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本年も大変お世話になりました

2012年も多くの皆様にブログをご覧いただき、有難うございました。
備忘録とは言いながら、皆さんに見ていただけることが投稿への活力になっていることは確かです。
パソコンの故障を言い訳に、かなり更新をさぼってしまいましたことをお詫びいたします。
様々なことがあった一年ですが、来たる年が皆様にとって健やかで幸多い年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。      フランツ

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2012年に出かけたコンサート等

2012年1月
イアン・ボストリッジ&グレアム・ジョンソン/シューベルト「白鳥の歌」ほか(2012年1月10日 東京オペラシティ コンサートホール)
イアン・ボストリッジ&グレアム・ジョンソン/リサイタル(2012年1月14日 王子ホール)
Every Little Thing/15th Anniversary Concert Tour 2011-2012“ORDINARY”(2012年1月20日 大宮ソニックシティ 大ホール)
新国立劇場オペラ/プッチーニ「ラ・ボエーム」(2012年1月29日 新国立劇場 オペラパレス)

2月
** 新国立劇場バレエ/こうもり(2012年2月5日 新国立劇場 オペラパレス)
二期会/ヴェルディ「ナブッコ」(2012年2月17日 東京文化会館大ホール)

3月
髙橋節子&太田直樹&平島誠也/ジョイントコンサート(2012年3月6日 大泉学園ゆめりあホール)
Every Little Thing/15th Anniversary Concert Tour 2011-2012“ORDINARY”(2012年3月16日 東京国際フォーラム ホールA)
キム・ソヌク/ピアノ・リサイタル(2012年3月17日 紀尾井ホール)
白井光子&ハルトムート・ヘル/リート・デュオが紡ぐ、日本のこころ(2012年3月18日 東京文化会館 小ホール)
ミヒャエラ・ゼリンガー&小菅優~ウィーンを歌う(2012年3月31日 東京文化会館 小ホール)

4月
新国立劇場オペラ/オテロ(2012年4月7日 新国立劇場 オペラパレス)
ポール・ルイス/シューベルト・チクルス Vol.4(2012年4月12日 王子ホール)
インゴルフ・ヴンダー/ピアノ・リサイタル(2012年4月17日 紀尾井ホール)
高橋アキ/ピアノドラマティックVol.8(モーツァルト&シューベルト)(2012年4月18日 東京文化会館 小ホール)
新国立劇場バレエ/DANCE to the Future 2012(2012年4月21日 新国立劇場 中劇場)
新国立劇場オペラ/ドン・ジョヴァンニ(2012年4月22日 新国立劇場 オペラパレス)

5月
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012-サクル・リュス-(2012年5月3&5日 東京国際フォーラム)
** イーヴォ・ポゴレリッチ/リサイタル(2012年5月9日 サントリーホール)
内藤明美&平島誠也/テッセラの春・第10回音楽祭 第2夜(2012年5月12日 サロンテッセラ)
アネッテ・ダッシュ&ヴォルフラム・リーガー/〈歌曲(リート)の森〉第10篇(2012年5月17日 トッパンホール)
** ウィーン・フォルクスオーパー/ウィンザーの陽気な女房たち(2012年5月19日 東京文化会館 大ホール)

6月
新国立劇場オペラ/ローエングリン(2012年6月1日 新国立劇場 オペラパレス)
モイツァ・エルトマン&ゲロルト・フーバー/リサイタル(2012年6月7日 王子ホール)
モイツァ・エルトマン&ゲロルト・フーバー/エルトマン ソプラノ・リサイタル(2012年6月10日 東京オペラシティ コンサートホール)
** ウィーン国立歌劇場/サロメ(2012年6月16日 東京文化会館 大ホール)
** 新国立劇場バレエ/マノン(2012年6月23日 新国立劇場 オペラパレス)
** ゴットリープ・ヴァリッシュ/リサイタル(2012年6月24日 トッパンホール)

