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ハンス・ホッター&ハンス・ドコウピルの1969年歌曲リサイタル初CD化!

名バスバリトン歌手のハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909-2003)は今年が没後10年にあたります。
それを記念して、1969年の来日公演の演奏が2枚組でCD化されました。
1枚目は「冬の旅」で、これはもう何度も繰り返しCD復活しているお馴染みの盤ですが、注目すべきは2枚目。
LPで発売されて以来一度もCD化されなかったドイツ歌曲リサイタルがとうとう復活したのです!
形態はSACDですが、ハイブリッド盤なので、私のように普通のCDプレーヤーしか持っていなくても再生可能です。

さらにうれしいのは付属解説書が充実していることです。
歌詞対訳はもちろんのこと、LP初出時の様々な寄稿文章がそのまま掲載されており、さらにホッターとドコウピルの演奏写真やホッターのサインなどもあります。
ジャケットも初出のものを使っているようで、至れり尽くせりのファン垂涎のセットになっています(決して回し者ではありませんが)。

以前に書いた関連記事は以下をご覧ください。
 こちら

曲目詳細は以下のとおりです。

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シューベルト作曲
人間の限界 D.716
春の小川のほとりで D.361
泉 D.530
ひめごと D.719
ヘリオポリス II D.754
ドナウ川の上で D.553

シューマン作曲
新緑 作品35の4
だれがあなたを悩ませたのか? 作品35の11
古いリュート 作品35の12

ブラームス作曲
喜びに満ちたぼくの女王よ 作品32の9
メロディのように 作品105の1
セレナード 作品106の1
愛の歌 作品71の5
早くおいで 作品97の5

R.シュトラウス作曲
夜 作品10の3
みつけもの 作品56の1
胸の想い 作品21の1
夜の散歩 作品29の3
憩え、わが魂 作品27の1

レーヴェ作曲
魔王 作品1の3
追いかける鐘 作品20の3
婚礼の歌 作品20の1

[アンコール]
R.シュトラウス作曲
汝(なれ)こそわが心の冠 作品21の2
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早速シューベルト、シューマン、ブラームス、R.シュトラウス、レーヴェの歌曲集を聴いてみました。
東京文化会館の小ホールで演奏されたというだけあって、声を張り上げる必要もなく、自然な表情のホッターの声が聴けました。
ちょうど60歳のホッターによる歌唱ですが、「冬の旅」の批評でよく言われる声の衰えはそれほど感じませんでした。
むしろ温かみと親密感が増して、あたかも上野の小ホールの中で聴いているかのような臨場感があり、何度聴いても飽きることがありません。
ホッターの歌は特有の人間味があるんですね。
その包み込むような温かい声でシューベルトの「春の小川のほとりで」やシューマンの「新緑」、ブラームスの「メロディのように」などが聴けるのですから、素晴らしいです。
R.シュトラウスの「胸の想い」ではホッターのユーモアあふれる語りかけに思わず微笑んでしまいます。
レーヴェの「魔王」ではその緊迫感に手に汗にぎりますし、「婚礼の歌」での早口言葉も見事です。

ピアノのドコウピルは「冬の旅」の批評では概してあまり評判がよくないですが、この歌曲リサイタルを聴いた限りではなかなか良いです。
なによりもホッターの音楽とピッタリ性格が一致しているのがいいです。
ちょっとタッチが荒くなったりするところはありますが、それ以外はよく作品を読み込んだピアノだと私には思えました。
この来日公演の2年後にドコウピルは亡くなってしまうのですから分からないものですね。

このCD解説書の最後に鷹島真琴さんが来日公演などについて触れているのですが、その中で私のブログに触れておられるのが驚きであると共に責任の重さも感じました。

Amazonのサイトで試聴も出来ますので、興味のある方はぜひ。

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コメント

フランツさん、おはようございます。

ホッターももう亡くなって10年になるのですね。
深々としていて、プライさんとはまた違った温かみを感じる歌、好きでした。

思えば、ホッター、ディースカウ、プライといった、ドイツリートの黄金期を支えた名歌手たちはもうこの世にいないのですね。
しかし、彼らは多くの、本当に素晴らしい遺産を残してくれましたので、いつまでもこれらを大切に愛でたいと思います。

今回も素晴らしいCDのご紹介をありがとうございます。
早速アマゾンで視聴してみたいと思います。

余談ですが、ディースカウさんが録音したクリスマスの歌が1枚だけあるんですね。
選曲はディースカウさんらしく、コルネリウスや、レーガーなどですが、アダムの「オー・ホーリー・ナイト(さやかに星はきらめき~讃美歌第二219)」が入っていて、どんなふうに歌われているのかとても興味があります。
HVMで廉価で出てましたので買おうかなと思っています。

