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ハイドン/満足

Content, Hob. XXVIa no. 36
 満足

Ah me, how scanty is my store!
Yet, for myself, I'd ne'er repine,
Tho' of the flocks that whiten o'er
Yon plain one lamb were only mine.
 ああ、私の蓄えはなんとわずかなのだろう!
 だが、私自身は、決して不満はないだろう、
 あの平野一面を白く染めている群れの中の
 子羊一匹だけが私のものだとしても。

'Tis for my lovely maid alone,
This heart has e'er ambition known;
This heart, secure in its treasure,
Is bless'd beyond measure,
Nor envies the monarch his throne.
 それは私のかわいい娘だけのためのもの。
 この心はかつて熱望というものを知った。
 この心は、その宝の中で安心し、
 計り知れないほど幸せだ、
 王だって自分の王座を羨んだりしない。

When in her sight from morn to eve,
The hours they pass unheeded by;
No dark distrust our bosoms grieves,
And care and doubt far distant fly.
 朝から晩まで彼女の見えるところにいると、
 時が気に留めないうちに過ぎていく。
 暗い不信が私たちの胸を痛めることはなく、
 心配や疑いははるか遠くに飛んでいく。

'Tis for my lovely maid alone,
This heart has e'er ambition known;
This heart, secure in its treasure,
Is bless'd beyond measure,
Nor envies the monarch his throne.
 それは私のかわいい娘だけのためのもの。
 この心はかつて熱望というものを知った。
 この心は、その宝の中で安心し、
 計り知れないほど幸せだ、
 王だって自分の王座を羨んだりしない。

詩:不明
曲:Franz Joseph Haydn (1732-1809)

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「6つのオリジナル・カンツォネッタ 第2集」の最終曲。

もともと「功労者ズィルフィウス/僕はほれっぽい男(Der verdienstvolle Sylvius / Ich bin der Verliebteste)」XXVIa no.36bis(2分の2拍子、Langsam、変イ長調)というヨーハン・ニーコラウス・ゲッツ(Johann Nikolaus Götz)の詩によるドイツ語歌曲があり、その同じ音楽を英語詩で歌えるようにしたのがこの曲である。
その英語詩も、最初は「喜びの伝達(Transport of Pleasure)」というタイトルの詩が使われ、その後に「満足」というタイトルのこの英語詩になった。

詩の2節ずつをまとめた全2節の有節歌曲。
長めのピアノ前奏は、ハイドン歌曲でよく見られるように歌の旋律のエッセンスを先取りしたもの。
歌は悠然と始まり、途中一時的に短調の響きが顔を出すものの、全体的に明るくのびやかな雰囲気に包まれている。
各節後半の詩句は何度か繰り返され、特に"treasure"と"measure"の脚韻が生かされている。

2分の2拍子(アッラ・ブレーヴェ記号)、Adagio、イ長調
歌声部の最高音2点嬰ヘ音、最低音1点ホ音でほぼ1オクターブの音域に収まってしまう。
全70小節。

アーメリング(S)デームス(P):PHILIPS:1980年録音:いつもながらしっとりとした大人の雰囲気を漂わせたアーメリングの名唱と趣のあるデームスの演奏である。

ホルツマイア(BR)クーパー(P):PHILIPS:1997年録音:ホルツマイアはゆっくりめのテンポで弱声主体で聴かせる。クーパーの繊細で豊かな音楽はそれだけで聴く価値のある素晴らしさ。

エインスリー(T)ヴィニョールズ(P):Hyperion:2001年録音:歌、ピアノともに丁寧な演奏。

ちなみに原曲の「功労者ズィルフィウス/僕はほれっぽい男」は、シュライアー(T)&デームス(P)の録音(BERLIN Classics: 1981年録音)がある。

この曲の動画がアップされていました。
 こちら

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