« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »

今年もご訪問有難うございました

あっという間に年末になってしまいました。
今年もブログをご訪問くださり、有難うございました。
今年はコンサート三昧の充実した音楽ライフを過ごせましたが、その分CDでじっくり音楽を聴くことが例年よりも少なかった気がします。
せっかくシューマン、ヴォルフ、マーラーのアニバーサリーイヤーだったのに、彼らの歌曲をあらためてじっくり聴くことが少なかったのも惜しいことをしたという気持ちです。
しかし、彼らの作品はアニバーサリーイヤーにかかわらずいつでも身近なものなので、それほど意識することがなかったということなのかもしれません。

年末年始はいつも通りパソコンの前を離れますので、コメント等をいただいた場合のご返事は若干遅れることをあらかじめご了承ください。
それでは皆様、よい年をお迎えください!

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年に聴いたコンサート

今年出かけたコンサートをリストアップしてみた。

 こちら(Wordファイルが開きます)

我ながらほとほとあきれるぐらいよく聴いたものだなぁと思う。
年間60回もコンサート会場に出かけていたなんて・・・。
でも聴くジャンルはいつもながら相当偏りがある。
オケや室内楽をもっと聴かないと・・・。
ショパンイヤーだけあって、随分ショパンは沢山聴けたし、知らなかった多くの曲とも知り合えた。
しかし、同じアニバーサリーでもシューマンやヴォルフは少なかった。
マーラーの「角笛」などもいつか生で聴いてみたいものだ。

4月のミヒャエル・シャーデの歌曲リサイタル(マルコム・マーティノーのピアノ)や9月のコンラッド・ジャーノットの歌曲リサイタル(アレクサンダー・シュマルツのピアノ)がキャンセルされたのは残念だった。
また、10月には初めてラドゥ・ルプーの実演が聴けると思い楽しみにしていたのだが、体調不良で帰国してしまった(京都のコンサート後、体調を崩したらしい)。

今年出かけたコンサートはぶらあぼの予定表を見て、当日券をあてにして出かけたものがかなり多かった。
しかし、小山実稚恵のブラームス協奏曲や、天満敦子&岡田博美のコンサートのように会場まで出かけて完売だったことも・・・(事前に問い合わせれば済むことなのだが)。

また、同じ日の同じ時間帯に別の公演があることに気付かずにチケットをとってしまい無駄にしてしまったことも(10月の新国「アラベッラ」)。
チケットは取っていたのだが、諸事情で行けなかった公演もあった(10月のアーノンクール指揮「ロ短調ミサ曲」、11月の「リリア音楽ホール・ガラ第2回」)。

3月末で惜しまれつつ閉館となってしまったカザルスホールで素晴らしいオルガンリサイタルを聴けたことも懐かしい思い出だ。

来年も魅力的なコンサートが多数あることだろう。
体力、気力を万全に整えて、なるべく眠らないように楽しめたらと思う。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

映画「クレアモントホテル」(2010年12月25日 岩波ホール)

クレアモントホテル
Mrs. PALFREY at The Claremont

2010年12月25日(土)14:30 岩波ホール

ダン・アイアランド(Dan Ireland)(監督)

ジョーン・プロウライト(Joan Plowright)(パルフリー夫人: Mrs. Palfrey)
ルパート・フレンド(Rupert Friend)(ルドヴィック・メイヤー: Ludovic Meyer)
ゾーイ・タッパー(Zoe Tapper)(メイヤーの恋人グェンドリン: Gwendolyn)
アンナ・マッセイ(Anna Massey)(ホテルの滞在者アーバスノット夫人: Mrs. Arbuthnot)
ロバート・ラング(Robert Lang)(ホテルの滞在者オズボーン氏: Mr. Osborne)
マルシア・ウォーレン(Marcia Warren)(Mrs. Post)
ジョージナ・ヘイル(Georgina Hale)(Mrs. Burton)
ミリセント・マーティン(Millicent Martin)(Mrs. De Salis)
アンナ・カートレット(Anna Carteret)(Elizabeth)
クレア・ヒギンズ(Clare Higgins)(ルドヴィックの母: Mrs. Meyer)

2005年/アメリカ・イギリス
35ミリ/カラー/1時間48分
ドルビーSRD/ヴィスタサイズ
原作:エリザベス・テイラー『クレアモントホテル』集英社文庫
日本語字幕:石田泰子
提供:朝日新聞社、クレストインターナショナル

オフィシャルサイト

岩波ホールのサイト

--------------------

岩波ホールで映画「クレアモントホテル」を見た。
未亡人と若い小説家の卵の交流を軸とした話である。
コミカルなテイストを散りばめながらも、切なさと温かさがないまぜになり、鑑賞後にはなんとも言えない気持ちになった。

