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本年もご訪問有難うございました

2009年も弊サイトにお越しくださり、有難うございました。
いただいたコメントなどもブログを継続するうえで大変励みになり、感謝しております。

今年はメンデルスゾーンやハイドン、シュポーアのアニバーサリーでしたが、コンサートで私が彼らの歌曲を聴けたのは内藤&平島のリサイタルにおけるメンデルスゾーンだけでした。
ほかのコンサートでたびたび取り上げられていたのも存じてはいたのですが、どちらかというと今年も歌曲はCD録音によって接することが多かったように思います。
特にハイドンの英語歌曲は集中的に聴き、これらの作品の素晴らしさにあらためて気付かされたのは大きな収穫でした。
アーメリング&デームスのハイドン歌曲全集もようやくCD化されて(国内盤、輸入盤ともに)、これらの小品がより身近に聴けるようになったのは嬉しいことでした。

また、私にとってはオペラ開眼の年ともなりました。
ヴァーグナー「パルジファル」をはじめ、ベルク「ヴォツェック」やプッチーニ「トスカ」を生で体感できたのは、素晴らしい経験でした。
来年、新国立劇場で演じられる「ジークフリート」に向けて目下「指輪」を予習中です(山本一太著「はじめての《指輪》(音楽之友社発行)」が初心者にも大変分かりやすく、入門書としてお勧めです)。

来年は、シューマン、マーラー、ショパンなど、歌曲好きにはうれしいアニバーサリー作曲家が連なりますが、なかでも生誕150年のフーゴー・ヴォルフについては、あらためて1曲1曲じっくりと聴いていこうと思っています。

来年もぽつぽつと気の向くままに投稿していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

皆様、どうぞ良いお年をお迎えください!

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おまけ

F=ディースカウが、ソプラノのクリスティーネ・シェーファーにレッスンしている貴重な動画がアップされていました。
レッスンの曲目は、ヴォルフの「イタリア歌曲集」から第1曲「小さなものでもうっとりとさせられることはある (Auch kleine Dinge)」と第41曲「昨夜、真夜中に私が起き上がると(Heut' Nacht erhob ich mich)」です。

 その1(第1曲)
 その2(第1曲&第41曲)
 その3(第41曲)

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沼尻竜典&東京フィル/リリア第九演奏会(2009年12月20日 川口リリア・メインホール)

リリア第九演奏会~川口第九を歌う会創立20周年記念~
Symphony_9_200912202009年12月20日(日) 15:00 川口リリア・メインホール(1階12列6番)

中嶋彰子(S)
小林久美子(MS)
吉田浩之(T)
甲斐栄次郎(BR)
川口第九を歌う会(合唱)

東京フィルハーモニー交響楽団
沼尻竜典(指揮)

モーツァルト/交響曲第32番ト長調 K318

~休憩~

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調「合唱付」Op.125

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師走に第九を聴くという習慣が少なくとも私の中ではこれまでなかったのだが、家からそう遠くないホールで、第一線で活躍中の独唱者たちと指揮者、オケによる第九が手頃な料金で聴けるとあって、この間の日曜日、当日券を求めて聴いてきた。

私の席は12列6番だったが、前の10列分の席はとっぱらわれ、ステージになっていたので、実際には前から2列目となり、演奏者を間近に見ることが出来た。
左から2番目という端の席だが、ヴァイオリン群の最後尾やパーカッション、トロンボーン奏者を近くで見ることが出来、特に第九の最終楽章でシンバルが裏打ちから表打ちに移る様子や、トライアングルのリズムまではっきり聴くことが出来たのは貴重な体験だった。
指揮の沼尻さんは「カプリッチョ」で聴いたばかりで、今年2回目。
思ったよりも小柄だが、ステージの出入りは颯爽としていて、指揮姿もエネルギッシュでよく動く。
しかし、動きながらもオケをしっかり統率して決してばらけることがないのが素晴らしかった。

