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ベルリオーズ/ファウストの劫罰(2010年7月17日 東京文化会館)

東京二期会オペラ劇場
ベルリオーズ(Berlioz: 1803-69)/「ファウストの劫罰(La damnation de Faust)」

4部からなる劇的物語
字幕付原語(フランス語)上演
原作:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ「ファウスト」
台本:エクトール・ベルリオーズ、アルミール・ガンドニエール、ジェラール・ドゥ・ネルヴァル
作曲:エクトール・ベルリオーズ

2010年7月17日(土)14:00 東京文化会館(5階L1列14番)

ファウスト:福井敬(FUKUI, Kei)(T)
マルグリート:小泉詠子(KOIZUMI, Eiko)(MS)
メフィストフェレス:小森輝彦(KOMORI, Teruhiko)(BR)
ブランデル:佐藤泰弘(SATO, Yasuhiro)(BS)

メインダンサー:白河直子(SHIRAKAWA, Naoko)
ダンサー:木戸紫乃、斉木香里、泉水利枝、池成愛、野村真弓

合唱:二期会合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:ミシェル・プラッソン(Michel PLASSON)

演出・振付:大島早紀子(OSHIMA, Sakiko)
装置:松井るみ
衣裳:太田雅公
照明:沢田祐二

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ベルリオーズの「ファウストの劫罰」をオペラ化して上演した二期会公演を聴いてきた。
なお、当初マルグリート役に出演予定だった林美智子は体調不良のため、小泉詠子に変更された。

オペラをコンサート形式で上演するというのはよくあるが、逆にコンサート作品をオペラとして上演するというのは珍しいのではないか。
確かにゲーテの「ファウスト」の仏訳を基にしたこのベルリオーズの作品は各登場人物に歌が割り当てられ、要所要所でストーリーを追えるようにはなっている。
ただ、オペラ的な発想で作られていないため、登場人物同士のやりとりによるドラマの展開といった点ではどうしても限界がある。
今回、二期会が「ファウストの劫罰」をオペラとして上演するために考えたのが、ダンスを大幅に取り入れるということだった。
確かにドラマの展開を歌手によって伝える箇所が限られているこの作品において、その隙間を埋めると同時にさらに上演の説得力を増す意味でダンスは大きな役割を果たしていた。
演出に女性ダンスカンパニー、H・アール・カオス主催の大島早紀子を起用したのも、この作品のオペラとしての上演にとって意味のあることだったと感じた。

休憩25分をはさんで、第1、2幕で1時間弱、第3、4幕で1時間強という長大な規模の作品が、視覚的な要素を加えることによってその長さを意識させなかったのは確かだった。

ダンサーたちは階段を転げ落ちたり、椅子を使ったりしながら、きびきびとしたダンスで状況や心理状態を表現する。
長い裾を引き摺りながらのダンスは大変だったにちがいない。
宙吊りになったり、張られた糸の上を急速に渡るといったアクロバティックな見せ場もあり、その身体能力にまず驚かされるが、それだけでなく、伝えようという意思が感じられるのが素晴らしかった。
時にそのきびきびした動きが必ずしも場面に合っていないかなと感じるところもあったが、総じて、このオペラ化作品の成功に大きく寄与していたと言っていいだろう。

歌手では、まずファウスト役の福井敬が素晴らしい。
伸びやかな声といい、感情表現の力強さといい、ベルリオーズの魅力をしっかり伝えてくれた。
ただ、福井さんはフランス語で歌っているはずなのに、イタリアオペラを聴いているような印象を受けたのは、彼の声質によるのだろうか。

メフィストフェレス役の小森輝彦の悪役ぶりも実に巧妙で見事の一言。
歌も演技も素晴らしかった。

急遽マルグリートという大役をつとめることになった小泉詠子はメゾソプラノとしての深みがありつつ、それが決して重くならず、清澄さすら感じさせたのは聴いていて気持ちよかった。
声はどの音域もよく通り、歌の内容もしっかり把握していて、カヴァーとしてしっかり準備していたことを感じさせた。
演技は今後場数を踏むことでさらに磨かれていくことだろう。

ミシェル・プラッソン指揮の東京フィルは、ベルリオーズの音楽の色彩感や劇性の表出よりも、丁寧に情景を描くことを目指していたように感じた。
合唱は時にオケとずれることもあったが、総じてよく歌っており、特にアウエルバッハの酒場の場面は細かい演技もこなし、楽しかった。

聴き終わってベルリオーズの音楽の素晴らしさを感じることが出来て、よい体験となった。

最後のマルグリートが昇天する場面は視覚的に非常に美しく印象に残るものとなった。
大島早紀子の感性のなせる技だろうか。

Berlioz_la_damnation_de_faust_2010

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