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東京・春・音楽祭/ブラームス 弦楽六重奏(2011年3月26日 東京文化会館 小ホール)

東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2011-
ブラームス 弦楽六重奏 ~若き名手たちによる室内楽の極(きわみ)

2011年3月26日(土)19:00 東京文化会館 小ホール(C列21番)

長原幸太(Kota Nagahara)(ヴァイオリン)
西江辰郎(Tatsuo Nishie)(ヴァイオリン)
鈴木康浩(Yasuhiro Suzuki)(ヴィオラ)
大島 亮(Ryo Oshima)(ヴィオラ)
上森祥平(Shohei Uwamori)(チェロ)
横坂 源(Gen Yokosaka)(チェロ)

ブラームス(Brahms)作曲

弦楽六重奏曲 第1番 変ロ長調 op.18
 第1楽章 Allegro ma non troppo
 第2楽章 Andante ma moderato
 第3楽章 Scherzo. Allegro molto - Trio. Animato
 第4楽章 Rondo. Poco Allegretto e grazioso

~休憩~

弦楽六重奏曲 第2番 ト長調 op.36
 第1楽章:Allegro non troppo
 第2楽章:Scherzo. Allegro non troppo - Trio, Presto giocoso
 第3楽章:Poco Adagio
 第4楽章:Poco Allegro

~アンコール~
ブラームス(マロツァルト編)/ハンガリー舞曲第5番

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大震災後、多くのイベントやコンサートが中止、もしくは延期となった。
毎年3~4月に恒例となった「東京・春・音楽祭」も地震の影響により、4分の3の公演が中止されたという。
私が前売りチケットを買っていた他の2つの公演も中止となったので、この夜のコンサートも開催されるのかどうか直前までHPをチェックしていたが、結局予定通り催された。
何となく落ち着かない日々が続く中、コンサートを聴く気力も萎えていたが、久しぶりに出かけたコンサートはほっと一息つける憩いの時間となった。
ただ、やはりどこかいつもと違う雰囲気があったのも事実である。

ブラームスの歌曲やピアノ曲などは大好きなのだが、2曲の弦楽六重奏曲はこれまでじっくりと聴いたことがなかったので、よい機会と思いチケットを購入したのだった。
第1番の2楽章がピアノ独奏用に編曲されているバージョンはブレンデルの録音で知っていたのだが、その元の曲を聴いていなかったのだ。

文化会館の小ホールはかなり盛況の様子。
義捐金の箱がロビー数箇所に置かれている他は特にいつもと変わりない風景だが、空気がどこか張り詰めた印象だったのは気のせいだろうか。

演奏前には主催者と思われる方が登場し、犠牲者、被災者へのお悔やみ、お見舞いの言葉の後、音楽祭を可能な範囲で開催する決断に到った経緯などを説明した。

その後に登場した6名の演奏家たちはいずれも若手奏者とのことだが、オケの一員として聴いたことのある方はいたかもしれないが、こうして室内楽を実演で聴くのは全員はじめてだった。
しかし、実に精鋭揃いというべきか、丁々発止とした生きのいい掛け合い、やり取りが音楽に生命を吹き込み、聴いていてその躍動感が気持ちをとても奮い立たせてくれる演奏だった。

ブラームスの六重奏曲2曲は、いずれも4楽章からなる大きめの作品で、演奏者にはかなりの技術を要するのではないかと想像される。
しかし、若年から壮年期にかけてのこれらの作品は、ブラームスといって一般にイメージされる晦渋さはまだ無く、むしろ温かく、親しみやすく、陽気でさえある。
第1番にも第2番にもスケルツォ楽章が置かれているのだが、どちらも村のお祭りの舞曲を思わせる土臭さが愛らしさを増していた。
前述した第1番の第2楽章は物悲しさをたたえた旋律が印象的だが、ピアノ編曲版とはまた一味違った流麗なメロディーの美しさが際立っていた。

六重奏曲第1番では西江、大島、横坂がプリモを弾き、第2番では逆に他のメンバーがプリモを担当していた。

ヴァイオリンの2人(長原氏、西江氏)は実によく歌う。
聴いていて本当にこちらまで楽しくなってしまうような生きのよさが感じられた。
ヴィオラの2人は対照的。
長身の大島氏がクールに弾き、鈴木氏は表情豊か。
チェロの2人のうち横坂氏は最近コンクールに入賞して注目を集めた若手。
体をよく動かし、若々しい演奏。
それに対して長身の上森氏は堂々とした貫禄のある演奏。
どの奏者も目配せをしたり、音の掛け合いをして楽しんでいる様子が伝わってきて、室内楽の楽しさを感じさせてくれた。

Brahms_sextet_20110326_chirashi

アンコールはマロツァルト(正体はN響の「まろ」さんらしい)編曲の「ハンガリー舞曲第5番」。
西江氏を中心に息の合った楽しい演奏だった。
アンコールの前にヴィオラの鈴木氏の挨拶があり、演奏後に我々もロビーで募金箱を持つので、よろしければお願いしますとのこと。
こういう形での支援も今後あちらこちらで行われるのだろう。
よいことだと思う。

他の公演も会場の都合や外国人演奏家の来日不可能などでかなり中止となったが、このような良い演奏会を断行してくれた主催者に感謝したいと思う。

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