独唱者たちは第九の第4楽章が始まっても登場しないので、いつ出てくるのだろうと思ったら、バリトン独唱の直前に弦が有名なメロディを弾くあたりで4人そろって登場し、合唱団の前方に立った。
私の席からだと残念ながらソプラノの中嶋さんの歌っている姿は見えなかったのだが、ほかの3人の独唱者は落ち着いた堂々とした歌いぶりを見ることが出来た。
特に現在ヴィーンの歌劇場に在籍している甲斐さんの生歌を始めて聴けるのが楽しみだったのだが、さすがによく通る美しい低音が素晴らしかった。
テノールの吉田さんは安心して聴けるし、メッゾの小林さんも若干控えめに聞こえたが(席の関係か?)、しっかりと支えていたと思う。
現代曲などもこなすソプラノの中嶋彰子さんを聴くのも初めてだったが、声量の豊かさと声の張り、つやはさすがだった。

合唱団は女声が男声の倍ぐらいで、年配の方が多かったようだが、歌はとてもしっかりしていて、よく訓練されている印象を受けた。

第九の最後は指揮の沼尻さんが極端になり過ぎない自然さでうまくオケを煽り、スピードアップしたまま締めくくられた。
こうやってじっくり第九を聴いてみると、シラーの詩はやや難解な説教くささはあるものの、楽曲としては充分盛り上がり、演奏効果抜群で、1年の締めくくりにはいいのかもしれないと思った。

第九の前にはモーツァルトの交響曲第32番が演奏された。
この曲、全3楽章が完全に終止しないまま連続して演奏されるので、楽章というよりも3つの部分からなる単一楽章という印象を受ける。
全体でも10分ほどの短い作品だが、明朗で快活な雰囲気に満ち溢れ、この作曲当時にモーツァルトが不幸にみまわれていた(母親の死、恋人との別れ、就職活動のたびかさなる失敗)とはとても思えないほどであった。

Symphony_9_20091220_chirashi

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おすすめサイトのご紹介「フィヒテとリンデ」

歌曲投稿サイト「詩と音楽」の管理人をされている甲斐貴也氏が新しい歌曲サイトを立ち上げられました。
「フィヒテとリンデ」というどちらもドイツリートでは馴染みの深い植物をタイトルに冠して、甲斐さんの吟味された美しい日本語による訳詩をPDFファイルで閲覧することが出来ます。

「フィヒテとリンデ」を見る

すでにシューベルト「冬の旅」、マーラー「大地についての歌」、ヴェーベルン「トラークル歌曲集」がアップされています。

今後の展開が非常に楽しみです。
ぜひご訪問ください。

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ハイドン/満足

Content, Hob. XXVIa no. 36
 満足

Ah me, how scanty is my store!
Yet, for myself, I'd ne'er repine,
Tho' of the flocks that whiten o'er
Yon plain one lamb were only mine.
 ああ、私の蓄えはなんとわずかなのだろう!
 だが、私自身は、決して不満はないだろう、
 あの平野一面を白く染めている群れの中の
 子羊一匹だけが私のものだとしても。

'Tis for my lovely maid alone,
This heart has e'er ambition known;
This heart, secure in its treasure,
Is bless'd beyond measure,
Nor envies the monarch his throne.
 それは私のかわいい娘だけのためのもの。
 この心はかつて熱望というものを知った。
 この心は、その宝の中で安心し、
 計り知れないほど幸せだ、
 王だって自分の王座を羨んだりしない。

When in her sight from morn to eve,
The hours they pass unheeded by;
No dark distrust our bosoms grieves,
And care and doubt far distant fly.
 朝から晩まで彼女の見えるところにいると、
 時が気に留めないうちに過ぎていく。
 暗い不信が私たちの胸を痛めることはなく、
 心配や疑いははるか遠くに飛んでいく。

'Tis for my lovely maid alone,
This heart has e'er ambition known;
This heart, secure in its treasure,
Is bless'd beyond measure,
Nor envies the monarch his throne.
 それは私のかわいい娘だけのためのもの。
 この心はかつて熱望というものを知った。
 この心は、その宝の中で安心し、
 計り知れないほど幸せだ、
 王だって自分の王座を羨んだりしない。

