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新国立劇場/オッフェンバック作曲「ホフマン物語」(2013年12月1日 新国立劇場 オペラパレス)

2013/2014シーズン
ジャック・オッフェンバック/「ホフマン物語」
Jacqus Offenbach / Les Contes d'Hoffmann
全5幕【フランス語上演/字幕付】

2013年12月1日(日)14:00 新国立劇場 オペラパレス
(第1&2幕:70分-休憩30分-第3幕:50分-休憩30分-第4&5幕:45分)

【ホフマン】アルトゥーロ・チャコン=クルス(Arturo Chacón-Cruz)(T)
【ニクラウス/ミューズ】アンジェラ・ブラウアー(Angela Brower)(MS)
【オランピア】幸田浩子(S)
【アントニア】浜田理恵(S)
【ジュリエッタ】横山恵子(S)
【リンドルフ/コッペリウス/ミラクル博士/ダペルトゥット】マーク・S・ドス(Mark S. Doss)(BSBR)
【アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ】高橋 淳(T)
【ルーテル/クレスペル】大澤 建(BS)
【ヘルマン】塩入功司(BR)
【ナタナエル】渡辺文智(T)
【スパランツァーニ】柴山昌宣(BR)
【シュレーミル】青山 貴(BR)
【アントニアの母の声/ステッラ】山下牧子(MS)

【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【指揮】フレデリック・シャスラン(Frédéric Chaslin)

【ダンサー】キミホ・ハルバート;小岩井香里;平下梨奈;塩山紗也加;木原実優;谷桃子バレエ団(山際諒;守屋隆生;中村慶潤;齋藤充央;安村圭太)

【演出・美術・照明】フィリップ・アルロー(Philippe Arlaud)
【衣裳】アンドレア・ウーマン
【振付】上田 遙

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20131201_contes_dhoffmann_1


新国立劇場によるオッフェンバック唯一のオペラ「ホフマン物語」を見た(彼の他の作品はオペラではなくオペレッタである)。
今年の夏にも二期会の同演目を見たので、一年のうちに異なるプロダクションで2回見たことになる。
ここ数年で私もオペラの面白さに開眼しつつあるのだが、まだ筋や音楽が頭に入っているというところまではとてもいかず、依然として簡単な予習を直前にしてから劇場に出かけるという状態である。
ただ、聴きこんでいる歌曲と違い、ほとんど音楽が頭に入っていないオペラの鑑賞は、その場ではじめて知る新鮮さを感じることが出来るのがいい。
今回は夏に一度聴いているので、プロローグ(今回は第1幕扱い)の酒場の仲間たちの合唱やホフマンの「クラインザックの歌」、オランピアの超絶技巧の難曲、病身のアントニアが第3幕冒頭で歌うアリア、それに第4幕のいわゆる「ホフマンの舟歌」など、印象的なメロディーはある程度脳裏に残っていて、楽しむことが出来た。
オッフェンバックによる音楽は耳に残るほど親しみやすく、時にコミカル、時にドラマティックと変幻自在で、素晴らしい。
これまでオペレッタ作曲家として培ってきたものが生かされているのではないか。

この新国立劇場のプロダクションは2003年11月~12月と2005年11月~12月に続いて3度目の上演になるらしい(2005年はフロリアン・フォークトがホフマンを歌ったとのこと)。
それだけ好評なのだろう。
カラフルで派手な衣装や豪華な舞台、照明は視覚を楽しませ、ダンサーたち(女性は踊り子、男性は給仕)を使って酒場の喧騒を盛り上げるなどの工夫もあった。

フィリップ・アルローの演出は、複数あるこの作品の版を組み合わせた独自のヴァージョンだそうである(プログラムでの文による)。
一番異なるのは、おそらく最後の幕でホフマンがピストル自殺してしまい、ニクラウスに変身していたミューズが他の登場人物たち(全員かどうかは確認できなかった)と、ホフマンの詩人としての魂の蘇生を祈るという内容になっている点である。
私の席は左の脇の上方だった為、舞台左端は見えなかったのだが、それぞれの幕を彩った3人のヒロインたちが最後のミューズの場面でも登場していたようだ。

それにしてもホフマンの友人ニクラウスに扮してホフマンを見守り、危機を救う役割を担ったミューズは、二期会の時もそうだったが、今回もあたかも宝塚の男役のようである。
それがオリジナルの素直な解釈なのかもしれないが、他の解釈によるニクラウス役も見てみたい気がする。

今回はフレデリック・シャスラ指揮の東京フィルが非常に雄弁で切れのいい演奏をしていて楽しめた。
歌手陣では、ニクラウス/ミューズ役のアンジェラ・ブラウアーの常に安定した見事な歌唱が最も印象に残った。
それからリンドルフなど悪役4役を歌ったマーク・S・ドスが凄かった。
声そのものも地から湧きあがるような悪役の迫力があり、声による演技力が素晴らしかった。
一方のホフマン役のメキシコ出身のアルトゥーロ・チャコン=クルスはいい声をしており、ボリュームも充分だが、時に荒削りな箇所も聴かれた。
しかし、今後世界中で活躍するテノールに成長するのではないか。
3人のヒロインたちはいずれもそれぞれの持ち味を生かした名唱。
とりわけコロラトゥーラを見事に操った幸田浩子への聴衆の熱狂が大きかったが、アントニアの浜田理恵の歌唱も充実していて、聴きほれた。
性格的な4役を兼任した高橋 淳もいつもながらの芸達者ぶり(特にフランツのアリアは印象的)。
体を大事にして今後も活躍していただきたい。
他の脇を固める日本人歌手たちはそれぞれの役になりきり良かったと思うし、新国立劇場合唱団は相変わらず充実した歌唱だった。

先日二期会の「ホフマン物語」がテレビで放映されたので、その録画を後で見返してみたいと思う。
幻想的な内容であり、未完の大作でもあり、きっと演出家によってさまざまな可能性を秘めているのだろう。
今後も機会があれば、様々な演出で見てみたいと思う(経済的な余裕があればだが…)。

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