7月
クリスティーネ・シェーファー&エリック・シュナイダー/リサイタル(2012年7月2日&4日 王子ホール&東京文化会館 大ホール)
ルーカス・ゲニューシャス/ピアノ・リサイタル(2012年7月6日 紀尾井ホール)
** 二期会/カヴァレリア・ルスティカーナ&道化師(2012年7月14日 東京文化会館 大ホール)
ホルツマイア&東響&スダーン/第602回定期演奏会「さすらう若者の歌」他(2012年7月21日 サントリーホール)

9月
** 藤原歌劇団/夢遊病の女(2012年9月8日 東京文化会館 大ホール)
** 二期会/パルジファル(2012年9月15日 東京文化会館 大ホール)
サンドリーヌ・ピオー&スーザン・マノフ/~夢のあとに~(2012年9月20日 王子ホール)
アンドリュー・フォン・オーエン/ピアノ・リサイタル(2012年9月23日 愛知県芸術劇場コンサートホール)
デジュー・ラーンキ/ピアノリサイタル(2012年9月23日 宗次ホール)

10月
デジュー・ラーンキ/ピアノ・リサイタル(2012年10月2日 浜離宮朝日ホール)
** 江副財団コンサート(2012年10月6日 紀尾井ホール)
* 持田香織 Concert Tour 2012 ~manu a manu~(2012年10月8日 横浜BLITZ)
* 岡田博美/リサイタル(2012年10月11日 東京文化会館 小ホール)
** 新国立劇場オペラ/ピーター・グライムズ(2012年10月14日 新国立劇場 オペラパレス)
** アブデル・ラーマン・エル=バシャ/リサイタル(2012年10月16日 紀尾井ホール)
* ローマン・トレーケル&原田英代/リートの夕べ(2012年10月23日 浜離宮朝日ホール)
** 新国立劇場バレエ/シルヴィア(2012年10月27&31日 新国立劇場 オペラパレス)
* ペーター・レーゼル/リサイタル(2012年10月28日 紀尾井ホール)

11月
* ペーター・レーゼル&紀尾井シンフォニエッタ/ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」他(2012年11月3日 紀尾井ホール)
ラドゥ・ルプー/ピアノ・リサイタル(2012年11月8日 東京オペラシティ コンサートホール)
内藤明美&平島誠也/メゾソプラノリサイタル(2012年11月9日 東京オペラシティ リサイタルホール)
** 二期会/アリベルト・ライマン「メデア」(2012年11月10日 日生劇場)
大塚恵美子&坂下忠弘Joint Concert~Dalton Baldwin氏を迎えて~(2012年11月15日 ルーテル市ヶ谷センターホール)
* 大島富士子&ダルトン・ボールドウィン/リーダーアーベント(2012年11月20日 ルーテル市ヶ谷ホール)
* 藤村実穂子&ヴォルフラム・リーガー/リーダー・アーベントⅢ(2012年11月22日 紀尾井ホール)
** 日生劇場/フィガロの結婚(2012年11月24日 日生劇場)
クリスチャン・ツィメルマン/ピアノ・リサイタル(2012年11月27日 川口リリア メインホール)

12月
ジ・アート・オブ・アルド・チッコリーニ ピアノ・リサイタル(2012年12月1日 すみだトリフォニーホール)
** クリスチャン・ツィメルマン/ピアノ・リサイタル(2012年12月4日 サントリーホール)
クリスティアーネ・エルツェ&河村尚子/リートへの憧れ。C.エルツェを迎えて(2012年12月5日 トッパンホール)
アンヌ・ケフェレック/ピアノ・リサイタル(2012年12月8日 東京文化会館 大ホール)
** 新国立劇場オペラ/セビリアの理髪師(2012年12月9日 新国立劇場 オペラパレス)
* ゲルハルト・オピッツ/シューベルト連続演奏会【第5回&第6回】(2012年12月12日&27日 東京オペラシティ コンサートホール)
** 新国立劇場バレエ/シンデレラ(2012年12月15日 新国立劇場 オペラパレス)
* 小森輝彦&服部容子/シューベルト「美しき水車小屋の娘」(2012年12月20日 東京文化会館 小ホール)

