東京春祭マラソン・コンサート第Ⅲ部&第Ⅳ部(2011年4月3日 東京文化会館 小ホール)
東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-
東京春祭マラソン・コンサートvol.1
ウィーン、わが夢の街 ~マーラーが生きた世紀末ウィーン
2011年4月3日(日) 東京文化会館 小ホール (各回約60分)
第Ⅲ部 15:00-(E列14番)
音楽家グスタフ・マーラー~「私の時代が来るだろう」
バリトン:河野克典
ピアノ:青柳 晋、伊藤 恵
ヴァイオリン:菅谷早葉(クァルテット・アルモニコ)
ヴィオラ:阪本奈津子(クァルテット・アルモニコ)
チェロ:富田牧子(クァルテット・アルモニコ)
マーラー/ピアノ四重奏曲(断片)イ短調
[青柳 晋(Pf)、菅谷早葉(Vn)、阪本奈津子(Va)、富田牧子(Vc)]
マーラー(ワルター編)/交響曲 第1番 二長調《巨人》より第1楽章(4手ピアノ版)
[伊藤 恵(Pf:プリモ)、青柳 晋(Pf:セコンド)]
マーラー/《亡き子をしのぶ歌》
1. いま太陽は輝き昇る
2. なぜそんなに暗い眼差しなのか、今にしてよくわかる
3. おまえのお母さんが戸口から入ってくるとき
4. ふと私は思う、あの子たちはちょっと出かけただけなのだと
5. こんな嵐の日に
[河野克典(Br)、伊藤 恵(Pf)]
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第Ⅳ部 17:00-(B列17番)
ウィーン、わが夢の街~マーラーの周りにいた作曲家たち
ソプラノ:天羽明惠
ピアノ:山田武彦
ヴォルフ/《メーリケ詩集》より「時は春」「妖精の歌」
R.シュトラウス/《6つの歌》op.68より「ささやけ、愛らしいミルテよ」
R.シュトラウス/《6つの歌》op.67より〈オフィーリアの歌〉
1. どうしたら本当の恋人を見分けられるだろう
2. おはよう、今日は聖ヴァレンタインの日
3. 彼女は布もかけずに棺台にのせられ
ベルク/《7つの初期の歌》より
夜
夜うぐいす
室内で
シェーンベルク/
《シュテファン・ゲオルゲの「架空庭園の書」よりの15の詩》op.15より
1. しげった葉陰で
3. あなたの垣の中に新参者として私は入った
4. 私の唇が動かず燃えるので
9. 私にとって幸福はつらく、もろい
10. 待ちこがれて私は美しい花壇をみつめる
ツェムリンスキー/《6つの歌曲》op.22より
「妖精の歌」「民謡」
ツェムリンスキー/《ばらのイルメリンとその他の歌》op.7より
「ばらのイルメリン」
コルンゴルト/《3つの歌》 op.22
1. 君は私にとって?
2. 君とともに沈黙する
3. 世は静かな眠りに入った
~アンコール~
ジーツィンスキー/ウィーン、わが夢の街
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聴いてから随分時間がたってしまいましたが、備忘録の為簡単にメモしておきます。
東京・春・音楽祭で聴けると思っていたキルヒシュラーガーも「大地の歌」も中止となってしまい、他に何かないかと探して、当日券で聴くことにした公演。
「ウィーン、わが夢の街 ~マーラーが生きた世紀末ウィーン」というマラソンコンサートで、朝11時から午後7時まで5部構成となっている。
そのうち私は第Ⅲ部と第Ⅳ部を聴いた。
第Ⅲ部について
マーラーの「ピアノ四重奏曲」という若書きが聴けたが、ロマン派風の暗い雰囲気で始まり、先人たちの影響が濃厚ながら私には結構魅力的に感じられた。
続く《巨人》から第1楽章をマーラーの弟子だったブルーノ・ヴァルターがピアノ連弾用に編曲したものも、原曲と比較すると楽しいかもしれない。
お目当ての《亡き子をしのぶ歌》は歌手が河野克典に変更されたが、以前から聴きたいと思っていた河野の歌唱は期待にたがわず素晴らしいもの。
ディクションといい、声の美しさ、安定感といい、まさに今が旬のリート歌手だろう。
ピアノを担当したのは伊藤 恵。
彼女も以前から実演を聴きたかったので、うれしかった。
力強さと繊細さを兼ね備えたピアニストと感じた。
第Ⅳ部について
マーラー周辺の歌曲を集めたコンサートの選曲はなかなか意欲的なもの。
シェーンベルクの「架空庭園の書」やツェムリンスキー、コルンゴルトなどはなかなか聴くことの出来ないもの。
しかし、これらの作品は私もあまりよく知らないので、新鮮な気持ちで楽しめた。
ヴォルフやシュトラウス、ベルクは聴き馴染んでいるので、さらに楽しむことが出来た。
天羽明惠は無理のない自然な発声が魅力のソプラノ。
ここでの選曲のような若干渋い作品でも親しみやすく聴かせてくれた。
共演の山田武彦はようやく生で聴けたが、さすがの安定感で、各歌曲の魅力を充分に引き出していたと感じた。
こういう形で様々なアーティストの演奏をまとめて聴けるのはマラソンコンサートならではだろう。
他の部も聴けたらよかったが、今回のこの2つのミニコンサートだけでもとても良く出来た構成と演奏で大満足だった。
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