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ナタリー・シュトゥッツマン&インゲル・ゼーデルグレン/〈歌曲(リート)の森〉第5篇(2013年2月6日 トッパンホール)

〈歌曲(リート)の森〉 ~詩と音楽 Gedichte und Musik~第5篇
ナタリー・シュトゥッツマン(コントラルト)

2013年2月6日(水)19:00 トッパンホール(B列4番)

ナタリー・シュトゥッツマン(Nathalie Stutzmann)(contralto)
インゲル・ゼーデルグレン(Inger Södergren)(piano)

マーラー(Mahler)/《若き日の歌》より(Lieder und Gesänge aus der Jugendzeit)
 春の朝(Frühlingsmorgen)
 思い出(Erinnerung)
 もう会えない(Nicht wiedersehen!)

マーラー/《子どもの魔法の角笛》より(Lieder aus "Des Knaben Wunderhorn")
 ラインの伝説(Rheinlegendchen)

シューマン(Schumann)/《詩人の恋(Dichterliebe)》Op.48
 うるわしい、妙なる五月に
 ぼくの涙はあふれ出て
 ばらや、百合や、鳩
 ぼくがきみの瞳を見つめると
 ぼくの心をひそめてみたい
 ラインの聖なる流れの
 ぼくは恨みはしない
 花が、小さな花がわかってくれるなら
 あれはフルートとヴァイオリンのひびきだ
 かつて愛する人のうたってくれた
 ある若ものが娘に恋をした
 まばゆく明るい夏の朝に
 ぼくは夢のなかで泣きぬれた
 夜ごとにぼくはきみを夢に見る
 むかしむかしの童話のなかから
 むかしの、いまわしい歌草を

~休憩(intermission)~

ヴォルフ(Wolf)/《メーリケ歌曲集》より(Lieder aus "Gedichte von Eduard Mörike")
 散歩(Fussreise)
 飽きることのない恋(Nimmersatte Liebe)
 出会い(Begegnung)
 捨てられた娘(Das verlassene Mägdlein)
 古画に寄せて(Auf ein altes Bild)
 隠棲(Verborgenheit)

ヴォルフ/《ゲーテ歌曲集》より(Lieder aus "Gedichte von Goethe")
 ねずみをとる男(Der Rattenfänger)

~アンコール~

マルティーニ(Martini)/愛の喜びは(Plaisir d'Amour)
メンデルスゾーン(Mendelssohn)/小姓の歌(Pagenlied)
アーン(Hahn)/クロリスに(À Chloris)

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フランスのコントラルト歌手、ナタリー・シュトゥッツマンのリサイタルを久しぶりに生で聴いた。
ピアノはシュトゥッツマン長年のパートナーであるスウェーデン出身のインゲル・セーデルグレン。
数年前に同じプログラムでリサイタルが予定されていながら、シュトゥッツマンの病気で中止となっていた為、今回はその延期公演ということになろうか。

今回久しぶりに日本のホールに現れたシュトゥッツマンは、以前のような宝塚の男役スターばりの雰囲気は封印して、胸の開いたシックな黒のドレスに身を包み、髪も伸ばし、女性的な雰囲気を出していたのがまず印象的だった。
一方のセーデルグレンは失礼ながらちょっとふけたかなぁという印象。
かなり顔が痩せていて、ニコリともせず拍手にこたえる。

マーラーの歌曲4曲にシューマンの「詩人の恋」全曲という前半に対して、ヴォルフ歌曲7曲の後半というプログラミングは、若干頭でっかちな印象を受けた。
せっかくならばもう数曲ヴォルフのゲーテ歌曲でも増やして歌えばバランスがいいのになどと勝手なことを思いながら、演奏を聴く。

マーラーの第1曲を聴き始めた時、コントラルトという女声の最も低い響きにあっという間に惹きこまれた。
思い起こせば、この歌手をCDで初めて聴いた時の印象は今も忘れられない。
「詩人の恋」や「ビリティスの歌」を一体何度低く下げたのか、聴き慣れた響きや雰囲気とは全く異なる世界がそこにはあって、当初とまどい、否定的な感想を持ったことを今でも思い出すことが出来る。
だが、長年聴き続けるにつれて、彼女ほど印象ががらっと変わった演奏家は他にいない。
今はこの低音の響きに心地よく包まれている自分を感じている。
なんというユニークで素晴らしい音楽家なのだろう。
それを今回のコンサートでも終始全身で感じることが出来た。

