キム・ソヌク/ピアノ・リサイタル(2013年7月19日 紀尾井ホール)
プロジェクト3×3 Vol.5-2
キム・ソヌク ピアノ・リサイタル
2013年7月19日(金)19:00 紀尾井ホール(1階6列5番)
キム・ソヌク(Sunwook Kim)(piano)
J.S.バッハ(Bach)/パルティータ第1番変ロ長調BWV825
Preludium
Allemande
Courante
Sarabande
Menuet Ⅰ
Menuet Ⅱ
Gigue
ベートーヴェン(Beethoven)/ピアノ・ソナタ第21番ハ長調Op.53「ワルトシュタイン」
Allegro con brio
Introduzione - Adagio molto ~ Rondo - Allegretto moderato
~休憩~
ブラームス(Brahms)/ピアノ・ソナタ第3番ヘ短調Op.5
Allegro maestoso
Andante espressivo
Scherzo. Allegro energico
Intermezzo (Rückblick). Andante molto
Finale: Allegro moderato ma rubato
~アンコール~
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調「悲愴」op.13より第2楽章
-------------------------------
韓国のピアニスト、キム・ソヌクを再び聴いた。
この日の客席は不思議なほど閑散としていた。
おそらく同じ日に築地市場で催されたホジャイノフのリサイタルにピアノ・ファンが流れてしまったのだろう。
惜しいことだ。
キム・ソヌクは現在25歳とのこと。
しかし、年齢のわりに落ち着いた雰囲気のとおりの音楽を聴かせる。
特に冒頭のバッハ「パルティータ第1番」の美しく洗練されたタッチとリズムはそうそう聴けるものではない逸品であり、深く感銘を受けた。
続くベートーヴェン「ワルトシュタイン」で、バッハでは見せなかった強靭なタッチが顔を出す。
時にそれがコントロールを失ってきつい音になることもないではなかったが、全体的に自然な表情の好ましい演奏に感じられた。
3楽章の例のグリッサンドはオクターブで弾かず、完全に両手に分けて弾いていたが、演奏が良かったのであるからそれで構わないだろう。
後半のブラームスではさらに感情を解き放ち、重厚で輝かしい響きが聴かれる。
それはブラームスの音楽が求めているものに忠実であろうとする、ピアニストの誠実な姿勢と感じられた。
まだ若さが顔を出すのは当然のこと、それ以上に現段階での大人びた表現の落ち着きと安定感、粒のそろったタッチの美しさなどを頼もしく聴いた。
次回は他のピアノ・リサイタルとかぶらないことを祈りたい。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- エリー・アーメリング(Elly Ameling)の映像(オルフェウス室内管弦楽団のドキュメンタリー:1984年)(2021.01.13)
- シューベルト「孤独な男(Der Einsame, D 800)」を聴く(2021.01.21)
- 岡村喬生さん逝去(2021.01.08)
「コンサート」カテゴリの記事
- 2020年に聴いたコンサート(江崎皓介ピアノリサイタル、高橋健介 Kotoba to Oto Vol. 1)(2020.12.26)
- 岩田達宗(演出・構成)/歌劇『ヴォルフ イタリア歌曲集』(2020年11月28日東京文化会館小ホール)(2020.11.29)
- 「東京・春・音楽祭2018」の動画(2018年7月20日(金)~10月19日(金)期間限定)(2018.08.03)
- オーストリアのシューベルティアーデの過去記録アーカイブ(2017.01.21)
- ロベルト・ホル&みどり・オルトナー/ロベルト・ホル バス・バリトンリサイタル(2016年11月27日 川口リリア・音楽ホール)(2016.12.18)
「ピアニスト」カテゴリの記事
- 2020年に聴いたコンサート(江崎皓介ピアノリサイタル、高橋健介 Kotoba to Oto Vol. 1)(2020.12.26)
- ヘレン&クラウス・ドーナト&プライ&ホカンソン/1978年シューベルトの夕べ(ホーエネムス・ライヴ音源)(2020.09.13)
- ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)と共演したピアニストたち(2020.08.09)
- プライ&エンドレス(Prey & Endres)映像;オージェ&ボールドウィン(Augér & Baldwin)1984年NYリサイタル音源(2020.05.13)
- ペーター・シュライアー(Peter Schreier)と共演したピアニストたち(2020.01.05)
コメント