ロンドンのとある長期滞在型ホテルにやってきたパルフリー夫人は、個性的なホテルの滞在者たちに最初は面食らうが、自然にその中に溶け込んでいく。
ある日、天気が悪くなってきたので、ホテルの友人から頼まれて図書館から借りてきた本(何の本かは見てのお楽しみ)を持ち、ホテルへの帰路を急ぐ中、転倒してしまう。
その目の前の地下に住んでいた小説家志願のルドヴィック・メイヤーは気付いて助け起こし、家で夫人の手当てをし、ホテルまで送り届ける。
その後、パルフリー夫人はメイヤーへのお礼としてホテルでの食事に誘うが、ホテルの住人たちに夫人の孫デズモンドと勘違いされてしまい、メイヤーに孫のふりをしてもらうことになる。
ストーリーは単純明快で余計な描写はなくすっきりとしている(原作者のエリザベス・テイラーは女優さんとは別人とのこと)。
しかし、私はジョーン・プロウライト演じる老婦人にすっかり魅了されてしまった。
なんというさりげなくも含蓄に富んだ表情、仕草をするのだろう。
存在そのものが人生を語っているかのようである。
こういう女性が道端で転んだら、ルドヴィック・メイヤーでなくともすぐさま助け起こしたくなるだろう。
寂しさを抱えた者同士が心の結びつきを強めるのに世代の差など関係ないのである。

この映画ほどエンドロールが長くて助かったと思ったことはなかった。
映画を見た後しばらくは神保町界隈の雑踏が耳に入らなかった。
5年前に制作された映画だそうだが、今年ようやく岩波ホールで初公開となり、来年2月頭まで上映しているそうだ。
お時間のある方はぜひ!

Mrs_palfrey_at_the_claremont_chiras

ちなみに個性豊かなホテルの住人たちは皆とても魅力的だが、後半でいい味を出していたオズボーン氏役のロバート・ラングはこの映画の完成2週間前に他界されたとのこと。
帰宅後にHPでそのことを知りショックだった。
出来れば来年もう一度クレアモントホテルの住人たちに会いに行きたいと思っている。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

大萩康司/ギター・リサイタル(2010年12月18日 東京文化会館 小ホール)

大萩康司 ギター・リサイタル ~10th Anniversary~
2010年12月18日(土)14:00 東京文化会館 小ホール(J列14番)

大萩康司(Yasuji Ohagi)(guitar)

金子仁美/フェリタシオン!(Félicitations)

フェデリコ・モンポウ/コンポステラ組曲(Suite Compostelana)
 プレリュード
 コラール
 ゆりかご
 レチタティーヴォ
 歌
 ムニェイラ(水車小屋の踊り)

マヌエル・マリア・ポンセ/ソナタ第3番(Sonata III)
 アレグロ・モデラート
 <シャンソン>アンダンテ
 アレグロ・ノン・トロッポ

~休憩~

アグスティン・バリオス/大聖堂(La Catedral)
 前奏曲(サウダーデ)
 宗教的アンダンテ
 荘重なアレグロ

小出稚子/マートル(MYRTLE)(世界初演)

レイ・ゲーラ/12月の太陽(Sol de Diciembre)

マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ/ソナタ“ボッケリーニ讃”(Sonata "Omaggio a Boccherini")
 アレグロ・コン・スピーリト
 アンダンティーノ、クアジ・カンツォーネ
 テンポ・ディ・ミヌエット
 ヴィヴォ・エド・エネルジコ

~アンコール~
ニコ・ロハス/母に捧げるグアヒーラ
レイ・ゲーラ/そのあくる日

---------------

大萩康司のギター・リサイタルを上野で聴いてきた。
日本のクラシック・ギター奏者の層の厚さは頼もしい限りだが、その中でも若い世代の中で抜きん出ている一人が大萩ではないだろうか。
彼の弾く「そのあくる日」という曲の録音をかつて聴いてその静謐な美しさに感銘を受けたことがある。
そんなこともあり、初めての実演を楽しみに出かけてきた。

黒のシャツで登場した大萩は腰掛けるとチューニングを始めてまず1曲演奏。
金子仁美という作曲家の非常に優しい雰囲気の曲だった。
その演奏が終わるとマイクを持ち、CDデビューから10周年という節目のコンサートに寄せる思いを訥々と話し出した。
後半でも1曲目の後、同様にトークがあったので、大萩さんのコンサートはこういうスタイルが普通なのかもしれない。
ちょっとした楽曲解説もあって、ギター曲に馴染みの薄い私のような初心者には有難かった。
例えばバリオスの「大聖堂」は出版譜だけでなく、自筆譜も参照したので、普段演奏されているのと異なる箇所もあるとのことだった。

小出稚子によって作曲された新作の「マートル」は調弦が独特との大萩自身の解説があり、時々乾いた琴のような響きがして興味深かった。
ちなみにこの「マートル」という言葉、「Myrtle」という綴りであり、もしかしたらと思い帰宅後ネットで調べてみたら案の定、ドイツ語でいう「ミルテ(Myrthe)」であった。