マーラーの「春の朝」では「起きなさい(Steh' auf!)」を様々なニュアンスで表現し、
「思い出」と「もう会えない」では異なる哀しみを表現し分け、
「ラインの伝説」では素朴な物語を起伏に富んだ語り口で聴かせてくれた。

「詩人の恋」はシュトゥッツマンの主人公になりきった自在な表現が、詩人の鬱屈した心情を外に解き放っていて心に響いた。
セーデルグレンも思いのこもった演奏ぶりだが、どの曲も最後の音を伸ばし気味なのは、各曲をつなげようとしたのだろうか。
曲によっては弛緩した印象も受けてしまった。

後半のヴォルフは、シュトゥッツマンの歌で聴くのは私にとって初めてだが、これもかなり良い。
彼女の重心の低い光沢に満ちた声が、ヴォルフ歌曲の渋みとよい化学反応を起こして、とても真実味にあふれた表現となっていた。
こういう歌でヴォルフを聴けば、難しいという先入観も取っ払われるのではないだろうか。
圧巻だったのが、「ねずみをとる男」。
急速なテンポで町からねずみも女の子もみんな連れ去ってしまうという内容を臨場感豊かに歌う。
セーデルグレンもさりげなく巧さを見せた。

そのセーデルグレン(スウェーデン人なので「ゼ」ではなく「セ」だろう)のピアノ、以前聴いた時の粗雑で表面的だった印象から考えると、今回は随分味わいを増したいい音楽となっていたように感じた。
昨今ピアニストが歌ったり、唸ったりしながら弾くのは別に珍しいことではなくなったが(先日聴いたポール・ルイスでさえ唸っていた)、今回のセーデルグレンはちょっと調子はずれな鼻歌風に歌うので、シュトゥッツマンの歌と変なデュエットとなり、あまり有難くはなかった。
ゲアハーアー(ゲルハーヘル)のピアニストとして日本で演奏したゲロルト・フーバーはホラー映画ばりの低い唸り声をあげてはいたが、そこに節がついていなかったからそれほど邪魔にならなかったのだろうか。
ちなみにセーデルグレンは今回ピアノの蓋を短いスティックで少し開けていたに過ぎなかった。

アンコールではシュトゥッツマンの母国語の歌が2曲聴けたのがうれしかったが、メンデルスゾーンの「小姓の歌」といったドイツリートも選曲するあたり、相当ドイツものに入れ込んでいるのであろう。
彼女のドイツ語はネイティヴの歌手たちと遜色のないほど、よく訓練された美しい響きであり、彼女のリートを聴くということは、本物のリートを聴くということに近いのではないだろうか。

なお、このトッパンホール公演の数日前に行われたフィリアホールでの公演はNHK BSプレミアムで放映予定とのこと。
そちらも楽しみに待ちたい。

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祝80歳!!!エリー・アーメリング(Elly Ameling)

Ameling


1933年2月8日ロッテルダムに生まれたソプラノのエリー・アーメリング(Elly Ameling)が本日80歳を迎えた。
アーメリングのファン歴30年の私にはただただ感慨深い。
先日記事にした80歳記念の5枚組CDはいずれ日本からでも入手できるようになるだろうし、彼女とファンへの一番の贈り物だろう。
だが、彼女の膨大な過去の名録音も眠ったままである。
引退して15年以上経ってもあまり復活する気配がないのは、寂しいとしか言いようがない。
CD会社の状況も厳しいのだろうから無理は言えないが、せめて今年のような記念の機会には1、2枚ぐらい過去の埋もれた録音を復活してもよいのではないか。
特にかつてのPhilips(今ならDECCAか)から出ていた「ドイツ・ロマンティック歌曲集」と、CBSから出ていたフォーレ&ドビュッシー歌曲集、EMIのシューマン歌曲集などは再発の価値は充分にあるのではないだろうか。

故国オランダのラジオ局Radio4がConcerthuisという配信サイト内でアーメリングの80歳を記念して過去のライヴ録音をストリーミング配信しているのは嬉しい。
アーウィン・ゲイジとの1975年の録音は、これまでにも何度も繰り返し配信を繰り返してきたし、過去に記事にもしたので、ここでは触れない。

もう1つのドルトン・ボールドウィンとのシューベルト・リサイタルは、Concerthuis内では初お目見えではないだろうか。
数日前に見つけて大喜びした私であった。

次のリンク先の"Omroeparchief: Sopraan Elly Ameling en pianist Dalton Baldwin"の再生ボタンを押せば最初から聴けるし、好きな曲を選択すれば、その曲から聴くことも出来る。
 こちら
内容の詳細は以下のとおり。