詩:不明
曲:Franz Joseph Haydn (1732-1809)

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「6つのオリジナル・カンツォネッタ 第2集」の最終曲。

もともと「功労者ズィルフィウス/僕はほれっぽい男(Der verdienstvolle Sylvius / Ich bin der Verliebteste)」XXVIa no.36bis(2分の2拍子、Langsam、変イ長調)というヨーハン・ニーコラウス・ゲッツ(Johann Nikolaus Götz)の詩によるドイツ語歌曲があり、その同じ音楽を英語詩で歌えるようにしたのがこの曲である。
その英語詩も、最初は「喜びの伝達(Transport of Pleasure)」というタイトルの詩が使われ、その後に「満足」というタイトルのこの英語詩になった。

詩の2節ずつをまとめた全2節の有節歌曲。
長めのピアノ前奏は、ハイドン歌曲でよく見られるように歌の旋律のエッセンスを先取りしたもの。
歌は悠然と始まり、途中一時的に短調の響きが顔を出すものの、全体的に明るくのびやかな雰囲気に包まれている。
各節後半の詩句は何度か繰り返され、特に"treasure"と"measure"の脚韻が生かされている。

2分の2拍子(アッラ・ブレーヴェ記号)、Adagio、イ長調
歌声部の最高音2点嬰ヘ音、最低音1点ホ音でほぼ1オクターブの音域に収まってしまう。
全70小節。

アーメリング(S)デームス(P):PHILIPS:1980年録音:いつもながらしっとりとした大人の雰囲気を漂わせたアーメリングの名唱と趣のあるデームスの演奏である。

ホルツマイア(BR)クーパー(P):PHILIPS:1997年録音:ホルツマイアはゆっくりめのテンポで弱声主体で聴かせる。クーパーの繊細で豊かな音楽はそれだけで聴く価値のある素晴らしさ。

エインスリー(T)ヴィニョールズ(P):Hyperion:2001年録音:歌、ピアノともに丁寧な演奏。

ちなみに原曲の「功労者ズィルフィウス/僕はほれっぽい男」は、シュライアー(T)&デームス(P)の録音(BERLIN Classics: 1981年録音)がある。

この曲の動画がアップされていました。
 こちら

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プッチーニ/「トスカ」(2009年12月13日 新国立劇場 オペラパレス)

2009/2010シーズン
Tosca_200912ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini)/「トスカ(Tosca)」(全3幕)
(イタリア語上演/字幕付)

2009年12月13日(日)14:00 新国立劇場 オペラパレス(4階3列15番)

トスカ(Tosca):イアーノ・タマー(Iano Tamar)(S)
カヴァラドッシ(Cavaradossi):カルロ・ヴェントレ(Carlo Ventre)(T)
スカルピア(Scarpia):ジョン・ルンドグレン(John Lundgren)(BR)
アンジェロッティ(Angelotti):彭 康亮(Kang-Liang Peng)(BS)
スポレッタ(Spoletta):松浦 健(Matsuura Ken)(T)
シャルローネ(Sciarrone):大塚 博章(Otsuka Hiroaki)(BSBR)
堂守(Il Sagrestano):鹿野 由之(Shikano Yoshiyuki)(BS)
看守(Carceriere):龍 進一郎(Ryu Shinichiro)(BR)
羊飼い(Un Pastore):九嶋 香奈枝(Kushima Kanae)(S)

合唱:新国立劇場合唱団(New National Theatre Chorus)
児童合唱:TOKYO FM少年合唱団(TOKYO FM Boys Choir)
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団(Tokyo Philharmonic Orchestra)
指揮:フレデリック・シャスラン(Frédéric Chaslin)

演出:アントネッロ・マダウ=ディアツ(Antonello Madau Diaz)
美術:川口直次(Kawaguchi Naoji)
衣裳:ピエール・ルチアーノ・カヴァロッティ(Pier Luciano Cavallotti)
照明:奥畑康夫(Okuhata Yasuo)

