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マーティン・ヘルムヒェン/ハンマークラヴィーアを弾く(2011年4月30日 トッパンホール)

マーティン・ヘルムヒェン(ピアノ) ハンマークラヴィーアを弾く

2011年4月30日(土)15:00 トッパンホール(TOPPAN HALL)(C列7番)
マーティン・ヘルムヒェン(Martin Helmchen)(piano)

J.S.バッハ(Bach)/パルティータ第1番 変ロ長調(Partita Nr.1 B-Dur) BWV825
 Ⅰ Präludium
 Ⅱ Allemande
 Ⅲ Corrente
 Ⅳ Sarabande
 Ⅴ Menuett
 Ⅵ Gigue

シェーンベルク(Schönberg)/6つのピアノの小品(6 Klavierstücke) Op.19
 Ⅰ Leicht, zart
 Ⅱ Langsam
 Ⅲ Sehr langsam
 Ⅳ Rasch, aber leicht
 Ⅴ Etwas rasch
 Ⅵ Sehr langsam

メンデルスゾーン(Mendelssohn)/無言歌集 第6巻(Lieder ohne Worte Heft 6) Op.67
 Ⅰ 変ホ長調《瞑想(Meditation)》
 Ⅱ 嬰ヘ短調《失われた幻影(Lost illusions)》
 Ⅲ 変ロ長調《巡礼の歌(Song of the pilgrim)》
 Ⅳ ハ長調《紡ぎ歌(Spinnerlied)》
 Ⅴ ロ短調《羊飼いの嘆き(The shepherd's complaint)》
 Ⅵ ホ長調《子守歌(A cradle song)》

~休憩~

ベートーヴェン(Beethoven)/ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調(Sonate für Klavier Nr.29 "Hammerklavier") Op.106《ハンマークラヴィーア》
 Ⅰ Allegro
 Ⅱ Scherzo. Assai vivace
 Ⅲ Adagio sostenuto
 Ⅳ Largo - Allegro risoluto

~アンコール~
J.S.バッハ;ブゾーニ(Busoni)編曲/コラール前奏曲「主イエス・キリストよ、われ汝に呼ばわる(Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ)」BWV639

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1982年ベルリン生まれのマーティン・ヘルムヒェン(招聘元の表記は「ヘルムヘン」)のリサイタルを聴いた。
海外では著名な若手のようだが、国内ではまだ知る人ぞ知るというピアニストなのだろう(とはいえ客席はかなり埋まっていたが)。
かくいう私も今回はじめてその演奏に接した。

登場したヘルムヒェンは痩身で繊細な印象。
客席に向ける笑顔も柔和で優しい。

最初に弾かれたバッハのパルティータ第1番は非常に優しいタッチで丁寧な演奏。
バッハのピアノ曲からこれほど柔らかい響きを聴くことは珍しいほどだ。
とても心地よくアルファ波が出そう。
しかし、各曲の性格は明確に区別して表現しており、楽曲への誠実なアプローチは好感が持てた。

続くシェーンベルクの「6つのピアノの小品」は最近いろいろなピアニストが演奏するようだが、全部で5分ちょっとというまさに小品。
短い各曲のそれぞれにおいてエキスだけを抽出したような響きがユニーク。
しかし、その短さゆえか私にはなかなか魅力的に聴こえた。
第2曲の低音のリズムの反復など愛らしさすら感じられた。
ヘルムヒェンの演奏は前衛色をことさら強調するでもなく、ありのままに表現したという感じだが、それがかえって良かったように感じられた。

前半最後はメンデルスゾーンの「無言歌集 第6巻」。
私がこれまで聴いてきたプログラムで無言歌をとりあげたコンサートの記憶がない。
個々には「春の歌」など有名な作品もあるが、サロン風の耳当たりの良さが作品の軽視につながってはいないだろうか。
しかし、こういう曲を魅力的に歌わせるのは本当はとても難しいのではないか。
ヘルムヒェンは、そのタッチの優しさを前面に押し出して、とても気持ちの良い演奏を聴かせていた。

休憩後はうってかわってベートーヴェンの大作「ハンマークラヴィーア」ソナタ。
ここで、ヘルムヒェンは新しい顔を覗かせた。
前半のプログラムにおける柔和で心地よい響きではなく、力強い剛健なタッチでずっしりとしたダイナミックスの幅を披露したのだ。
そして体全体を使って全力でこの大曲に取り組んでいるように感じられた。
このソナタ、前半の2つの楽章は私にも分かりやすい。
しかし、後半の静謐な2つの楽章は今の私にはまだその良さをつかみきれていない。
ヘルムヒェンはここでも真摯に演奏していたと思うが、やはり難しい!
もう少し聞き込まないと・・・。

Helmchen_20110430_chirashi

アンコールは美しいバッハの作品。
特に震災に関するコメントはなかったように思うが、この演奏もまた心を癒すには充分な美しさがあった。

Helmchen_20110430_autograph

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コメント

なかなか意欲的―野心的なプログラムですね! うらやましい…。

投稿: 田中文人 | 2011年5月 2日 (月曜日) 01時05分

田中さん、コメント有難うございます。
前半はすべて6曲からなる楽曲を並べていて、よく考えられたプログラミングだと思います。
N響とは「皇帝」を弾いたそうですが、そちらはいずれN響アワーで聴けるかもしれませんね。

投稿: フランツ | 2011年5月 2日 (月曜日) 06時04分

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