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ローマン・トレーケル&原田英代/リートの夕べ(2012年10月23日 浜離宮朝日ホール)

原田英代連続演奏会シリーズ<作曲家の絆>vol.2
ローマン・トレーケル&原田英代 リートの夕べ

2012年10月23日(火)19:00 浜離宮朝日ホール(1階4列7番)

ローマン・トレーケル(Roman Trekel)(Baritone)
原田英代(Hideyo Harada)(Piano)
シューベルト(Schubert)作曲
音楽に寄す D547
夜曲 D672
タルタロスからの群れ D583
私からの挨拶を D741
さすらい人が月に寄せて D870
ミューズの息子 D764

ブラームス(Brahms)作曲
五月の夜 op.43-2
愛の歌 op.71-5
永遠の愛について op.43-1
眠りの精(砂の小人)
そよがぬなま暖かい空気 op.57-8
昔の恋 op.72-1
わが女王よ、なんと君は op.32-9
セレナード<月は山の上に> op.106-1

~休憩~

シューマン(Schumann)作曲
「詩人の恋」op.48

~アンコール~
メンデルスゾーン(Mendelssohn)/歌の翼に
シューベルト(Schubert)/セレナーデ

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(感想を書かないまま放置してあったので、ここまででアップすることにします。
歌、ピアノともにとても生き生きとして雰囲気のある素晴らしい演奏でした!)

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持田香織 Concert Tour 2012 ~manu a manu~(2012年10月8日 横浜BLITZ)

持田香織 Concert Tour 2012 ~manu a manu~

2012年10月8日(月・祝)18:00 横浜BLITZ

持田香織(ヴォーカル)

栗原務(ドラム/LITTLE CREATURES)
TATSU(ベース)
Dr.kyOn(キーボード)
おおはた雄一(ギター)

PA. manu a manu

1. HAJIMARI
2. めぐみ
3. やさしくなれたら
4. 美しき麗しき日々
5. weather

6. Don’t Wait Too Long (マデリン・ペルーのカバー)
7. 静かな夜
8. 君のくれた世界

9. ふたりの音楽(w/おおはた雄一)

10. 雨は徒然に (アンニュイな演出で歌う)
11. State of mind
12. Bolero
13. Drop
14. Pocket (ギター演奏も披露)
15. 夜明け

~アンコール~
1. ラストダンスは私に (越路吹雪のカバー)
2. ハピネス
3. tokyo hotaru

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持田香織の3rdアルバム「manu a manu」を引っ提げたツアーの初日公演(追加公演でもある)を横浜BLITZで聴いた。

(感想を書かないまま時間が過ぎてしまったので、ここまででアップしておきます。ライヴ自体は思ったよりも近い席で手作り感あふれる温かい雰囲気を楽しめたことを思い出します。)

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デジュー・ラーンキ/ピアノ・リサイタル(2012年10月2日 浜離宮朝日ホール)

【浜離宮朝日ホール 開館20周年記念公演】
デジュー・ラーンキ ピアノ・リサイタル

2012年10月2日(火)19:00 浜離宮朝日ホール(1階1列2番)
デジュー・ラーンキ(Dezső Ránki)(piano)

ハイドン/ピアノ・ソナタ第49番変ホ長調Hob XVI/49 Op.66
ドビュッシー/子どもの領分
ドビュッシー/版画

~休憩~

シューマン/クライスレリアーナ

~アンコール~
シューマン/「幻想小曲集」~「夕べに」Op.12-1

関東に戻っても、宗次ホールで聴いたラーンキの素晴らしさが頭からはなれず、もう一度聴きたくなったので、東京公演も聴くことにした。
久しぶりの浜離宮朝日ホールは若干私の家からは遠いが、音響は非常に素晴らしかった。
プログラムは前半が名古屋公演と同じで、後半がリストなどの代わりにシューマンの「クライスレリアーナ」だった。
やはり関心はラーンキがどのような「クライスレリアーナ」を聴かせてくれるかという点にあった。