原作:ヴィクトリアン・サルドゥ(Victorien Sardou)
台本:ジュゼッペ・ジャコーザ(Giuseppe Giacosa);ルイージ・イッリカ(Luigi Illica)
作曲:ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini)

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2回目の新国立劇場でのオペラ鑑賞。
今回も一番後ろから2列目という桟敷席だった。
座席表を見ると、同じ4階でも私の席の1列前になるだけでC席となり、3000円も高くなる。
こんなに遠い席でこの料金設定というのはどうなのだろう?(確かに1列前に座ればオーケストラピットが見えそうだが、それにしても料金あげ過ぎのような気が・・・。)

オペラの定番中の定番である「トスカ」だが、私は実演を鑑賞するのは今回が初めて。
こんな名作を生で聴いてこなかったとはこれまで随分もったいないことをしてきたものだと我ながら思う。

今回の歌手、主役陣は海外の名歌手を招聘し、脇を日本人で固めるというもの。
トスカ、カヴァラドッシ、スカルピアの3歌手はいずれも非常に素晴らしく感銘を受けた。
特に尻上がりに調子をあげてきたカヴァラドッシ役のヴェントレ(ウルグアイ出身のイタリア人)の歌う「星は光りぬ」は情感のこもった立派な歌唱で胸に響いた。
また、トスカ役のイアーノ・タマー(グルジア生まれ)は、嫉妬深くも一途な歌姫役になりきっていて良かった。
スカルピア役のルンドグレン(スウェーデン生まれ)は、本当にこの役のいやらしさを見事なまでに表現し尽していてはまり役だった。
日本人歌手もみな揃っていて、中でも堂守のコミカルな動きと歌唱は、この悲劇の中で一息つくことが出来る存在だった。

演出(マダウ=ディアツ)は特に奇をてらったところもなく、オーソドックスに作品を再現しようとしていたようで、好感をもてた。
第3幕冒頭の牧童はボーイソプラノではなく大人のソプラノ歌手(九嶋 香奈枝)が舞台裏で歌っていた(私の持っているDVDではドミンゴの息子が美しいボーイソプラノを披露していた)。

フレデリック・シャスラン指揮の東京フィルハーモニー交響楽団もドラマティックに盛り上げ、好演だった。

第1幕と第2幕が各45分、そして第3幕が30分というコンパクトさも有難かった。
有名なアリアが多いうえ、プッチーニという作曲家はドラマの展開が本当に巧妙で一時も飽きさせない。
その職人技ゆえに多くのファンを虜にしているのだろう。
私はアレルギー性鼻炎の薬の副作用で今回も不本意ながらしばしば瞼を閉じて聴くことになってしまったが、充分に楽しむことが出来た(「楽しむ」といっても悲劇的な最後だが)。

Tosca_200912_chirashi

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フィッシャー=ディースカウ日本公演曲目1979年(第6回来日)

第6回来日:1979年4~5月

ディートリッヒ・フィッシャー=ディスカウ(Dietrich Fischer-Dieskau)(BR)
ユリア・ヴァラディ(Julia Varady)(S)
ペーター・シュライヤー(Peter Schreier)(T)
ウィーン室内合奏団(Wiener Kammerensemble)
 ゲアハルト・ヘッツェル(Gerhart Hetzel)(VLN)
 ウィルヘルム・ヒューブナー(Wilhelm Hübner)(VLN)
 ルドルフ・シュトレンク(Rudolf Streng)(VLA)
 アダルベルト・スコチッチ(Adalbert Skočič)(VLC)
 ブルクハルト・クロイトラー(Burkhard Kräutler)(CB)
小林道夫(Michio Kobayashi)(P)
ウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)(P, C)
NHK交響楽団
 ほか

