フォーレ全歌曲連続演奏会II(2009年11月5日 東京文化会館 小ホール)
日本フォーレ協会創立20周年記念 フォーレ全歌曲連続演奏会II-日本フォーレ協会第XXI回演奏会-
2009年11月5日(木) 19:00 東京文化会館 小ホール(全自由席)
フォーレ作曲
ネル op.18-1
旅人 op.18-2
秋 op.18-3
オリンピオの悲しみ(未出版曲)
鎌田直純(Br)、野平一郎(P)
ある日の詩 op.21 1.出会い 2.いつまでも 3.別れ
山田暢(S)、犬伏純子(P)
ゆりかご op.23-1
わたしたちの愛 op.23-2
秘密 op.23-3
佐伯葉子(S)、藤井ゆり(P)
愛の歌 op.27-1
歌の妖精 op.27-2
神谷明美(S)、藤井ゆり(P)
あけぼの op.39-1
捨てられた花 op.39-2
夢の国 op.39-3
イスファハーンのばら op.39-4
前田地香子(S)、藤井ゆり(P)
クリスマスop.43-1
夜想曲 op.43-2
祈り
神谷明美(S)、藤井ゆり(P)
~休憩~
この世ではどんな魂も op.10-1
タランテラ op.10-2
神谷明美(S)、佐伯葉子(S)、藤井ゆり(P)
エレジー op.24
倉田澄子(Vc)、野平一郎(P)
歌曲集「イヴの歌」(全10曲)op.95
森朱美(S)、野平一郎(P)
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フォーレ全歌曲連続演奏会も7月に続き、今回で2回目。
今回も「ネル」「秋」「ゆりかご」「捨てられた花」「イスファハーンのばら」など聴きたかった曲が満載!
しかも、大好きなチェロとピアノのための「エレジー」まで聴けて、幸せな時間だった。
また、フォーレの二重唱曲もこういう機会でなければなかなかとりあげられないと思われ、曲も演奏も素晴らしかった。
以下、私の勝手な感想です。
●歌手
鎌田さんはハイバリトンの美しい声をもっているが、起伏が少なく感じられた。高音があまり出ていなかったのが惜しい。
山田さんはベテランらしい含蓄のあるフランス語の語りかけが素晴らしく、声はよく通り、解釈も安定していて安心して聴けた。
佐伯さんはソプラノといっても低めの響きが特徴的で、声を張ると深みのある声になった。
神谷さんはよく響く安定した声といい、めりはりのある語りといい、この日の歌手の中でもとりわけ素晴らしかった。
前田さんはベテランらしい余裕のある表現で特徴的な声質を生かして朗々と歌っていた。
森さんはビジュアル的にも華があり、白を基調とした美しいドレスとともに魅了された。
声は美しいものをもっていて、フランス歌曲に向いているように感じたが、さらに細かい表情が加わったらより良くなるのではと思った。
●ピアニスト
野平さんのピアノは以前から一度聴いてみたかったので、ようやく念願かなった。
どの1曲をとってもしっかり自分のものにして、最大限に曲の魅力を引き出していた。
色彩感にもことかかず、テクニックも申し分ない。
力強さと繊細さを併せ持った素晴らしいピアニストだと感じた。
藤井さんはどの曲にも対応できる優れたテクニックと過不足のない理想的な響きで一貫して素敵な演奏をしていた。
犬伏さんは山田さんとの共演のみだったが、堅実で丁寧な演奏は好感がもてた。
●チェリスト
倉田さんはかなりたくましい朗々とした低音を響かせ、フォーレの名曲「エレジー」の美しい旋律を力強く奏でていた。
特にピアノがメロディーを弾く箇所でチェロがずしんと低い音を持続する時の倉田さんの奏でた音はチェロの醍醐味を味わわせてくれた。
チェロの音色は生で聴くと録音以上に素晴らしい。
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このシリーズ、次回は来年の5月26日とのこと。
有名な「月の光」が歌われるほか、未出版曲「口づけをしたから」という曲も披露されるようで楽しみである。
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