今回ホールの1列目で聴いたが、やはり鼻息はもちろん、音を出さないように歌っているのが終始聞かれ、彼の「癖」が健在だったことを再認識した。

今回の席は左端の方だったので、彼の姿をほぼ斜め後ろから見る形になったが、こうして眺めると、背筋は伸びていながらも音楽に合わせて必要最低限に体を動かしているのが分かる。
ただ、それが常に音楽と結びついた動きなので、聴き手は音楽に集中することが出来た。

今回あらためて聴いて、彼のダイナミクスの自在さに最も印象付けられた。
ラーンキは一体どれほどの強弱の種類をもっているのだろうか。
一つとして単調な繰り返しはなく、同じ楽句をダイナミクスやフレージング、ペダリングなどの様々な手段を用いて、何色もの輝きを放つ。
いくら腕の立つ若手が沢山出てこようが、これほどの豊富なパレットを自在に操れる人はそうはいないだろう。

ハイドンのソナタはユーモラスな軽快さが印象的で、それをラーンキは引き締まった音でなんとも魅力的に表現する。
あらためて、ハイドンのピアノソナタはもっと頻繁に演奏されてもいいのにと思える充実感があった。

ドビュッシーでもラーンキの余計なものを削ぎ落とした引き締まった演奏が各曲の持ち味を見事に浮き立たせる。
ドビュッシーの多彩な書法をくっきりと抽出するラーンキの演奏をたっぷり聴けて、なんとも充実した時間だった。

後半の「クライスレリアーナ」は一般に冒頭から飛ばす演奏が多い中、彼はテンポも音量もセーブしてスタートし、それは音のうねりよりもさざなみのような感じで新鮮だった。
その後も各曲の性格をさらりと、しかし含蓄のある響きで見事に表現し、30分かかる全曲があっという間に感じられたほどだった。
それにしても、先日「子供のためのアルバム」を聴いた時にも感じたが、シューマンの作品は確かにビーダーマイアー的雰囲気をまとっていることが少なくないが、それが決して単調にならず、聴き手の心に引っかかる響きが聴かれるのは、この作曲家がいかに非凡だったかを思わせる。

アンコールのシューマン「夕べに」がまた素晴らしい歌に満ち溢れ、彼こそ今聴くべきピアニストだとあらためて感じさせられた。

今回は聴衆のみなさんも素晴らしく、その集中力は一体感があり、気持ちよく演奏を聴くことが出来たのはうれしかった。

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デジュー・ラーンキ/ピアノリサイタル(2012年9月23日 宗次ホール)

デジュー・ラーンキ ピアノリサイタル

2012年9月23日(日)18:00 宗次ホール(Munetsugu Hall)(1階F列9番)
デジュー・ラーンキ(Dezső Ránki)(piano)

ハイドン(Haydn)/ソナタ 変ホ長調(Sonate Es-dur) Hob.XVI:49 作品66
 Ⅰ.Allegro
 Ⅱ.Adagio
 Ⅲ.Finale (Tempo di Minuet)

ドビュッシー(Debussy)/子供の領分(Children's corner)
 第1曲 グラドゥス・アド・パルナッスム博士
 第2曲 象の子守唄
 第3曲 人形のセレナーデ
 第4曲 雪は踊っている
 第5曲 小さな羊飼い
 第6曲 ゴリウォーグのケークウォーク

ドビュッシー(Debussy)/版画(Estampes)
 第1曲 パゴダ(塔)
 第2曲 グラナダの夕べ
 第3曲 雨の庭

~休憩~

シューマン(Schumann)/子供のためのアルバム(Album für die Jugend) 作品68 より
 第1曲 メロディー
 第9曲 民謡
 第10曲 楽しき農夫
 第11曲 シチリアーナ
 第14曲 小さな練習曲
 第15曲 春の歌
 第17曲 朝の散歩をする子供
 第21曲 (タイトル無し)
 第22曲 ロンド
 第23曲 騎手の歌
 第30曲 (タイトル無し)
 第36曲 イタリア人の船乗りの歌
 第42曲 装飾されたコラール

リスト(Liszt)/5つの小品(5 Kleine Klavierstücke) S.192
 第1曲 ホ長調
 第2曲 変イ長調
 第3曲 嬰ヘ長調
 第4曲 嬰ヘ長調
 第5曲 「ため息」

リスト(Liszt)/ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」(Après une Lecture de Dante: Fantasia Quasi Sonata) S.161-7