*印の公演は、現在のところ、ブログ掲載されていませんが、いずれ投稿予定のもの。
**印の公演は、現在のところ、ブログ掲載予定のないもの(掲載しないものは内容的に理由があるわけではなく、単に記録しそびれたもの)。

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こうして一覧にしてみると、相変わらず相当な偏りがあるものの、我ながらよく出かけたなぁという気持ちである。
あのコンサートに行った時はどういうことがあったなどということも同時に思い出すことが多く、日常や自分の精神状態と結びついていることをあらためて実感した。
オペラやバレエを多く鑑賞出来たことはよい思い出である。
それにしても今年は見事なまでにブログをさぼったなぁというのが反省点。
壊れたPCのリカバリーCDはどこへいってしまったのか…。
修理に出してしまおうかな。

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ゲルハルト・オピッツ/シューベルト連続演奏会【第5回&第6回】(2012年12月12日&27日 東京オペラシティ コンサートホール)

ゲルハルト・オピッツ シューベルト連続演奏会(全8回)

【第5回】2012年12月12日(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(1階4列10番)
【第6回】2012年12月27日(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(1階4列10番)

ゲルハルト・オピッツ(Gerhard Oppitz)(piano)

【第5回】シューベルト(Schubert)作曲

ピアノ・ソナタ ハ長調 D279 (Sonate C-Dur, D279)
 I. Allegro moderato
 II. Andante
 III. Menuetto: Allegro vivace

ピアノ・ソナタ イ長調 D664 (Sonate A-Dur, D664)
 I. Allegro moderato
 II. Andante
 III. Allegro

~休憩~

高雅なワルツ集 D969 (Valses nobles, D969)
 No. 1 in C major
 No. 2 in A major
 No. 3 in C major
 No. 4 in G major
 No. 5 in A minor
 No. 6 in C major
 No. 7 in E major
 No. 8 in A major
 No. 9 in A minor
 No. 10 in F major
 No. 11 in C major
 No. 12 in C major

ピアノ・ソナタ イ短調 D845 (Sonate a-moll, D845)
 I. Moderato
 II. Andante poco mosso
 III. Scherzo. Allegro vivace
 IV. Rondo: Allegro vivace

~アンコール~
ピアノ・ソナタ イ長調 D664から 第2楽章

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【第6回】シューベルト(Schubert)作曲

ピアノ・ソナタ ホ長調 D459 (Sonate E-Dur, D459)
 I. Allegro moderato
 II. Allegro

ピアノ・ソナタ ト長調 D894 (Sonate G-Dur, D894)
 I. Molto moderato e cantabile
 II. Andante
 III. Menuetto: Allegro moderato
 IV. Allegretto

~休憩~

即興曲集 D935 (Impromptus, D935)

 No. 1 in F minor
 No. 2 in A flat major
 No. 3 in B flat major
 No. 4 in F minor

~アンコール~
3つのピアノ曲D946 第1曲 変ホ短調

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(感想を書かないまま長いこと放置していましたので、ここまででアップすることにします。オピッツの演奏はいつもながらシューベルトの流れに寄り添いながら、時にルバートを駆使して、味わい深い演奏をしてくれたことを覚えています。)

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アンヌ・ケフェレック/ピアノ・リサイタル(2012年12月8日 東京文化会館 大ホール)

都民劇場音楽サークル第604回定期公演
アンヌ・ケフェレック ピアノ・リサイタル
2012年12月8日(土)19:00 東京文化会館 大ホール(1階3列3番)

アンヌ・ケフェレック(Anne Queffélec)(piano)