大萩さんの演奏は繊細で細やかな表情があり、心の琴線に触れるような音色である。
演奏中は彼の息を吸い込む音が頻繁に聞こえ、それが最初のうちは気になったが、演奏に没入しているということなのだろう。
徐々に音楽の一部と化していた(ギターの演奏時に時折聞こえる弦のきしむ(?)ような音も私は何故か好きである)。
慈しむように楽器と接する姿勢は「詩人」と例えられるのが納得できるほどだ。
こういう歌心を感じさせるギタリストの共演で例えばシューベルトの歌曲集「美しい水車屋の娘」などを聴いてみたいと思った。

全体的にギターという一台の楽器からこれほど多彩な音色、リズム、奏法(楽器の胴体をたたいてリズムを出す曲もあった)、そして曲調を表現できるというのは新鮮な体験だった。
大萩は古典作品だけでなく、国を問わず現代の作曲家たちに多くの作品を委嘱しているようだが、とりわけ中南米の音楽への愛着が強いように感じた。
前述した「そのあくる日」という曲を彼はアンコールで演奏してくれて個人的にはとても感銘を受けたが、この作曲家レイ・ゲーラもキューバ出身であり、20世紀前半の作曲家ポンセもメキシコ出身とのこと。

Ohagi_20101218_chirashi

パラグアイ出身のバリオスの「大聖堂」という3曲からなる作品は、とりわけ第1曲の「サウダーデ」という作品のあまりにも古色蒼然とした繊細な美しさが素晴らしかったが、これも作曲家がかつて訪れたハバナの大聖堂をイメージして作られた作品らしい。

普段私はコンサートの記事の中に動画を載せることはしないのだが、とても素晴らしい動画を見つけたので、大萩の演奏ではないのだが、曲を聴いていただきたいという意味でご紹介したい。

ジョン・ウィリアムス演奏のバリオス作曲「大聖堂」

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

オピッツ/シューベルト連続演奏会 第1回&第2回(2010年12月14日&21日 東京オペラシティ コンサートホール)

Oppitz_201012

ゲルハルト・オピッツ シューベルト連続演奏会(SCHUBERT ZYKLUS)(全8回)

2010年12月14日(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(1階4列7番)
2010年12月21日(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(1階4列7番)

ゲルハルト・オピッツ(Gerhard Oppitz)(piano)

----------------

【第1回】(12月14日)

シューベルト(Schubert)作曲

楽興の時(Moments musicaux)D780
 1. Moderato
 2. Andantino
 3. Allegretto moderato
 4. Moderato
 5. Allegro vivace
 6. Allegretto mit Trio

ピアノ・ソナタ ロ長調(Sonate H-Dur)D575
 I. Allegro ma non troppo
 II. Andante
 III. Scherzo: Allegretto
 IV. Allegro giusto

~休憩~

10の変奏曲(Variationen über ein eigenes Thema)D156

ピアノ・ソナタ イ短調(Sonate a-moll)D784
 I. Allegro giusto
 II. Andante
 III. Allegro vivace

~アンコール~
シューベルト/3つのピアノ曲~第1番変ホ短調 D946-1

----------------

【第2回】(12月21日)

シューベルト(Schubert)作曲

ピアノ・ソナタ イ短調(Sonate a-moll)D537
 I. Allegro ma non troppo
 II. Allegretto quasi Andantino
 III. Allegro vivace

「さすらい人幻想曲(Wanderer-Fantasie)」D760
 I. Allegro con fuoco ma non troppo
 II. Adagio
 III. Presto
 IV. Allegro

~休憩~

ピアノ・ソナタ イ長調(Sonate A-Dur)D959
 I. Allegro
 II. Andantino
 III. Scherzo: Allegro vivace
 IV. Rondo: Allegretto

~アンコール~
シューベルト/即興曲D935-2

--------------------------

ゲアハルト・オピッツによるシューベルト・ツィクルスが東京でスタートした。
録音ではすでにシューベルトシリーズを完結している彼の実演シリーズは4年かけて全8回で完結する予定とのこと。
今年はその第1回と第2回だった。

第1回はまずその空席の多さに驚いた。
私は1階左側ブロックの4列目だったのだが、私の前方に誰もいない(おかげでオピッツの手の動きが完全に見えたのは良かったが)。
前方は真ん中のブロックにしか客がおらず、オピッツほどの著名人でも東京オペラシティは広すぎたか。

オピッツは比較的テンポを自由に動かしながらコントロールした音色でよく歌う。
テンポ設定は時に前のめり気味になる箇所もあるが、即興的な判断ではなく、あくまでオピッツの意図によるものであるのは、繰り返し箇所でも同様のテンポ設定が聞かれたことがその証となっている。
あまり刺激的な強音を使わず、弱音主体で演奏していたのは、シューベルトの演奏に対するオピッツの思いの反映なのではないか。
彼がケンプの弟子であることを思い起こさせる瞬間もしばしばあった。
決して構築感をおろそかにしているわけではないのだが、現代の洗練された演奏とは対極にあるようなある種の土臭さがシューベルトの音楽にえもいわれぬ趣を与えていた。