4月22日(日)19:00 東京・日比谷公会堂:《リートによるシューマンの夕》
4月25日(水)19:00 東京文化会館:《室内歌曲の夕》
4月27日(金)19:00 名古屋市民会館:《リートによるシューマンの夕》(第2回名古屋国際音楽祭)
4月29日(日)18:00 大阪・毎日ホール:《リートによるシューマンの夕》
5月2日(水)18:45 NHKホール:ショスタコーヴィチ/交響曲第14番「死者の歌」(NHK交響楽団定期演奏会)
5月3日(木)18:45 NHKホール:ショスタコーヴィチ/交響曲第14番「死者の歌」(NHK交響楽団定期演奏会)
5月7日(月)19:00 東京文化会館:ブリトゥン/「戦争レクイエム」(第2回東京音楽芸術祭オープニング・コンサート)
5月10日(木)19:00 東京文化会館:《二重唱によるシューマンの夕》(第2回東京音楽芸術祭参加公演)

●《リートによるシューマンの夕》 共演:ウォルフガング・サヴァリッシュ(P)

シューマン(Schumann)

1.献呈(Widmung) 作品25-1
2.天が一滴の涙をこぼした(Der Himmel hat eine Träne geweinet) 作品37-1
3.私は吸いこんだ(Ich hab in mich gesogen) 作品37-5
4.つばさよ、つばさよ!(Flügel! Flügel! Um zu fliegen) 作品37-8
5.終りに(Zum Schluss) 作品25-26
6.母の夢(Muttertraum) 作品40-2
7.兵士(Der Soldat) 作品40-3
8.音楽師(Der Spielmann) 作品40-4
9.宝を掘る人(Der Schatzgräber) 作品45-1
10.夕空に嵐が吹き荒れ(Es stürmet am Abendhimmel) 作品89-1
11.あきらめ(Resignation) 作品83-1

 ~休憩~

12.秋の歌(Herbstlied) 作品89-3
13.私のばら(Meine Rose) 作品90-2
14.うっとうしい夕べ(Der schwere Abend) 作品90-6
15.春の夜に霜がおりた(Tragödie II: Es fiel ein Reif) 作品64-3
16.ぼくの恋はかがやく(Es leuchtet meine Liebe) 作品127-3
17.ぼくの馬車はゆるやかに(Mein Wagen rollet langsam) 作品142-4
18.ああ、あの子はなんて怒りっぽいんだろう(Weh, wie zornig ist das Mädchen) 作品138-7
19.密輸入者(Der Kontrabandiste) 作品74-8

●《室内歌曲の夕》 共演:ウィーン室内合奏団;小林道夫(P)

ミヒャエル・ハイドン(Michael Haydn)/ディヴェルティメント ト長調(Divertiment G major)
 Allegro
 Andante
 Menuetto
 Finale

ベートーヴェン(Beethoven)/バリトン、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのためのスコットランド歌曲集より(From "Schottische Lieder" for Baritone, Piano, Violin and Violoncello)
 アイルランド人の鼓動は(The pulse of an Irishman) 作品255-4
 誠実なジョニー(Faithfu' Johnnie) 作品108-20
 来たれ、杯を満たせ、よき友よ(Come fill, fill, my good fellow) 作品108-13
 おお、あの頃はすばらしかった(Oh Sweet were the hours) 作品108-3

モーツァルト(Mozart)/ディヴェルティメント ニ長調(Divertiment D major) K.136
 Allegro
 Andante
 Presto

 ~休憩~

シェック(Schoeck)/「ノットゥルノ(Notturno)」作品47(バリトンと弦楽四重奏のための五つの章)(Fünf Sätze für Streichquartett und eine Singstimme)(日本初演)
 Ruhig
 Presto
 Unruhig bewegt
 Ruhig und leise
 Rasch und kräftig

●《二重唱によるシューマンの夕》 共演:ユリア・ヴァラディ(S)ウォルフガング・サヴァリッシュ(P)

シューマン(Schumann)

