
彼もラ・フォル・ジュルネでの常連で、聴くたびに感銘を受けるピアニストである。
非常に高く安定した技術の持ち主で、演奏は自己を全面に押し出すことなく、楽曲に誠実に向き合うピアニストで、私好みの演奏である。
今回もベートーヴェン晩年の2作品を適度に歌心ももちながら、贅肉のとれたすっきりとしたテンポと表情で、見通しのよい演奏を聞かせてくれた。
特に「ハンマークラヴィーア」の長大な第3楽章など、ともすれば持て余したような演奏になりかねない中、彼のすっきりとした表現が、この楽章の素敵な部分を伝えてくれたような気がする。
第2楽章のスケルツォが意外と落ち着いたゆっくりめのテンポ設定なのが印象的だった。
先に演奏された第30番は小規模の作品だが、実に魅力的なスマートな演奏だった。
彼の演奏は今後も聴き続けていきたい。

その後、シャトルバス10分ほどで国際フォーラムに戻り、屋台のカレーを食べて、私の今年のLFJを終えた。
有楽町側のガラス棟にNHK FMのブースがあり、そこでラジオ放送の生中継を今年もやっていた。
私も家に帰ってから、ラジオを付けて、シューベルトの八重奏曲の生中継を楽しんだ。

来年のテーマは6月ごろ発表されるらしい。
それを楽しみに待つことにしよう。

Yomiuri_otemachi_hall_01


Yomiuri_otemachi_hall_02←よみうり大手町ホール

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コメント

オ~!やはり ラ・フォル・ジュルネでラ・フォル・ジュルネされてたんですね~。
その日の日曜日 ここをのぞいたら留守のようでしたので。
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014で熱狂、乱舞しておられましたか。
私はFMでチッラと聞いた程度です。

R.シュトラウス 壮麗な春すばらしいです。
私には 少々難解音痴ふうに進む音階等は。
ボニーのピアノ版後期の方が分かりやすい。

シューベルト「春にD882」を聴く アーメリングの声がすばらしい。
まだ,天上まで行かない歌手アーメリングのような。
アンゲリカ・キルヒシュラーガー良いですね。
ことばが細やか。

投稿: tada | 2014年5月18日 (日曜日) 08時03分

tadaさん、こんにちは。
ラ・フォル・ジュルネでラ・フォル・ジュルネしてきましたよ〜!
ラジオのブースもあって、NHKのアナウンサーと評論家の西原さんがいました。

シュトラウスの「春」の歌の進行はちょっと独特ですよね。しかし、慣れるとそれが良く感じられるようになると思いますよ。ボニーはマーティノーのピアノと録音していましたね。

シューベルトの「春に」でのアーメリングの歌はやはりいいですよね。天使のようなと評されることもあるアーメリングですが、彼女の表現は人間的な情感にあふれているように感じます。
キルヒシュラーガーは現代のリート界期待の星です。メゾなのに軽やかな彼女の歌声が心地よいですね。

投稿: フランツ | 2014年5月18日 (日曜日) 09時48分

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