クリスティアーネ・エルツェ&河村尚子/リートへの憧れ。C.エルツェを迎えて(2012年12月5日 トッパンホール)
〈エスポワール シリーズ 9〉
〈歌曲(リート)の森〉 ~詩と音楽 Gedichte und Musik~ 第11篇
河村尚子(ピアノ) Vol.2─リートへの憧れ。C.エルツェを迎えて
2012年12月5日(水)19:00 トッパンホール(B列3番)
クリスティアーネ・エルツェ(Christiane Oelze)(ソプラノ)
河村尚子(Hisako Kawamura)(ピアノ)
シューベルト作曲
戸外で D880
星 D939
弔いの鐘 D871
《白鳥の歌》D957より〈鳩の使い〉D965A
ウェーベルン/ゲオルゲの詩による5つの歌 Op.4
1.序詞
2.あなたを看取ろうとする私のまごころと
3.ようこそ 祝福をもたらしたあなたよ!
4.私が悲しいとき
5.おまえたちは歩み寄った
ブラームス作曲
死、それは冷たい夜 Op. 96-1
すべての花は見つめている Op.96-3
月の光 Op.85-2
あなたがときおりほほえみ Op.57-2
空気はなまぬるく、そよともせず Op.57-8
~休憩~
プーランク/偽りの婚約
1.アンドレのご婦人
2.草の中に
3.飛んでいる
4.私の屍は手袋のように柔らかい
5.ヴァイオリン
6.花
R.シュトラウス作曲
ばらのリボン Op.36-1
たそがれの夢 Op.29-1
言われたら、なんでも言う通り Op.36-3
セレナーデ Op.17-2
~アンコール~
ウェーベルン/4つの歌 Op.12より〈似たもの同士〉
山田耕筰/赤とんぼ
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若手実力派ピアニストの一人、河村尚子がクリスティアーネ・エルツェを迎えてリートの演奏会を開くというのでトッパンホールへ出かけた。
河村尚子もエルツェも生で聴くのはこれが初めてであり、期待して臨んだところ、半分は満たされ、半分は満たされなかった。
ソプラノのクリスティアーネ・エルツェはこの日風邪を引いていたのであろうか。
それとも喉の疾患をもっているのだろうか。
いずれにせよ、歌手主体のコンサートならばキャンセルするべきであろう状態でエルツェは出演した。
河村さんのシリーズのゲストだから辞退しにくかったのだろうか。
ただ、中止にしないまでも、河村さんのソロリサイタルに変更して催すことも可能だったはずである。
この日のエルツェは何かかすれた感じの声で、高音域は無理やり出している感じで美しくない。
例えばブラームスの「あなたがときおりほほえみ」のような穏やかな作品でさえ、彼女が勢いで無理して発声しているのが痛々しく感じられたほど。
彼女のこの日の演奏であえて悪くなかったのを挙げればアンコールの最後の「赤とんぼ」だろうか。
彼女が本来持っているであろう澄んだ自然な声は日本歌曲との相性が良いのではないだろうか。
一方の河村尚子はソリストとしての輝かしいキャリアを積む一方で、リート演奏でも一切の妥協のない真摯な姿勢が全曲から感じられてリートファンとしては嬉しかった。
リート伴奏者に必要な推進力、サポート力と同時に、音楽の細部にも目を配り、最大限の響きを生み出そうという姿勢がとても素晴らしく、リート伴奏者としてのさらなる活動を期待せずにはいられない。
持ち駒がとても豊かで、シューベルトの自然な感情の揺らぎも、ヴェーベルン独自の響きも、ブラームスの強固な構成も、プーランクの生真面目な遊びも、シュトラウスの艶やかさも皆彼女の演奏から感じることが出来た。
ソリストが伴奏をするとともすると、歌いすぎて歌手を置いてけぼりにしがちだが、彼女の場合はそれが一切なかった。
優秀なリート伴奏者の誕生に立ち会えたことに感銘を受けた一夜ではあった。
エルツェは喉のメンテナンスをして、いずれ最高の状態でもう一度聴けたらいいのだが。
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