METライブビューイング《ドン・カルロ》(2011年1月9日 新宿ピカデリー)
METライブビューイング2010-2011
ヴェルディ(Verdi)/《ドン・カルロ(Don Carlo)》
伊語5幕版、新演出
上演日:2010年12月11日
上映時間:4時間19分
2011年1月9日(日)10:00-14:25頃(休憩2回、15分&9分含む) 新宿ピカデリー スクリーン6(A列18番)
指揮(Conductor):ヤニック・ネゼ=セガン(Yannick Nézet-Séguin)
演出(Production):ニコラス・ハイトナー(Nicholas Hytner)
美術・衣裳デザイン(Set and Costume Designer):ボブ・クロウリー(Bob Crowley)
照明(Lighting Designer):マーク・ヘンダーソン(Mark Henderson)
振付:スカーレット・マックミン
ドン・カルロ(Don Carlo):ロベルト・アラーニャ(Roberto Alagna)
王妃エリザベッタ(Elisabeth de Valois):マリーナ・ポプラフスカヤ(Marina Poplavskaya)
ポーザ侯爵ロドリーゴ(Rodrigo, Marquis of Posa):サイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)
国王フィリッポ2世(King Philip II):フェルッチオ・フルラネット(Ferruccio Furlanetto)
エボリ公女(Princess Eboli):アンナ・スミルノヴァ(Anna Smirnova)
The Grand Inquisitor:Eric Halfvarson
Tebaldo:Layla Claire
Celestial Voice:Jennifer Check
The Metropolitan Opera
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METライブビューイングの今期4作目を見た。
当日売り場でチケットを購入しようとしたら最前列にわずかに空席があるのみだった。
次回からは事前にチケットを予約しておく方がよさそうだ。
そんなわけで今日の鑑賞は首をずっと上に上げて見ることとなった。
やはり最前列は疲れる。
王子ドン・カルロはエリザベッタと愛し合っていたが、急遽、彼の父親のフィリッポ2世が彼女を后に迎えることとなり、三者の関係が不穏なものとなる。
さらにドン・カルロの友人ロドリーゴや、カルロに思いを寄せるエボリ公女が加わり、複雑な人間関係が交錯する。
2人の父子との間に立ち思い悩むエリザベッタ、そして恋する人を父親に奪われたドン・カルロの苦悩も見所だろうが、やはり最も注目すべきなのは、息子からも目のかたきにされ、后となった妻からは愛情を得られないフィリッポ2世の孤独感ではないだろうか。
ヴェルディの音楽はいつもながらドラマティックな箇所も繊細な箇所も実に効果的に響き、初めて聴く者をもぐっとつかむものを持っているように感じた。
フィリッポ2世役のフルラネットは、王の内面の苦悩を重厚に表現していて素晴らしかった。
エリザベッタ役のポプラフスカヤも心の揺れ動きを非常に細やかに表現し尽くしていた。
ドン・カルロ役のアラーニャはその伸びやかな美声を存分に生かした歌唱、そして堂々たる演技、ともに魅力的だった。
ロドリーゴ役のキーンリーサイドは安定した歌唱と見栄えのする容姿に恵まれていたが、演技は私の印象では若干固さが感じられた。
ヤニック・ネゼ=セガン指揮のオケもドラマティックな響きを聴かせてくれて、引き込まれるステージだった。
今回も幕間に登場したデボラ・ヴォイトのインタビュアーとしての進行ぶりもすっかり板について見事なもの。
次回の「西部の娘」でようやく彼女の歌唱に接することが出来るのは楽しみである。
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