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Omroeparchief(放送アーカイヴ): Sopraan Elly Ameling en pianist Dalton Baldwin

録音:1978年4月14日, Concertgebouw te Amsterdam (live)

Elly Ameling(エリー・アーメリング)(soprano)
Dalton Baldwin(ドルトン・ボールドウィン)(piano)

Schubert(シューベルト)作曲

1. Ellens Gesang nr.1 (エレンの歌Ⅰ“憩いなさい、兵士よ”D837) (8:32)
2. Ellens Gesang nr.2 (エレンの歌Ⅱ“狩人よ、休みなさい”D838) (3:03)
3. Ellens Gesang nr.3 (エレンの歌Ⅲ“アヴェ・マリア”D839) (6:54)

4. Rosamunde, Fürstin von Zypern D.797: Romanze "Der Vollmond strahlt" (「キプロスの女王ロザムンデ」D797より~ロマンツェ“満月は輝き”) (3:33)
5. Amalia (アマーリアD195) (3:35)
6. Das Mädchen (娘D652) (2:40)
7. Refrainlieder: Die Männer sind méchant (「4つのリフレイン歌曲」より~男はみんなこんなものD866-3) (2:47)

8. Suleika I (ズライカⅠD720) (5:55)
9. Der König in Thule (トゥーレの王D367) (3:00)
10.Gretchens Bitte (グレートヒェンの祈りD564) (4:24)
11.Gretchen am Spinnrade (糸を紡ぐグレートヒェンD118) (4:37)

12.Claudine von Villa Bella: "Liebe schwärmt auf allen Wegen" (「ヴィラ・ベラのクラウディーネ」D239より“愛はいたるところに”) (1:25)
13.Die Liebende schreibt (恋する娘が手紙を書くD673) (2:49)
14.Nähe des Geliebten (恋人のそばD162) (3:22)
15.Liebhaber in allen Gestalten (あらゆる姿をとる恋人D558) (3:57)

16.Heidenröslein (野ばらD257) (3:44)
17.Der Schmetterling (蝶々D633) (2:45)

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このライヴでの選曲はアーメリングのスタジオ録音でも聴けるものばかりだが、「アマーリア」と「愛はいたるところに」に関してはスタジオ録音ではボールドウィンではなく、ゲイジとデームスが共演者だったので、この2曲はこのライヴ音源ならではの組み合わせということになる。
おそらくさまざまな女性主人公の心情という共通項で集めたプログラミングと思われるが、喜怒哀楽の幅も彼女なりに広く、そこに彼女の安定した解釈と見事な語り口が聴き手を心地よいシューベルト体験へと誘ってくれる。
アーメリングは伸び伸びとした美声を維持しており、さらに経験を積んだ内容的な細やかさも加味されて、実に爽やかで気持ちよいリーダーアーベントを満喫することが出来た。
ただ明るいだけではなく、表現を内側へも向けようとしている彼女の意欲が感じられるだろう。
7曲目の「男はみんなこんなもの」は、彼氏の浮気現場を目撃した悲しみを母親に訴えるという内容で、スタジオ録音よりもかなり切迫感が増した聴きものになっている。
16と17は女心とは異なるが、これらは拍手の感じからしておそらくアンコールであろう。
ピアノのボールドウィンは最初から最後まで各曲を知り尽くした絶妙な演奏である。
9の「トゥーレの王」など古風な和音の響きの連続を単なる和音の羅列に終わらさず、歌の起伏をなぞり、盛り上げ、沈み込ませる。
伴奏の専門家だからこそ味わえる妙味と言えるのではないか。

次は85歳記念をお祝いできることを楽しみにしていたい。
Van harte gefeliciteerd met je verjaardag, Elly Ameling!

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エリー・アーメリング80歳記念のCD発売!!!

Elly_ameling_80_jaar


朗報です!
オランダのソプラノ歌手、エリー・アーメリングが今年の2月8日に80歳を迎えるにあたって、5枚組の記念盤が発売されるそうです!
75歳の年にも放送録音など初出音源中心に5枚組の素晴らしいCDがリリースされましたが、今回は80歳記念としてまた新しい音源が発売されるとのことです。
曲目を見て、私は思わずよだれを垂らしてしまいました(食事中の方、大変失礼いたしました)。

これまでスタジオ録音で聴けなかったあんな曲やこんな曲が入っているではありませんか。
まず曲目をのせておきます。

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エリー・アーメリング80歳 (ELLY AMELING 80 jaar)
オランダコンサートライヴ放送録音1967-1990
(LIVE CONCERTOPNAMEN NEDERLANDSE OMROEP 1967 - 1990)

