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ゲルハルト・オピッツ/ピアノ・リサイタル(2011年12月4日 川口リリア 音楽ホール)

ゲルハルト・オピッツ ピアノ・リサイタル

2011年12月4日(日)15:00 川口リリア 音楽ホール(V列6番)
ゲルハルト・オピッツ(Gerhard Oppitz)(Piano)

ベートーヴェン(Beethoven)/ピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調 作品31-3

ベートーヴェン(Beethoven)/ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調「ワルトシュタイン」作品53

~休憩~

ブラームス(Brahms)/2つのラプソディ 作品79
 1. h-moll
 2. g-moll

ブラームス(Brahms)/ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 作品24

~アンコール~
ブラームス(Brahms)/「幻想曲集」~インテルメッツォ 作品116-4

毎年暮れになるとオピッツのコンサートを聴くのが私にとってここ数年の恒例となりつつある。
そして、毎回当たり前のように聴きに行くのだが、今回ほど、このピアニストの凄さを身に沁みて感じたことはなかった。
私の家からそう遠くないところにある川口リリアにオピッツのような巨匠が来てくれるというのは本当はとても有難いことなのだが、毎年聴いていると麻痺してしまうのか、その貴重さもあまり意識しなくなってしまう。

しかし、今回のベートーヴェンとブラームスの硬派なプログラムを聴いて、「ドイツ魂ここにあり」とただただ感服するばかりだった。
今回私は後方左側の席だったのだが、このリリアの音楽ホールは響きがとても良く、後ろまで細かい表情が伝わってくる。
そして、オピッツの1曲1曲にかける思いの強さがひしひしと伝わってきて、その積極的なアプローチに圧倒されっぱなしだった。
概して早めのテンポ設定で、細やかなテンポの揺れや強弱の変化を付けて、一時も崩れることがない。
そしてあまりにも素晴らしいテクニックは決して音楽を覆いかぶすことはなく、常に作品の姿を表現する一手段となっていた。
前半のベートーヴェンのソナタ2曲(「狩」「ヴァルトシュタイン」)ですでにノックアウト。
こんなに力強く、質実剛健でありながら、あざとくなく、朴訥ですらあるのは、凄いの一言。
いろいろなベートーヴェン解釈があっていいのだが、オピッツのこの演奏はまさにドイツ人にしかなし得ない境地と感じた。

興奮おさまらぬまま休憩に入り、後半最初に演奏されたブラームス「2つのラプソディ」がまた凄かった。
奔放さとデリカシーの交錯する作風が立体的なオピッツの造形によって息つく間もないほどのドラマティックな表情となり、まさに「狂詩曲」というにふさわしい名演だった。
これほど強烈な光を放ったラプソディーが実演で聴けるとは!

そして、ヘンデルのテーマによる変奏曲がまた素晴らしい。
オピッツの演奏は集中力に満ち、次々と繰り広げられる変奏が実に表情豊かに引き締まったテンポ感で表現される。
この作品が、ベートーヴェンの「ディアベッリ変奏曲」の後に続く傑作であることを、オピッツの隙のない完璧な演奏が教えてくれた。
30分近くの大作がこれほど短く感じられたのは、彼の演奏のもつ力ゆえだろう。

アンコールのブラームス「インテルメッツォ 作品116-4」がまた味わいに満ちて、美しい歌にあふれていた。
最初から最後まで徹底してドイツ芸術の豊かさを作品、演奏の両面からたっぷりと味わえたマチネだった。

さらに2回オピッツのシューベルトシリーズを聴けるのが今から楽しみだ。
(ちなみに「ヴァルトシュタイン」3楽章のオクターブグリッサンド箇所は、グリッサンドにせず両手に分けて弾いていたように見えた。)

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