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三浦文彰&イターマル・ゴラン/ヴァイオリン・リサイタル(2011年7月8日 東京オペラシティ コンサートホール)

Miura_golan_20110708

プロジェクト3×3 Vol.3
三浦文彰 ヴァイオリン・リサイタル

2011年7月8日(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(1階9列32番)
三浦文彰(Fumiaki Miura)(Violin)
イターマル・ゴラン(Itamar Golan)(Piano)

モーツァルト(Mozart)/ヴァイオリン・ソナタ変ロ長調K.378
 I.Allegro moderato
 II.Andantino sostenuto e cantabile
 III.Rondo: Allegro

ベートーヴェン(Beethoven)/ヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調op.96
 I.Allegro moderato
 II.Adagio espressivo
 III.Scherzo: Allegro
 IV.Poco allegretto

~休憩~

ストラヴィンスキー(Stravinsky)/ディヴェルティメント(Divertimento)
 I.Sinfonia: Andante - Vivace agitato
 II.Danses Suisses: Tempo giusto - Valse - Poco piu lento
 III.Scherzo: Moderato - Allegretto grazioso
 IV.Pas de deux: Adagio - Allegretto grazioso - Presto

プロコフィエフ(Prokofiev)/ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調op.94bis
 I.Moderato
 II.Scherzo: Presto
 III.Andante
 IV.Allegro con brio

~アンコール~
パラディス(Paradis)/シチリアーナ(Siciliana)
福田恵子/赤とんぼの主題による変奏曲

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2009年10月にハノーファー国際コンクールで史上最年少で優勝した三浦文彰のリサイタルを聴いた。
共演はレーピンなど世界中の弦楽器奏者とのコンビで著名なリトアニアのピアニスト、イターマル・ゴラン。
1993年生まれの三浦と、1970年生まれのゴラン、その年齢差は23歳と大きい。
しかし、例えばF=ディースカウとムーアの年齢差も26歳であり、ベテランと若手の組み合わせは時に大きな可能性を感じさせる。

客層はいつものコンサートと比べて明らかに親子連れが多い。
ヴァイオリンを習っている子供たちにとってもすでに憧れの存在なのだろう。
私の席は1階席の一番右。
顔を左に向けて聴き続けることになるが、響きは決して悪くなかった。

前半はモーツァルトとベートーヴェンという古典の大家の作品を並べ、三浦の意欲をうかがわせる。
三浦の演奏は意外と律儀で丁寧な印象。
最初だからか、若干線が細い印象も受けるが、遠慮なく作品に切り込んでいくイタマール・ゴランのピアノの雄弁さゆえにそう感じたのかもしれない。

なお、ベートーヴェンのソナタの演奏前にはゴラン氏の挨拶があり、次いで三浦氏が訳してくれた。
「震災で亡くなった人に次のベートーヴェンの演奏が届くことを願う」というような内容であった。

素晴らしかったのは後半のストラヴィンスキーとプロコフィエフ。
近代作品特有の多彩な色どりとリズムを三浦はより自由さを増して、堂々と表現していく。
ヴァイオリンのテクニック的なことは私には分からないが、きっとこれだけ見事に演奏するのは凄いことなのだろう。
曲も印象的で惹きつけられる。
プロコフィエフのソナタの第1楽章など、一見単純なピアノの和音連打で始まるのかと思いきや、独特の節回しでプロコフィエフの世界が展開していく。
この作曲家の作品は、その意外な展開と体が乗ってくるようなリズムで、すぐに惹きつけられる作品が多い。
その作品の素晴らしさを、三浦と、非常に立体的なゴランの演奏で堪能できた。

Miura_golan_20110708_chirashi

アンコールの2曲目では「みなさんのよくご存知の曲を」という三浦氏の挨拶の後で「赤とんぼ」をテーマにした作品が演奏された。
こういう曲を聴くと、普段は意識することがなくとも、日本人の血が流れていることを実感させられる。
胸が熱くなるような曲と演奏だった。

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