« Every Little Thing/Concert Tour 2014~FUN-FARE~(2014年4月20日 市川市文化会館、7月5日 東京国際フォーラム ホールA) | トップページ | 二期会/プッチーニ作曲「蝶々夫人」(2014年4月27日 東京文化会館 大ホール) »

新国立劇場バレエ団/ファスター[日本初演]、カルミナ・ブラーナ(2014年4月19&26日 新国立劇場 オペラパレス)

ファスター[日本初演]/カルミナ・ブラーナ

2014年4月19日(土)18:00 新国立劇場 オペラパレス
2014年4月26日(土)14:00 新国立劇場 オペラパレス
(40分-休憩25分-65分)

「ファスター」

4月19日(土)
闘う:小野絢子、福岡雄大
投げる:福田圭吾、米沢唯、寺田亜沙子
跳ぶ:本島美和、菅野英男、奥村康祐
チームA:五月女遥、石山沙央理、盆子原美奈、広瀬碧
チームB:髙橋一輝、小野寺雄、宇賀大将、野崎哲也
シンクロ:今村美由起、若生愛、川口藍、原田舞子
マラソン:五月女遥 ほか全員

4月26日(土)
闘う:奥田花純、タイロン・シングルトン(バーミンガム・ロイヤル・バレエ)
投げる:八幡顕光、堀口純、丸尾孝子
跳ぶ:長田佳世、小口邦明、輪島拓也
チームA:竹田仁美、石山沙央理、盆子原美奈、広瀬碧
チームB:髙橋一輝、小野寺雄、宇賀大将、野崎哲也
シンクロ:今村美由起、若生愛、川口藍、原田舞子
マラソン:竹田仁美 ほか全員

「カルミナ・ブラーナ」

4月19日(土)
運命の女神フォルトゥナ:湯川麻美子
神学生1:菅野英男
神学生2:八幡顕光
神学生3:タイロン・シングルトン(バーミンガム・ロイヤル・バレエ)
恋する女:さいとう美帆
ローストスワン:長田佳世

4月26日(土)
運命の女神フォルトゥナ:米沢唯
神学生1:奥村康祐
神学生2:福田圭吾
神学生3:福岡雄大
恋する女:小野絢子
ローストスワン:本島美和

芸術監督・振付:デヴィッド・ビントレー
Artistic Director / Choreographer : David Bintley

「ファスター」
音楽:マシュー・ハインドソン
Music : Matthew Hindson
衣裳:ベックス・アンドリュース
Costumes : Becs Andrews
照明:ピーター・マンフォード
Lighting : Peter Mumford

「カルミナ・ブラーナ」
音楽:カール・オルフ
Music : Carl Orff
装置・衣裳:フィリップ・プロウズ
Designs : Philip Prowse
照明:ピーター・マンフォード
Lighting : Peter Mumford

ソリスト歌手:
SoloSingers
安井陽子(ソプラノ)
Yasui Yoko
高橋淳(テノール)
Takahashi Jun
萩原潤(バリトン)
Hagiwara Jun
(『カルミナ・ブラーナ』)

合唱:新国立劇場合唱団(『カルミナ・ブラーナ』)
Chorus : New National Theatre Chorus

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
Orchestra : Tokyo Philharmonic Orchestra
指揮:ポール・マーフィー
Conductor : Paul Murphy

--------------------

新国立劇場バレエ団の「カルミナ・ブラーナ」ほかを2回にわたり見てきた。
カール・オルフの作品「カルミナ・ブラーナ」によるバレエは今期でバレエ団の芸術監督を離れるデヴィッド・ビントレーの振付作品で、再演である。
一緒に上演されるのが2012年のロンドンオリンピックを祝して振付られた「ファスター」で、今回が日本初演となる。

