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フォレスター、レーフスの歌う「こどもの不思議な角笛」(キングレコード: VANGUARD: KICC 2051)

マーラー/歌曲集「こどもの不思議な角笛」
キングレコード: VANGUARD: KICC 2051
録音:1958年頃

モーリン・フォレスター(Maureen Forrester)(A)
ハインツ・レーフス(Heinz Rehfuss)(BSBR)
ウィーン交響楽団(Wiener Symphoniker)
フェリックス・プロハスカ(Felix Prohaska)(C)

マーラー(Mahler)/歌曲集「こどもの不思議な角笛(Des Knaben Wunderhorn)」

1.死んだ鼓手(Revelge)(レーフス)
2.浮き世の生活(Das irdische Leben)(フォレスター)
3.高い知性への賛歌(Lob des hohen Verstandes)(レーフス)
4.ラインの伝説(Rheinlegendchen)(フォレスター)
5.番兵の夜の歌(Der Schildwache Nachtlied)(レーフス)
6.だれがこの歌を作ったか(Wer hat dies Liedlein erdacht?)(フォレスター)
7.むだな骨折り(Verlor'ne Müh')(フォレスター)
8.少年鼓手(Der Tamboursg'sell)(レーフス)
9.不幸な時の慰め(Trost im Unglück)(レーフス)
10.トランペットが美しく鳴り響く所(Wo die schönen Trompeten blasen)(フォレスター)
11.魚に説教するパドヴァの聖アントニウス(Des Antonius von Padua Fischpredigt)(フォレスター)
12.塔の中の囚人の歌(Lied des Verfolgten im Turm)(レーフス)
13.原光(Urlicht)(フォレスター)

※上記の演奏者、曲名などの日本語表記はCDでの表記に従った。

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最近中古屋を見ていたら、偶然にも先日亡くなったカナダのコントラルト歌手フォレスターの歌った「こどもの不思議な角笛」のCDを見つけたので、早速購入して聴いてみた。
この録音、1959年にLPで発売された後しばらくして廃盤になり、その後1990年にCD化されるまで長く日の目を見ることがなかったらしい。
その事実が信じられないほど、歌唱もオケも明晰で味わいもあり素晴らしい演奏であった。

フォレスターの声はいぶし銀の光沢をもった低音で、メロディーラインがくっきりと描かれるので、マーラーの民謡の形を借りた歌がストレートに伝わってくる。
マーラーが意図したのはこういう歌い方ではなかっただろうかと思えるほど飾り気のない実直な歌いぶりがしっくりと作品と合っていた。
とりわけ「トランペットが美しく鳴り響く所」や「原光」のような静謐な作品において彼女はしっとりとした味わいを聴き手に感じさせてくれた。

ハインツ・レーフスといえばフランク・マルタンと共演したマルタンの「イェーダンマンからのモノローグ」が思い出されるが、リート歌手として数々の名演を残しているようだ。
ここでも実にめりはりのきいた発音と耳に心地よいハイバリトンが美しく響いていた。

プロハスカ指揮のウィーン交響楽団は実に色彩感豊かに各曲を彩っていく。
マーラーが各楽器に込めた意味合いをすべて丁寧に掬い上げようとしたかのような意欲が漲っていた。

今年はヴォルフと同年生まれのマーラーの生誕150年。
歌曲のリサイタルでも例年以上に選曲されているようだが、まだ「角笛」を生のオケ版で聴いたことがない。
いつか聴いてみたいものである。

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