ヘルマン・プライ&ミヒャエル・クリストによる「美しい水車屋の娘」ライヴ音源(1978年4月)
ヘルマン・プライの「美しい水車屋の娘」のライヴ録音が動画サイトにアップされていたので、貼り付けておきます。
ピアニストのクリストとは来日公演もしていますが、シューベルトの録音では共演していなかったはずですので貴重な音源で、アップしてくれた方に感謝です。
シューベルト「美しい水車屋の娘(Die schöne Müllerin)」D795
ライヴ録音:1978年4月28日, University of Chicago
ヘルマン・プライ(Hermann Prey)(baritone)
ミヒャエル・クリスト(Michael Krist)(piano)
1978年4月といえば、プライはまだ48歳で脂の乗り切った全盛期真っ只中です。
演奏を聴いても、その美声はほれぼれするほどです。
また、1978年はシューベルトの没後150年の記念の年で、きっと世界各地でシューベルトを歌っていた時期と思われます。
若い頃のように情熱に身を任せるわけでもなく、晩年のように噛んでふくめるような歌い方でもなく、まさに絶好調のプライが主人公の心情と客観的な視点の両方に目を届かせた全盛期ならではの名唱が聴けます。
クリストもプライの解釈に沿った柔軟な演奏を聴かせています。
なお、11曲「ぼくのもの!」の後にアナウンサーによる曲目紹介が入っています(おそらくラジオからの音源なのでしょう)。
| 固定リンク | 0
« ペーター・レーゼル/シューマンの詩情を弾く(2013年11月16日 紀尾井ホール) | トップページ | 鎌田滋子ほか&ダルトン・ボールドウィン/プーランク没後50年記念ガラコンサート(2013年11月19日 白寿ホール) »
「音楽」カテゴリの記事
「シューベルト」カテゴリの記事
- シューベルト/子守歌(Schubert: Wiegenlied, D 498)を聞く(2023.09.02)
- シューベルト/ムーサの息子(ミューズの子)(Der Musensohn, D 764)(2023.07.01)
「ヘルマン・プライ」カテゴリの記事
- Stationen eines Interpreten:ヘルマン・プライ・ドキュメンタリー(2023.07.22)
- ヘルマン・プライ(Hermann Prey)の歌曲ディスコグラフィ(2023.07.11)
- ヘルマン・プライ(Hermann Prey)没後25年を記念して:ヴィーン・シューベルティアーデ(2023.07.22)
- アーメリングのカンタータBWV 132初出音源、プライ&シュヴァルツコプフ「フィガロの結婚」、スゼー「ドン・ジョヴァンニ」(2022.12.18)
- ヘルマン・プライの歌う歌曲映像(1971年&1963年他)(2022.07.13)
コメント
フランツさん、おはようございます。
思わずパソコンの前で、キャ~と言ってしまいました(笑)
ありがとうございます!!
水車小屋のレコーデイングはは71年(テレフンケン、フィリップス)の後は、デンオンの85年ですから、ちょうどその中間に位置している演奏ですね。
声も、人間的にも成熟、充実している時期の貴重な記録ですね。
これは是非、CD化して欲しいです。
アップしてくださった方と、見つけてくださったフランツさんに感謝です。
聴きながらこれを書いていますが、また初めからじっくり聴きます。
今のところ(9曲目まで)、71年のテレフンケン盤の流れを組んでいる感じがします。
豊かで伸びやかな美声に浸ります(ピアニッシモも美しい)。
全て聴き終わったらまたコメントします。
取り急ぎお礼まで。
投稿: 真子 | 2013年11月18日 (月曜日) 10時15分
フランツさん、今晩は。
パソコンの前で叫んだのは、真子さんだけではありません。少なくとも私が叫んでおります。うおぉぉぉ!と。
埋もれている録音や記録というものがいっぱいあるのだ、と思いました。政治的なことであれ、文化的なことであれ。
よくぞ紹介されました。プライを愛する者にとっては煌く貝殻です。
真子さん!ひとつ、しょうもない質問をさせていただいてよろしいですか?
と申しますのも、「美しき水車屋の娘」は男の立場でああだこうだと詩っている曲。女性はそれをどう聴かれるのですか?男がこう聴いているだろうと頭に留めて女性から聴きなおすのだ!という感じですか?
あるいはそうではなくて、男女を逆転させて聴いておられるのですか?