まずは40分ほどの作品「ファスター」である。
様々なアスリートが登場して、それぞれの競技をスピーディーに演じていく。
照明も競技ごとに工夫されている。
そして、大詰めは全員がマラソンランナーとなり(着替えが忙しかっただろう)、マスゲームのように大勢で動いたり、ばらばらに動いたり変化を付けて見るものを楽しませる。
時に準備運動のような所作も見られ、競歩の人がにこやかに横切っていくなど、ビントレーのユーモアが感じられる。
中ほどで「闘う」2人がゆるやかに舞う場面があるほかはほぼリズミカルで急速な場面の連続で、一糸みだれず音楽にのった演技はバレエ団の高い技術と訓練の賜物だろう。
それにしてもダンサーたちはステージ全体をぐるぐる走りまくる。
見ている方は楽しいが、きっと演じている人たちは大変だろう。
だが、ビントレーが去った後も再演を重ねてほしいものである。

そして休憩後は目当ての「カルミナ・ブラーナ」である。
前回「カルミナ・ブラーナ」を鑑賞したのが2010年5月、そして、新国立劇場バレエ団をはじめて鑑賞したのもその時だったので、懐かしさを感じた。

「カルミナ・ブラーナ」の内容については前回の感想文をご覧ください。
 こちら

歌手、合唱団、オーケストラ、バレエ団、それぞれが持てる力を出し切って、壮大だがしゃれたバレエをつくりあげていたことにまず感銘を受ける。
振付師としてのデヴィッド・ビントレーの代表作の一つと言ってもいいだろうし、運命の女神役の湯川麻美子(4年前も演じていた)にとっても代表的な役と言えるのではないか。
ビントレー自身が語っているところでは、最初日本でこの作品を上演することになった際、イギリスの文化が盛り込まれた振付に対して理解されるか不安があったという。
だが、実際そのネタもとを知らなくても充分にそのメッセージとストーリーが伝わってくる普遍性があると感じた。
バレエでは3人の神学生が3つのパートそれぞれで若さを謳歌し、酒、喧嘩、女といった甘酸っぱい思いを体験する。
最後に神学生が運命の女神フォルトゥナに足蹴にされてすごすごと引っ込んでいくところは、運命に逆らえない人生を感じさせる。

神学生いずれのキャストも見事だったが、やはり主役は運命の女神だろう。
今回初役だった米沢唯は演技自体は見事だと思ったが、やはりこの非情な女神を演じるには可愛らし過ぎる気がする。
湯川さんのキレとオーラは誰にも真似できない境地に達していた。

オケも合唱も大健闘。
そして独唱者3人も素晴らしく、特にソプラノの安井陽子はリリックで美しい声がよく伸びて、最後に歌う曲のハイトーンも見事に決めて素晴らしかった。
テノールの高橋淳はこの曲のようなキャラクターピースが合っている。
もう少しでやり過ぎになるぎりぎりぐらいの思い切った表情を聴かせてくれた。
私は今回2回見たが、1階席前方の時よりも3階後方右端の安価な席の方が音が迫力をもって伝わってきた。
「ファスター」も1階席の方がダンサーの細かい表情や息遣いなどは分かって楽しいのだが、全体としてのフォーメーションの美しさは3階席の方が圧倒的に素晴らしかった(作品にもよるのだろうが)。
近い席と遠い席で1回ずつ見ると、それぞれの良さがあることを発見できた。

両演目とも数年後にまた再演されることを祈りたい。

Carmina_burana_201404_01


Carmina_burana_201404_02

| |

« Every Little Thing/Concert Tour 2014~FUN-FARE~(2014年4月20日 市川市文化会館、7月5日 東京国際フォーラム ホールA) | トップページ | 二期会/プッチーニ作曲「蝶々夫人」(2014年4月27日 東京文化会館 大ホール) »

音楽」カテゴリの記事

バレエ・ダンス」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新国立劇場バレエ団/ファスター[日本初演]、カルミナ・ブラーナ(2014年4月19&26日 新国立劇場 オペラパレス):

« Every Little Thing/Concert Tour 2014~FUN-FARE~(2014年4月20日 市川市文化会館、7月5日 東京国際フォーラム ホールA) | トップページ | 二期会/プッチーニ作曲「蝶々夫人」(2014年4月27日 東京文化会館 大ホール) »