「楽興の時」全6曲をまとめて聴ける機会はありそうでなかなか無い。
こうしてあらためて聴いてみると有名な第3曲に限らず佳曲ぞろいである。
シューベルトの良い面だけが抽出されたかのような魅力全開の音楽。
これらはどう考えてもシューベルトにしか書けない音楽にちがいない。

イ短調ソナタD784は地味であまり知られていないが、不思議な暗さを帯びて非常に魅力的である。
特に第3楽章は右手と左手が追いかけっこをしているようにくっついたり離れたりする。
その様をオピッツの優れた演奏で実際に見るのは興味深かった。

今回若干ミスもあったが、全体的にはシューベルトらしいシューベルトを聴けたという満足感でいっぱいであった。

1週間後の第2回目は有名なソナタD959が含まれているせいか、前回よりもかなり多くの聴衆が入っていた。

前半最初のソナタD537はベネデッティ=ミケランジェリも録音していて、通し番号では第4番とされている。
特に第2楽章のテーマは後半の最晩年のソナタD959の終楽章にも使われており、同じ主題を使ってシューベルトがどのように進化した作品をつくったか比較する楽しみも与えてくれるプログラミングだった。
オピッツはドイツ人としては小柄な方で、手もそれほど大きくないように思われる。
しかし、そのことは演奏するうえで全く障害になっていない。
「さすらい人」幻想曲はシューベルトの作品の中では例外的といってもいいほど超絶技巧が求められるが、右に左にせわしなく鍵盤上を移動しながらもしっかりと安定した音楽を築いていたのはオピッツの高い技術を証明していた。

だがこの日の白眉はなんといっても後半のソナタD959だった。
よくシューベルト晩年のソナタ3曲D958~D960はソナタ形式という構造を意識した作品とみなされ、特にD958のハ短調ソナタはベートーヴェン的と形容されたりするが、今回のオピッツの弾くD959はまさにシューベルトのソナタの形式的な面を意識させるものだった。
オピッツは天高く屹立する建造物のように堂々とこのソナタを演奏した。
そこに甘い感傷を込めずにあくまで冷静な目の行き届いた演奏だった。
そして、こうして演奏されたD959のソナタは、部分部分であらわれる美しい音楽の羅列が有機的なつながりをもっているように感じられた。
これはオピッツの演奏によってはじめて感じた感覚かもしれない。

Oppitz_201012_chirashi

アンコールで弾かれた即興曲D935-2の何と美しかったことか。
一つ一つの音を慈しむように演奏するオピッツの響きは限りない包容力にあふれていた。
せわしない現代に、時間がゆったりと流れていくようなシューベルトの音楽にひたることがどれほど素敵なことか、あらためて感じさせられた2夜であった。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

Every Little Thing Premium Christmas Concert Tour 2010(2010年12月15日 Bunkamura オーチャードホール)

Every Little Thing Premium Christmas Concert Tour 2010
2010年12月15日(水)19:00 Bunkamura オーチャードホール(2階R1列11番)

Every Little Thing(持田香織、伊藤一朗)

1.ジングルベル
2.Change
3.water(s)
4.NECESSARY (Acoustic: Latte version)
5.鮮やかなもの
6.五月雨
7.恋文
8.SWEET MEMORIES (松田聖子のカバー)
9.Time goes by
10.Over and Over (English version)
11.stray cat
12.ささやかな祈り
13.またあした
14.The Cristmas Song

Encores
15.Woman (John Lennonのカバー)
16.恋をしている
17.good night

-------------------

Every Little Thingは今年クリスマスコンサートをツアー化して各地で行っているが、その東京公演2日目を聴いた。
会場はオーチャードホール。
前回のMEETツアー以来このホールで彼らを聴くのも2度目である。
今回の席は2階席の右側で、思った以上にステージに近い。
従って、もっちーやいっくんの表情がかなりはっきりと見れたのはラッキーだった。

今回のもっちーは高音もよく出ていて声量も豊か。
声の心配をほとんどする必要がなかったので、安心してその歌声に身をゆだねて素敵な時間を過ごすことが出来た。
唯一「恋文」だけは疲れが出たようで、サビの音程が不安定になっていたが、それ以外は全く問題なかった。
歌が終わるごとに水を飲んだり、いっくんに長めのトークをふったのは、喉のケアという意味もあったのだろう。
彼女なりに声を維持するために努力していることが伝わってくる。

クリスマス・ライヴということで、オリジナルとは異なるアコースティック系のアレンジで演奏され、いつものサポートメンバーの他にストリングスも加わっていた。
そのため、観客は最後まで椅子に座ってまったりと聴いていられて快適だった。