OMNIUM AUDIOVISUEEL: GW 13001

CD1
ブラームス作曲
1. 憩え、いとしい人よ(Ruhe, Süßliebchen)
ルドルフ・ヤンセン(Rudolf Jansen), piano
KRO 22-11-1981

2. 早くおいで(Komm bald)
3. わが傷ついた心は憧れ(Mein wundes Herz verlangt)
4. 霜が降り(Es hing der Reif)
5. メロディのように(Wie Melodien zieht es mir)
6. そよがぬ、なまあたたかい大気(Unbewegte laue Luft)
7. 夕べ(Der Abend)*
8. 野の静寂(Feldeinsamkeit)
9. 甲斐なきセレナーデ(Vergebliches Ständchen)
10. 帰り道を知っていたならば(O wüsst’ich doch den Weg zurück)
11. あなたの青い瞳(Dein blaues Auge)
12. ああ、この目をそらして(Ach, wende diesen Blick)
13. あなたがほんの時折でも微笑んでくれたら(Wenn du nur zuweilen lächelst)
14. 私たちは歩き回った(Wir wandelten)
15. 私は夢を見た(Es träumte mir)
* 四重唱曲(Kwartet voor vier stemmen)
ルドルフ・ヤンセン, piano
* エリー・アーメリング(Elly Ameling), sopraan
* キャロライン・ワトキンソン(Carolyn Watkinson), mezzo
* ヘイン・メーンス(Hein Meens), tenor
* ローベルト・ホル(Robert Holl), bas
TROS 14-01-1983, Concertgebouw Amsterdam

16. わが眠りはますます浅くなり(Immer leiser wird mein Schlummer)
17. 使い(Botschaft)
ルドルフ・ヤンセン, piano
NOS 03-10-1978, Concertgebouw Amsterdam

18-24. ベルク/「7つの初期の歌(Sieben frühe Lieder)」
ルドルフ・ヤンセン, piano
NCRV 02-05-1980

25. オブラドルス/一番細い髪の毛で(Del cabello mas sutil)
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 21-02-1989, Concertgebouw Amsterdam

トゥリーナ作曲
26. カンターレス(Cantares)
27. 恋に夢中(Las locas por amor)
ルドルフ・ヤンセン, piano
NCRV 02-05-1980

CD2

1-8. シューマン/「女の愛と生涯(Frauenliebe- und leben op. 42)」
ルドルフ・ヤンセン, piano
AVRO 03-02-1983, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht

9-20. シューマン/「リーダークライス(Liederkreis op 39)」
ルドルフ・ヤンセン, piano
NCRV 02-05-1980

シューマン作曲
21. 献呈(Widmung)
22. はすの花(Die Lotusblume)
23. くるみの木(Der Nußbaum)
ルドルフ・ヤンセン, piano
AVRO 03-02-1983, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht

24. ことづて(Aufträge)
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 21-02-1989

25. みみずく(Käuzlein)
26. 憧れ(Sehnsucht)
27. トランプ占いをする娘(Die Kartenlegerin)
ノーマン・シェトラー(Norman Shetler), piano
KRO 23-11-1967, Diligentia, Den Haag

28. ミニョンⅠ「語れとおっしゃらないで」(Mignon I – Heiß mich nicht reden)
ドルトン・ボールドウィン(Dalton Baldwin), piano
NCRV 04-12-1973

29. わが美しい星(Mein schöner Stern)
ルドルフ・ヤンセン, piano
NOS 18-10-1983, Concertgebouw Amsterdam

CD3

1-6. ベルリオーズ/「夏の夜(Les nuits d’été)」
オランダ室内管弦楽団(Nederlands Kamerorkest)
ケース・バーケルス(Kees Bakels)
NCRV 08-10-1983, Concertgebouw Amsterdam

7-9. ラヴェル/「シェエラザード(Shéhérazade)」
王立コンセルトヘボウ管弦楽団(Koninklijk Concertgebouw Orkest)
ハンス・フォンク(Hans Vonk)
NOS 08-01-1981, Concertgebouw Amsterdam

ショーソン/「温室(Serres chaudes)」op. 24
ルドルフ・ヤンセン, piano
AVRO 01-12-1982

15. ショーソン/ナニー(Nanny)
ルドルフ・ヤンセン, piano
AVRO 01-12-1982

ドビュッシー作曲
16. マンドリン(Mandoline)
17. それは物憂い恍惚(C'est l'extase langoureuse)