~アンコール~
リスト/聖ドロテア(Sancta Dorothea) S.187

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ハンガリーのベテランピアニスト、デジュー・ラーンキはかつて一度だけ生で聴いたことがある。
ゴールデンウィーク恒例のラ・フォル・ジュルネでシューベルトのソナタを弾いた時である。
その時はかなり前方で聞いたと記憶するが、ホール(会議室?)の音響の悪さもあったのか、ラーンキの鼻息がやたらと気になったという印象ばかり浮かんでくる。
もちろん演奏自体は素晴らしかったと記憶しているが、あの息はかなり凄かった。

今回は名古屋、栄にある宗次(むねつぐ)ホールという小さなホールである(ちなみに私が今回宿泊したホテルの真前にある)。
名古屋駅から地下鉄で2駅という交通の便の良さも有難い。
ピアノを聴くにはうってつけのこじんまりとした空間である(310席)。
ロビーも手作り感のあるスタッフの対応が気持ちよい。
なんでもあのカレーのCoCo壱の創業者、宗次徳二氏が作ったホールとのこと。

客席数が少ないのにもかかわらず、空席が多いのに驚いた。
しかもチケット代は東京公演の半額ほどなのにである。

登場したデジュー・ラーンキは、客の少なさに動揺もせず、淡々とお辞儀をし、ピアノに向かう。
その演奏ぶりはクールで背筋は伸び、無駄な動きの一切ないものなのだが、そこから紡ぎ出される音楽のあまりの豊かさに正直驚いた。
まさに円熟の境地(ありきたりな言い方だが)といった印象である。
以前聴いた時に気になった鼻息は今回はそれほど気にならず、席の位置やホールの響きも影響しているのだろうと思う。

テンポは概して早めでさくさく進むのだが、その硬質な音の一つ一つに豊かな表情があり、弾き飛ばす箇所が全くない。
その音楽のみずみずしさと充実感は聴いていてただただ感嘆するのみであった。
音は強音でも決して汚れず、しかも芯のあるしっかりとした響きを出し、一方の弱音でも音の存在感が失われることはなかった。

最初のハイドンのソナタは比較的規模が大きめの作品だったが、チャーミングで華麗な効果も魅力的に表現していた。
ドビュッシーの「子供の領分」と「版画」はペダルを使いすぎずに粒立ちのよいタッチを駆使した充実した演奏だった。
それぞれの曲のキャラクターを巧まずに描き分ける術は、このピアニストの円熟をあらわしていた。

後半はシューマンの「子供のためのアルバム」からの抜粋(13曲)で始まったが、前半の「子供の領分」と対比させた選曲なのであろう。
その簡素さゆえか、一流ピアニストの演奏会ではなかなか聴けない作品だが、ラーンキはそれぞれの小品を"大人の音楽"として聴かせてくれた。
有名な「楽しき農夫」も彼の手にかかると立派な無言歌となる。
タイトルなしの作品も含めて、見事な選曲だった。

次にリストの珍しい「5つの小品」が演奏されたが、これはリスト晩年の作品とのこと。
華麗な超絶技巧をこれでもかと押し込んだ時代の作品とは全く趣が異なるのに驚かされる。
5曲といってもそれぞれ1~2分ぐらいの小品で、華麗な見せ場は皆無といってよい。
晩年の静かな境地にあったリストによってはじめて可能だった世界だろう。
独特な和声を織り込みつつも、概して穏やかに平穏に流れるこれらの作品は、リストの作風の変遷を感じさせてくれて興味深かった。
もちろんラーンキの演奏も共感に満ちた豊かな演奏だった。

そして「5つの小品」から間を空けずに続けて演奏された最後の演目は、これぞリストといったばりばりのテクニックを要する「ダンテを読んで」である。
地獄の恐ろしい情景がこれでもかと次々に繰り出されるが、ラーンキの演奏ぶりは相変わらずクールなもの。
しかし、冷静な表情であっても手や腕はあわただしく鍵盤を駆け巡り、しかもどこまでも非のうちようのない完璧なテクニックで見事に弾ききってしまうラーンキの実力に脱帽であった。