ヘンデル(Händel)/パッサカリア ト長調(Passacaglia in G minor) HWV432
J.S.バッハ(Bach);ブゾーニ(Busoni)編/コラール前奏曲「いざ来たれ、異教徒の主よ」(Choral Prelude "Nun komm' der Heiden Heiland")BWV659a
A.マルチェッロ(Marchello);J.S.バッハ編/オーボエ協奏曲 ニ短調より アダージョ(Adagio from Oboe Concerto in D minor)
ヘンデル;ケンプ(Kempff)編/メヌエット ト短調(Menuet in G minor) HWV434
J.S.バッハ;ヘス(Hess)編/カンタータ「心と口と行いと命もて」BWV147より「主よ、人の望みの喜びよ」(Choral "Jesu, meine Freude" from the Cantate "Herz und Mund und Tat und Leben")
ヘンデル/シャコンヌ ト長調(Chaconne in G Major) HWV435

ベートーヴェン(Beethoven)/ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」(Sonata No. 14 in C-sharp minor Op. 27-2 "Moonlight sonata")

~休憩~

ラヴェル(Ravel)/古風なメヌエット(Menuet antique)
ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ(Pavane pour une infante défunte)

ドビュッシー(Debussy)/映像第1集(Images 1)
 水に映る影(Reflets dans l'eau)
 ラモーを讃えて(Hommage à Rameau)
 運動(Mouvement)

ドビュッシー/映像第2集(Images 2)
 葉末を渡る鐘の音(Cloches à travers les feuilles)
 そして月は廃寺にかかる(Et la lune descend sur le temple qui fut)
 金色の魚(Poissons d'or)

~アンコール~
サティ/グノシエンヌ第3番
ショパン/幻想即興曲

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フランスの名花、ピアニストのアンヌ・ケフェレックのリサイタルを聴いた。
女性の年齢を記すのは失礼ではあるが、公の方なので記すと、今60台半ばとのこと。
それにしてはなんという可愛らしい方なのだろう。
黒いシックなドレスを纏ってあらわれた小柄なケフェレックは、なんとも魅力的な笑顔をたたえてピアノに向かった。

最初のブロックはヘンデル、バッハ、マルチェッロといったバロック音楽の小品を集めたもの。
かなり小さな手のように見受けられるのだが、余分なものを削ぎ落とした硬質な響きでありながら、どうしてこれほど親密に語りかけるような美しい響きが生み出されるのだろう。
静かな作品も華やかな作品も、彼女の温かみに包まれて、滴り落ちるしずくのように輝いていた。
持ち合わせたエレガントな雰囲気も相まってうっとりと聴き惚れた贅沢な時間だった!
とりわけマルチェッロの悲しげな表情の美しかったこと!

そして、ベートーヴェンの「月光」ソナタ。
なんの衒いもない真摯な演奏は、この著名なソナタのありのままが提示されたようだ。
第3楽章も彼女なりのドラマを湛えつつ、丁寧な音紡ぎが新鮮に感じられた。

後半はお国もののラヴェルとドビュッシー。
こちらは言うまでもなく、彼女の本領発揮であった。
繊細な表情をもった響きが各曲の核心を描いていく。
迫力で唸らせるのではなく、繊細な音の魔力に聴き手の集中力を引き込んでいく。

テクニックは十全でありながら、それが表に出ず、いい音楽を聴いたという気分にさせてくれる素敵なピアニストであった。

アンコールはアンニュイなサティと、即興性を重視したかのようなショパンの演奏で、大入りの文化会館大ホールの聴衆を魅了した。

何度でも聴きたいと思わせるケフェレックの演奏であった。

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クリスティアーネ・エルツェ&河村尚子/リートへの憧れ。C.エルツェを迎えて(2012年12月5日 トッパンホール)

〈エスポワール シリーズ 9〉
〈歌曲(リート)の森〉 ~詩と音楽 Gedichte und Musik~ 第11篇
河村尚子(ピアノ) Vol.2─リートへの憧れ。C.エルツェを迎えて

2012年12月5日(水)19:00 トッパンホール(B列3番)
クリスティアーネ・エルツェ(Christiane Oelze)(ソプラノ)
河村尚子(Hisako Kawamura)(ピアノ)

