シュヴァルツコプフ&パーソンズ/1977年アムステルダム・フェアウェル・コンサートの映像
某動画サイトは最近投稿可能な時間が長くなったようだ。
1977年のシュヴァルツコプフのアムステルダムでのさよならコンサートの模様が10曲まるまるアップされていた(29分55秒)。
こちら
これまで、テレビ放送用のリサイタル映像は何度か見ることが出来たが、このようにコンサート会場でのライヴを映像で見ることはほとんど無かったので、彼女の実演を一度も聴けなかった私にとっては非常に貴重な動画である。
鳴り止まない拍手を手でしずめてから歌い始める場面なども見ることが出来る。
曲目は以下のとおり。
1.ヴォルフ/「メーリケの詩」より「眠りに寄せて」
2.ヴォルフ/「メーリケの詩」より「思いみよ、おお魂よ」
3.ヴォルフ/「イタリアの歌の本」より「どんなに長いこと待ち焦がれたことでしょう」
4.ヴォルフ/「メーリケの詩」より「捨てられた娘」
5.シューベルト/糸を紡ぐグレートヒェン
6.ヴォルフ/「イタリアの歌の本」より「おお、あなたのお家が透けていたらいいのに」
7.ヴォルフ/「スペインの歌の本」より「愛なんか信じちゃだめ」
8.ヴォルフ/「イタリアの歌の本」より「ペンナに住んでいる恋人がいるの」
~アンコール~
9.グリーグ/睡蓮に寄せて(独語訳による)
10.シューベルト/至福
いかにもシュヴァルツコプフらしいヴォルフ中心の選曲である。
彼女のリサイタル歌手としての円熟の境地をたっぷり楽しめる。
それにしてもピアノのパーソンズの上手いこと!
彼のピアノはテクニックと音楽性のどちらも非常に優れていた。
第3曲の後奏では下手なヴァイオリニストの迷演奏まで見事に演じてみせる。
しかし、当時の聴衆は非常に熱狂的で、ピアノの音が消えないうちから拍手を始める。
「ペンナに・・・」の後奏ではパーソンズが実に見事な名人芸を聴かせるのだが、ほとんどが拍手にかき消されてしまう。
気の毒だが、こういう時代もあったということである。
ヴォルフの歌曲に人一倍精力を注いだシュヴァルツコプフの演奏の集大成を見せてもらった気分である。
長いので、お時間のある時にぜひご覧ください。
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コメント
すばらしい動画のご紹介をありがとうございます。ゴージャスなコンサートだったのですね。私にはヴォルフの魅力はまだよくわからないのですが、それがロマン派特有のSehnsuchtをどこまでも解体し異化していくその手法にありそうなことだけは分りました。
投稿: sbiaco | 2011年1月 8日 (土曜日) 20時40分
sbiacoさん、こんばんは。
コメントを有難うございました。
昔の歌手はゴージャスな貫禄が漂っていますね。
Sehnsuchtという言葉、ドイツ人にはとても身近な言葉だと思いますが、日本語の「憧れ」とどれほど違うのか、こうして歌曲を通じて感覚で理解できたらいいのですが。
投稿: フランツ | 2011年1月 8日 (土曜日) 22時44分