よければお教え下さい。
お返事いただければ、面白く嬉しく思います。
投稿: Zu-Simolin | 2013年11月18日 (月曜日) 19時09分
真子さん、こんばんは。
キャ〜と言っていただけて、ご紹介した甲斐がありました(笑)。
正規の録音のちょうど中間にあたる録音とのことで、これはぜひCD化してもらいたいものですね。
本当に絶好調のプライが記録されていると思います。
どうかたっぷり楽しんでくださいね(^^)
投稿: フランツ | 2013年11月19日 (火曜日) 01時16分
Zu-Simolinさん、こんばんは。
うおぉぉぉ!と叫んでいただいて、ご紹介した甲斐がありました(笑)。
プライに限らず、こうした文化的財産は埋れたままにしておくのはもったいないですね。
今後も動画サイトをこまめにチェックしてみたいと思います。
それではプライの名演をたっぷり楽しんでくださいね!
投稿: フランツ | 2013年11月19日 (火曜日) 01時33分
Zu-Simolinさん、こんばんは。
やはり叫ばれましたか(笑)
叫ばずにはいられないですよね、この動画は!!
ご質問についてですが・・・。
そうですね。
私個人は「男がこう聴いているだろうと頭に留めて女性から聴きなおすのだ!」という聴き方はしていないですね。
失恋の悲しみや苦しさというのは男女に共通した思いですので、共感して聴いている部分もあります。
しかし、全く逆転して聴いているのかと言うと、そうでもありませんし・・。
この曲は、Zu-Simolinさん同様に、71年のテレフンケン盤が愛聴盤であり(それゆえ、この曲の私のスタンダードになっています)、初めてとことん聴き込んだドイツリートでもあります。
これは、女性が、というより私の個人的なことかもしれませんが。
ヘルマン・プライさんは、音楽を絵画的に歌ってくれるように感じていますので、この曲に限らず「冬の旅」なんかもそうなんですが、”主人公の青年と、プライさんがいつしか一体化してさまよっている様を映像化して聴いている”というのが一番近いでしょうか。
無理に映像を思い浮かべるのではなく、聴いていると浮かんでくるのです。
そう言う意味では、そばから見ているように聴いている、とも言えるかもしれませんね。
上手く表現できませんが、こんな説明でお分かりになるでしょうか。
私からも、ご質問してもいいでしょうか?
男性から見たヘルマン・プライさんの魅力はどういうところでしょうか?
また、Zu-Simolinさんが感じられる、プライさんの魅力など教えていただけると嬉しいです。
投稿: 真子 | 2013年11月19日 (火曜日) 18時45分
真子さんへ。(フランツさんのコメント場を借りて)少し考えてみました。
確かに共感して聴く上で、男女は関係ないのかもしれません。おっさんの私も「グレートヒェン」ものを何の脳味噌の変換もなく味わっているのですから。つまらぬことにわざわざお答えくださり恐縮です。
ご質問の、「男の私が感じるプライは何だ?」にお答えするには相当長い文章が必要となります。コメント欄では語りきれません。もしよければメールをいただけますか?
m.crosswoods@kih.biglobe.ne.jp です。
おっさんの話をもし本当に聞きたいのであればですけれど。私こそ、真子さんの「歌」の話をお聞かせいただきたい。
投稿: Zu-Simolin | 2013年11月20日 (水曜日) 17時30分
Zu-Simolinさん、こんばんは。
「ヘルマン・プライさんの魅力について」という件名で、メールお送りしました。
ぜひ、聞かせてください。
フランツさん、度々この欄を使わせていただいてすみません・・・。
投稿: 真子 | 2013年11月20日 (水曜日) 20時01分
真子さん
いえいえ、どんどん使ってくださって大丈夫ですよ(^^)
投稿: フランツ | 2013年11月21日 (木曜日) 00時52分
フランツさん、こんにちは。
もっと、ずっと聴いていたい・・・。
そう思わせる声、歌でした。
隅々まで神経が行き届いているにもかかわらず、それを感じさせない伸びやかさ。
豊かに響く中低音、輝かしい高音、美しいピアニッシモ。
71年テレフンケンも聴き直しました。
全体的には、テレフンケンの流れだと思うのですが、一曲ずつのふくらませ方が大きく、時々ノリノリなのは、ライブ故でしょうか(録音に比べ、リタルランド、デクレシェントを多くかけていたのが耳に止まりました)。
また、3回の公式の録音に比べてテンポがゆったりしていますが、解釈なのか、ライブでより語りかけるように歌ったからなのか・・・。
また、所々に晩年の語り口がちらっと見えるところが有りました。
ライブの宿命でしょうが、曲間の咳が残念ですね。
豊潤で芳醇な美声に浸った70分でした。
改めて、ありがとうございます。
しつこいですが、CDにして欲しいですね。
投稿: 真子 | 2013年11月22日 (金曜日) 14時52分
真子さん、こんにちは。
さすがプライ・ファンの真子さん!
