モーツァルト/「コジ・ファン・トゥッテ」(2011年5月29日 新国立劇場 オペラパレス)
モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)/「コジ・ファン・トゥッテ(Così fan tutte)」
【全2幕/イタリア語上演/字幕付】(3時間25分:休憩30分含む)
2011年5月29日(日) 14:00 新国立劇場 オペラパレス (4階3列25番)
フィオルディリージ(Fiordiligi):マリア・ルイジア・ボルシ(Maria Luigia Borsi)(S)
ドラベッラ(Dorabella):ダニエラ・ピーニ(Daniela Pini)(MS)
デスピーナ(Despina):タリア・オール(Talia Or)(S)
フェルランド(Ferrando):グレゴリー・ウォーレン(Gregory Warren)(T)
グリエルモ(Guglielmo):アドリアン・エレート(Adrian Eröd)(BR)
ドン・アルフォンソ(Don Alfonso):ローマン・トレーケル(Roman Trekel)(BR)
合唱:新国立劇場合唱団(New National Theatre Chorus)
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)
指揮:ミゲル・A.ゴメス=マルティネス(Miguel A. Gómez-Martínez)
演出:ダミアーノ・ミキエレット(Damiano Michieletto)
美術・衣裳:パオロ・ファンティン(Paolo Fantin)
照明:アレッサンドロ・カーレッティ(Alessandro Carletti)
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「トリスタン」以来久しぶりに新国立劇場に出かけてきた。
演目は「コジ・ファン・トゥッテ」。
放射線漏れによる健康上の不安から当初予定されていた外国人のうちの3人がキャンセルし、代理のアーティストを呼んで開催した。
こういう時でもスタンバイしている日本人カバー歌手を使わずにわざわざ海外から呼ぶものなのかと若干不思議な気持ち(何の為のカバー歌手?)。
今回の演出は舞台をキャンプ場にして、ドン・アルフォンソの経営するキャンプ場に2組の恋人たちがやってくるという設定。
舞台装置は実によく出来ていて、緑豊かな自然を見事に再現していた。
舞台は回転式になっていて、アルフォンソの逗留している小屋やら池やら焚き火やらが回転することによって順にあらわれては消えていく。
池には本当に水が張ってあり(新国立劇場は「水」を使うことが多い印象を受ける)、男性陣2人が水着1枚になって遊ぶシーンすらある(女性陣も服を着たまま一緒に池で戯れるが、水温はどのぐらいなのだろうか、湯気が出ていないから寒いのではないか、などとどうでもいいことを思ってしまった)。
最後に種明かしを聞いた男女たちはそれぞれ怒りのあまりばらばらに散っていき、最後に一人ぽつんとアルフォンソがとり残されて幕が下りるという何ともほろ苦い終わり方ではあった。
しかし、あれだけ騙しあいをしておいて、元のさやに戻るというのは現実味に乏しいだろうから、今回の演出は理にかなっているのではないか。
歌手は代役も含めて歌唱、演技ともに満足。
フィオルディリージ役のボルシなどは休憩後に急にエンジンがかかったような素晴らしい歌を聴かせてくれた。
ドラベッラ役のピーニは終始安定した歌だった。
男声陣も尻上がりに良くなってきたが、ドン・アルフォンソ役のローマン・トレーケルはやはり素晴らしい。
堂々たる見事な歌唱である。
オケと歌が若干ずれて聞こえる箇所もあったが、全体的には楽しい舞台だった。
それにしても歌手たちは始終喧嘩したり喜怒哀楽の激しいこと!
もみ合いになる場面では傷でもつかなかったか、見ている方が心配になるほど。
持っているかばんを大きな音を立ててほっぽり投げたりして音楽外の音にびっくりさせられる場面もしばしばあった。
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コメント
私は6月2日の夜見ました。
モーツァルトのオペラ久しぶりだったので楽しかったです。
水は確かに昨年の「ヴォツェック」でもあったし、よく使いますね。
投稿: Clara | 2011年6月20日 (月曜日) 22時07分
Claraさん、こんばんは。
本当に楽しい舞台でしたね(最後はほろ苦い感じでしたが)。
歌手たちは歌だけでなく、水に入ることも考えなければならないのでキャスティングはなかなか大変だったと尾高さんもおっしゃっていました。
投稿: フランツ | 2011年6月20日 (月曜日) 22時28分