「鮮やかなもの」ではかなり低めに始まり、サビでは徐々に高音にあがっていくという音域の広い曲だが、もっちーの懸命に歌う姿に心を打たれた。
この歌はかなりの難曲と思えるが、この日のもっちーの歌は完璧だった。

今回の選曲で意外性があったのは松田聖子のカバー曲だろう。
かつてテレビでも「制服」を魅力的に歌っていたが、実際に「SWEET MEMORIES」を聴いてみると、案外もっちーの声と歌い方が松田聖子の曲に合うことが分かった。
松田聖子をもう少しあっさりさせた感じといえばいいだろうか。

ほかに「五月雨」のような極上のバラードを久しぶりに歌ってくれたのは個人的には涙ものだったし、「stray cat」では彼女のキュートな面が出ていて興味深く聴いた。
「Over and Over」の英語バージョンなど、最初はまっしーのピアノ伴奏のみでスタートし、後にほかの演奏も加わるというアレンジがなかなか魅力的だった。

いっくんのトークは相変わらずとりとめがなく、それがいい味を出していた。
いっくんが何か言うたびに、何故かタモリのように聴衆の「そうですね」という反応が繰り返され、ステージと客席の距離の近さがいつもながら感じられた。
もちろん涼しい顔してプレーする彼のギターも相変わらず見事だった。

アンコール最後に歌われた「good night」は彼女自身の悲しい思い出からつくられた作品だったが、こうしてクリスマスコンサートの締めとして熱唱されるとやはり感動的である。

オリジナルのアレンジが好きだからという気持ちから最初はチケットを買うことを躊躇していた私だが、行って良かったとつくづく思えた温かい雰囲気に包まれたコンサートであった。
彼らの楽曲からこれまでどれほど背中を押されてきたことか。
今年で15周年を迎えるELTの作りだす世界がさらに進化していくのを楽しみに見守っていきたい。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

ティベルギアン/ピアノ・リサイタル(2010年12月7日 浜離宮朝日ホール)

Tiberghien_20101207

セドリック・ティベルギアン ピアノ・リサイタル
2010年12月7日(火) 19:00 浜離宮朝日ホール(1階3列9番)
セドリック・ティベルギアン(Cédric Tiberghien)(piano)

ショパン(Chopin)作曲

スケルツォ第1番ロ短調op.20(Scherzo No.1 in B minor)

マズルカ第11番ホ短調op.17-2(Mazurka in E minor)

マズルカ第13番イ短調op.17-4(Mazurka in A minor)

3つのマズルカop.59(Three mazurkas)
 イ短調
 変イ長調
 嬰ヘ短調

「幻想ポロネーズ」変イ長調op.61(Polonaise-Fantaise in A-flat major)

~休憩~

ラヴェル(Ravel)作曲

夜のガスパール(Gaspard de la Nuit)
 オンディーヌ(水の精)
 絞首台
 スカルボ

ドビュッシー(Debussy)作曲

仮面(Masques)

スケッチ帳より(D'un Cahier d'Esquisses)

喜びの島(L'Isle Joyeuse)

~アンコール~
ドビュッシー/「前奏曲集第一集」より第10曲「沈める寺(La cathédrale engloutie)」

--------------------------

ピアニストのセドリック・ティベルギアンのリサイタルを当日券で聴いてきた。
前半がショパン、後半がラヴェルとドビュッシーという内容で、変化に富んだ音楽を堪能できた一夜だった。
ショパンではマズルカを中心に、スケルツォとポロネーズを両端で挟み込んだ流れになっている。

ティベルギアンの実演を聴くのはすでに三度目。
登場したティベルギアンは外出先からそのまま来たようなベージュの一見ラフっぽい格好だったが、それすら決まって見えるほどだ。

彼の演奏は、長身を折り曲げて弾く姿勢が個性的で、かなり鼻息荒く、時には言葉のようなものすら聞こえてくる。
往年のカナダのカリスマピアニストを意識しているのだろうか。
恵まれた細長い指を持っているが、時に勢いに任せる箇所もあるものの、基本的には内面に向かう表現をしていたように感じた。
バリバリ弾くタイプではなく、むしろ弱音を主体にした演奏だった為、沸き立つようなリズム感覚よりも沈潜した方向を目指している印象だ。

ショパンも繊細で良かったが、後半のラヴェルでは彼のテクニックの冴えもあってさらに印象的だった。
ドビュッシーも悪くなかったが、アンコールで弾かれた「沈める寺」では連続して出てくる低音が芯のあるずっしりとした音で、しかもうるさくならず、こういう音が出せるのはすごいと思った。

Tiberghien_20101207_chirashi

なお、会場内にはマイクが何本も立っていて、カメラらしきもの(無人)も数台確認できたので収録されていたのかもしれない。

Tiberghien_chopin_mazurkas_cd

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

METライブビューイング《ドン・パスクワーレ》(2010年12月5日 新宿ピカデリー)