1.愛の花園(Liebesgarten) 作品34-1
2.家族の肖像(Familiengemälde) 作品34-4
3.春の祭は美しい(Schön ist das Fest des Lenzes) 作品37-7
4.かくも真実に日は照り(So wahr die Sonne scheinet) 作品37-12
5.子守歌(Wiegenlied) 作品78-4
6.私はあなたの樹(Ich bin dein Baum) 作品101-3
7.私はあなたを思う(Ich denke dein) 作品78-3
8.彼と彼女(Er und Sie) 作品78-2
9.窓の下で(Unterm Fenster) 作品34-3

 ~休憩~

10.夜に(In der Nacht) 作品74-4
11.私が一羽の小鳥だったら(Wenn ich ein Vöglein wär) 作品43-1
12.秋の歌(Herbstlied) 作品43-2
13.幸福(Das Glück) 作品79-16
14.わたしを花で覆ってください(Bedeckt mich mit Blumen) 作品138-4
15.夏のやすらぎ(Sommerruh)
16.踊りの歌(Tanzlied) 作品78-1
17.恋する男のセレナード(Liebhabers Ständchen) 作品34-2
18.千の挨拶(Die tausend Grüsse) 作品101-7

●ショスタコーヴィチ/交響曲第14番「死者の歌」(NHK交響楽団定期演奏会)

ユリア・ヴァラディ(S)
ディートリッヒ・フィッシャー=ディスカウ(BR)
NHK交響楽団
ウォルフガング・サヴァリッシュ(C)

ショスタコーヴィチ(Shostakovich)/交響曲第14番「死者の歌(Lyrics for the Death)」

●ブリトゥン/「戦争レクイエム」

ユリア・ヴァラディ(S)
ペーター・シュライヤー(T)
ディートリッヒ・フィッシャー=ディスカウ(BR)
日本プロ合唱団連合
NHK交響楽団
ウォルフガング・サヴァリッシュ(C)

ブリトゥン(Britten)/「戦争レクイエム(War Requiem)」

(歌曲の夕べでの演奏者名、曲名の日本語表記はプログラム冊子の表記に従った)

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前回の来日から2年後という短いスパンでの6回目の来日は、シューマンの独唱歌曲と、夫人ユリア・ヴァラディを伴った二重唱曲を、ヴォルフガング・サヴァリッシュのピアノで披露した(当時53歳)。
特に独唱歌曲は、大きな歌曲集全曲ではなく、様々な作品番号の中からF=ディースカウが選んだこだわりのプログラミングが興味深い。

また、ウィーン室内合奏団、小林道夫のピアノとの共演で、ベートーヴェンのスコットランド民謡の編曲集と、シェックの「ノットゥルノ」が演奏されたが、後者はこの時が日本初演だったとのこと。

さらに、サヴァリッシュ指揮N響との共演で、夫人ヴァラディと共にショスタコーヴィチの交響曲第14番「死者の歌」の独唱者を務め、さらにシュライヤーも加えてブリテンの「戦争レクイエム」も披露した。

この来日時はオペラ以外の様々なジャンルが披露されて、F=ディースカウのファンを喜ばせたことだろう。

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ハイドン/鋭い目

Piercing Eyes, Hob. XXVIa no. 35
 鋭い目

Why asks my fair one if I love?
Those eyes so piercing bright
Can ev'ry doubt of that remove,
And need no other light.
 どうして僕のきれいな恋人は愛しているのなんて聞くのだろう?
 その両目はこれほど鋭く明るいのだから、
 そのようなあらゆる疑いを取り払うことが出来て、
 ほかのいかなる光も必要としないはずだ。

Those eyes full well do know my heart,
And all its workings see,
E'er since they play'd the conq'ror's part,
And I no more was free.
 その丸い両目は僕の心を知り、
 心の動きすべてを見ている、
 その両目が征服者の役割を演じて
 僕がもはや自由でなくなってからというもの。

詩:不明
曲:Franz Joseph Haydn (1732-1809)

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「6つのオリジナル・カンツォネッタ 第2集」の第5曲目。
詩の作者は不明。
恋人の目は自分の心の動きをすべて見通してしまうという内容である。

