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イアン・ボストリッジ&グレアム・ジョンソン/シューベルト「白鳥の歌」ほか(2012年1月10日 東京オペラシティ コンサートホール)

イアン・ボストリッジ テノール・リサイタル
2012年1月10日(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(1階3列12番)
イアン・ボストリッジ(Ian Bostridge)(テノール)
グレアム・ジョンソン(Graham Johnson)(ピアノ)

シューベルト(Schubert)

水鏡 Widerschein D949
冬の夕べ Der Winterabend D938
星 Die Sterne D939

白鳥の歌 Schwanengesang D957 より
 愛の便り Liebesbotschaft
 兵士の予感 Kriegers Ahnung
 春のあこがれ Frühlingssehnsucht
 セレナーデ Ständchen
 わが宿 Aufenthalt
 遠い国で In der Ferne
 別れ Abschied
 アトラス Der Atlas
 彼女の姿 Ihr Bild
 漁師の娘 Das Fischermädchen
 まち Die Stadt
 海辺にて Am Meer
 影法師 Der Doppelgänger

~アンコール~
シューベルト/鳩の便りD965A
シューベルト/月に寄せてD296

※休憩なし。
※本公演は2011年3月31日(木)に予定されていた公演の延期公演。

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昨年の大震災によって延期となっていたボストリッジとジョンソンによるリサイタルを聴いた。
東京オペラシティの前から3列目の中央から見ると、ボストリッジは相変わらず細い(と同時に体も薄い)。
背はひょろっと高く、本当にあの痩せた体からまろやかな美声が出るというのが不思議な気がする。

ボストリッジは今回もとてもよく動いた。
なんだかオペラの舞台に立った歌手のようである。
歩き方なども行ったり来たりしながらのリハーサル?といった趣すら感じられる。
だが、この夜のプログラムはシューベルト晩年の傑作群。
一筋縄ではいかない濃い作品ばかりである。
彼の痩身から重量級の表現をする為には歩きながら歌うことが必要なのかもしれない(録音の時はどうしているのだろうか)。

斜に構えた雰囲気をもったボストリッジだが、シューベルトの作品へのアプローチは正攻法で、クリーミーな美声も依然健在である。
そして「白鳥の歌」の低音箇所が若干きつそうだったのを除くと、性格の全く異なる晩年の凝縮された作品群それぞれへの対応力は素晴らしかった。
没入しながらもどこか冷めた視点も持った彼の歌唱は、それゆえに異なる嗜好をもった聴き手の多くを魅了するのかもしれない。

いったん袖にひっこんでアンコールとして歌われた「鳩の便り」でようやくほっと一息つけたのだった。

昨年震災間もない日本にフェリシティ・ロットと共にやってきて感銘を与えてくれたピアニストのグレアム・ジョンソンは、今回もまた熟練の技で聴き手を魅了した。
彼はムーア、パーソンズといった往年の伴奏の巨匠たちの教えを受けているのだが、ピアニスティックな面での表現よりも、作品への寄与を優先させるという点で、ムーアにより近いものを受け継いでいるように感じた。
今回の「白鳥の歌」でも、弱音で演奏する箇所ではほとんどささやくかのような響きで歌を優先させ、出るべきところでもピアノで歌うことを決して忘れない。
その姿勢はピアノという楽器を介在させていながら、歌手と共に歌曲の小宇宙を完結させることに彼の演奏の美質があるように感じられた。
一見地味だが、その温かみのある響きは、聴き手への優しさにあふれていた。

休憩がなかったので、中断なくシューベルトの世界にどっぷりとつかった1時間半だった。

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