盛り上がった会場をクールダウンするのにアンコールで弾かれた「聖ドロテア」という美しい小品はうってつけであった。
デジュー・ラーンキの素晴らしさを再発見したコンサートであった。

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アンドリュー・フォン・オーエン/ピアノ・リサイタル(2012年9月23日 愛知県芸術劇場コンサートホール)

アンドリュー・フォン・オーエン ピアノ・リサイタル

2012年9月23日(日)13:30 愛知県芸術劇場コンサートホール(1階13列4番)
アンドリュー・フォン・オーエン(Andrew von Oeyen)(piano)

ベートーヴェン(Beethoven)/ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調「悲愴」op.13
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調「ワルトシュタイン」op.53

~休憩~

ショパン(Chopin)/舟歌 嬰ヘ長調 op.60
ショパン/ワルツ ロ短調 op.69-2
ショパン/エチュード ホ短調 op.25-5
ショパン/幻想即興曲 嬰ハ短調 op.66
ラヴェル(Ravel)/亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル/ラ・ヴァルス

トーク

~アンコール~
ショパン/ノクターン第20番嬰ハ短調
ショパン/子犬のワルツ
ドビュッシー/月の光

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今年も遅めの夏休みをとり、ふだん行けない関西のコンサートホールに出かけてみようとあれこれ調べた結果、今年は名古屋を訪れることに決めた。
出発した日に泊まるホテルの近くに「電気文化会館」というホールがあり、先日王子ホールで聴いたばかりのサンドリーヌ・ピオー&スーザン・マノフの歌曲コンサートが開かれるとのことで、
もし開演時間(16時)に間に合って、当日券が残っていたらもう一度聴こうかと思っていたのだが、結局家を出る時間が遅くなり、間に合わなかった。
まあ、それはもし可能だったらということで、実際の目的はその翌日の2公演だったので、諦めはついた。
そして、本来聴こうと思っていたコンサートの場所は、新幹線の名古屋駅から地下鉄東山線で2駅目の「栄」駅近くの2つのホールである。

まずは愛知県芸術劇場のマチネー公演である。
こちらの劇場は大ホール、小ホール、コンサートホールという3種類の音楽ホールがあり、さらに美術館やアートスペース、さらに芸術関係の図書館のような施設もあり、名古屋のアートの中心地としての役割をもっているようだ。
ちなみにこのコンサートが終わった後、大ホール前に聴衆の行列が出来ていたので、誰が来るのかと思ったら、米米クラブの石井竜也のライヴだった。

容姿を売りにするアーティストは数多い。
演奏家もビジネスとして舞台にたつわけだから、戦略の一つとして容姿を武器にするのは悪いことではない。
だが、この売り出し中のアメリカ人ピアニスト、アンドリュー・フォン・オーエンはただその容姿の良さだけを前面に押し出すのではない。
確かに、今回のコンサートで前半と後半で衣裳を変えたり、正規のプログラム終了後に女性スタッフを伴って舞台に現れ、トークコーナーが設けられたりしたのは、イケメンピアニストならではと言えなくもないだろう。
だが、ベートーヴェン、ショパン、ラヴェルといった3人の国も様式も異なる作品を聴いて、このピアニストが豊かな音楽性と清潔な美音をもった実力派であることははっきり感じられたのである。
いわゆる「イケメン」の演奏は、本当の実力よりも軽く見られがちに思われる。
しかし、オーエンという若いピアニストは、ベートーヴェンの構築感も、ショパンの繊細な歌も、ラヴェルのグロテスクさも、どれもしっかりと感じさせてくれる聴きごたえのある演奏だった。
テクニックは安定しているし、テンポも恣意的なところがなく自然で、タッチは美しく音が汚れたりすることはない。
地に足をつけて、しっかりと作品のスタイルを表現していたのは好感がもてた。
知名度はまだこれからというところだろうが、すでに若い女性ファンが増えている予感は感じられる。
ステージマナーなどはまだ若干固さが感じられた。
後は、演奏に彼ならではの魅力がさらに加わるといいと思うが、それは経験を積むことによって獲得されることだろう。
望むらくは、才能を磨耗させずに、充分に熟成させる時間をもちながら演奏活動を続けてほしいものだ。

最後に一つ愚痴を。
プログラム1000円は明らかに高過ぎ!

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