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ホッター日本公演曲目1969年(第5回)

第5回来日:1969年3~4月

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(BSBR)
ハンス・ドコウピル(Hans Dokoupil)(P)

3月18日(火)18:30 名古屋・愛知文化講堂(プログラムA)
3月20日(木)19:00 東京文化会館 大ホール(プログラムA)
3月22日(土)18:30 仙台・東北大学川内記念講堂(プログラムA)
3月25日(火)19:00 東京文化会館 小ホール(プログラムB)
3月26日(水)18:30 福岡市民会館(プログラムA)
3月28日(金)18:30 札幌市民会館(プログラムA)
3月29日(土)19:00 大阪・フェスティバルホール(プログラムA)
3月31日(月)18:30 横浜・神奈川県立音楽堂(プログラムA)
4月2日(水)19:00 東京文化会館 大ホール(プログラムA)

●プログラムA 共演:ハンス・ドコウピル(P)

シューベルト(Schubert)/歌曲集「冬の旅」作品89(Winterreise)
(おやすみ;風見の旗;凍った涙;凝結;ぼだい樹;あふれる涙;川の上で;かえりみ;鬼火;休息;春の夢;孤独;郵便馬車;霜おく髪;からす;最後の希望;村にて;あらしの朝;幻;道しるべ;宿;勇気;幻の太陽;辻音楽師)

●プログラムB 共演:ハンス・ドコウピル(P)

シューベルト(Schubert)作曲
1.人間の力の限り(Grenzen der Menschheit)
2.春の小川に(Am Bach im Frühling)
3.泉に(An eine Quelle)
4.ドナウにて(Auf der Donau)
5.ひめごと(Geheimes)
6.ヘリオポリス(第2曲)(Heliopolis II)

シューマン(Schumann)作曲
7.新緑(Erstes Grün)
8.だれがおまえを悩ますのか(Wer machte dich so krank?)
9.古いリュート(Alte Laute)

ブラームス(Brahms)作曲
10.喜びに満ちたぼくの女王よ(Wie bist du, meine Königin)
11.早くおいで(Komm bald)
12.メロディーのように(Wie Melodien zieht es mir)
13.セレナーデ(Ständchen)
14.愛の歌(Minnelied)

R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
15.夜(Die Nacht)
16.みつけもの(Gefunden)
17.胸の思い(All mein Gedanken)
18.夜の散歩(Nachtgang)
19.憩え,わが魂(Ruhe, meine Seele)
20.陽の光の中に(Im Sonnenschein)

レーヴェ(Loewe)作曲
21.魔王(Erlkönig)
22.追いかける鐘(Die wandelnde Glocke)
23.婚礼の歌(Hochzeitlied)

(上記の曲目の日本語表記はプログラム冊子に従いました)

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ハンス・ホッター(Hans Hotter: 1909.1.19, Offenbach am Main – 2003.12.6, Grünwald)の第5回目の来日は前回の2年後の1969年だった。
共演ピアニストは日本では初共演となったハンス・ドコウピル(1921, Olomouc (Olmütz) - 1971)がつとめ、全9公演中8公演で「冬の旅」を歌い、東京で1度だけ様々な作曲家による歌曲の夕べが開かれた。
今回もほとんど「冬の旅」ツアーと言ってもいいくらいだが、4月2日の公演はCBS SONYがライヴ収録して、ホッター4度目の「冬の旅」録音としてCD化もされて高い評価を得ている。
しかし、「冬の旅」の影に隠れているが、3月25日のプログラムBの公演も録音されており、LPで発売されたのは案外知られていないのではないか。
こちらは未だにCD化されておらず、復活を望んでおきたい。

プログラムBは東京文化会館の小ホールの限られた聴衆しか聴けなかった貴重なプログラムと言えるだろう。
ホッターの十八番が並んでいる選曲は魅力的だが、中でもシューベルトの選曲はこれまでの来日公演では披露されていないレパートリーばかりで、ホッターの意欲が伝わってくる。

故ハンス・ドコウピルはエーバーハルト・ヴェヒター、ハインツ・ホレチェク、リタ・シュトライヒなどとの共演でも知られるピアニスト。
随分前に老舗中古レコード店(もう閉店してしまった)でドコウピルをフィーチャーした輸入盤LPを見かけたが、高価だったため購入しなかった。
いつかまた見つかるといいのだが。

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(2009年6月27日追記)

3月25日のリサイタルのライヴ録音について、シューベルトの6曲は「冬の旅」の2枚組LP(SONC-16007~8)の第4面にカップリングとして6曲とも収録されて発売されたようだ。
それ以外の作品については、以下のLPに収録されていることを確認した(今日、資料室で実物を聴いてきた)。
プログラム冊子でのブラームスの曲順と入れ替わっている(2番目に置かれていた「早くおいで」が最後になっている)のは、拍手の感じからすると、LP用の編集というよりも実際に入れ替えて歌われたような気がする。
R.シュトラウスの最後に予定されていた「陽の光の中に」が省略されているのは時間の都合だろうが、それ以外は完全に収録されている。
ホッターもドコウピルもライヴゆえのミスはあるものの、当日の雰囲気が伝わってくる貴重な記録である。
すでに盛期を過ぎたと言われたものの、まだまだ充分見事な張りのある歌を聴かせてくれる。
SONYさん、ぜひCD化を!

