レーゼル&アルミンク指揮新日本フィル/ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」ほか(2010年10月23日 すみだトリフォニーホール)
新日本フィルハーモニー交響楽団
第468回定期演奏会『恍惚のベートーヴェン・ナイト』
2010年10月23日(土)18:00 すみだトリフォニーホール(3階LB列7番)
ペーター・レーゼル(Peter Rõsel)(ピアノ:op.58)
新日本フィルハーモニー交響楽団(New Japan Philharmonic)
クリスティアン・アルミンク(Christian Arming)(指揮)
リーム(Wolfgang Rihm:1952-)/変化2(Verwandlung 2)(2005)(日本初演)
ベートーヴェン(Beethoven)/ピアノ協奏曲第4番ト長調op.58
Allegro moderato
Andante con moto
Rondo: Vivace
~レーゼルのアンコール~
ベートーヴェン/ピアノソナタ第18番op.31-3~第2楽章
~休憩~
ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調op.93
Allegro vivace e con brio
Allegretto scherzando
Tempo di menuetto
Allegro vivace
----------------------
今回ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番をラドゥ・ルプーが弾くはずだったのだが、ルプーは急病で帰国してしまった為、代役として先日紀尾井シンフォニエッタと素晴らしい演奏を披露したペーター・レーゼルが登場することになった。
ルプーだとしても当日券で聴こうと思っていたのだが、レーゼルに変更と聞き、喜んで出かけてきた。
結果は先日を上回る最高の名演で、この場に立ち会えた幸運に感謝したい気持ちである。
レーゼルの演奏はマイルドなタッチが温かく、しかも余裕で鍵盤を縦横無尽に駆け抜けるが、それが単なるスケールにならず、しっかりとした音楽が存在するのが素晴らしい。
第2楽章のなんと美しかったこと!
ベートーヴェンの音楽を魂のこもった演奏で聴くとこれほど聴き手を感銘させることが出来るのだとあらためて感じられた。
聴き終えてしばらくは久しぶりの心の底から揺さぶられる感動で興奮冷めやらぬ状態となった。
実は前日の演奏の感想をインターネットで事前にチェックしたところ、指揮者との息が合っていないという意見がいくつか見られたのが心配だったのだが、2日目のこの日は慣れてきたためだろうか、アルミンクとの呼吸に一切のズレがなく、ぴったり調和していたのが素晴らしかった。
そしてアンコールとしてソナタ第18番「狩」の第2楽章を演奏したが、先日のソナタシリーズで聴いた時よりも軽快で音楽に乗った積極的な演奏だったように感じられた。
休憩時間は私にとってちょうどよいクールダウンとなった。
後半の交響曲第8番はほとんど陰りない明朗快活な作品で、オケも気持ちよく演奏していた。
私の席からだと第1楽章の管楽器が次々とパッセージを引き継ぐ箇所などもよく見られて楽しかった。
クラシックを聴き始めた頃に駅のワゴンセールで購入したCDでこの曲をよく聴いていたことを懐かしく思い出した。
なお、最初に演奏されたリームの「変化2」は20分ほどの作品だが、私にとってもそれほど聴きにくいという感じはしなかった。
アルミンクは今回正面からよく見ることが出来たが、指揮する姿はエネルギッシュながら、決して洗練されているという感じではなく、彼独自の振り方をしているという印象をもった。
ちなみにアルミンクによるプレトークではリームの作品解説が中心だった。
この日のコンサートマスターは豊嶋泰嗣。
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