スタジオ録音を聴きこんでおられるだけあって、今回のライヴとの違いや共通点をなるほどと思いながら興味深く拝見しました。
神経を細やかに行き届かせているにもかかわらずそれを感じさせない自然さがプライの大きな特徴であり、魅力ですね。
余裕をもったテンポで表情が大きめなのは、やはり実際にお客さんを目の前にして歌っているところが大きいのかもしれませんね。
晩年の語り口も垣間見えたとのことで、私ももう一度聴いてみますね。
ザルツブルク音楽祭の音源などもいろいろ残っているでしょうし、いずれCD化されるといいですね。
投稿: フランツ | 2013年11月23日 (土曜日) 17時12分
フランツさん、こんにちは。
いきなりですが、フランツさんもプライさんのサインをもらわれたそうですが、ディスカウさんのはもらわれましたか?
私は、ディスカウさんのサインは写真で見ただけですが、この二人のサインを見ていて、ああ歌のスタイルと似ているなぁと思いました。
ディスカウさんのサインは、とても芸術的ですよね。
バランスなどご自分で考え抜かれたように見えます。
一方プライさんは「Hermann Prey」と普通に書いて、ちょっとだけHとPを強調してみたというサインです。
彼らしい気取らない、民謡のようなサイン。
この動画のトップにもサインがあったので、ふと、そんなことを思いました。
お差し支えなければ、フランツさんがサインをもらわれたいきさつなどお聞かせいただけますか?
歌と関係ないことを書いてすみません((^^))。
投稿: 真子 | 2013年11月26日 (火曜日) 15時27分
真子さん、こんばんは。
私はディースカウのサインは残念ながら直接もらう機会がありませんでした(サインは見たことあります)。
でもプライの場合は日付と場所を特定することが出来ます。
1984年3月1日、五反田のゆうぽうと簡易保険ホールです。
この日私ははじめてプライのコンサートを聴くため、五反田まで来て、シューベルトのゲーテの詩による歌曲を聴きました。
終演後、知り合いと一緒に楽屋を訪ねようということになり、道を迷いながらも楽屋になんとか到着するとすでにサイン待ちの行列が出来ていました。そして私の番になり、プライとピアニストのドイチュに色紙を渡して無事サインを手に入れることが出来ました。二人とも愛想がよかったことを覚えています。実はこの時にお二人の写真を撮ったので、うちの中を探せばどこかにあるはずです。
確かに字は人をあらわしているように見えますね。プライは飾り気なく、場所いっぱいに元気に書いていました。
さすが真子さん、着眼点が鋭いですね(^^)
投稿: フランツ | 2013年11月27日 (水曜日) 01時59分
フランツさん、こんにちは。
フランツさんがサインをもらわれた時も素敵なエピソードがあるのですね(*^^*)
写真があるのですか?うらやましです。
私も初めてのコンサート時にサインをもらいました。
ちょっと長くなりますが、忘れられない思い出を書いてもいいですか?