ハンス・ホッター ドイツ・リートの夕べ-東京公演実況録音盤 1969.3.25
HANS HOTTER IN TOKYO Vol.2: DEUTSCHE LIEDER ABEND

CBS SONY: SONC-16013-J (LP)
ライヴ録音:1969年3月25日、東京文化会館小ホール

ハンス・ホッター(Hans Hotter)(バス・バリトン)
ハンス・ドコウピル(Hans Dokoupil)(ピアノ)

●A面
シューマン(Schumann)作曲
1.新緑 作品35の4(Erstes Grün)
2.だれがあなたを悩ませたのか 作品35の11(Wer machte dich so krank?)
3.古いリュート 作品35の12(Alte Laute)

ブラームス(Brahms)作曲
4.喜びに満ちたぼくの女王よ 作品32の9(Wie bist du, meine Königin)
5.メロディーのように 作品105の1(Wie Melodien zieht es mir)
6.セレナード 作品106の1(Ständchen)
7.愛の歌 作品71の5(Minnelied)
8.早くおいで 作品97の5(Komm bald)

●B面
R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
9.夜 作品10の3(Die Nacht)
10.みつけもの 作品56の1(Gefunden)
11.胸の想い 作品21の1(All mein Gedanken)
12.夜の散歩 作品29の3(Nachtgang)
13.憩え,わが魂 作品27の1(Ruhe, meine Seele)

レーヴェ(Loewe)作曲
14.魔王(Erlkönig)
15.追いかける鐘(Die wandelnde Glocke)
16.婚礼の歌(Hochzeitlied)

アンコール
R.シュトラウス(R.Strauss)作曲
17.汝(なれ)こそわが心の冠 作品21の2(Du meines Herzens Krönelein)

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コメント

 貴重な情報をありがとうございます。
 その時、大学生だった私は、文化会館小ホールでのリサイタルと、冬の旅の両方を聴きました。曲目は忘れていたので、大変うれしいです。
 ホッターさんは若いときにくらべて音域が下がっていたようでしたが、張りのある声でごく自然体で歌っておられたように感じました。しかし、なにせ40年前、記憶もかすかになっています。
 リサイタルのあと、サイン会があり、握手をしていただきましたが、私の手(日本人の標準)より、一回り二回り大きく、かつ、分厚い手で驚きました(彼は、190cmを超える人でしたから当然とも言えますが)。
 そうですね、ソニーさん、ぜひ、CD化していただきたいです。
 どうもありがとうございます。

投稿: ツクバリアン | 2009年8月12日 (水曜日) 21時25分

ツクバリアンさん、こんばんは。
69年の実演を聴かれたのですね。
こちらこそ貴重な証言を有難うございます!
私は一度もホッターの実演を聴けなかったので、実際に体験された方のお話はとても興味深く感じます。
ライヴ録音を聴くと、当時すでに老境に入ったかのような威厳を感じますが、実際に生で聴くと、また録音とは違った感慨があるでしょうね。
大きな方だったというのは話では聞いていましたが、190cmを超えていたというのはすごいですね。大きく、厚い手で握手されたとは貴重な体験をされましたね。
ソニーさんがこの古いライヴ録音に目を向けてくれることを祈りたいと思います。

投稿: フランツ | 2009年8月13日 (木曜日) 01時39分

 どうもありがとうございます。
私はホッターさんは三回聴いており、あと二回は冬の旅でした。69年の冬の旅でした(その次の来日の時かもしれません)か、このころはNHKTVで音楽会の評論の番組があり、中嶋さんや野村さんが出ておられたと思いますが、彼らの結論として、「ディースカウの冬の旅は、極彩色で描いたもの、ホッターの冬の旅は、自分で歩く姿を見せたもの」ということだったように思います。
 この69年の小ホールでのリサイタルにつき、畑中良輔さんは、2003年12月18日の朝日新聞に「まさに孤絶の歌だった。去る者は追わず、来る物は拒まず、突き放しもしなければ抱きとめもしない。立ったままのひとりの人間の歌。」と書いておられます。
 ところで、1994年に音楽の友社から、ペネロペ・テューリング著住田健二訳で「ハンス・ホッター」という本が出ています。今は絶版かもしれませんが。
 1967年の大阪でのトリスタンとイゾルデではマルケ王を歌っておられ、その一部分がYouTubeでも見られるようです。全体がDVD化されることも願っています。

投稿: ツクバリアン | 2009年8月14日 (金曜日) 19時42分

ツクバリアンさん、こんばんは。
再び貴重な情報を有難うございます!
3回もホッターの実演を聴かれたというのはなんともうらやましい限りです。
野村さんというのは野村光一さんでしょうか。ディースカウとホッターの比較、私も同じような文章をどこかで目にしたような気がします。
畑中さんが評された「去る者は追わず、来る物は拒まず」というホッター評は有名ですね。私もこの言葉にインパクトを受けたことがあります。決して媚びることなく超然と舞台に立っているイメージが浮かんできます。
ペネロペ・テューリング著のホッター自伝はかつて本屋で見かけ、ぱらぱら立ち読みしたことはありますが、じっくり読んだことはないので、今度図書館で探してみます。

投稿: フランツ | 2009年8月14日 (金曜日) 22時04分

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