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メンデルスゾーン/眠れぬ瞳のともしび(Schlafloser Augen Leuchte)

Schlafloser Augen Leuchte
 眠れぬ瞳のともしび

Schlafloser Augen Leuchte, trüber Stern,
Dess' tränengleicher Schein, unendlich fern,
Das Dunkel nicht erhellt, nur mehr es zeigt;
O wie dir ganz des Glück's Erinn'rung gleicht!
So leuchtet längst vergang'ner Tage Licht:
Es scheint, doch wärmt sein matter Schimmer nicht,
Dem wachen Gram erglänzt die Luftgestalt,
Hell, aber fern, klar, aber, ach, wie kalt!
 眠れぬ瞳のともしび、悲しげな星よ、
 その涙のような輝きは、果てしなく遠い、
 暗闇を明るくすることはなく、ただそれを指し示すだけ。
 おおなんとおまえに似ていることか、幸福の思い出は!
 このように長いこと過ぎ去った日々の光は輝いている。
 それは光を放つが、その弱々しい微光は暖めたりはしない、
 目覚めた苦悩に空に浮かぶものが輝き放つ、
 明るいが遠くで、澄んでいるが、ああ、なんと冷たく!

原詩:George Gordon Noel Byron, Lord Byron (1788-1824)
曲:(Jakob Ludwig) Felix Mendelssohn-Bartholdy (1809-1847)

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先日記事にしたフーゴ・ヴォルフの「眠れぬ者の太陽」と同じバイロンの英語詩に、ヴォルフの時とは異なる訳者による独訳詩によってメンデルスゾーンが歌曲をつくっているので、比較の意味で取り上げたい。

バイロンの詩による作品番号なしの"2 Romanzen"の2曲目。

メンデルスゾーンの音楽は詩の4行ずつで2節の有節形式に近い形をとる。
しかし、言葉の抑揚に応じて細かい変化を付けたり、終止の旋律を変えたりしている。
ピアノパートのターンターンタの付点リズムは月の光のまたたきをイメージさせる。
歌声部はヴォルフのように言葉の一語一語に反応していくのではなく、全体的に暗く重苦しい雰囲気を保っていく。
高音域でオクターブを響かせるピアノパートが月の「冷たさ」を表現しているかのようだ。

Assai sostenuto
4分の2拍子
ホ短調
全32小節(うちピアノ前奏3小節)
歌声部の最高音:2点ト音
歌声部の最高音:1点嬰ニ音

動画サイトではこの曲の演奏を見つけることが出来なかったが、F=ディースカウ&サヴァリッシュのCDを扱ったamazonのサイト(19曲目)で試聴できます。
 amazonのサイト

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コメント

ご無沙汰しています。「詩と音楽」のシェーンベルクの記事ではコメントをありがとうございました。さて、このバイロンの詩、実はほんとうにたまたまなのですが、ロシアのA.K.トルストイが訳したロシア語詩に、リムスキー=コルサコフが曲を付けたものの日本語訳をさきほどアップしたばかりなのです。ヴォルフやメンデルスゾーンにこれと同じ詩による歌曲があるとは露知らず、こちれでアップされた記事を大変興味深く読ませて頂きました。
バイロンの詩はロシアでとても人気が高く、本国イギリス以上にロシア歌曲の歌詞となっているようにも思えます。19世紀のヨーロッパの文化の交錯具合にはとても面白いものがあるのですね。

投稿: FUJII | 2010年5月 2日 (日曜日) 01時49分

FUJIIさん、ご無沙汰しております。
コメント、有難うございます。
「詩と音楽」ではドイツ物も含めてすごい充実ぶりに毎回驚きながら拝見しています。
バイロンの原詩に複数のドイツ人が訳しているだけでなく、ロシア語にも訳されてリムスキー=コルサコフが曲を付けているとは、バイロンの各国での受容も1つのテーマになりそうですね。
日本ではどうなのでしょう。ほかの詩人に比べると、意外と知られていないような印象を受けますが。
オリジナルのバイロンの詩に誰か曲を付けていないか興味が出てきました。
FUJIIさんの今後の展開を楽しみにしております。

投稿: フランツ | 2010年5月 2日 (日曜日) 10時26分

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