ベルガモ・ドニゼッティ劇場/「椿姫」(2010年1月8日 東京文化会館大ホール)
ベルガモ・ドニゼッティ劇場
2010年1月8日(金) 18:30 東京文化会館大ホール(5階R2列17番)
ヴェルディ(Verdi)/「椿姫(La Traviata)」全3幕 [イタリア語上演・日本語字幕付]
マリエッラ・デヴィーア(Mariella Devia)(S)(ヴィオレッタ)
アントーニオ・ガンディア(Antonio Gandia)(T)(アルフレード)
ジュゼッペ・アルトマーレ(Giuseppe Altomare)(BR)(ジェルモン)
アンナリーザ・カルボナーラ(Annalisa Carbonara)(S)(フローラ)
ガブリエッラ・ロカテッリ(Gabriella Locatelli)(S)(アンニーナ)
ディオニジ・ドストゥーニ(Dionigi d'Ostuni)(T)(ガストーネ子爵)
レオナルド・ガレアッツィ(Leonardo Galeazzi)(BR)(ドゥフォール男爵)
ダーリオ・ジョルジェレ(Dario Giorgele)(BSBR)(ドビニー侯爵)
エンリコ・マルケジーニ(Enrico Marchesini)(BS)(医師グランヴィル)
ベルガモ・ドニゼッティ劇場管弦楽団/合唱団(Orchestra, Coro e Tecnici del Teatro Donizetti di Bergamo)
ブルーノ・チンクエグラーニ(Bruno Cinquegrani)(指揮)
パオロ・パニッツァ(Paolo Panizza)(演出)
イタロ・グラッシ(Italo Grassi)(舞台装置)
カルメラ・ラチェレンツァ(Carmela Lacerenza)(衣裳)
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今年最初のコンサートは上野での歌劇「椿姫」鑑賞だった。
ベルガモ・ドニゼッティ劇場の来日公演は2007年に続いて2回目とのこと。
今回は「椿姫」と「愛の妙薬」を引っさげて約1ヶ月間、かなりの過密スケジュールが組まれている。
「椿姫」は、ヴィオレッタ、アルフレード、ジェルモンにダブルキャストが組まれているが、私の聴いた日は歌姫デヴィーアの出演が分かっていたので、楽しみだった。
6時半開演で、第1幕と第2幕の後にそれぞれ20分ほどの休憩をはさみ、終演は9時40分ごろ。
パーティー会場のサロンやヴィオレッタの部屋など、舞台装置は各場面を示す最低限の装置に限られ、簡素だった(鏡が動く際に反射してまぶしく感じたが、これは演出上の意図ではないだろう)。
しかし、衣装や演出は現代風の読み替えではなく、あくまでオーソドックスなものと感じた。
チンクエグラーニ指揮のベルガモ・ドニゼッティ劇場管弦楽団は、ひなびた地方の芝居小屋のような素朴さを感じさせつつ、最後までしっかりとした美しい響きだったように感じた。
特に前奏曲や第3幕における弦楽器の高音による悲劇的な響きは胸に沁みた。
歌手では、ヴィオレッタ役のマリエッラ・デヴィーアがやはり群を抜いて素晴らしかった。
どの音域でもよく響き、その響きに細やかな表情が込められている。
演技も堂々としており、第3幕の瀕死の状態の表現も、声を張り上げずに抑制しながらしっかり声を響かせていて素晴らしかった。
細かいパッセージなどでは少しオケよりも遅めに歌うのは意識的なものだろうか。
アルフレード役のアントーニオ・ガンディアは声も良く、よい資質をもった歌手だと思うが、まだ若さが顔を覗かせるところもあった(アルフレード役にはその若さが生きたと言えるかもしれないが)。
いつもながら天井桟敷席で鑑賞したのだが、私の座った5階席右側の2列目からそのままステージを見ると、斜め前の人の頭がステージの真ん中を隠してしまう。
少し後ろに体を引いて、なんとかステージの真ん中へんを見ることが出来たが、ホールの構造上の問題だから仕方のないことだろう。
初台のオペラシティの上の階などはその点、前の列よりも高さをかなり大きくずらしており、聴衆の視野がよく考えられていることが分かる。
ヴェルディの音楽はさすがにめりはりに富んだ展開で、聴き手の心をつかむ職人技が冴えているように感じた。
アルフレードの父ジェルモンがヴィオレッタに息子と別れてほしいと訴える場面は若干冗長さも感じたが、概して快適なテンポで物語が進行するのでだれることがない。
「乾杯の歌」や「そはかの人か」「花から花へ」など有名なアリアが多く、私のような初心者には親しみやすかった。
台本の展開はありきたりで強引な印象も受けたが、音楽を聞かせるための台本と思えば大した問題でもないだろう。
私にとっては充分に楽しめた2時間半だった。
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