METライブビューイング2010-2011
ドニゼッティ(Donizetti)/ドン・パスクワーレ(Don Pasquale)
上演日:2010年11月13日

2010年12月5日(日)10:00-13:07(休憩15分含む) 新宿ピカデリー スクリーン6(C列9番)

指揮:ジェイムズ・レヴァイン(James Levine)
演出:オットー・シェンク(Otto Schenk)
美術・衣裳デザイン:ロルフ・ランゲンファス(Rolf Langenfass)
照明:デュアン・シューラー(Duane Schuler)

ノリーナ(Norina):アンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)(S)
エルネスト(Ernesto):マシュー・ポレンザーニ(Matthew Polenzani)(T)
マラテスタ(Dr. Malatesta):マリウシュ・クヴィエチェン(Mariusz Kwiecien)(BR)
ドン・パスクワーレ(Don Pasquale):ジョン・デル・カルロ(John Del Carlo)(BSBR)

The Metropolitan Opera

------------------

METライブビューイングの今期3作目を見に行った(2作目の「ボリス・ゴドゥノフ」は都合がつかず行けなかった)。
今回は新宿で見たが、前回よりも客の入りが良かったようで、前から3列目の若干見上げるような席ぐらいしか残っていなかったので、首が疲れた。

今回は「ラインの黄金」とはうってかわって、ドニゼッティのオペラブッファ「ドン・パスクワーレ」。
指揮者は同じくジェイムズ・レヴァインで、「ラインの黄金」の時のげっそりとした体格が嘘のようにたった1ヶ月で立派な体格に戻っていた。
まぁ健康を取り戻したということなのだろう。

筋は単純明快で、ノリーナという未亡人と若いエルネストが、裕福な老人ドン・パスクワーレに愛を妨げられそうになるが、仕返しをしながら最後には認めさせるという内容。
ドン・パスクワーレを歌ったジョン・デル・カルロがなんとも細かいところまでコミカルな表情や演技が染み付いていて楽しい。
決してタイトルロールが主役というわけではないのだろうが、今回デル・カルロの歌唱と演技に最も惹かれた。

ノリーナ役のネトレプコはソプラノだが重みというか太さのある声である。
これまで悲劇が多かったそうだが、今回のようなコミカルな歌唱にもぴったり合っていた。
おきゃん(死語?)な美貌の娘に見事になりきって魅力的に演じながら技巧的な歌もものの見事に決めていた。

エルンスト役のテノール、ポレンザーニと、タイトルロールの担当医マラテスタ役、クヴィエチェンも若々しい表現がぴったり役にはまっていていたように感じた。
エルンスト役はいつも悩んでいるような役柄だが、それがこの喜劇に奥行きを与えていたように感じられた。

あまり難しく考えずに気楽に芝居と歌を楽しめたオペラだった。
アリアも親しみやすく華やかで美しい曲がそろっていた。
演出も奇をてらわず、設定に忠実なものだったのではないだろうか。

なお、途中にはさまれたインタビューでは、スーザン・グレアムがインタビュアーとなって、出演者にマイクを向けていたが、グレアムもこういう仕事に手馴れた感じだったのは見事だった。

余談だが、最近Hyperionレーベルでジュリアス・ドレイクのピアノでスタートしたリスト歌曲全集の第1巻を買ってきたところ、エルンストを歌っていたマシュー・ポレンザーニがこの巻の担当で、ドイツ語、イタリア語の歌曲(「ペトラルカのソネット」も含む)を素敵に歌っていた。
オペラでのベルカントとは異なる細やかなドイツリートの表現にも対応できる優れた歌手なのだと感銘をあらたにしたところである。

| | | コメント (0) | トラックバック (0)

スイスのテノール、ユーグ・キュエノー108歳で逝去

スイスのテノール、ユーグ・キュエノー(Hugues-Adhémar Cuénod)が2010年12月3日(6日説もある)にスイス、ヴヴェ(Vevey)で亡くなった。
1902年6月26日生まれというから享年108歳(!)という大往生。

キュエノーはオペラやコンサート(若かりしアーメリングも参加したフランク・マルタン「降誕の秘蹟」の1959年世界初演にも出演)で幅広く活動した名テノールだが、歌曲ではとりわけフォーレやデュパルクなどのフランス歌曲に独自の味わいを醸し出した。

以前のブログ記事でも彼のフォーレ歌曲集のCDについて書いたが、そこでの歌唱も素晴らしいものだった。

キュエノーを偲ぶにあたって、今回私が選んだのはブラームス!

