ピアニスト横山幸雄ショパンを弾く(2010年6月18日 北とぴあ つつじホール)
2010年ショパン生誕200年記念企画
ピアニスト横山幸雄ショパンを弾く
2010年6月18日(金) 19:00 北とぴあ つつじホール(M列11番)
横山幸雄(Yukio Yokoyama)(ピアノ)
【オールショパン 名曲プログラム】
ショパン作曲
バラード 第1番
幻想即興曲
ノクターン 第20番 嬰ハ短調「遺作」
ワルツ 第1番「華麗なる大円舞曲」
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
~休憩~
華麗なる変奏曲 変ロ長調
幻想曲 ヘ短調
舟歌
スケルツォ 第2番
~アンコール~
ノクターン 第2番 作品9-2
練習曲「革命」
小犬のワルツ
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王子駅近くの北とぴあの大ホールはこれまでも何度か出かけたが(職場からの帰り道の乗り換え駅なので私にとっては便利)、今回のつつじホールという中程度のホールははじめて。
ロビーからして昭和の雰囲気を感じさせる懐かしい趣である。
仕事が定時で終わったので、当日券で横山幸雄のコンサートをはじめて聴いてきた。
最近はショパンのピアノ曲全曲を1日がかりで演奏してギネスから認定されたり、辻井伸行の師としても知られている。
以前から一度実演を聴いてみたいと思っていた。
今年のショパン生誕200年を記念してオール・ショパン・プロ。
しかも、様々なジャンルから有名なものを中心にまとめた内容。
私にとっては「華麗なる変奏曲」ははじめて聴く曲だった。
次々に演奏されるショパンの代表曲を堪能したが、後半の「幻想曲 ヘ短調」はやはり「雪のふるまちを」の元ネタであることは間違いないのではないか。
お客さんたちもこの似ている箇所が演奏されるとお仲間同士で顔を見合わせたりしていた。
ステージに登場した横山幸雄はイメージしていたよりも長身だった。
そして1曲ごとに拍手にこたえて、次の曲をすぐに続ける(最初の「バラード 第1番」の後だけ一度袖に引っ込んだが、遅れてきたお客さんを入れる為だろう)。
最初は遠慮がちだった聴衆の拍手も時間の経過と共に徐々に熱気を帯び、横山さんの演奏もどんどん乗っていくのが明らかに感じられた。
そして、どの曲も高いテクニックと豊かな音楽性、そして明確な主張をもって余裕をもった自在さがあり、また一人素晴らしいピアニストと出会えたことを感じながら聴いていた。
「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」は、これまでそれほど愛着を感じなかったのだが、ステージで聴くと、歌うような前半と、華やかで盛り上がる後半と、様々な要素でコンサートの締めにふさわしい作品なのだと感じた。
そして横山さんの演奏がまた繊細さと華麗さのどちらもものの見事に表現していて、おおいに盛り上がった。
横山さんの演奏はダイナミクスの幅が大きく、最初のうちは強音が若干きつめに感じられたが、徐々に彼の演奏に慣れてくると、それがそのようなタッチでである必然性が感じられるようになり、違和感が消えていった。
今年は随分いろいろなピアニストでショパンの曲を聴いたが、案外「幻想即興曲」や「華麗なる大円舞曲」はステージで聴く機会に恵まれなかったので、今回これほどの充実した演奏で聴けたのは嬉しかった。
また、アンコールの3曲も、誰もが知っているスタンダードナンバーなだけに、気楽に楽しめて大満足だった(特に「革命」)。
「ノクターン 第2番」は、ほかの曲の演奏の時と比べて一見そっけないぐらいに薄味に感じられたが、それは右手の美しいメロディを変に小細工しないで自然に響かせようとしていたのかもしれない。
今年はほかにもショパンにちなんだ演奏会を多く催すようだ。
また聴きに行きたいピアニストである。
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