18. プーランク/ヴァイオリン(Violon)
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 05-12-1982, Concertgebouw Amsterdam

19. コスマ/枯葉(Les feuilles mortes)
ルドルフ・ヤンセン, piano
Privé bezit 08-02-1983

CD4

ヴォルフ作曲
5つのミニョンの歌(5 Mignon Lieder):
1. 語れとおっしゃらないで(Heiß mich nicht reden)
2. ただ憧れを知る者だけが(Nur wer die Sehnsucht kennt)
3. このままでいさせてください(So lasst mich scheinen)
4. フィリーネ(Philine)
5. その国をご存知ですか(Kennst du das Land)
ルドルフ・ヤンセン, piano
NOS 18-10-1983, Concertgebouw Amsterdam

「スペイン歌曲集」より(Uit Spanisches Liederbuch):
6. 暗い視線を送られても(Ob auch finstre Blicke glitten)
ドルトン・ボールドウィン, piano
AVRO 11-08-1975

7. 私の巻髪の陰で(In dem Schatten meiner Locken)
8. 心の奥深くに苦痛を抱き(Tief im Herzen trag’ ich Pein)
9. 心よ、みな憩いについた(Alle gingen, Herz, zur Ruh’)
ルドルフ・ヤンセン, piano
KRO 06-10-1985, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht

11. 私を花で覆ってください(Bedeckt mich mit Blumen)
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 12-05 1982

12. ねえ、あなたでしたの、素敵なお方(Sagt, seid Ihr es, feiner Herr)
13. 行って、恋人よ、もう行ってちょうだい(Geh’, Geliebter, geh’ jetzt)
14. 口の悪い人たちはみんな(Mögen alle bösen Zungen)
ルドルフ・ヤンセン, piano
KRO 06-10-1985, Muziekcentrum Vredenburg, Utrecht

15. 夏の子守歌(Wiegenlied im Sommer)
ルドルフ・ヤンセン, piano
Datum: 12-05-1982, Concertgebouw Amsterdam

16. ネズミ取りの呪文(Mausfallen-Sprüchlein)
「メーリケ歌曲集(Mörike Lieder)」より
17. 世を逃れて(Verborgenheit)
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 21-02-1989, Concertgebouw Amsterdam

18. 眠りに寄せて(An den Schlaf)
19. 早朝に(In der Frühe)
20. あの季節だ(Er ist's)
21. 春に(Im Frühling)
22. 風の歌(Lied vom Winde)
23. エオリアン・ハープに寄せて(An eine Aeolsharfe)
24. 出会い(Begegnung)
25. 尽きることのない愛(Nimmersatte Liebe)
26. 妖精の歌(Elfenlied)
27. こうのとりの使い(Storchenbotschaft)
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 14-01-1986, Concertgebouw Amsterdam

CD5

シューベルト作曲
1. ミノーナ(Minona), D. 152
ルドルフ・ヤンセン, piano
NCRV 03-02-1990, Concertgebouw Amsterdam

2. 娘の嘆き(Des Mädchens Klage), D. 191
3. 月に寄せて(An den Mond), D. 193
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 15-05-1982

4. アマーリア(Amalia), D. 195
ルドルフ・ヤンセン, piano
NCRV 03-02-1990

5. 悲しみの喜び(Wonne der Wehmut), D. 260
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 15-05-1982

6. リアーネ(Liane), D. 298
7. 花の言葉(Die Blumensprache), D. 519
8. エルラフ湖(Erlafsee), D. 586
9. 娘(Das Mädchen), D. 652
10. ギリシャの神々(Die Götter Griechenlands), D. 677
ルドルフ・ヤンセン, piano
NCRV 03-02-1990, Concertgebouw Amsterdam

11. 見て、なんて白い月(Guarda che bianca luna), D. 688/2
12. いとしい人よ、思い出してください(Mio ben ricordati), D.688/4
アーウィン・ゲイジ(Irwin Gage), piano
NOS 14-04-1981, Concertgebouw Amsterdam

13. 涙の賛美(Lob der Tränen), D. 711
14. 秘めごと(Geheimes), D. 719
15. ここにいたこと(Daß sie hier gewesen), D. 775
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 15-05-1982

16. 孤独な男(Der Einsame), D. 800
ドルトン・ボールドウィン, piano
VARA 28-04-1974, Concertgebouw Amsterdam

17. 若い尼僧(Die junge Nonne), D. 828
ルドルフ・ヤンセン, piano
TROS 12-05-1982, Concertgebouw Amsterdam