シューベルト作曲
戸外で D880
星 D939
弔いの鐘 D871
《白鳥の歌》D957より〈鳩の使い〉D965A

ウェーベルン/ゲオルゲの詩による5つの歌 Op.4
 1.序詞
 2.あなたを看取ろうとする私のまごころと
 3.ようこそ 祝福をもたらしたあなたよ!
 4.私が悲しいとき
 5.おまえたちは歩み寄った

ブラームス作曲
死、それは冷たい夜 Op. 96-1
すべての花は見つめている Op.96-3
月の光 Op.85-2
あなたがときおりほほえみ Op.57-2
空気はなまぬるく、そよともせず Op.57-8

~休憩~

プーランク/偽りの婚約
 1.アンドレのご婦人
 2.草の中に
 3.飛んでいる
 4.私の屍は手袋のように柔らかい
 5.ヴァイオリン
 6.花

R.シュトラウス作曲
ばらのリボン Op.36-1
たそがれの夢 Op.29-1
言われたら、なんでも言う通り Op.36-3
セレナーデ Op.17-2

~アンコール~

ウェーベルン/4つの歌 Op.12より〈似たもの同士〉
山田耕筰/赤とんぼ

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若手実力派ピアニストの一人、河村尚子がクリスティアーネ・エルツェを迎えてリートの演奏会を開くというのでトッパンホールへ出かけた。
河村尚子もエルツェも生で聴くのはこれが初めてであり、期待して臨んだところ、半分は満たされ、半分は満たされなかった。

ソプラノのクリスティアーネ・エルツェはこの日風邪を引いていたのであろうか。
それとも喉の疾患をもっているのだろうか。
いずれにせよ、歌手主体のコンサートならばキャンセルするべきであろう状態でエルツェは出演した。
河村さんのシリーズのゲストだから辞退しにくかったのだろうか。
ただ、中止にしないまでも、河村さんのソロリサイタルに変更して催すことも可能だったはずである。
この日のエルツェは何かかすれた感じの声で、高音域は無理やり出している感じで美しくない。
例えばブラームスの「あなたがときおりほほえみ」のような穏やかな作品でさえ、彼女が勢いで無理して発声しているのが痛々しく感じられたほど。
彼女のこの日の演奏であえて悪くなかったのを挙げればアンコールの最後の「赤とんぼ」だろうか。
彼女が本来持っているであろう澄んだ自然な声は日本歌曲との相性が良いのではないだろうか。

一方の河村尚子はソリストとしての輝かしいキャリアを積む一方で、リート演奏でも一切の妥協のない真摯な姿勢が全曲から感じられてリートファンとしては嬉しかった。
リート伴奏者に必要な推進力、サポート力と同時に、音楽の細部にも目を配り、最大限の響きを生み出そうという姿勢がとても素晴らしく、リート伴奏者としてのさらなる活動を期待せずにはいられない。
持ち駒がとても豊かで、シューベルトの自然な感情の揺らぎも、ヴェーベルン独自の響きも、ブラームスの強固な構成も、プーランクの生真面目な遊びも、シュトラウスの艶やかさも皆彼女の演奏から感じることが出来た。
ソリストが伴奏をするとともすると、歌いすぎて歌手を置いてけぼりにしがちだが、彼女の場合はそれが一切なかった。
優秀なリート伴奏者の誕生に立ち会えたことに感銘を受けた一夜ではあった。

エルツェは喉のメンテナンスをして、いずれ最高の状態でもう一度聴けたらいいのだが。

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ジ・アート・オブ・アルド・チッコリーニ ピアノ・リサイタル(2012年12月1日 すみだトリフォニーホール)

ジ・アート・オブ・アルド・チッコリーニ ピアノ・リサイタル
ドビュッシー生誕150年記念
《ドビュッシーとセヴラック》
2012年12月1日(土)15:00 すみだトリフォニーホール(1階11列6番)
アルド・チッコリーニ(Aldo Ciccolini)(Piano)