投稿: 真子 | 2013年12月23日 (月曜日) 08時14分

真子さん、こんにちは。
真子さんもホッターをお好きだったと知り、うれしく思います。
おっしゃるように「深々と」した、包み込むような歌は聴く者の胸に温かい灯をともしてくれますね。
来日公演の埋れていた名演が日の目を見て、本当に良かったと思います。私の愛聴盤が増えました。
ホッターだけでなくプライもディースカウも大きな財産を遺してくれて、感謝ですね。

ところでディースカウとデームスによるクリスマス歌曲集、ぜひお聴きになってみてください。
YouTubeで「Dieskau Adam」と検索すると、アダンのO Holy night(フランス語版)を聴くことが出来ます。
ディースカウが歌うとポピュラーなクリスマスソングが「芸術歌曲」になるのが面白く、いかにもディースカウらしい歌だなぁと微笑ましく感じます。
選曲もディースカウらしいですね。

投稿: フランツ | 2013年12月23日 (月曜日) 16時03分

フランツさん、こんにちは。

ディスカウさんのクリスマス曲集、注文しました。
届くのが大晦日ということで、待ちきれず、教えてくださったYouTubeで聴いてみました。

いいですね!
言葉を大切に歌うのはいつものディスカウさんですが(といっても私はフランス語もさっぱりですが(笑))、普段の、どちらかといえば語りを重視した歌唱と違って、感情がほとばしっていたように思います。
バリトンらしい豊かな響きと、テノーラルな伸びのある高音が美しかったです。

この曲は、1930年代に世俗的と言う理由から、カトリック教会の一部の司祭から批判を受けたことがあるそうです。
他の讃美歌に比べ、華やかですものね。
今では教会でも、イブの音楽礼拝などで好んで歌われる讃美歌になっています。
私も聖歌隊で歌いましたが、歌っているととても気持ちが高揚してきます。
理性的なディスカウさんもそうだったのでしょうか。

投稿: 真子 | 2013年12月24日 (火曜日) 14時09分

真子さん、こんにちは。
ディースカウのクリスマス歌曲集、注文されたのですね。
普通のクリスマスソング集とは一味違ったディースカウらしい録音ですので、楽しんで下さいね。
アダンの曲、司祭から批判をうけたことがあるそうですね。そういう経緯を経て今も歌われ続けているのは素晴らしいことだと思います。
教えていただき、有難うございました。
ディースカウもスタイルを保ちながら、メロディを気持ち良さそうに歌っていますね。

投稿: フランツ | 2013年12月25日 (水曜日) 12時57分

フランツさん、こんにちは。

思っていたより早く、ディスカウさんのクリスマス曲集が届きました。
早速聴いていますが、「オーホーリーナイト」はCDで聴くとおっしゃるとおり、芸術歌曲の香りが高いですね。
ユーチューブで聴いたときは、とてもノリノリな感じだったのですが(なぜでしょうね)。

ゲルハルト詩の「まぶねのかたえに」は、メーグナーの曲だと全く違う音楽ですね。
作曲家によって、一つの詩から生まれる音楽がこんなに違うのだと改めて感じました。
私はプライさんの歌うバッハの「まぶねのかたえ」を愛聴しています。
彼の声で「オーホーリーナイト」も聴いてみたかったです。

投稿: 真子 | 2013年12月27日 (金曜日) 15時06分

真子さん、こんにちは。
ディースカウのクリスマス歌曲集、お聴きになったそうですね。
「オーホーリーナイト」はディースカウらしい端正でスタイリッシュな印象が強いですが、彼にしては情感を大きく前面に出してもいますし、ヨーロッパ人の血がそうさせているのかもしれませんね。YouTubeよりはCDの方が音がいいので、印象が違って感じることもありそうですね。
メルグナーの「まぶねのかたえに」は、ドイツ歌曲として聞こえてきますね。ディースカウらしい選曲だと思いました。
プライの「まぶねのかたえに」も機会があったら聴いてみますね。

投稿: フランツ | 2013年12月28日 (土曜日) 11時36分

フランツさん、こんにちは。

ずっと「ディスカウさん」と書いていましたね。
横棒一本抜けていました(汗)

今年の初めにコメントさせていただいて、一年が経ちました。
プライさんの記事はじめ、毎回の素晴らしい記事、聴き比べなど、とても楽しい時間をありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。
どうぞ良いお年をお迎えください。

投稿: 真子 | 2013年12月28日 (土曜日) 17時26分

真子さん、こんばんは。
ディウカウと表記する場合もありますから大丈夫ですよ。

こちらこそ、真子さんからの温かいコメントに励まされて、心から感謝しています。
本当に有難うございました。
私も楽しませていただきました。
来年も出来る範囲内ではありますが、ブログを更新していきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

真子さんもよい年をお迎えください(^^)

投稿: フランツ | 2013年12月29日 (日曜日) 00時05分

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