18. 岩の上の羊飼い(Der Hirt auf dem Felsen), D. 965
バス・ドゥ・ヨン(Bas de Jong), clarinet
オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団(Radio Filharmonisch Orkest)
ジャン・フルネ(Jean Fournet)
VARA 10-02-1973, Concertgebouw Amsterdam

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ソースは以下のサイトです。
 こちら

今回は歌曲ばかり、しかもピアノ歌曲が中心で、アーメリングの美質が最も発揮される内容なのがまずうれしいです。
曲目を見ておっと思ったのがヴォルフの「こうのとりの使い」。
この曲、ずっとアーメリングの歌で聴きたかったのですが、スタジオ録音のメーリケ歌曲集には含まれず、日本でも歌われなかったので、とうとう念願叶って聴けるのが待ちきれません。

それからブラームスの四重唱曲など彼女にしては珍しいレパートリーなのではないでしょうか。
シューベルトの「悲しみの喜び」や「ここにいたこと」は日本公演では歌われながらスタジオ録音のなかった曲なので楽しみです。
さらに「涙の賛美」や「秘めごと」を彼女が歌っていたということも知りませんでした。

トゥリーナの「カンターレス」もコンサートでは聴いたことがありながら録音がなかったので、彼女のパッションに期待大です。

シューマンの「リーダークライス」(もちろんアイヒェンドルフの詩による方)は、彼女のデームスとのスタジオ録音(1979年)が意外と不調に感じられたので、今回のライヴ録音に期待してしまいます。

Ameling_80_jaar


今回の5枚組もピアニストはルドルフ・ヤンセンがほとんどで、たまにボールドウィンやゲイジもありますが、目を引くのはノーマン・シェトラーとの録音があることです。
シェトラーとは若い頃に最初のブラームス・アルバムを録音して以来、彼女のディスコグラフィーに登場してこなかったので、ライヴで新しい音源があるというのは知りませんでした。
そういう意外性にあふれたこの5枚組、首を長くしてリリースを待つことにします。

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(2013年2月24日追記)

Radio4のサイト内でシューマンの「女の愛と生涯」や「リーダークライス」などCD2が全曲聴けるところがありましたのでお知らせします。「リーダークライス」Op.39などスタジオ録音以上に素晴らしいです!ぜひ試聴してみてください。

 こちら

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(2013年5月6日追記)

この5枚組のCDの内容をエクセルに入力しました。ワークシートの2枚目は、1枚目のリストを録音日付順に並べ直してありますので、若い順に聴きたい時にはこちらを参考に入れ替えてみるのもいいのではないかと思います。

「elly_ameling_80_jaar.xls」をダウンロード

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ラジオのDJをするエリー・アーメリング

オランダのインターネットラジオ局Radio4で、もうすぐ80歳を迎えるソプラノ歌手、エリー・アーメリング(Elly Ameling)が自分の好きな音楽を選んで紹介を交えながら放送した番組が聴けるようになっていました(約2時間)。

 こちら

久しぶりにアーメリングの話し声が聞けるのは"Een goedemorgen met..."という番組で、リンク先ページの再生ボタンをクリックして最初の3分ほどはニュースやCMで、その後から始まります。
最初の方はアナウンサーによるアーメリングの経歴が読み上げられますが(3:31頃-5:50頃まで)、情報として文字だけでは知っていても正式な発音を聞いたことのなかった彼女のオランダでの師匠たちの名前の発音(ヨー・ボレンカンプ、ヤコーバ・ドレスデン・ドーント、ボーディ・ラップ)も聞くことが出来るので、アーメリング・ファンにとってはここも聞きどころの一つです。

共演のピアニストについては以下のように発音していました(オランダ人以外もおそらくかなり忠実な発音と推察されます)。

フェーリクス・ドゥ・ノーブル(オランダ人)
ヘルマン・ウルホーン(オランダ人)
イェルク・デームス(オーストリア人)
アーウィン・ゲイジ(アメリカ人)
ドルトン・ボールドウィン(アメリカ人)
グレアム・ジョンスン(ローデシア人だがイギリスに移住)
ロジャー・ヴィニョールス(イギリス人)
ルドルフ・ヤンセン(オランダ人)

