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吉田 恵/J.S.バッハ オルガン作品全曲演奏会 第10回(2009年6月13日 日本大学カザルスホール)

J.S.バッハ オルガン作品全曲演奏会 第10回
Yoshida_2009062009年6月13日(土) 19:00 日本大学カザルスホール(全自由席)
吉田 恵(Megumi Yoshida)(ORG)

J.S.バッハ(1685-1750)作曲

ファンタジー ハ短調BWV562

ノイマイスター・コラール集より
 心より慕いまつるイエスよ, 汝いかなる罪をBWV1093
 キリストよ,受難せる汝に栄光あれBWV1097
 深き淵より,われ汝に呼ばわるBWV1099
 アダムの堕落によりてことごとく腐れたりBWV1101
 よし災いの襲いかかろうともBWV1104
 ああ主よ,哀れなる罪人われをBWV742
 いまぞ身を葬らんBWV1111
 人はみな死すべきさだめBWV1117

プレリュードとフーガ ハ短調BWV546

~休憩~

協奏曲ニ短調BWV596

ああ主なる神よBWV714
キリストは死の縄目につながれたりBWV695
キリストは死の縄目につながれたりBWV718
われ汝に別れを告げんBWV735
われ汝に別れを告げんBWV736

プレリュードとフーガ ロ短調BWV544

~アンコール~
装いせよ汝,おお愛する魂よBWV654

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オルガニストの吉田恵が2004年に始めたというバッハオルガン作品全曲演奏会の第10回目を聴いてきた。
5月のラ・フォル・ジュルネではバッハがテーマでありながらオルガン曲を聴けなかったのが物足りなかったので、今回のこの演奏会は早くからチェックしていた。
彼女のほかに椎名雄一郎も12回にわたるバッハ連続シリーズを継続中で、前回聴こうと思ったのだが完売だったので、次回までお預けである。

今回の吉田さんの演奏会、バッハの全曲シリーズというだけでもその志の高さに感銘するのだが、来年残念ながら閉館の予定という日大カザルスホールのアーレント・オルガンを演奏してくれるのがうれしい。
私も日大の所有になる前は何度かこのホールに足を運んだものだが、オルガン演奏はおそらく聴いていなかったと思う。
今回は自由席なので、2階に据え付けられたオルガンが見やすいように2階席左側で聴いた。

カザルスホールのオルガンはバッハの時代当時のオルガンを復元したものとのことで、パイプはすべて木の枠に上向きにきっちり収まっていて、2階の壁から出っ張った木のボックスごと一つの楽器という印象である。
華美な装飾があるわけでなく、一見こじんまりした印象すら受けるこの楽器がどのような音を出すのか興味津津で開演を待った。

吉田さんはストップ操作の女性を伴って登場した。
吉田さんが左側の音栓、助手の女性が主に右側の音栓を準備して演奏がはじまる。
最初の「ファンタジー ハ短調」が静かに鳴った瞬間、その優しい響きに魅せられた。
吉田さんの演奏はとても良く回る指で軽快に進められる。
テクニック的に全く危なげない指使いとペダリング(このオルガンは足が聴衆から全く見えないつくりになっているのがちょっと残念)で、オルガンの多彩で優しい音色を見事に引き出していたと思う。

「ノイマイスター・コラール集」は、プログラムノートの金澤正剛氏によると、アメリカ、イェール大学の図書館で1984年に発見されたばかりの作品集で、手写した人の名前をとって「ノイマイスター・コラール集」と呼ばれるようになったそうだ。
この中から8曲が演奏されたが、どれも短く親しみやすい曲である。
かつて偽作説があったという「ああ主よ,哀れなる罪人われを」はそういわれてみるとバッハっぽくない感じもするが、「ノイマイスター・コラール集」に含まれていたことでバッハの作品と確認されたそうだ。

前半最後の「プレリュードとフーガ ハ短調」はドラマティックで悲痛な雰囲気が胸に迫ってくる。
吉田さんの演奏はプレリュードとフーガの間で若干の間を置きながらも、流れが中断されないように演奏していたように感じた。

後半最初の「協奏曲ニ短調」はヴィヴァルディの「調和の霊感」第11曲を編曲したもの。
バッハはこのようにヴィヴァルディの研究に勤しんでいたが、研究のための編曲ということでオリジナルに忠実なものになっているようだ。
曲調がほかの作品と違うので、バッハだけで組まれたプログラムでちょっとした気分転換になった気がする。

その後には若いころにバッハがつくったコラール作品5曲。
こちらは「ノイマイスター・コラール集」と違って1曲1曲がしっかりした長さをもっている。
オリジナルのコラールを知っているとさらに楽しめるのだろう。

最後の「プレリュードとフーガ ロ短調」は壮大な作品である。
金澤氏も「バッハ後期の代表作」と表現しておられる。
後半のフーガの主題は「コンドルは飛んでいく」みたいで覚えやすい。
この主題が次々とフーガになって展開していき、素敵な作品であった。

アンコールで弾かれた小品も穏やかで優しく心地よい気持ちになった。
カーテンコールで何度も呼び戻された吉田氏は、アーレント・オルガンにも手をかざして、楽器とともに拍手にこたえていたのが印象的だった。
華麗すぎない、いぶし銀のような優美な音色に心癒された時間を過ごすことが出来て、満足して家路につくことが出来た。

カザルスを記念したこのホール、開演を知らせるベルの代わりにカザルスゆかりの「鳥の歌」のメロディが流れ、このホールでカザルスの盟友だったあのホルショフスキーも演奏したのだと思うと、やはり感慨深いものがある。
それにしても、このオルガンは閉館後にはどうなってしまうのだろう。
解体ということにはならないことを祈りたい。

Yoshida_200906_chirashi_2

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コメント

フランツさん、今晩は。
吉田恵さんの演奏、愉しまれて、良かったですね。
バッハのオルガン曲全曲演奏というのは、並大抵のことではないのでしょう。
私は、まだ、カザルスホールのオルガンを聴いたことが無く、閉鎖する前に、是非一度聴きたいと思って、この演奏会のチラシも保存してましたが、13日は、ほかの予定と重なってしまって、行かれませんでした。
ホールが無くなってしまうのは、残念ですが、そのオルガンだけでも、どこかで、残しておいて欲しいですね。

投稿: Clara | 2009年6月15日 (月曜日) 00時10分

Claraさん、こんばんは。
とてもいい時間を過ごすことが出来ました。
Claraさんも吉田恵さんのチラシをもっておられたのですね。
残りのシリーズ2回(12/5, 3/13)もカザルスホールで演奏されるそうなので、ご都合があえばぜひお聴きになってみてください。
吉田さんの安定した演奏は素晴らしく、今後も聴きたくなるものでした。
この優しい音色を聴くと、まだまだ演奏してあげないと楽器にかわいそうな気がします。

投稿: フランツ | 2009年6月15日 (月曜日) 00時49分

カザルスホールいいですよね。オルガンは聞いたことがありません。一時期閉まっていたのに、また使われて嬉しいです。

投稿: Auty | 2009年6月15日 (月曜日) 12時15分

Autyさん、こんばんは。
私はカザルスホール、久しぶりだったのですが、ここのオルガンを聴くのははじめてでした。
来年には残念ながら閉館してしまうそうなので、今のうちに聴いておこうと思っています。
オルガン、いい音でしたよ。

投稿: フランツ | 2009年6月15日 (月曜日) 20時38分

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