ブラームスの四重唱とピアノ連弾による18曲からなる「愛の歌、ワルツ(Liebeslieder-Walzer)」Op.52。
EMIからかつて出ていたCDではドイツ系演奏者(下記の17~34トラック)とフランス系演奏者(38~55トラック)の2種類が同じ盤に収録されて聴き比べが出来るようになっていた。

内訳は以下のとおり。

------

Cuenod_brahms_cd

EMI CLASSICS: 7243 5 66425 2 2

ブラームス作曲

1~16トラック
ピアノ独奏版ワルツOp.39(全16曲)
Wilhelm Backhaus(P)
(1936年1月27日, No.3 Studio, Abbey Road, London録音)

17~34トラック
「愛の歌、ワルツ」Op.52(全18曲)
Irmgard Seefried(S)
Elisabeth Höngen(A)
Hugo Meyer-Welfing(T)
Hans Hotter(BS)
Friedrich Wühler(P)
Hermann von Nordberg(P)
(1947年11月15&16日, Brahmssaal, Wien録音)

35~37トラック
ピアノ連弾版ワルツOp,39~Nos.2,15 & 6
Friedrich Wühler(P)
Hermann von Nordberg(P)
(1947年11月24日, Brahmssaal, Wien録音)

38~55トラック
「愛の歌、ワルツ」Op.52(全18曲)
Comtesse Jean de Polignac(S)
Irène Kedroff(A)
Hugues Cuénod(T)
Doda Conrad(BS)
Dinu Lipatti(P)
Nadia Boulanger(P)
(1937年3月, Paris録音)

56~62トラック
ピアノ連弾版ワルツOp,39~Nos.1,2,5,6,10,14 & 15
Dinu Lipatti(P)
Nadia Boulanger(P)
(1937年3月25日, Paris録音)

------

34歳のキュエノーによる若々しい歌唱である。
ドイツ勢による演奏がゼーフリート、ヘンゲン、ホッターといった錚々たる大家たちの最盛期の記録ということもあり、まさに正統的で安定感のあるものだったが、フランス勢の演奏はその点ネイティヴではないというハンデを差し引いても珍しいものにチャレンジしてみたという感があるのは仕方ないだろう。
ドイツ語の発音も特に女声陣は若干完全でない箇所もあるが、キュエノーはなかなかまともなドイツ語で歌っていた。
しかし、このフランス勢の歌唱、単なる珍品かというと実はそうでもなくて、ドイツ勢からは望めないような軽やかで愛らしいブラームスを聴かせてくれている。
サロンで愛好家たちが集まって合わせてみたような重唱の楽しくくつろいだ印象はむしろフランス勢の演奏により強く感じられ、その場に居合わせて楽しく聴いている感覚を味わわせてくれる。
歌手だけでなく、ピアニストもディヌ・リパッティとその師匠ナディア・ブランジェという名手たち。
しかし、この録音当時リパッティはまだ無名だったらしく、解説によると、"Dinu"ではなく"Dina"と誤表記されるほどだったとのこと。
このCDジャケットの貴重な写真も、フランス勢の演奏者たちが写っているが、何故かリパッティだけいない(左からケドロフ、ブランジェ、コンラッド、ポリニャック、そしてキュエノー)。

キュエノーの独唱を聴くのならば54トラックの"Nicht wandle, mein Licht"がある。
一見折れてしまいそうな細い声ながら、何故か惹き付けられるなんともチャーミングな歌唱である。
機会があればぜひお聴きいただきたい。

| | | コメント (2) | トラックバック (0)

リンク集追加のお知らせ:Elly Ameling Discography

Elly Ameling Discography

Sandmanさん作成のエリー・アーメリングのディスコグラフィ・サイトです。
非常に珍しいディスクの情報もあり、アーメリング・ファンにとっては待ち望んだサイトです。
私もはじめて知る情報があり、大変興味深く拝見しました。
それにしてもアーメリングのレパートリーの膨大さにはあらためて驚かされます。
これらの録音の多くが現在入手出来ないのはもったいない限りです。
CD化が無理ならばネット配信でもいいので、CBSやPHILIPSの過去の名盤の復活を強く希望したいです。

ディスコグラフィーは有難いことに今後もアップデートされるそうなので、いずれはアーメリングの録音のほとんどを確認できる貴重なサイトになることでしょう。
ぜひご訪問ください!

| | | コメント (2) | トラックバック (0)

シューマン/アンナにⅡ(An Anna II)

An Anna II, op. posth. 21 no. 7 (WoO 10, No. 2)
 アンナにⅡ

Nicht im Tale der süßen Heimat,
Beim Gemurmel der Silberquelle -
Bleich getragen aus dem Schlachtfeld
Denk' ich dein, du süßes Leben!
 甘美な故郷の谷ではなく、
 銀色の泉のせせらぎのそばで、
 青ざめて戦場から運ばれながら
 僕はきみを思っている、かわいいひとよ!

