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ダニイル・トリフォノフからの音楽メッセージ

たまたまネットを見ていたら、先日ショパンコンクールのガラコンサートで来日して魅力的な演奏を聴かせてくれたダニイル・トリフォノフ(Daniil Trifonov)が、自身のサイトで日本人のためにバッハを演奏していることを知った。
こういう個人レベルで応援してくれるのは日本人として嬉しいし、彼の今後の活動をますます応援したくなった。

 演奏はこちらから映像をクリック(Bach, Prelude and Fugue in G sharp minor)

メッセージの概要「日本の多くの友人たちには無事と分かった人もそうでない人もいます。確認できていない人たちが無事でいることを祈っています。」

Thank you, Daniil!

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シューベルト/連祷(Litanei)

Litanei auf das Fest Allerseelen D343
 万霊節の連祷

Ruh'n in Frieden alle Seelen,
Die vollbracht ein banges Quälen,
Die vollendet süßen Traum,
Lebenssatt, geboren kaum,
Aus der Welt hinüberschieden:
Alle Seelen ruhn in Frieden!
 安らかにお眠りください、あらゆる魂よ、
 不安な苦悩を被った魂たち、
 甘美な夢を実現した魂たち、
 生まれるやいなや、生に飽き
 この世から去っていった魂たち、
 あらゆる魂よ、安らかにお休みください!

Liebevoller Mädchen Seelen,
Deren Tränen nicht zu zählen,
Die ein falscher Freund verließ,
Und die blinde Welt verstieß
Alle die von hinnen schieden,
Alle Seelen ruhn in Frieden!
 愛にあふれた娘たちの魂は
 数え切れないほどの涙を流してきました、
 うわべだけの友のもとを去り、
 見せ掛けの世界を追い出した魂たち、
 ここから旅立っていったあらゆる魂たち、
 あらゆる魂よ、安らかにお休みください!

Und die nie der Sonne lachten,
Unterm Mond auf Dornen wachten,
Gott, in reinen Himmelslicht,
Einst zu sehn von Angesicht:
Alle die von hinnen schieden,
Alle Seelen ruhn in Frieden!
 そして太陽に笑いかけることもなく、
 月の下、イバラの上で目覚めた魂たち、
 それは神と、清らかな天の光の中で
 いつか向き合うため。
 ここから旅立っていったあらゆる魂たち、
 あらゆる魂よ、安らかにお休みください!

詩:Johann Georg Jacobi (1740-1814)
曲:Franz Peter Schubert (1797-1828)

フィッシャー=ディースカウ&ムーアと、ルチア・ポップ&グレアム・ジョンソン(多分)による演奏

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2011年3月11日

このたびの大地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

金曜日の地震、私がこれまで経験した中で最も強く、恐怖を感じるものだった。
私は職場にいたのだが、窓から隣のビルが左右に大きく揺れているのが見えて、ただごとではないと感じた。
早めの終業となり帰宅しようとしたのだが、電車は再開のめどがたたず、タクシーはつかまらず、宿はなかなか見つからない。
ようやく宿泊先を見つけ、受付の長蛇の列に並び、一泊することが出来た。
翌日は早めに宿を出たが、JRは電車はホームに止まっているのになかなか発車せず、地下鉄に乗り換えて、さらに普段使わないバスなどを乗り継いでようやく我が家へ。
予想していたことだったが、部屋の中はぐちゃぐちゃに散乱していた。
冷蔵庫が20cmぐらい移動していて、その上にのっていた電子レンジが床に落ちていて、中のランプは割れており、ふたも壊れて閉まらない。
結局電子レンジは粗大ごみ行きとなったが、地震が起きていた時にもし自宅にいたらと想像するだけでも恐ろしい。
天災の前では人間など本当に弱い存在なのだと思い知らされるのと同時に、普段から災害への危機感をもっていることの大切さをあらためて感じた。

東北地方など被害にあわれた方々のことを思うと、なんとも言葉が見つからない。
しばらくは余震や津波、原発の影響などで落ち着かない日々が続くことだろう。
これ以上、被害が大きくならないことを切に祈るのみである。

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ペリアネス/ピアノ・リサイタル(2011年3月2日 トッパンホール)

ハヴィエル・ペリアネス ピアノ・リサイタル
2011年3月2日(水) トッパンホール(1階C列22番)

ハヴィエル・ペリアネス(Javier Perianes)(piano)

シューベルト(Schubert)/アレグレット ハ短調 D915

シューベルト/ソナタ第21番 変ロ長調 D960

~休憩~

ショパン(Chopin)/2つのノクターン 作品48
 ハ短調
 嬰ヘ短調

ショパン/子守歌 変二長調 作品57

ショパン/バラード第4番 ヘ短調 作品52

~アンコール~

シューマン(Schumann)/「子供の情景」~詩人は語る

ドビュッシー(Debussy)/亜麻色の髪の乙女

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仕事が定時で終わったので、ハヴィエル・ペリアネスというスペイン人ピアニストの演奏を聴いてきた。
当日券も残っている席が少なく、結構人が入っていたところを見ると、私が知らなかっただけで比較的名前の知られた人なのかもしれない。

プログラムは前半がシューベルト、後半がショパンでまとめられていた。
前半の最初に演奏された「アレグレット ハ短調」は名刺代わりといったところだろうか。
しかし、この小品における演奏で、ペリアネスというピアニストの一端が見えてきたような気がした。
あるフレーズを締めくくる時が非常にデリケートで慈しむような響きを聴かせていたのだ。
作品への思いの深さを表現しようとしているようで、最初の1曲から好印象を受けた。

その後で前半の目玉ともいうべき「ソナタ第21番 変ロ長調」が演奏されたが、シューベルト最後の長大なソナタを弾いて聴衆を魅了するには、先ほどの「アレグレット」でのデリカシーが若干不足しているように感じた。
悪くはないのだが、もっと何かが欲しいというのは欲張りだろうか。

一方、後半のショパンになると俄然調子をあげてきたのかとてもよく歌い魅力的。
音色は必ずしも美しいというわけではないように感じられたが、その歌心とデリカシーがそれぞれの作品に合っていたように感じた。
最後の「バラード第4番」などはかなり弾きこんでいるのだろう、ぐっと惹き付けられるものがあった。

アンコールで「子供の情景」の中からあえて地味な終曲「詩人は語る」を選んだというのは私にとってはとても嬉しいことだった。
技巧でではなく、音数の少ない作品で聴かせるというスタンスは、彼の今後を期待させるものだった。

Perianes_20110302_chirashi

まだもう少し聴いてみないと彼の持ち味の全貌は分からないが、音楽性を感じさせるピアニストだったとは思った。
こういう殆ど突然の出会いというのも音楽を聴く醍醐味の一つである。

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