完全な通作形式で出来ている。
13小節の前奏は歌のエッセンスを表現したものといえる。
ピアノパートは8分音符や4分音符で歌を支える箇所と、16分音符の細かい動きで盛り上がる箇所が交互にあらわれ、変化に富んでいる。
歌は基本的に軽快で明るいが、"Why(なぜ)"という言葉を繰り返したり、疑問形をフェルマータで引き伸ばして流れをとめたりして、詩の内容への細やかな配慮が感じられる。
だが一方で、同じ詩句を何度も繰り返すのは、詩句の反映という以上に音楽上の創意を優先させているようにも感じられる。
総じてかなり良く出来た魅力的な作品だと私には感じられた。

8分の6拍子、Allegretto、ト長調
歌声部の最高音は2点ト音、最低音は1点ホ音で1オクターブ強の音域に収まってしまう。
全56小節。

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エインスリー(T)ヴィニョールズ(P):Hyperion:2001年録音:エインスリーはその声の美しさと発音、それに軽快なテンポによる表現力とまさに理想的な名唱。最後の2行を繰り返す際の装飾も印象的。ヴィニョールズも生き生きと表情豊かな演奏で良かった。

F=ディースカウ(BR)ムーア(P):EMI(ODEON):1959年録音:歌、ピアノともにドラマティックで歯切れがよい。両者の演技力が良い方向に向かった。

ホルツマイア(BR)クーパー(P):PHILIPS:1997年録音:ほかの演奏と比べてホルツマイアはかなり速めのテンポで歌っていた。クーパーは純粋なピアノ曲のように豊かな音楽を聴かせてくれて素晴らしかった。

オージェー(S)ヴェルバ(Hammerklavier):ORFEO:1978年ライヴ録音:オージェーはどこまでも美しい声と明瞭な発音でうっとりと聴き惚れてしまう。ヴェルバは音の粒がそろっていない感はあるものの古楽器ならではの味わいが感じられる。

アーメリング(S)デームス(P):PHILIPS:1980年録音:アーメリングはふくよかな声でただ明るいだけではない憂いを含んだ味わいを感じさせる。デームスは情緒豊かな名演。

なお、オージェー&ヴェルバの演奏は以下のサイトで聴けます。
 こちら

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吉田恵/J.S.バッハ オルガン作品全曲演奏会 第11回(2009年12月5日 日本大学カザルスホール)

J.S.バッハ オルガン作品全曲演奏会 第11回

Yoshida_2009122009年12月5日(土)19:00 日本大学カザルスホール(全自由席)
吉田恵(Megumi Yoshida)(ORG)

J.S.バッハ(1685-1750)

前奏曲とフーガ ニ長調 BWV532

いと尊きイエスよ,われらここに集いて BWV730
イエスよ,わが喜び BWV713
心よりわれこがれ望む BWV727
天にましますわれらの父よ BWV737
神の子は来たりたまえり BWV724
主イエス・キリストよ,われらを顧みて BWV709, 726
甘き喜びに包まれ BWV729
わが確き望みなるイエスは BWV728
いと尊きイエスよ,われらここに集いて BWV731

トリオ ハ短調 BWV585

コーラル・パルティータ《ああ,罪びとなるわれ,何をなすべきか》 BWV770

 ~休憩~

ソナタ 第3番 ニ短調 BWV527

ノイマイスター・コラール集より
 おお,イエスよ,いかに汝の姿は BWV1094
 おお,神の子羊,罪なくして BWV1095
 ただ汝にのみ,主イエス・キリストよ BWV1100
 汝,平和の君,主イエス・キリスト BWV1102
 主よ,われら汝の御言葉のもとに留めたまえ BWV1103
 イエスよ,わが喜び BWV1105
 神はわが救い,助けにして慰め BWV1106
アリア ヘ長調 BWV587
ノイマイスター・コラール集より
 イエスよ,わが命の命 BWV1107
 イエス・キリストが夜に BWV1108
 ああ神よ,憐れみたまえ BWV1109
 おお主なる神よ,汝の聖なる御言葉は BWV1110
 キリストこそわが生命 BWV1112
 わがことを神にゆだね BWV1113
 主イエス・キリスト,汝こよなき宝 BWV1114
 われ,心より汝を愛す,おお主よ BWV1115