1993年10月21日の大阪での、鮫島さんとのオペラ、オペレッタの楽しいコンサートの日でした。
実はわたし、この日のプログラム終了後に、用意していたファンレターとプレゼントを持って、舞台前へ行ったのです。
初め、プライさんは「こちらでしょう?」というふうに鮫島さんを手で示されて、私が「あなたにです!」とプレゼントをプライさんの方に差し出すようにしたら、「私に?」とご自分を指差したあと、驚いたようにのけぞり、私のそばまで来てくれました(「」内は、実際の言葉でなくジャスチャーです)。
そして、日本語で「ありがとう」と言ってくれました。
その様子を見ていた客席からは、大爆笑と大きな拍手が起きました。
私は、当初はそんな大胆なことをするつもりはなかったのですが、たまたま隣り合わせた、こういうコンサートに慣れた感じの女性が「舞台に持っていったらいいのよ。日本人はそういうことをしなさすぎるから、喜びはるわよ。ギュッってしてくれはるかも。」とあまりにそそのかすので、やってしまいました。
あとで、ホールの人に注意されたのは言うまでもありません(^^;)
でも、宝物の思い出です。
世界のヘルマン・プライさんが私にだけくださった「ありがとう」。
アンコールも終わってホールを出ても、帰り難くてロビーに残っている人が30人くらいいました。
皆で1時間位はそこにいたでしょうか、誰かが「ここにいたら、プライが来てサインしてくれるらしい」との情報を持ってきました。
しばらくして、日本人マネージャ?を伴ってプライさんが現れました。
「必ず全員にサインしますから、並んでください。一人1枚お願いします。」と日本人マネージャーを通してアナウンスがありました。
ここでもう一度、嬉しいことがありました。
私にサインしてくださった後、プライさんが私を見てくださったのです。
特にひとりひとりと顔をあわせていなかったので、きっと「さっき舞台前まで来た子だ」と思われたんだと思います。
見上げると、プライさんと目が会いました。
あの時の青い瞳は今も脳裏に焼きついています。
投稿: 真子 | 2013年11月27日 (水曜日) 17時19分
真子さん、こんばんは。
プライのコンサートで素敵な体験をされたのですね。
楽しく拝見しました(^^)
きっとプライに真子さんからの気持ちがしっかり伝わったことでしょう。
プライからの「ありがとう」という言葉、本当に良かったですね。
投稿: フランツ | 2013年11月28日 (木曜日) 03時10分
はじめまして。フランツさん。私もプライの大ファンの一人です。貴重な動画をありがとうございました!今聞き入っていました。この時期の録音はなかなかきくことができなくて、とても幸せです。プライが旅立ってからもう15年になりますね。本当に
ありがとうございました☆さわくるみ☆
投稿: さわくるみ | 2014年1月 5日 (日曜日) 23時45分
さわくるみさん
はじめまして!
ご訪問とコメントを有り難うございました。
さわくるみさんもプライ・ファンなのですね。
このブログを訪問してくださる方にはプライ・ファンの方が多いので、コメント欄もあわせて読んでみると楽しんでいただけると思います。
ご紹介したプライの録音、楽しんでいただけたようで良かったです。
このようなライヴ録音が続々出てくるといいですね。
もうプライ没後15年とは早いものだなと思います。新聞の記事が比較的大きい扱いだったことと、その時受けた衝撃を今でも覚えています。
今後ともどうぞよろしくお願いします!
投稿: フランツ | 2014年1月 6日 (月曜日) 02時36分
有難うございます。みなさんのコメントを読ませていただきながら、とっても共感させてもらえて嬉しく幸せな気持ちでいっぱいです。
フランツさんや皆さんのように、私もプライの悲報がニュースで流れたときの衝撃を今でも忘れられません。
あの日はいつもよりゆっくり起きて、家族で朝食のトーストを食べながらNHKニュースを見ていました。トーストをほおばって紅茶に手を伸ばしたとき「世界的バリトン歌手のヘルマンプライさんが・・・」というアナウンサーの声が聞こえました。もう信じられなくて・・というより信じたくなくて・・トーストをほおばったまま、うそでしょと心で叫びながらぼろぼろ泣きました。きっとテレビの前で世界中の多くの方が衝撃を受けておられたことでしょう。
ついこのあいだのことのようですね。
プライへの思いをこんなにたくさんの方が持っていらっしゃることを知って、なにか温かい気持ちになれました。フランツさん、みなさん、ありがとうございました。
投稿: さわくるみ | 2014年1月 9日 (木曜日) 00時52分
さわくるみさん
こんにちは。
コメントを読んでくださったそうで有り難うございます!さわくるみさん同様、プライをこよなく愛する方々の思いがコメント欄に溢れています。プライがどうしてこれほど愛されたのか、それらのコメントから教えられたことも多いです。
プライが亡くなった日にさわくるみさんも辛い思いをされたのですね。きっと多くのプライ・ファンの方々が共感していると思います。現役のさなかでの訃報はあまりにも突然でしたからね。
ただ数多くの録音によってプライの芸術は後世まで生き続けていくでしょう。
投稿: フランツ | 2014年1月10日 (金曜日) 04時57分