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岡田博美/ピアノ・リサイタル「ふらんす plus 2011」(2011年10月29日 東京文化会館 小ホール)

岡田博美 ピアノ・リサイタル
ふらんす plus 2011
2011年10月29日(土)19:00 東京文化会館 小ホール(G列18番)

岡田博美(Hiromi Okada)(Piano)

イベール(Ibert)/物語(Histoires)
 金のかめを使う女
 小さな白いろば
 年老いた乞食
 おてんば娘
 悲しみの家で
 廃墟の宮殿
 机の下で
 水晶のかご
 水売り女
 バルキス女王の行列

ファリャ(Falla)/アンダルシアのセレナーデ(Serenata Andaluza)

ファリャ/ファンタシア・ベティカ(アンダルシア幻想曲)(Fantasia Baetica)

~休憩~

アルベニス(Albéniz)/イベリア第3巻(Iberia 3me Cahier)
 エル・アルバイシン
 エル・ポロ
 ラバピエース

セヴラック(Séverac)/來竹桃のもとで(カタルーニャ海岸の謝肉祭のタベ)(Sous les lauriers roses (Soir de Carnaval sur la Côte Catalane))

アルベニス(セヴラック補筆)/ナバラ(Navarra)

~アンコール~
ファリャ/「恋は魔術師」~火祭りの踊り
アルベニス/「スペイン」~タンゴ Op.165 No.2

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昼に北村朋幹のコンサートを聴いた後、上野に移動し、英国を拠点に活動する岡田博美のリサイタルを聴いた。
岡田が毎年東京文化会館 小ホールで催している「ふらんす plus」シリーズである。
今年はスペインとフランスが交錯する選曲となっている。

北村朋樹が鋭利な感性を武器にした若さあふれる振幅の大きな音楽を聴かせたのに対して、岡田博美は脂ののった余裕のある大人の音楽を聴かせてくれた。
どちらがいいというのではなく、どちらもそれぞれの年齢でこそ表現できる素晴らしさだと思う。

イベール作曲の「物語」は小品10曲からなり、それぞれにタイトルが付けられているが、各曲の楽譜の最後に書かれているそうで、あまり標題音楽としてとらえ過ぎない方がいいのだろう。
子供でも弾けそうな簡素な曲もあるが、岡田さんは洒脱で美しく磨かれた音で演奏して、どの曲にも愛情を注いでいたように感じられ、最初から心をつかまれた。
曲集中にはスペイン風の曲もあり、次のスペイン人ファリャへの作品へ違和感なくつないでいた。

続いてファリャの2曲が演奏されたが、ファリャは長いことパリに留学していたそうで、フランスの音楽語法も吸収して、作風を洗練化させたとのこと(寺西基之氏のプログラム解説による)。
「ファンタシア・ベティカ」はアルトゥール・ルービンシュタインの依頼で書かれたそうだが、期待していた華やかな技巧とは異なる曲風のため、ルービンシュタイン自身は徐々に弾かなくなってしまったとのこと。
だが、岡田さんの演奏を聴いていると、この作品華麗なことこのうえない!
高度なテクニックをもった岡田さんが演奏すると、これほどまでに華やかな演奏効果あふれる作品になるのだとわくわくしながら聴いた。

後半はアルベニスの「イベリア」から第3巻の3曲。
アルベニスもパリでフランスの作曲家と親交をもっている。
スペインのアンダルシア地方やマドリッドの歌や踊り、祭りの空気が魅力的に描かれ、情熱的で雑多な音が入り混じっているかと思えば、素朴な民謡が奏でられたりする。
その様々な要素を取り込んだエネルギーと民族色に満ちた作品を、岡田さんはスマート、かつ華麗に描き尽くす。
魅力的な曲と演奏だった。

その後、セヴラック(アルベニスにも師事している)の比較的規模の大きい「來竹桃のもとで」という珍しい作品が演奏され、最後は再びアルベニスの「ナバラ」。
こちらは未完部分をセヴラックが完成させているそうだ。
なかなか演奏効果にあふれた素敵な作品で、最後を飾るにふさわしく感じた。

ほぼ満席の客席からの割れんばかりの拍手喝采にこたえて岡田さんが演奏したアンコールは2曲。
最初の「火祭りの踊り」はそれはそれは凄かった!
悪魔が乗り移ったかのように自身をあおっていき、どこまでも激しく盛り上げていく。
これだけの演奏はそう聴けるものではないだろう。
終わった後の熱烈な拍手がそれを物語っていた。

その後にアルベニスのよく知られた「タンゴ」でしっとりと美しい響きを聴かせて、コンサートは終わった。

来年がいよいよ10年がかりの「ふらんす plus」シリーズの最終回とのことで、バッハ、ブレーズ、デュカスが予定されている。
私は2009年からしか聴けなかったが、とても充実したシリーズを堪能させていただいた。
最終回にも是非出かけたいと思っている。

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