パッサカリア ハ短調 BWV582

(アンコール曲1曲)

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冷たい雨が降りしきる土曜日の夜、吉田恵のバッハオルガン作品全曲演奏会の第11回を聴いてきた。
このシリーズも来年の第12回でいよいよ完結である。
カザルスホールのオルガンを聴けるのもあとわずか。
しっかり耳に刻み付けておきたい。

今回も彼女の達者な指使いがよく見えるように2階左側の席をとった。

プログラムは前半後半それぞれのブロックの最初と最後に規模の大きな作品を置き、その中にコラールに基づく小品をさしはさむ形をとっていた。
その結果華やかな雰囲気でスタートし、優しい癒しの響きが中盤を占め、最後にまた重量感のあるドラマティックな作品で締めくくるという変化に富んだ流れが形成されていた。

最初の「前奏曲とフーガ ニ長調」では足鍵盤の高度なテクニックを余裕をもって演奏しており、足の動きを見てみたいところだが、このホールでは足が見えないつくりになっているのが残念。
ノイマイスター・コラール集からの「ただ汝にのみ,主イエス・キリストよ」BWV1100では指の高度なテクニックがたっぷり披露された。

今回は面白い音響効果を聴くことが出来た。
「甘き喜びに包まれ」BWV729では、鈴の音のような響きを曲の間中鳴らしていて、クリスマスをイメージさせた。
「おお主なる神よ,汝の聖なる御言葉は」BWV1110では鳥のさえずりのような音を、助手の女性が特定のストップを押したり引いたりして曲に合わせて響かせていた。
このような響きのストップがあるとは知らなかったので驚いたが、使える曲が限られるだろうから、今回この場に居合わせることが出来て幸運だった。

この日一番のクライマックスはやはり最後の「パッサカリア ハ短調」である。
私もバッハのオルガン曲中、最も好きな作品なので、久しぶりに生で聴けて嬉しかった。
この曲、最初にパッサカリアの主題8小節(アンドレ・レゾンという人の作品からとられている)が提示されて、それが様々に変奏されていく形をとるが、吉田恵はこの曲の演奏前に、鍵盤上方の扉を左右に開けて、中にあったパイプの響きが直接客席に届くようにしていた。
彼女は最初の足鍵盤のみによる主題提示から、すでに大音量で威勢良く始めていたが、私の好みでは、ここは神秘的に抑えて始めて、それから徐々に盛り上げていく方が好きである。
しかし、彼女の並々ならぬ積極性は最後まで貫かれ、かなりドラマティックな演奏となっていた。
後半は同じ主題による「フーガ」となり、多くの演奏では、フーガのはじまる前に和音を弾きのばしていったん区切りをつけてからフーガに進むパターンがよくあるが、彼女は区切らずにすぐにフーガに移行したのが珍しく、新鮮に感じられた。

アンコールはジグザグの下降音形が特徴的な短い曲が1曲演奏された(コラール集の曲だろうか)。

今回彼女の2度目の実演に接して感じたのは、とてもよく回る指で軽快に弾き進めると同時に、感情表現に「ため」を使い、それが効果的に響いていたが、流れが若干停滞して感じられる時もあった。
しかし、抜群のテクニック(手と足の両方)で常に安定した演奏を聴かせてくれたのはやはり素晴らしかった。

前半50分、後半1時間の長大なプログラムだったが、30曲(+アンコール1曲)をいささかの弛緩もなく弾ききった彼女に拍手を贈りたい。
美しい響きの余韻にひたりながら会場を出ると、すでに雨は止んでいた。

Yoshida_200912_chirashi

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