さて、紹介が終わると、いきなり演奏が始まりますが、一瞬アーメリングが歌っているのかと錯覚しますが、実は同じオランダ出身のエルナ・スポーレンベルフの歌唱でした。
その後も“歌もの”が多い選曲ですが、アーメリング自身の録音はそれほど多くありません(45分ぐらい経ってようやくフォレの二重唱曲で登場するほどです)。
アーメリング・ファンにとってはうれしいサプライズもありました。
13のヴォルフ「スペイン歌曲集」からの2曲(55:15頃から)はHyperion盤のCD音源かと思ったら演奏を聴くとどうも違うような…。
そして最後にいたって拍手が鳴ったところで、この録音がライヴであることが判明するのです(詳しいデータは不明ですが)。

1.モーツァルト/エクスルターテ・ユビラーテ~アレルヤ
エルナ・スポーレンベルフ(ソプラノ)
ネヴィル・マリナー(指揮)他

2.ブリテン/A Charm of Lullabies "The nurse's song"
キャロライン・ワトキンソン(メッゾソプラノ)
タン・クローネ(ピアノ)

3.ガーシュウィン/「ポーギーとベス」~「サマータイム」
ロバータ・アレグザンダー(ソプラノ)
レナード・スラトキン(指揮)他

4.デイヴィッド・シャイア/With You
ロバータ・アレグザンダー(ソプラノ)
タン・クローネ(ピアノ)

5.ビゼー/「カルメン」~「ハバネラ」
コーラ・カンネ・メイエル(メッゾソプラノ)
ガーボル・エトヴェス(指揮)他

6.ラヴェル/「マダガスカル島民の歌」~「アウア!」
ベルナール・クラウセン(バリトン)
フランス・フェスター(フルート)
アンナル・ベイルスマ(日本で普及している読み方はアンナ・ビルスマ)(チェロ)
ジェラール・ファン・ブレルク(ピアノ)

7.ラヴェル/「博物誌」~こおろぎ
ベルナール・クラウセン(バリトン)
ジェラール・ファン・ブレルク(ピアノ)

8.ヒデオン・クレイン/ピアノ・ソナタ第1部より
エト・スパンヤールト(ピアノ)

9.ラフマニノフ/兵士の妻op.8-4;夢op.8-5;わが友よ、私を信じるなop.14-7
クリスタ・プファイラー(メッゾソプラノ)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)

10.フォレ/黄金の涙
エリー・アーメリング(ソプラノ)
リュート・ファン・デル・メール(バリトン)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)

11.フォレ/牢獄
リュート・ファン・デル・メール(バリトン)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)

12.ルイ・アンドリッセン/ヴェロニック
リュート・ファン・デル・メール(バリトン)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)

13.ヴォルフ/「スペイン歌曲集」~私を花で覆ってください;ねえ、あなたでしたの、素敵なお方
エリー・アーメリング(ソプラノ)
ルドルフ・ヤンセン(ピアノ)

この後はWebサイトに曲目が掲載されていない為、アーメリングのアナウンスによく耳を澄まさなければなりません。

ヘンツェ/「5つのナポリ歌曲集」より
エリザベト・コーイマンス(ソプラノ)他

リチャード・ロジャーズ/With the song in my heart
ガーシュウィン/I got rhythm
エリー・アーメリング(ヴォーカル)
ルイ・ファン・デイク(ピアノ)

ヴォルフ/「イタリア歌曲集」より
~セレナーデをあなたに捧げるために来ました;
あなたは一本の糸で私を釣ろうと思っているのね;
ダメよ、若い方、そんなふうにしては;
お高くとまっておいでだな、美人ちゃんよ;
あなたの頭をあげて;
そしてあなたの恋人が死ぬのを見たいのなら
エレン・ファン・リール(ソプラノ)
ローベルト・ホル(バスバリトン)
ダーヴィット・ルッツ(ピアノ)

ヴォルフ/「イタリアのセレナーデ」
プロ・アルテ・カルテット・ザルツブルク

モーツァルト/Se ardire, se speranza K 82
レネケ・ラウテン(ソプラノ)
エト・スパンヤールト(指揮)他

フェーリクス・ドゥ・ノーブル編曲/合唱曲
バメストラス・コレクティーフ(Bamestra's Collectief)
マリア・ロンデル(Maria Rondèl)(指揮)

ヘンリ・ザッフヴェイン(Henri Zagwijn)/"Galgenlieder"~Das Hemmed
ヘイン・メーンス(Hein Meens)(テノール)他

R.シュトラウス/「4つの最後の歌」~夕映えの中で
エリー・アーメリング(ソプラノ)
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
ヴォルフガング・サヴァリシュ(指揮)

ベルク/「ワイン」より抜粋
エリー・アーメリング(ソプラノ)
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
エーリヒ・ラインスドルフ(指揮)

