ヴォルフ/ねずみとりのおまじない(Mausfallen‑Sprüchlein)
Mausfallen‑Sprüchlein
ねずみとりのおまじない
Kleine Gäste, kleines Haus.
Liebe Mäusin, oder Maus,
Stelle dich nur kecklich ein
Heute nacht bei Mondenschein!
Mach aber die Tür fein hinter dir zu,
Hörst du?
Dabei hüte dein Schwänzchen!
Nach Tische singen wir
Nach Tische springen wir
Und machen ein Tänzchen:
Witt witt!
Meine alte Katze tanzt wahrscheinlich mit.
小さなお客さんに、小さなお家。
メスねずみさんか、オスねずみさん、
思い切って出ておいでよ、
月の輝く今夜にね!
だけど後ろのドアは閉めるんだよ、
聞いているかい?
そのとき、しっぽには気をつけてね!
食事が済んだら歌いましょう、
食事が済んだら飛び跳ねて
ダンスしましょう。
ヴィット、ヴィット!
私の年寄り猫もおそらく一緒に踊るでしょうよ。
詩:Eduard Mörike (1804-1875)
曲:Hugo Wolf (1860-1903)
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ヘッベル、リュッケルト、ライニク、メーリケの詩による初期の歌曲をまとめた「女声のための六つの歌曲(6 Lieder für eine Frauenstimme)」は、ヴォルフのはじめて出版された歌曲集(1888年3月出版)だが、その最後に置かれたのがメーリケの詩による「ねずみとりのおまじない」である。
メーリケの詩の冒頭には"Das Kind geht dreimal um die Falle und spricht:(子供が罠のまわりを三回まわって唱える)"と書かれており、この前置きを語ってから歌うこともある(例えばアーメリングのレコードではそうしていた)。
ねずみとりのおまじないの文句が歌われているが、ヴォルフは"Hörst du?(聞いているかい?)"を下降する2音で繰り返し歌わせることで、ねずみへの語りかけの印象を強めている。
ピアノパートに見られる細かな音型や装飾音などが、おまじないを唱える子供の天真爛漫さをうまく表現しているように感じられる。
"Witt witt!"の箇所では、ヴォルフは「しわがれた声で(rauh)」と指示し、ピアノパートでもトリルで強調して猫の鳴き声を模している。
Leicht bewegt、4分の2拍子(終わり近くに一度だけ8分の5拍子になる)、ヘ長調。
全39小節。
歌声部の最高音は2点ト音、最低音は1点変ニ音。
Sara Beaudet (Soprano)
愛らしくきれいな声で歌い演じていて、良かった。
Marika Ottitsch (Soprano) Margarete Babinsky (piano) 2007
最初の語り付き。
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