ドニゼッティ/愛の妙薬(2010年4月25日 新国立劇場 オペラパレス)
2009/2010シーズン
ドニゼッティ(Gaetano Donizetti)/歌劇「愛の妙薬(L'elisir d'amore)」全2幕
【イタリア語上演/字幕付】
2010年4月25日(日)14:00 新国立劇場 オペラパレス(4階3列18番)
【農場の娘:アディーナ(Adina)】タチアナ・リスニック(Tatiana Lisnic)
【青年:ネモリーノ(Nemorino)】ジョセフ・カレヤ(Joseph Calleja)
【軍曹:ベルコーレ(Belcore)】与那城 敬(Yonashiro Kei)
【偽医者:ドゥルカマーラ(Dulcamara)】ブルーノ・デ・シモーネ(Bruno De Simone)
【ジャンネッタ(Giannetta)】九嶋香奈枝(Kushima Kanae)
【合唱】新国立劇場合唱団(New National Theatre Chorus)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)
【指揮】パオロ・オルミ(Paolo Olmi)
【演出】チェーザレ・リエヴィ(Cesare Lievi)
【美術】ルイジ・ペーレゴ(Luigi Perego)
【衣裳】マリーナ・ルクサルド(Marina Luxardo)
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4月15日に始まり、18、20、23日と続いた新国立劇場の「愛の妙薬」の最終日を聴いた。
新国立劇場でオペラを聴き始めて以来はじめてといってもいいぐらい天真爛漫な明るく軽快な舞台だった(「ヴォツェック」や「指環」の後なので余計そのギャップが大きい)。
聴いてから記事にするまで時間が経ってしまったので、感じたことを箇条書きにしてみる。
・舞台装置と人物の衣装がカラフルで徹底して明るかった。
・歌手はみなよく声が通り、主役の二人だけでなく、脇を固める人たちや合唱が皆揃って良い出来だった(ベルコーレを演じる与那城敬の声が天上桟敷まで良く通っていた)。
・オケは丁寧に美しく演奏していた。
・演出のテーマは「本」とのことで、舞台装置には大小さまざまな「本」をあしらったものが使われていた。
ドニゼッティのオペラのストーリー自体は分かりやすいが、それほどドラマティックな展開があるわけではなく、むしろ音楽の美しさ、楽しさを味わう作品だと感じた。
アディーナという高嶺の花が「トリスタンとイゾルデ」の話を村人たちに読んで聞かせる。
惚れ薬で結ばれるという本の内容に、アディーナに思いを寄せているネモリーノは興味を示す。
そこに軍曹が現れアディーナに求婚するが、はっきりとした返答を得られない。
その後、偽医者、ドゥルカマーラが登場し、ネモリーノはアディーナの愛を得るために妙薬を求めて偽薬を入手して飲む。
軍曹がアディーナに再び求婚してアディーナがそれを受け入れるのでネモリーノは焦って再び妙薬を手に入れるために入隊を決意する。
その思いの深さをアディーナは徐々に感じるようになり、ハッピーエンドという筋。
それにしても主役の二人、元夫婦とのことで、かつて恋仲だった同士で愛だの恋だのというのはいくら仕事だとしても大変なのではないか。
そのような私的な事情を全く出さずに、主役の二人はいい歌を聴かせてくれた。
医者役のブルーノ・デ・シモーネの自然でコミカルな歌唱と演技も印象的だった。
この医者、飛行機で登場し、最後には飛行機から下ろされたはしごを上って飛び立っていくという設定になっていたのが変わっていて面白かった。
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