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「小山実稚恵の世界」第9回~感動のソナタ~(2010年6月12日 Bunkamura オーチャードホール)

12年間・24回リサイタルシリーズ
「小山実稚恵の世界」ピアノで綴るロマンの旅 第9回
~感動のソナタ~

Koyama_michie_20100612

2010年6月12日(土) 15:00 Bunkamura オーチャードホール(1階8列32番)

シューベルト/ソナタ第13番 イ長調 作品120 D.664
第1楽章 アレグロ・モデラート
第2楽章 アンダンテ
第3楽章 アレグロ

ショパン/ソナタ第2番 変ロ短調「葬送」作品35
第1楽章 グラーヴェ~ドッピオ・モヴィメント
第2楽章 スケルツォ
第3楽章 マルシュ・フュネーブル
第4楽章 プレスト

~休憩~

ブラームス/2つのラプソディー 作品79より 第2曲 ト短調

シューマン/ソナタ 第3番 ヘ短調 作品14
第1楽章 アレグロ
第2楽章 スケルツォ、モルト・コモド
第3楽章 クワジ・ヴァリアツィオーニ、クララ・ヴィークのアンダンティーノ
第4楽章 プレスティッシモ・ポッシービレ

~アンコール~
ショパン/ワルツ第19番 イ短調 遺作
ショパン/ノクターン第13番 ハ短調 作品48-1
シューマン/ソナタ第3番 ヘ短調 作品14より 第3楽章(初版:1836年版)
ショパン/ワルツ第9番 変イ長調 作品69-1「別れのワルツ」

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小山実稚恵は渋谷のオーチャードホールで12年間、計24回にわたるシリーズ「小山実稚恵の世界」を進行中である。
先日彼女の生演奏を聴いたばかりだが、このホールでのシリーズを今回はじめて聴いてきた。
オーチャードホールでクラシック音楽を聴くのはいつ以来だろうか。

ステージ右側の席で、彼女の手の動きは全く見えないので、音楽に集中することにした。
小山さんといえばショパンのイメージが強いが、今回、ショパン、シューマンといった記念年の作品のほかに、シューベルトやブラームスの作品が含まれているのに興味を惹かれた。

このシリーズでは毎回、作品にちなんだ色を設定しているようで、今回は「緑がかったグレー」とのことで、衣装もそのような感じだった。

はじめて聴く彼女のシューベルト、なかなか小山さんの演奏スタイルに合っているように感じた。
シューベルトのソナタの中でも古典的ながら歌謡性の強い短い作品の為、小山さんの歌心が素直に発露され、聴いていて気持ちよい演奏だった。
若干ミスが散見されたように感じたが、それでも音楽的な内容の豊かさにはほとんど支障はない。
特に2楽章の優しい和音の響きは、彼女ならではの素晴らしさだった。

続くショパンのソナタ第2番は、今年に入って川口で聴いたばかりだが、前回同様、気負いのない自然な表情の爽やかな演奏だった。
こちらも若干ミスがあったのはやはり多忙ゆえだろうか。

後半のブラームスのラプソディー第2番は第1番と共に私の大好きな作品なので、彼女がどんな風に弾くのか興味津津だったが、ここでもいつも通りの彼女の美しいタッチは健在だった。
ラプソディーならではのテンポの揺れやメランコリックな表情は若干抑制気味だったが、彼女なりに作品に歩み寄っていたように思う。
だが、さらに大胆でも良かったかもしれない(私の好みでは)。

最後のシューマンのソナタ第3番がこの日一番素晴らしかった。
私にとっては今回の曲目の中で最も馴染みの薄い作品だったが、シューマン特有の錯綜した感情の揺れが彼女のコントロールの効いた演奏によって、かえって親しみやすく感じられた。
第3楽章の「クララ・ヴィークのアンダンティーノ」は下降する音型が特徴的なメランコリックな音楽だが、アンコールでは、この楽章の初版が披露され、ご存知の方にとっては比較が楽しめたのではないか(私はアンコールで聴いている時は同じ曲をもう一度そのまま弾いたのだと思っていたが、ロビーのアンコールの掲示で初版だったのだと知った)。

ほぼ満席の会場からの盛大な拍手でアンコールは4曲。

Koyama_michie_20100612_chirashi

全体を通して、爽快な美しいタッチと常にコントロールの行き届いたテンポ感といった彼女の美質が感じられた演奏であった。
配布されたパンフレットの仕様もおそらく彼女の意見が取り入れられているのではないか。
センスのいい読み物となっていた。

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