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アレクサンダー・ガヴリリュク/ピアノ・リサイタル(2011年6月11日 東京オペラシティ コンサートホール)

Gavrylyuk_20110611

アレクサンダー・ガヴリリュク ピアノ・リサイタル

2011年6月11日(土)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(1階6列7番)
アレクサンダー・ガヴリリュク(Alexander Gavrylyuk) (Piano)

ベートーヴェン(Beethoven)/ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調作品27-2「月光」(Piano Sonata No.14 in C-sharp minor, Op.27-2 "Moonlight")
 第1楽章 Adagio sostenuto
 第2楽章 Allegretto
 第3楽章 Presto agitato

ショパン(Chopin)/幻想即興曲嬰ハ短調作品66(Fantasie-Impromptu in C-sharp minor, Op.66)

ショパン/2つの夜想曲作品48(2 Nocturnes, Op.48)
 夜想曲ハ短調作品48-1
 夜想曲嬰ヘ短調作品48-2

ショパン/スケルツォ第1番ロ短調作品20(Scherzo No.1 in B minor, Op.20)

~休憩~

ラフマニノフ(Rakhmaninov)/楽興の時作品16(Moments Musicaux, Op.16)
 第1曲 Andantino
 第2曲 Allegretto
 第3曲 Andante cantabile
 第4曲 Presto
 第5曲 Adagio sostenuto
 第6曲 Maestoso

プロコフィエフ(Prokofiev)/ピアノ・ソナタ第7番「戦争ソナタ」(Piano Sonata No.7 in B-flat major, Op.83)
 第1楽章 Allegro inquieto
 第2楽章 Andante caloroso
 第3楽章 Precipitato

~アンコール~
スクリャービン/エチュード第9番
フィリペンコ(Filippenko)/トッカータ(Toccata)
ショパン/エチュードOp.10-6
リスト;ホロヴィッツ編曲/ラコッツィ行進曲
ラフマニノフ;コチシュ編曲/ヴォカリーズ

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アレクサンダー・ガヴリリュクを初めて聴きに出かけた。
あの広い東京オペラシティの客席がかなり埋まっていて驚いたのだが、コンサートの帰路、それが納得できるほど惹きつけられるものを感じた。

ステージを早足で出入りし、客席にお辞儀する時のガヴリリュクは常に笑顔である。
男性アーティストでこれほど愛想のいい人もそうはいないだろう。

プログラミングは全体的に超絶技巧を要する作品を散りばめて、彼の名人芸を味わえるようになっている。
しかし、それだけでなく内面的な繊細な作品も混ぜ合わせ、テクニック以外の面もアピールできる選曲になっていた。

ガヴリリュクの一番の売りはやはりそのテクニックの鮮やかさだろう。
見て、聴いて、その技巧に聴衆は驚嘆し、そしてすかっとした爽快感を感じる。
作品をないがしろにすることなく、作品の求める技巧をそのまま提示するため、決して嫌味にならない。
そういう意味で後半のラフマニノフやプロコフィエフは作品の魅力をこれ以上ないほど鮮やかに描き尽くしていて素晴らしかった。

その一方で前半「月光」ソナタの第2楽章の軽妙さは、私がこれまでに聴いた同楽章の演奏中最も印象に残るほどだった。

ショパンの「幻想即興曲」では余裕のあるテクニックで存分に歌い、2曲の「夜想曲」やアンコールの「ヴォカリーズ」でも彼が内的な演奏でも聴き手を惹きつけることを印象づけた。

Gavrylyuk_20110611_chirashi

今回の選曲で、ラフマニノフの「楽興の時」やプロコフィエフのソナタ第7番(個性的な3つの楽章、それぞれが魅力的)といった素晴らしい作品を知ることが出来たのは大きな収穫だった。

アンコールのフィリペンコという人の「トッカータ」は急速なテンポで右手と左手を交互に弾き(というより叩き)、その技術にあらためて度肝を抜かれたが、終演後、私の目の焦点が少し合わなくなっていたのはこのためだったのか。

ともかく強く印象に残るピアニストの名演をたっぷり堪能した。

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