All die Freunde sind gefallen,
Sollt' ich weilen hier der eine?
Nein! schon naht der bleiche Bote,
Der mich leitet zur süßen Heimat.
 友はみな死んでしまった、
 僕はここで一人でいなければならないのか?
 いや!すでに青白い使者が近づいてくる、
 彼が僕を甘美な故郷へ連れて行ってくれるのだ。

(省略された第3節)
Flecht ins Haar den Kranz der Hochzeit,
Halt bereit die Brautgewande
Und die vollen, duft'gen Schalen:
Denn wir kehren alle wieder
In das Tal der süßen Heimat.
 髪に結婚式の花冠を編み込み、
 準備しておくのだよ、花嫁衣裳と
 たっぷりとした薄いショールを。
 僕らはみんなで再び
 甘美な故郷の谷に帰るのだから。

詩:Justinus (Andreas Christian) Kerner (1786-1862): "Episteln" no. 5
曲:Robert Alexander Schumann (1810-1856)

------------------

Hyperionレーベルでピアニストのグレアム・ジョンソン(Graham Johnson)が企画したシューマン歌曲全集は11巻で完結したが、今年に入り、シューマン生誕200年を記念して、組物の形でまとめて再リリースされた。
シューベルト全集の時同様、今回もセット化するにあたり作曲順に並べ替えられているため、年代を追ってシューマンの作風を追える楽しみがある。
その1枚目にはシューマン初期のめったに聴くことの出来ない歌曲が「ミルテの花」とともに収められている。

シューマンと言えば1840年のいわゆる「歌の年」に怒涛のように歌曲創作に集中したことで有名だが、それ以前数年はピアノ曲作曲に集中していた為、初期の歌曲は1827年から1828年に作曲されたものがあるのみらしい。

Hyperionの全集に収録された初期歌曲は以下の11曲。

1.憧れ(Sehnsucht)(Schumann:詩)(1827年2月28日作曲)

2.泣く娘(Die Weinende)(Byron/Körner:詩)(1827年7月作曲)

3.XXXのための歌(Lied für XXX)(Schumann:詩)(1827年7月作曲)

4.短い目覚め(Kurzes Erwachen)(Kerner:詩)(1828年6~7月作曲)

5.歌の目覚め(Gesanges Erwachen)(Kerner:詩)(1828年6~7月作曲)

6.釣り人(Der Fischer)(Goethe:詩)(1828年6~7月作曲)

7.秋に(Im Herbste)(Kerner:詩)(1828年6~7月作曲)

8.アンナにⅠ(An Anna I)(Kerner:詩)(1828年6~7月作曲)

9.アンナにⅡ(An Anna II)(Kerner:詩)(1828年7月31日作曲)

10.羊飼いの少年(Hirtenknabe)(Schumann:詩)(1828年8月16日以前作曲)

11.思い出(Erinnerung)(Jacobi:詩)(1828年8月16日以前作曲)

最初のシューマン自身の詩による「憧れ」からすでに音楽作品としての魅力を備えているのは驚きだ。
後年のようなシューマン特有の二面性はまだ見られず、美しい旋律と詩の言葉に対するデリカシーのある扱いが特徴的と感じられた。

その中でとりわけ興味を惹いたのは「アンナにⅡ」という作品。
1828年7月31日作曲でシューマン18歳の時の作品ということになる。
ユスティーヌス・ケルナーの「書簡集」という6編からなる短い詩のシリーズの中をテキストにして「アンナに」と題する2曲を作った。
ちなみにこの曲名は詩人の付けたタイトルではないものの、女性が「アンナ」という名前である設定はケルナーによるものである。
「アンナにⅡ」のオリジナル詩は3節からなるが、シューマンは作曲に際して最後の3節目を削除して、最初の2節を使っている。
しかし、最後に第1節が回帰する作曲法をとっているので、原詩の第3節の削除はシューマンの強い考えがあってのことと推測される。
非常に優しい響きの短い作品だが、聴き手を惹きつけるものを持っている。
この初期歌曲の中心テーマをシューマンは彼のピアノ・ソナタ第1番嬰ヘ短調作品11(1832年から1835年作曲)の第2楽章Ariaにほぼそのまま引用しているのが興味深い。

現在のところCDで聴けるのは、トマス・ハンプソン(BR)&ジェフリー・パーソンズ(P)のケルナー&アンデルセン歌曲集と、ハイペリオンのシューマン歌曲全集第8巻でのマーク・パドモア(T)&グレアム・ジョンソン(P)の2種類と思われる(F=ディースカウは彼の全集で「アンナにⅠ」は録音したが、Ⅱは録音しなかった)。
しかし、いずれは現在進行中のナクソスレーベルのシューマン歌曲全集でも録音されて聴けるようになるだろう。

以下のサイトで「アンナにⅡ」の演奏を聴くことが出来る。

トマス・ハンプソン(BR)&ジェフリー・パーソンズ(P)
ハンプソンがとろけるような甘美な歌を聞かせ、パーソンズは優しい音色でサポートする。

歌唱部をヴァイオリンで演奏した映像

「アンナにⅡ」を主題に使ったピアノ・ソナタ第1番嬰ヘ短調作品11の第2楽章(Klára Würtzの演奏)

| | | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2010年11月 | トップページ | 2011年1月 »