デオダ・ド・セヴラック(Déodat de Séverac: 1872-1921)作曲

春の墓地の片隅(Coin de cimetière au printemps)~組曲《ランドックにて》より(from Suite "En Languedoc")

《休暇の日々から》第1集(En vacances I)
 1.シューマンへの祈り(Invocation à Schumann)
 2.おばあさまが撫でてくれる(Les caresses de Grand'-maman)
 3.小さなお隣さんたちが訪ねてくる(Les petites voisines en visite)
 4.教会のスイス人に扮装したトト(Toto déquisé en suisse d'église)
 5.ミミは侯爵夫人の扮装をする(Mimi se déguise en "Marquise")
 6.公園でのロンド(Ronde dans le parc)
 7.古いオルゴールが聞こえるとき(Oû l'on entend une vielle boîte à musique)
 8.ロマンティックなワルツ(Valse romantique)

リヴィアのキリスト像の前のラバ引きたち(Les muletiers devant le Christ de Llivia)~《セルダーニャ》5つの絵画的練習曲より(from "Cerdaña" - 5 Etudes pittoresques)

演奏会用の華麗なワルツ「ペパーミント・ジェット」(Valse brillante de concert "Pipperment-get")

~休憩~

クロード・ドビュッシー(Claude Debussy: 1862-1918)/前奏曲集第1巻(Préludes I)
 1.デルフィの舞姫たち(Danseuses de Delphes)
 2.帆(ヴェール)(Voiles)
 3.野を渡る風(Le vent dans la plaine)
 4.音と香りは夕暮れの大気に漂う(Les sons et les parfums tournent dans l'air du soir)
 5.アナカプリの丘(Les collines d'Anacapri)
 6.雪の上の足あと(Des pas sur la neige)
 7.西風の見たもの(Ce qu'a vu le vent d'ouest)
 8.亜麻色の髪の乙女(La fille aux cheveux de lin)
 9.とだえたセレナード(La sérénade interrompue)
 10.沈める寺(La cathédrale engloutie)
 11.パックの踊り(La danse de Puck)
 12.ミンストレル(Minstrels)

~アンコール~
D.スカルラッティ/ソナタ ホ長調K380
グラナドス/スペイン舞曲第5番「アンダルーサ(祈り)」

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高名なピアニストで録音も多いアルド・チッコリーニの実演をはじめて聴いた。
1925年8月15日ナポリ生まれというから御年87歳!
実はこの日は新国の「セビリアの理髪師」のチケットを持っていたのだが、チッコリーニを選んで大正解だった(ちなみに「セビリア…」は後日聴いた)。

こんな凄い体験はめったに出来るものではない。
杖をついて登場したチッコリーニを見て、ある程度はミスに目をつぶる演奏を想像していたのだが、とんでもない!
全くもって現役ばりばりのみずみずしく豊かな音楽が見事なタッチを保ちつつ演奏されたのである。
私の不明を恥じた。

しかもありきたりの選曲ではなく、前半をすべてセヴラックのピアノ作品で埋めるというたくましい姿勢。
人間の能力の限りのなさを目の当たりにして、ただ頭を垂れるのみである。

ここでチッコリーニが豊かなタッチと正確な運指による素晴らしい演奏を聴かせてくれたことについてこまごまと言葉にする気がしない。
はじめから終りまで全体がこの上ない体験だった。
本物の音楽を聴いたという感覚-これは一生忘れえないコンサートの一つとなった。

アンコールで弾かれたスカルラッティのソナタ ホ長調は、チッコリーニのみに照明を当て、客席を真っ暗闇にした演出がされ、誰もが自分のために弾いてくれている感覚を味わえたのではないか。
出来ることならばもう一度体験したい。
セヴラックでもドビュッシーでも他の作品でも何でも構わない。
ぜひともお元気で生涯現役を貫いていただけたらどんなに素敵なことだろう。
すみだトリフォニーホールさん、お願いいたします!!

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