アーメリングが今もお元気で音楽を楽しんでおられる様子が伺えて、ファンにとってはうれしい放送でした。
そして彼女がとりわけ故国オランダの演奏家、作曲家を好んで聴いておられるのも微笑ましく感じられました。

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ポール・ルイス/“シューベルト・チクルス”Vol.5(2013年2月2日 王子ホール)

ポール・ルイス“シューベルト・チクルス”Vol.5
2013年2月2日(土)15:00 王子ホール(G列10番)
ポール・ルイス(Paul Lewis)(piano)

ピアノ・ソナタ第19番ハ短調 D958
 Ⅰ.アレグロ
 Ⅱ.アダージョ
 Ⅲ.メヌエット:アレグロ
 Ⅳ.アレグロ

ピアノ・ソナタ第20番イ長調 D959
 Ⅰ.アレグロ
 Ⅱ.アンダンティーノ
 Ⅲ.スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ
 Ⅳ.ロンド:アレグレット

~休憩~

ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D960
 Ⅰ.モルト・モデラート
 Ⅱ.アンダンテ・ソステヌート
 Ⅲ.スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ・コン・デリカテッツァ
 Ⅳ.アレグロ・マ・ノン・トロッポ

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イギリスのピアニスト、ポール・ルイスによる“シューベルト・チクルス”の最終回に出かけた。
このシリーズ、王子ホールの人気企画で、私もチケットがとれなかった回もあったのだが、こうして最終回を聴くことが出来たのは感無量である。
今回はシューベルトが死の数か月前に書いた3つの最後のソナタが演奏されたが、ポール・ルイスが現在望みうる最も見事なシューベルト演奏家の一人であることをあらためて実感した時間だった。
ポール・ルイスは、シューベルトをやわに弾かない。
彼はベートーヴェンを弾くかのように決然とシューベルトを演奏する。
しかも、シューベルトの「歌」をそこにしっかりと浮かび上がらせながら、スタイルも維持する。
孤独と喧騒の間を行き来しながら。
ルイスは概して早めにさくさくと進めていくが、その旅の途中の花々を愛でるのを決して忘れない。
また、途中の心情の変化もおおげさではなく、そこにあるべき姿で提示する。
そのありのままの表情がシューベルト晩年のデリカシーを見事に浮かび上がらせる。
こういうシューベルトが聴けるのはなかなか無いことだろう。
時折師匠のブレンデルの影響が感じられる箇所もあったが(強調する箇所での音のずらし方など)、ルイスの場合はそれが鼻につかない。
シューベルトって、こんなに親しみやすく、デリカシーに富み、大胆だったのかと、ルイスの演奏を聴きながら、あらためて思いを馳せた。
そんな素敵な楽興の時であった。

アンコールはなし。
次はどんな企画で聴き手を楽しませてくれるのか、楽しみでならない。

Paul_lewis_20130202


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デニス・コジュヒン/ピアノ・リサイタル(2013年2月1日 東京オペラシティコンサートホール)

未来のマエストロ・シリーズ第4回
デニス・コジュヒン ピアノ・リサイタル

2013年2月1日(金)19:00 東京オペラシティコンサートホール(1階1列7番)
デニス・コジュヒン(Denis Kozhukhin)(piano)

オール・ショパン・プログラム

ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 作品35

24のプレリュード 作品28より 第1番~第12番

~休憩~

24のプレリュード 作品28より 第13番~第24番

ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 作品58

~アンコール~

バッハ=ジローティ/プレリュード ロ短調
シューベルト/即興曲D899-3

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ロシアの若手ピアニスト、デニス・コジュヒンを聴いた。
以前BSで来日公演を放映していて、機会があれば実演を聴いてみたいと思っていた。
金曜日は仕事も定時であがれた為、急いで初台へと向かった。

オール・ショパンだが、前奏曲集を半分に割って、休憩をはさんで分けて演奏するというのは面白い試み。
コジュヒンの演奏は表現の幅が広く、自在に歌う。
しかし、強音でも決して汚くならないのは、ロシア人としては珍しいのではないか。
美しい音がよく鳴り出したのはソナタ第2番の「葬送行進曲」の途中あたりから。
それ以降はぐんぐんと尻上がりに良くなり、聞き手を魅了した。

アンコールのバッハの作品はとても繊細な美しい作品だったが、最後にシューベルトの「即興曲第3番」を弾いてくれたのは私にとっては予想外で、とても沁みる演奏だった。

今後注目のピアニストの一人だろう。

Kozhukhin_20130201


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