映画「クレアモントホテル」(2010年12月25日 岩波ホール)
クレアモントホテル
Mrs. PALFREY at The Claremont
2010年12月25日(土)14:30 岩波ホール
ダン・アイアランド(Dan Ireland)(監督)
ジョーン・プロウライト(Joan Plowright)(パルフリー夫人: Mrs. Palfrey)
ルパート・フレンド(Rupert Friend)(ルドヴィック・メイヤー: Ludovic Meyer)
ゾーイ・タッパー(Zoe Tapper)(メイヤーの恋人グェンドリン: Gwendolyn)
アンナ・マッセイ(Anna Massey)(ホテルの滞在者アーバスノット夫人: Mrs. Arbuthnot)
ロバート・ラング(Robert Lang)(ホテルの滞在者オズボーン氏: Mr. Osborne)
マルシア・ウォーレン(Marcia Warren)(Mrs. Post)
ジョージナ・ヘイル(Georgina Hale)(Mrs. Burton)
ミリセント・マーティン(Millicent Martin)(Mrs. De Salis)
アンナ・カートレット(Anna Carteret)(Elizabeth)
クレア・ヒギンズ(Clare Higgins)(ルドヴィックの母: Mrs. Meyer)
2005年/アメリカ・イギリス
35ミリ/カラー/1時間48分
ドルビーSRD/ヴィスタサイズ
原作:エリザベス・テイラー『クレアモントホテル』集英社文庫
日本語字幕:石田泰子
提供:朝日新聞社、クレストインターナショナル
オフィシャルサイト
岩波ホールのサイト
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岩波ホールで映画「クレアモントホテル」を見た。
未亡人と若い小説家の卵の交流を軸とした話である。
コミカルなテイストを散りばめながらも、切なさと温かさがないまぜになり、鑑賞後にはなんとも言えない気持ちになった。
ロンドンのとある長期滞在型ホテルにやってきたパルフリー夫人は、個性的なホテルの滞在者たちに最初は面食らうが、自然にその中に溶け込んでいく。
ある日、天気が悪くなってきたので、ホテルの友人から頼まれて図書館から借りてきた本(何の本かは見てのお楽しみ)を持ち、ホテルへの帰路を急ぐ中、転倒してしまう。
その目の前の地下に住んでいた小説家志願のルドヴィック・メイヤーは気付いて助け起こし、家で夫人の手当てをし、ホテルまで送り届ける。
その後、パルフリー夫人はメイヤーへのお礼としてホテルでの食事に誘うが、ホテルの住人たちに夫人の孫デズモンドと勘違いされてしまい、メイヤーに孫のふりをしてもらうことになる。
ストーリーは単純明快で余計な描写はなくすっきりとしている(原作者のエリザベス・テイラーは女優さんとは別人とのこと)。
しかし、私はジョーン・プロウライト演じる老婦人にすっかり魅了されてしまった。
なんというさりげなくも含蓄に富んだ表情、仕草をするのだろう。
存在そのものが人生を語っているかのようである。
こういう女性が道端で転んだら、ルドヴィック・メイヤーでなくともすぐさま助け起こしたくなるだろう。
寂しさを抱えた者同士が心の結びつきを強めるのに世代の差など関係ないのである。
この映画ほどエンドロールが長くて助かったと思ったことはなかった。
映画を見た後しばらくは神保町界隈の雑踏が耳に入らなかった。
5年前に制作された映画だそうだが、今年ようやく岩波ホールで初公開となり、来年2月頭まで上映しているそうだ。
お時間のある方はぜひ!
ちなみに個性豊かなホテルの住人たちは皆とても魅力的だが、後半でいい味を出していたオズボーン氏役のロバート・ラングはこの映画の完成2週間前に他界されたとのこと。
帰宅後にHPでそのことを知りショックだった。
出来れば来年もう一度クレアモントホテルの住人たちに会いに行きたいと思っている。
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