アンヌ・ケフェレック/ピアノ・リサイタル(2012年12月8日 東京文化会館 大ホール)
都民劇場音楽サークル第604回定期公演
アンヌ・ケフェレック ピアノ・リサイタル
2012年12月8日(土)19:00 東京文化会館 大ホール(1階3列3番)
アンヌ・ケフェレック(Anne Queffélec)(piano)
ヘンデル(Händel)/パッサカリア ト長調(Passacaglia in G minor) HWV432
J.S.バッハ(Bach);ブゾーニ(Busoni)編/コラール前奏曲「いざ来たれ、異教徒の主よ」(Choral Prelude "Nun komm' der Heiden Heiland")BWV659a
A.マルチェッロ(Marchello);J.S.バッハ編/オーボエ協奏曲 ニ短調より アダージョ(Adagio from Oboe Concerto in D minor)
ヘンデル;ケンプ(Kempff)編/メヌエット ト短調(Menuet in G minor) HWV434
J.S.バッハ;ヘス(Hess)編/カンタータ「心と口と行いと命もて」BWV147より「主よ、人の望みの喜びよ」(Choral "Jesu, meine Freude" from the Cantate "Herz und Mund und Tat und Leben")
ヘンデル/シャコンヌ ト長調(Chaconne in G Major) HWV435
ベートーヴェン(Beethoven)/ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」(Sonata No. 14 in C-sharp minor Op. 27-2 "Moonlight sonata")
~休憩~
ラヴェル(Ravel)/古風なメヌエット(Menuet antique)
ラヴェル/亡き王女のためのパヴァーヌ(Pavane pour une infante défunte)
ドビュッシー(Debussy)/映像第1集(Images 1)
水に映る影(Reflets dans l'eau)
ラモーを讃えて(Hommage à Rameau)
運動(Mouvement)
ドビュッシー/映像第2集(Images 2)
葉末を渡る鐘の音(Cloches à travers les feuilles)
そして月は廃寺にかかる(Et la lune descend sur le temple qui fut)
金色の魚(Poissons d'or)
~アンコール~
サティ/グノシエンヌ第3番
ショパン/幻想即興曲
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フランスの名花、ピアニストのアンヌ・ケフェレックのリサイタルを聴いた。
女性の年齢を記すのは失礼ではあるが、公の方なので記すと、今60台半ばとのこと。
それにしてはなんという可愛らしい方なのだろう。
黒いシックなドレスを纏ってあらわれた小柄なケフェレックは、なんとも魅力的な笑顔をたたえてピアノに向かった。
最初のブロックはヘンデル、バッハ、マルチェッロといったバロック音楽の小品を集めたもの。
かなり小さな手のように見受けられるのだが、余分なものを削ぎ落とした硬質な響きでありながら、どうしてこれほど親密に語りかけるような美しい響きが生み出されるのだろう。
静かな作品も華やかな作品も、彼女の温かみに包まれて、滴り落ちるしずくのように輝いていた。
持ち合わせたエレガントな雰囲気も相まってうっとりと聴き惚れた贅沢な時間だった!
とりわけマルチェッロの悲しげな表情の美しかったこと!
そして、ベートーヴェンの「月光」ソナタ。
なんの衒いもない真摯な演奏は、この著名なソナタのありのままが提示されたようだ。
第3楽章も彼女なりのドラマを湛えつつ、丁寧な音紡ぎが新鮮に感じられた。
後半はお国もののラヴェルとドビュッシー。
こちらは言うまでもなく、彼女の本領発揮であった。
繊細な表情をもった響きが各曲の核心を描いていく。
迫力で唸らせるのではなく、繊細な音の魔力に聴き手の集中力を引き込んでいく。
テクニックは十全でありながら、それが表に出ず、いい音楽を聴いたという気分にさせてくれる素敵なピアニストであった。
アンコールはアンニュイなサティと、即興性を重視したかのようなショパンの演奏で、大入りの文化会館大ホールの聴衆を魅了した。
何度でも聴きたいと思わせるケフェレックの演奏であった。
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